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星々の舟 の商品レビュー

3.8

332件のお客様レビュー

  1. 5つ

    80

  2. 4つ

    124

  3. 3つ

    85

  4. 2つ

    20

  5. 1つ

    3

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2020/04/20

ある家族の、父、息子、娘、孫娘のそれぞれの人生と過去を描いたアンソロジー小説。 水島家の長女沙恵は、水島家で雇われていた家政婦志津子の連れ子であった。志津子が後妻に納まり長女となったが、以後も血の繋がりがないことを意識し、とある事件から義理の兄である曉に惹かれていく…。 最初...

ある家族の、父、息子、娘、孫娘のそれぞれの人生と過去を描いたアンソロジー小説。 水島家の長女沙恵は、水島家で雇われていた家政婦志津子の連れ子であった。志津子が後妻に納まり長女となったが、以後も血の繋がりがないことを意識し、とある事件から義理の兄である曉に惹かれていく…。 最初は曉(あきら)から始まり、離婚と義理の母の死から、長年縁が切れていた家族と繋がって行くというストーリーになっている。連作なのを知らなかったので、2本目でまた同じ人が出てきて混乱した(あらすじは読まないタイプ)。 序盤は軽く、後半になるにつれ、出生の秘密や過去の話など、どんどん重くなっていく。しかし、言うほど個々の人生に接点や重なりがなく、長男の貢にいたっては、単にわがままな男の象徴的に描かれており、そもそもの家族での立ち位置が曖昧になっているのは残念である。 また、後半は色々と重い話が来るわけだが、全体に重くなりきらないというか、取材か文章のどちらかが上っ面だけな印象が否めない。むしろ最後2人の話は必要なかったのではなかったか。 この作者は初読だし、この人のキャラクターは知らないが、不倫して結婚できない女と、不倫して都合の良い男は、作者の置かれた立場や家族を反映しているのだろうとは思う。いずれも少しステレオタイプすぎるきらいがある。

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2020/04/10

ひとりしずかを照らす月の蒼い光のような熱量をもった物語。 母、妻、後妻、義理の母である志津子を軸とする六編。 不倫、道ならぬ禁断の間柄、愛を交わしてはならない男女、過去の贖罪と寂寥とした想いと後悔。 いつも、こういった作品の読後は、嫉妬、羨望がないまぜになった座りの悪さが残る...

ひとりしずかを照らす月の蒼い光のような熱量をもった物語。 母、妻、後妻、義理の母である志津子を軸とする六編。 不倫、道ならぬ禁断の間柄、愛を交わしてはならない男女、過去の贖罪と寂寥とした想いと後悔。 いつも、こういった作品の読後は、嫉妬、羨望がないまぜになった座りの悪さが残るのだが。 後半二編は、気持ち良い話ではないが、これはこれで、読後に府に落ちるというかと、希な体験でした。 「幸福とは呼べぬ、幸せもあるのかもしれない~」ここにある家族は、決して不幸ではないのだろう、ありのままである幸せを感じ読了。 やはり、これはある意味で、官能小説なのですよ。 #村山由佳 #村山由佳さん #読書記録 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #読書好き #読書倶楽部

Posted byブクログ

2020/01/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

母の死から物語は始まる。4兄妹と残された父、長男の娘が各章で語る。 血が繋がらないと思っていて愛し合う次男と長女だが、実は父親が一緒と知り次男は家を飛び出す。流れ着いた北海道で仕事をし家庭を持つが離婚。一方、長女は幼馴染と婚約していたが最終的には婚約破棄。ふたりともお互いの未来はないと知っていてもお互い以外の相手は考えられない。 末の妹は不倫中。昔から人の彼氏や旦那ばかりと付き合う。時間を一時共有できるだけの相手で満足していたはずが、相手にとって自分は守るべき存在ではないことに気づく。 長男も妻子がいるにもかかわらずこれまた会社の若い子と不倫中。それは自分の家から逃げ出す口実。家に自分の場所がないわけではないが家に帰りたくない。そして自分のやりたいこと、つまり居場所を見つけようとする。 長男の娘は昔自分をいじめていた先輩と偶然出会ってしまう。その時に一緒にいた親友がタンカを切って追い払ってくれたが仕返しが待っていた。仕返しから逃れるために親友を売ってしまう。それに悩み祖父に相談してする。 出征経験がある父は未だに戦中に慰安所で出会った韓国人女性と親しくなったことを忘れられずにいる。そして最初の妻の死、2番目の妻の死。自分が生かされている意味を自分なりに見つける。 全体的に暗い。だれも幸せになっていない。読後感はあまり良くない。 あとがきで作者はそれぞれが希望を持った終わり方にしたと書いているが、どうにもその様には思えない。 しかし、近親相姦、不倫、いじめ、父と家政婦の情事とけっこうめちゃくちゃな家族。

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2019/12/29

1つの複雑な家族の短編集。 主人公は兄、妹、父とそれぞれが語り手になっている。 女子高校生・OLから、中年公務員・戦争体験者の祖父まで、1人の作者が書いたとは思えない細かい心理描写。 そこに描かれる家族は一貫して苦しく、難しい。 全ての短編がバシっと完結せず、切ない余韻の中に...

1つの複雑な家族の短編集。 主人公は兄、妹、父とそれぞれが語り手になっている。 女子高校生・OLから、中年公務員・戦争体験者の祖父まで、1人の作者が書いたとは思えない細かい心理描写。 そこに描かれる家族は一貫して苦しく、難しい。 全ての短編がバシっと完結せず、切ない余韻の中に終わる。 絶望的というのではないが、かといって楽観的にもなれず、必死にもがいてちょこっとだけ上向きになった感じで終わる。 だけど家族の長い歴史が描かれている。 文庫本最後の作者あとがきまで読んでください。

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2019/10/14

冒頭でこの連作短編の主人公とも言える「兄」とその彼女のドラマのようなシーン。 なんだ。。。陳腐な恋愛もの?と思ったら息苦しくなるほどにこの家族のそれぞれが抱えるせつなすぎる思い、苦悩、罪・・・。 そしてその発端ともいえる「父」の過去。 読み進めるわたしの顔は知らず知らずに眉間にし...

冒頭でこの連作短編の主人公とも言える「兄」とその彼女のドラマのようなシーン。 なんだ。。。陳腐な恋愛もの?と思ったら息苦しくなるほどにこの家族のそれぞれが抱えるせつなすぎる思い、苦悩、罪・・・。 そしてその発端ともいえる「父」の過去。 読み進めるわたしの顔は知らず知らずに眉間にしわが寄っていたであろう、苦しくて。辛くて。 兄妹の狂おしい思いに心を寄せいつかどんな形ででも彼らに幸せが訪れますようにと願って。

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2019/09/02

もう一回きちんと読まんといかんやろうな~。どうも前半から、目が字面を追っても脳みそに入ってこない。はっきり言ってしまえば、あまり面白くない。しかし後半の2話が、ヒリヒリするような辛い話で、心が痛くなりながらも読み進めてしまった。家族一人ひとりが主役になる連作短編集なのだが、結局二...

もう一回きちんと読まんといかんやろうな~。どうも前半から、目が字面を追っても脳みそに入ってこない。はっきり言ってしまえば、あまり面白くない。しかし後半の2話が、ヒリヒリするような辛い話で、心が痛くなりながらも読み進めてしまった。家族一人ひとりが主役になる連作短編集なのだが、結局二人分しかまともに読んでいないことになる。もう一回きちんと読まんとなぁ......いつか。

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2019/08/08

読破するには、多少のエネルギーを要します。そういう作品です。不倫、浮気、近親相姦......そのタブーを犯すとき、人というのはこんなにも美しい顔をするのですね。誰かが救われてしまったら、舟の均衡が崩れてしまう。彼らの幸せを、きっと私は願っていません。高校生ごときが知って良かったの...

読破するには、多少のエネルギーを要します。そういう作品です。不倫、浮気、近親相姦......そのタブーを犯すとき、人というのはこんなにも美しい顔をするのですね。誰かが救われてしまったら、舟の均衡が崩れてしまう。彼らの幸せを、きっと私は願っていません。高校生ごときが知って良かったのでしょうか。痛くて美しい、家族の形です。

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2019/07/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夜明けの電話。受話器を置いて、物語が始まる。「母」が危ないとのこと。父は代々の大工である。近親相姦、いじめ、戦争体験などいろいろと贅沢に詰め込まれた話たち。最後は「母」たちの眠る墓で再会することとなった。インドへ旅立つあいさつに来た、と称して。朝と呼ぶには遅く、昼前と呼ぶには少し早いこの時間に物語は終わる。星々の舟という家族は血はどこでも繋がっている。

Posted byブクログ

2019/04/02

それぞれが悩みを抱える家族の話。話が重い。小説として詰め込みすぎに思えます。この家族、なんだかんだと支えあうより各々己が為に…と言うようにも見える。あと戦争の話が自虐に過ぎる気もするが、著者の歴史観だろうか。聡美の話と重之の話で纏まりが悪くなったような気もする

Posted byブクログ

2019/02/10

江國香織氏のと違い、複雑な家庭環境で父親が戦争を体験した亭主関白で、父親を中心に反抗から分かり合いまでの経緯が兄妹や孫が主人公になり和解し合っていく。 何故父親が頑なに家族を疎外するのかはみんな分からないけど、父親の戦争の慰安婦と知り合った事で幸せを拒絶してしまっていたのだが妻に...

江國香織氏のと違い、複雑な家庭環境で父親が戦争を体験した亭主関白で、父親を中心に反抗から分かり合いまでの経緯が兄妹や孫が主人公になり和解し合っていく。 何故父親が頑なに家族を疎外するのかはみんな分からないけど、父親の戦争の慰安婦と知り合った事で幸せを拒絶してしまっていたのだが妻にも優しく接してあげれなかった後悔が胸を熱くする。 のほほんじゃない家庭だけど、みんなが自分の生き方を見つけ、他人からみると幸せじゃないけどそれでも、強く生きるそんな感じの印象。

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