眠れる美女 の商品レビュー
恥ずかしながら、川端康成の作品を読んだのはこれがはじめてで。 眠れる美女、片腕の2作は衝撃的。なんとなく、昔の本、堅そう、面白くなさそうと思っていたのがバカみたい。一読の価値あり。 村上春樹の表現がどことなく川端康成に通じる気がしたのだけど、僕だけだろうか?
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『眠れる美女』『片腕』『散りぬるを』収録。 『眠れる美女』は、「波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館であった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女――その傍らで一夜を過す老人の眼は、みずみずしい娘の肉体を透...
『眠れる美女』『片腕』『散りぬるを』収録。 『眠れる美女』は、「波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館であった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女――その傍らで一夜を過す老人の眼は、みずみずしい娘の肉体を透して、訪れつつある死の相を凝視している。熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の名作」(作品紹介より)。 宿の女将の妖しさや宿の不思議さ、老いることの醜さ哀しさに、少女のみずみずしさが際立っていた。 眠っている少女達の個性が豊か。 あやうくて不思議な世界に、思わず惹きこまれてしまいました。 『片腕』は、女の片腕を借りて帰った男性が過ごした一夜の話。 他人の腕に見られる恥ずかしさ、腕との会話、自分の腕と付け替えた時の衝撃、他人の血の流れこみ混じりあう感覚、眠りと目覚め。 不思議な感覚でした。 『散りぬるを』は、いずれ愛人にしようと思っていた二人の娘を殺された男の回顧談。 顔見知りの若い男、山辺三郎に殺された滝子と蔦子。 最初は冗談のつもりだったが、強盗のふりをして驚かそうとした拍子に、三郎の持ったナイフが滝子の胸を突いてしまった。さらに三郎は、滝子の隣で寝ていた蔦子を絞殺。裁判で無期懲役を宣告されて獄死した。 男には、訴訟記録によると滝子も蔦子も三郎を疑ったり抗ったりした様子が全くないのは不思議で、あり得ないように思える。 だが、その死のあり得なさがかえって二人の面影を生き生きとさせる。 その感覚が印象的でした。
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『すでに男ではなくなった老人たち』 柔らかく表現しているが、 要するに、勃起しなくなった老人たちなわけで、 そうなっても尚、裸の女の側で一夜を過ごすことを望み、 それが可能となる怪しい館に通いつめる。 文章は美しい。 直接的な描写を使わずに、ここまで変態性を表現するとは! 三島由...
『すでに男ではなくなった老人たち』 柔らかく表現しているが、 要するに、勃起しなくなった老人たちなわけで、 そうなっても尚、裸の女の側で一夜を過ごすことを望み、 それが可能となる怪しい館に通いつめる。 文章は美しい。 直接的な描写を使わずに、ここまで変態性を表現するとは! 三島由紀夫が解説を書いてるってとこも素敵。
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「眠れる美女」「片腕」「散りぬるを」所収。解説三島由紀夫。「眠れる美女」川端の性への妄執と美意識、デカダンスでものすごく濃密。「片腕」はSFのような浮遊感を同時に兼ね備えている。やはり天才です。
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眠れる美女:異様でいて静かな世界。狂気と欲望と美しさ。温度と匂いが伝わってくる。 片腕:なんだか星新一みたいだなーと思ってしまった。考えてはいけない。こちらも不思議で官能的。 散りぬるを:主人公が既にいない、というアンバランスな中で進んでいく奇怪さ。
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緻密で美しい描写。 まるで老人と娘のいる部屋を覗いているかのような。 匂い、温かさまでもが伝わる作品
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片腕がすばらしい。ゴシックっていうのかしら。 感想文を書く予定。 「片腕を一晩お貸ししてもよいわ。」と彼女は言った。 という冒頭だけでおなか一杯夢一杯。 語らずもがな、暇なら読んで欲しい。
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此れも老いてなお衰えぬ性欲について書かれた作品。睡眠薬で眠らされた裸の少女と一晩を供にする老人達。裸の少女を通し、老人達は何を想うのか。主人公の老人は、他の男と自分は違う、と云う一種の優越感に浸っている。 個人的に、終わり方が凄く気になる。ラストの物語る意味について調べたい!
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最初、谷崎の作品かと思った。 ただ寝ているだけのはだかんぼの女の子を抱いて満足する老人。だんだん、夢か現かわからなくなって・・・という筋。なんだかエッチな話だが、さすが川端、きれいな文章。 ドイツで2007年映画化されたが、いまひとつ。時代が現代だし、老人のトラックバックもあまり...
最初、谷崎の作品かと思った。 ただ寝ているだけのはだかんぼの女の子を抱いて満足する老人。だんだん、夢か現かわからなくなって・・・という筋。なんだかエッチな話だが、さすが川端、きれいな文章。 ドイツで2007年映画化されたが、いまひとつ。時代が現代だし、老人のトラックバックもあまり奥深くなく、原作を読んでから観ると失望する。
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川端康成はきっと小難しい四角四面な小説を書くのであろうという先入観をぶち壊した一冊。耽美小説じゃんこれ・・・!
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