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刺青・秘密 の商品レビュー

4.1

229件のお客様レビュー

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    74

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2019/06/27

肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である...

肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」ほかに「少年」「秘密」など、初期の短編全七編を収める。

Posted byブクログ

2018/11/30

印象に残ったのは「少年」、「異端者の悲しみ」、「母を恋うる記」。「少年」は、マゾヒズムの倒錯、「異端者の悲しみ」は太宰のような自伝的世界、「母を恋うる記」は谷崎の母への思慕、それぞれが印象に残る秀逸な短編集。

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2018/10/14

マゾヒズム、サディズム、性的倒錯・・・日常の中に潜む屈折した人間の感情を描いた6作に続いて、最後の「母を恋うる記」はただ、美しく、切なかった。

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2018/10/11

なんとなく読まず嫌いしていたのですが、文章の美しさに定評があるということで初めて谷崎潤一郎の作品に触れてみました。 読んでみて成る程確かに美しいと感じたのですが、情景や台詞の美というよりは、圧倒的な女性への執着と崇敬の念が感じられまるで聖母かのように描かれているのが印象的でした。...

なんとなく読まず嫌いしていたのですが、文章の美しさに定評があるということで初めて谷崎潤一郎の作品に触れてみました。 読んでみて成る程確かに美しいと感じたのですが、情景や台詞の美というよりは、圧倒的な女性への執着と崇敬の念が感じられまるで聖母かのように描かれているのが印象的でした。 「刺青」は実質処女作だそうですが、美しい身体に完璧な芸術を施したいという執念と共に、背中を這う「女郎蜘蛛」という不気味な生物を描くことで恐ろしい程の美に縛り付けられたいというマゾヒズムを感じました。 私自身、谷崎潤一郎のことはあまり知らないのですが 解説や調べ物によって得た印象では複雑な家庭環境で幼少期を過ごし、特に乳母と一緒でないと登校できないという程内気な少年だったようで、その経験もあり絶対的な母という安らぎを渇望し女性に心酔するようになったのかなと思いました。

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2018/07/19

全篇に渡って、なんとなく後ろめたさを感じる。文章表現が美しければ美しいほど、なんだかわからない罪悪感に苛まれてしまう話ばかりだ。 その中で、最後の作品『母を恋ふる記』。本当にこれには参ってしまった。 冒頭から情景がありありと浮かんで、寒く、心細く、宛てなく暗闇を歩いている主人公の...

全篇に渡って、なんとなく後ろめたさを感じる。文章表現が美しければ美しいほど、なんだかわからない罪悪感に苛まれてしまう話ばかりだ。 その中で、最後の作品『母を恋ふる記』。本当にこれには参ってしまった。 冒頭から情景がありありと浮かんで、寒く、心細く、宛てなく暗闇を歩いている主人公の心情が完全に伝わってきて、読んでいる自分は実際には歩いてないのに足取りが重くなる…。そこを照らす月の明かりの表現。描写が心に響きすぎて、声にならない声が出そうになった。 その後の母の涙の姿、これも美しさと母親の気丈な心が現れていて感嘆してしまう。月の包容力にも泣けてしまう。そして最後にわかる真実で、もう全ての力が抜けてしまう… 本当にこの作品を読めてよかった。こんな凄まじい文章は到底書けないけれど、だからこそ読む愉しみがあるというものだ。 (『刺青』が思っていたよりかなり短編で驚いた。これをあそこまでの映像に膨らませた増村保造監督はすごいなあ)

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2018/05/02
  • ネタバレ

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「異端児の悲しみ」俺は実は天才なんだぜ系こじらせ自我と、独り言の諸元と、肺病にかかった妹の小言がうるさいのと、親の文句もうるさいのと、借りた金をなかなか返せないともだもだするのと、しょーーーーもねえ…しょーーーもねえぞ谷崎さん…と思いながら読んでたら結末が唐突に「その後彼は小説を発表し、芸術的に非常に高く評価された」で締めくくられててそんなことありかよ谷崎さーーーん!と転びそうになった あなたのことでしたか… がしかしこの「異端児の悲しみ」が短編集の中でいちばん面白かった。好きなこと書いてもいいのね、元気出た。

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2018/04/24

谷崎潤一郎なんて男女の性愛についてとかでしょ?あんま興味ないかなあなんて思ってたけどそんなこといってないで早く読めばよかった。 面白かった。 文章がすごく綺麗なので、いやこれどうなのって状況でもすごく綺麗に感じる。 『異端者の悲しみ』は自伝的な話らしいけど、本当に谷崎がこんな...

谷崎潤一郎なんて男女の性愛についてとかでしょ?あんま興味ないかなあなんて思ってたけどそんなこといってないで早く読めばよかった。 面白かった。 文章がすごく綺麗なので、いやこれどうなのって状況でもすごく綺麗に感じる。 『異端者の悲しみ』は自伝的な話らしいけど、本当に谷崎がこんな感じだったのだとしたらなんとも嫌なやつだなぁという印象。 この年頃は誰しもいろんなことに悩んだりおかしなことをしたり悪ぶってみたりするものだと思うし、年齢や当時の状況を考えるとしょうがないのかなとも思えるけど…。 それにしても傲慢、自尊心、他人への思いやりのなさがすごい。 女性に関しても何より谷崎が好きなのは『女の綺麗な肉体』であって、女の人格やらなんやらはどうでもいいってことなんだなあと。 たぶん『自分を責めて悦ばしてくれる綺麗な道具』くらいの認識なんでしょうね。 好きだったのは『少年』と『母を恋うる記』。 『少年』は少年少女の無邪気な残酷さがぞわぞわするほど綺麗に描かれていてまさに耽美という感じでよかった。 『母を恋うる記』は幻想的で綺麗な雰囲気と文章ですごく好き。 情景の描写もだけど音の描写もとにかく綺麗で、その場面の風景がみえて音が聞こえてくるかのようだった。 美しくて切ない。 これをラストにもってきてくれてありがとうございます。

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2018/01/12
  • ネタバレ

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あったあった、ちょっとカビ臭いけどね。高校生以来、印象に残っているのは刺青だけ。 刺青 足だけを見て恋した女、刺青した女の変貌、妖しすぎ 少年 こんな気味の悪い話は嫌い。なのに病的に倒錯した世界に取り込まれて行く妖しさ。 秘密 秘密を持つことの魅力、秘密がわかった途端に褪せる気持ち、秘密等と言うて温い快楽が血まみれの快楽に変わるってどうなるの? 二人の稚児 これは綺麗、少しほっとする。 これらがホントに作家になったばかりの頃の作品だとは。細雪は映画見ただけ、痴人の愛はドラマかなにか、ほとんど谷崎知らないのだな

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2017/12/18

Kindle版表題の「刺青」「秘密」と「少年」を読んだ。今風に言うとプレイ小説。主にマゾの心情。艶めかしくマゾの心情をこみ上げさせるのは流石谷崎。「少年」は、やはり汚い折檻などは少年時代であっても自分的にはありえないなとか。しかし、それらを感受する心の鋭敏さがなにやら読んでいるこ...

Kindle版表題の「刺青」「秘密」と「少年」を読んだ。今風に言うとプレイ小説。主にマゾの心情。艶めかしくマゾの心情をこみ上げさせるのは流石谷崎。「少年」は、やはり汚い折檻などは少年時代であっても自分的にはありえないなとか。しかし、それらを感受する心の鋭敏さがなにやら読んでいるこちらをくすぐるような心持ちにさせる。「刺青」はタイトルの持つ色彩が作品の美しさをより引き立たせているように思えた。「秘密」も趣きのある作品のように思えた。

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2017/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

怪しくも美しい世界。 これが明治とか大正の、約100年くらい前に書かれた小説かと思うと、驚いてしまう。鮮やかな色づかい、音、質感の描写は映像として感じられるほど。 「母を恋うる記」は、あの、夢独特の、空間の不安定さ、時間軸の永遠と一瞬が交錯する感じ、そして自分の深いところに潜って何かを切望する心持ちが迫ってくる。

Posted byブクログ