掌の小説 の商品レビュー
122の小説を、廁で毎日1つずつ。なので読了まで4ヶ月くらいか。名作を語れるような知識も言葉ももたないけれど、感情が乗り移ったしぐさにハッとしたり、おだやかな物語が急に狂気を帯びてきてゾッとしたり、読んだあとに考えこんでしまったり。 掌にのるような数ページの物語は、もくもくと...
122の小説を、廁で毎日1つずつ。なので読了まで4ヶ月くらいか。名作を語れるような知識も言葉ももたないけれど、感情が乗り移ったしぐさにハッとしたり、おだやかな物語が急に狂気を帯びてきてゾッとしたり、読んだあとに考えこんでしまったり。 掌にのるような数ページの物語は、もくもくと膨らんで、厠での時間がこんなに充実してる人間は、この瞬間、世界で私ひとりかもしれんな、と思わせてくれる名作品集であった。
Posted by
通勤電車の中で1日10ほどの作品を読んだだろうか。2週間ばかりかけて読み切った。夢の中の話のような気がして、自分の夢も書き留めておこうと思った。最近見て印象に残っているもの、何度も繰り返し見ているものなど10の夢。夢十夜。さて、いくつか印象に残った作品はある。「あなたが一目見てや...
通勤電車の中で1日10ほどの作品を読んだだろうか。2週間ばかりかけて読み切った。夢の中の話のような気がして、自分の夢も書き留めておこうと思った。最近見て印象に残っているもの、何度も繰り返し見ているものなど10の夢。夢十夜。さて、いくつか印象に残った作品はある。「あなたが一目見てやると、死顔がこんなに安らかに変わるなんて。」本当は夫が手で顔をごしごしとこすっていた。でも、僕は思う。きっと妻はまだ完全には死んでおらず、やはり夫の声を聞いてほっとしたのではないかと(「死顔の出来事」)。足から血を出しながら馬車を追いかける少女。「少女は靴を履くと、後をも見ず白鷺のように小山の上の感化院へ飛んで帰った。」感化院ということばが突き刺さる(「夏の靴」)。親から強いられた結婚をしたくないと伯母に相談し、恋愛結婚をすすめられる。自分は道を過って三十年不幸だったからと。その伯母が生んだいとこと結婚したいと思っていた。立ち聞きしていた彼は婚約破棄の手紙を書いた。強いられた結婚をしなさいと。ただし、「そして私のように立派な子どもを生みなさい。」とは書けなかった(「子の立場」)。何人もの男に同じ手紙を書いた。そして、生まれてすぐに亡くなった子どもの骨といっしょに送った(「神の骨」)。何作か踊り子の話が続く。その中にあった。楽屋で乳首のまわりの白粉だけをふき取って赤子にお乳をあげるシーン。若いころ舞踏のワークショップに参加していた。その師匠夫妻が横浜のストリップ小屋に出るというので見に行った。そのとき、楽屋に入れてもらって、踊り子たちの疲れた表情を見て切なかったのを思い出した。そして、「ざくろ」。これが一番良かったかなあ。「母がよく父の残したものを食べていたのを、きみ子は思い出した。きみ子はせつない気持ちがこみあげて来た。泣きそうな幸福であった。」「泣きそうな幸福」ということばに心ひかれた。
Posted by
不安になったり、ドキドキしたり、ちょっと笑ったり。 そんな、長くても10ページ足らずのお話が122編。 短編以上に短編ではあるが、川端康成の文章の美しさがしっかりと堪能出来る。 川端康成と言えば、雪国とか、片腕とか、眠れる美女とか名作が沢山あるが…それにも劣らぬ名作揃いだと思...
不安になったり、ドキドキしたり、ちょっと笑ったり。 そんな、長くても10ページ足らずのお話が122編。 短編以上に短編ではあるが、川端康成の文章の美しさがしっかりと堪能出来る。 川端康成と言えば、雪国とか、片腕とか、眠れる美女とか名作が沢山あるが…それにも劣らぬ名作揃いだと思う。 1日の終わり、眠る前に読むのにいいなと思った。
Posted by
なぜ私は奥さんのような方に恋が出来たのでしょう。妻がいてくれたからではないでしょうか。妻は私に生活の苦しみをすっかり忘れさせていてくれたのです。人生の半分を見ないようにしていてくれたのです。でなければ、私は奥さんのような女の前では、きっと目をそむけるか、うつむいていたでしょう。 ...
なぜ私は奥さんのような方に恋が出来たのでしょう。妻がいてくれたからではないでしょうか。妻は私に生活の苦しみをすっかり忘れさせていてくれたのです。人生の半分を見ないようにしていてくれたのです。でなければ、私は奥さんのような女の前では、きっと目をそむけるか、うつむいていたでしょう。 奥さん。この金糸雀は殺して妻の墓に埋めてもようございましょうね。
Posted by
Posted by
961(円)÷122(作品)=7.88円 川端康成の名文が、1作品8円で読める・・そんな幸せ(お得感)を感じてください。
Posted by
化粧の天使達のために借りた。 川端康成、肌に合わないかもなぁ…。 掌編らしい…なんていうか…1シーン切り取り型の話が多いかなという気がする。 化粧の天使達、屋上の金魚 小茂根図書館 新潮文庫
Posted by
川端康成の詩というか短歌というか俳句というか、まあ小説なんだけれども、110個の短編小説を集めたもので、それぞれが不気味というか不可解というか霊妙たる内容で凡人たる私には全く解釈出来ずに何度か読み返す話も多数有りで、こういう自分の閾値を超えた小説は、実は最後の『解説』が1番面白く...
川端康成の詩というか短歌というか俳句というか、まあ小説なんだけれども、110個の短編小説を集めたもので、それぞれが不気味というか不可解というか霊妙たる内容で凡人たる私には全く解釈出来ずに何度か読み返す話も多数有りで、こういう自分の閾値を超えた小説は、実は最後の『解説』が1番面白く、解説を読んでこそその面白さが分かるのではないかと、私レベルではこんなもんです。未熟ですみません。
Posted by
川端康成は、人間を奇妙な生き物を観察するように見ている。 彼は愛に憧れていたが、愛というものを信じられなかった。もしも愛を手に入れたとしても、それが失われることが恐ろしかったのだろう。
Posted by
カテゴリ:聖心生によるオススメ本リレー (2016年度卒業生:高橋さんより) 「掌の小説」は、ノーベル文学賞受賞者である著者・川端康成が約40年にたり書き綴った掌編小説の作品集です。短いもので2ページ、長くても10ページほどの作品が122話も収録されています。この本の最大の魅力...
カテゴリ:聖心生によるオススメ本リレー (2016年度卒業生:高橋さんより) 「掌の小説」は、ノーベル文学賞受賞者である著者・川端康成が約40年にたり書き綴った掌編小説の作品集です。短いもので2ページ、長くても10ページほどの作品が122話も収録されています。この本の最大の魅力は、どこを切り取っても美しい物語が手軽に楽しめるという点です。 私は旅行する時にいつもこの本を持ち歩き、色々な場所でランダムに選んだ話を読みますが、たとえ同じ話を読んだとしても毎回違う色で情景が浮かび上がります。何度読んでも新しい発見と感動を与えてくれる本です。一話がとても短いので、読書があまり好きでない方にも、少し古い日本文学を読むのに抵抗がある方にも、比較的簡単に手にとっていただけるかと思います。 自分のお気に入りの物語を見つけるものひとつの楽しみ方です。ちなみに私の好きな話は「骨拾い」「日向」「火に行く彼女」「雨傘」です。一話だけでも、是非読んでみてください。
Posted by
