掌の小説 の商品レビュー
『十六歳の日記』(当時の筆記を、数年後編集したもの)に始まって、生涯生み出された掌編は、今昔物語の伝統を継ぎ川端文学の本流である。 時には残酷な、一瞬に人生を縮約した琥珀のような芳香感。決断に迷った男は、夢で「来世の妻を見せてあげましょう」と雀を見せられ「どうせ来世は雀なら」と...
『十六歳の日記』(当時の筆記を、数年後編集したもの)に始まって、生涯生み出された掌編は、今昔物語の伝統を継ぎ川端文学の本流である。 時には残酷な、一瞬に人生を縮約した琥珀のような芳香感。決断に迷った男は、夢で「来世の妻を見せてあげましょう」と雀を見せられ「どうせ来世は雀なら」と迷いから覚めた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
掌編122編収録。読み終わって意味が取れない物語もありすべては覚えていません。振り返るといくつか自分にとって印象的な物語があったな…という感じです。 最後のほうは戦争を感じさせる話がいくつか。 月(P69) 童貞ーどうにもこいつがいけない厄介物なんだ。(P69) この始まり方は(笑)。しかし 「私は生活を一つにしようと思う女の方からでなければ感情をいただかないことにしています。」(P71) とても潔い。 心中(P148) 遠隔精神DVかホラーか。 帽子事件(P178) さらりと始まって終わる日常ファンタジーコメディー。面白かった。 歴史(P210) 親の代で仕込んでおいたもの。現実でもありがち。 百合(P217) 好きな人に入れ込みすぎた結果。 駿河の令嬢(P226) 物語のその後を読みたい。 妹の着物(P441) 姉が選んだ男性と結婚するのは嫌だなぁ。 他の印象に残った作品 屋上の金魚(P190) 金銭の道(P194) 恐しい愛(P208) 馬美人(P213) 神の骨(P230) 舞踏会の夜(P453) 子切れ(P498) 20年ぶり外で働き始めたら長編が読めなくなり、それなら、とこちらを電子(スマホ)+文庫で読んでみました。読むには読めたけど読み込めなかったですね。毎日仕事をして読書するのはなかなか難しい(汗)また落ち着いて読みたいです。
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本書は、職場近くの、チェーン店ではない、古くからやっていそうなある書店で見かけて購入した。 本書には約120篇の短編が含まれている。見開きの2ページで完結してしまうものから、10ページ弱程度続いた話もあった。巻末の解説にもあるように、著者の自伝的内容と思われるもの、著者の見た夢の...
本書は、職場近くの、チェーン店ではない、古くからやっていそうなある書店で見かけて購入した。 本書には約120篇の短編が含まれている。見開きの2ページで完結してしまうものから、10ページ弱程度続いた話もあった。巻末の解説にもあるように、著者の自伝的内容と思われるもの、著者の見た夢の内容ではないかと思われるもの、悲しかったり残酷さも垣間見られるような話もあれば、どこかほっとさせる雰囲気の掌編もあった。 予備知識がないので間違っているかもしれないが、おそらく収録は時系列順であると思われ、そうすると、初期の方が比較的短い作品が多いように感じた。また、短さもあって、どう解釈したら良いのか難しいと感じるものが多かった。 中盤の方の作品は、やや分量が多くなったが、その分、初期の作品にあったキレのようなものが少し鈍ってしまったのではないかと、個人的には感じた。情報が与えられすぎると、かえってどこか物足りなさを感じるのが不思議だった。終盤の方の作品になって、再び少し作品の長さが短くなったように感じた。 私が個人的に好みだったのは、描写の中に目に浮かぶようなきれいな視覚的イメージを扱っている作品だった。例えば、「秋の雨」など。またあるいは、厳しいなりにもほっとするような心の動きが感じられるような作品。例えば、「盲目と少女」。 それにしても、全体を通して、女性を扱った作品が多いように思う。著者は、女性というものに関心があったに違いないとは思う。ただ、この本における「踊り子」は、おそらく現代でいうと相当する職業はないのではないだろうか、イメージがつけにくかったというのが正直なところだった。 また全体を通して、散文詩的なもの、筋書きや人物像などが完全には分からなくても、どこか詩的な着想を感じさせるような作品も多く、とても良い読書体験だった。
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122もの短編集。 短いのは2ページで終わるほどの短編集なので 読みやすく、途中で止めやすかったです。 現在の状態でも想像できるような短さと どこかをきりとったような内容なので ここで終わり? というものも。 読解力がないので、そう思うのかも知れません。
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川端さんといえば…その、あれです、少女というか、私は女性なのでちょっと生理的に受け付けないなって(素晴らしい作品なので残念なのですが)いうところがあるんですがこれはそんな彼らしいエロティシズムみたいなところ(言っちゃった)を感じずにプレーンな状態で読める作品が多くおすすめです。 ...
川端さんといえば…その、あれです、少女というか、私は女性なのでちょっと生理的に受け付けないなって(素晴らしい作品なので残念なのですが)いうところがあるんですがこれはそんな彼らしいエロティシズムみたいなところ(言っちゃった)を感じずにプレーンな状態で読める作品が多くおすすめです。 だって雪国とかもろ勝手な男って感じしません? とはいえこのなかで一番好きなのは指輪だったりする、矛盾あるレビュー。 ホントは☆5つつけたいけどやっぱり生理的にごめんなさいなのでマイナス1.
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アホの僕にはこれで終わり?となってしまうお話がちょいちょいありました。現代の刺激物みたいな物語に慣れてしまっているんですかね...? ただそれでも不思議だったり、ドロドロしていたり、柔らかい感じだったり、凄く色々なお話があって楽しかったです。
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図書館本。 1-2ページの短編集。 オパールの指輪をする少女、レモンを絞り果汁を乳房に塗る女、夫に不自由となった身体を洗わせる妻←これは第三者目線ではあるが。 谷崎潤一郎がしっとりしたエロならば、川端康成はサラリとしたエロですな。 良き一冊。 何気ないことをサラッと描いた短...
図書館本。 1-2ページの短編集。 オパールの指輪をする少女、レモンを絞り果汁を乳房に塗る女、夫に不自由となった身体を洗わせる妻←これは第三者目線ではあるが。 谷崎潤一郎がしっとりしたエロならば、川端康成はサラリとしたエロですな。 良き一冊。 何気ないことをサラッと描いた短編も多かったことも追記。
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人生のあっけなさ、運命の非情さを感じる作品群。 繊細で美しくも、ときに空恐ろしく感じる文章や、読む者に判断を委ねる定点観測のような視点が、なぜだか心地良く思える。
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122の小説を、廁で毎日1つずつ。なので読了まで4ヶ月くらいか。名作を語れるような知識も言葉ももたないけれど、感情が乗り移ったしぐさにハッとしたり、おだやかな物語が急に狂気を帯びてきてゾッとしたり、読んだあとに考えこんでしまったり。 掌にのるような数ページの物語は、もくもくと...
122の小説を、廁で毎日1つずつ。なので読了まで4ヶ月くらいか。名作を語れるような知識も言葉ももたないけれど、感情が乗り移ったしぐさにハッとしたり、おだやかな物語が急に狂気を帯びてきてゾッとしたり、読んだあとに考えこんでしまったり。 掌にのるような数ページの物語は、もくもくと膨らんで、厠での時間がこんなに充実してる人間は、この瞬間、世界で私ひとりかもしれんな、と思わせてくれる名作品集であった。
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通勤電車の中で1日10ほどの作品を読んだだろうか。2週間ばかりかけて読み切った。夢の中の話のような気がして、自分の夢も書き留めておこうと思った。最近見て印象に残っているもの、何度も繰り返し見ているものなど10の夢。夢十夜。さて、いくつか印象に残った作品はある。「あなたが一目見てや...
通勤電車の中で1日10ほどの作品を読んだだろうか。2週間ばかりかけて読み切った。夢の中の話のような気がして、自分の夢も書き留めておこうと思った。最近見て印象に残っているもの、何度も繰り返し見ているものなど10の夢。夢十夜。さて、いくつか印象に残った作品はある。「あなたが一目見てやると、死顔がこんなに安らかに変わるなんて。」本当は夫が手で顔をごしごしとこすっていた。でも、僕は思う。きっと妻はまだ完全には死んでおらず、やはり夫の声を聞いてほっとしたのではないかと(「死顔の出来事」)。足から血を出しながら馬車を追いかける少女。「少女は靴を履くと、後をも見ず白鷺のように小山の上の感化院へ飛んで帰った。」感化院ということばが突き刺さる(「夏の靴」)。親から強いられた結婚をしたくないと伯母に相談し、恋愛結婚をすすめられる。自分は道を過って三十年不幸だったからと。その伯母が生んだいとこと結婚したいと思っていた。立ち聞きしていた彼は婚約破棄の手紙を書いた。強いられた結婚をしなさいと。ただし、「そして私のように立派な子どもを生みなさい。」とは書けなかった(「子の立場」)。何人もの男に同じ手紙を書いた。そして、生まれてすぐに亡くなった子どもの骨といっしょに送った(「神の骨」)。何作か踊り子の話が続く。その中にあった。楽屋で乳首のまわりの白粉だけをふき取って赤子にお乳をあげるシーン。若いころ舞踏のワークショップに参加していた。その師匠夫妻が横浜のストリップ小屋に出るというので見に行った。そのとき、楽屋に入れてもらって、踊り子たちの疲れた表情を見て切なかったのを思い出した。そして、「ざくろ」。これが一番良かったかなあ。「母がよく父の残したものを食べていたのを、きみ子は思い出した。きみ子はせつない気持ちがこみあげて来た。泣きそうな幸福であった。」「泣きそうな幸福」ということばに心ひかれた。
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