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タンノイのエジンバラ の商品レビュー

3.9

51件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    11

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2011/03/05

うまいしおもしろい。 長嶋有という作者は強烈なインパクトのある話を書くわけではないけれど、なんかあの作家すきなんだよね、と私の頭に必ず浮かぶ。 この短篇集はそんな作者の長所が盛り込まれている。 まず、説明が少ないところが好き。 情景描写だったり登場人物たちの輪郭からじわ...

うまいしおもしろい。 長嶋有という作者は強烈なインパクトのある話を書くわけではないけれど、なんかあの作家すきなんだよね、と私の頭に必ず浮かぶ。 この短篇集はそんな作者の長所が盛り込まれている。 まず、説明が少ないところが好き。 情景描写だったり登場人物たちの輪郭からじわじわと話の核を攻めてくる。 そして最終的に読者に不明瞭な点を残さない。 2人の姉と引きこもりの弟の奇妙な話を描いた『夜のあぐら』では特に、そう思った。話の組み立て方のうまさが際立っている。 また、人間の描き方がとてもリアルで、急に気が変わったりする。このキャラクターはこういう人だから、とかそういうセセコマシサがない。キャラクタではなく、まぎれもなく人間。 あとは単純に言葉の選び方が好き。 タンノイのエジンバラを題名にもってくるあたり、相当いい。何度も声にだしたし、現物もネットで調べた。誉めすぎか? 幼少時の些細な記憶とか 思い出した。とくに姉、というキーワードが私にはよかったのかな。 長嶋有をみんなに知ってもらいたいと思う反面 だれも知らなくていいとも思う。

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2010/10/12

カバーデザインが素晴らしく、思わずジャケ買いした一冊。本当にこれ素敵。「タンノイのエジンバラ」という、聞き慣れない(音楽好きな人は知っているのだろうけど)奇妙なタイトルにもよく合っていて惚れ惚れする。 長嶋さんの書くお話、私が読んだものは今のところ全て「離婚」というキーワードが入...

カバーデザインが素晴らしく、思わずジャケ買いした一冊。本当にこれ素敵。「タンノイのエジンバラ」という、聞き慣れない(音楽好きな人は知っているのだろうけど)奇妙なタイトルにもよく合っていて惚れ惚れする。 長嶋さんの書くお話、私が読んだものは今のところ全て「離婚」というキーワードが入っているのだけど、これは長嶋さんが好んで書くテーマなのだろうか。解説にもあったけど、著者の性を感じさせない長嶋さんの文章が好きだ。

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2010/08/30

やっぱ長嶋有は好きだなーーーと思った 好きだなーーー。 エジンバラもスペインに行くやつも、金庫盗むやつもパチンコ屋で働いてるやつも。 すきだなー

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2010/03/21

何がどう面白いか、とても説明が難しいのですが、何かとっても腑に落ちるというか、満足な読後感がある。これは何だ。 私は表題作よりも、「夜のあぐら」と「三十歳」が好きなのだけれど、共感までいかないけど、登場人物が微妙に生きる速度がゆっくり、なのがいいのかも知れない。自分はとてもセカ...

何がどう面白いか、とても説明が難しいのですが、何かとっても腑に落ちるというか、満足な読後感がある。これは何だ。 私は表題作よりも、「夜のあぐら」と「三十歳」が好きなのだけれど、共感までいかないけど、登場人物が微妙に生きる速度がゆっくり、なのがいいのかも知れない。自分はとてもセカセカしてしまっているので、なんか落ち着く。 純文学系はパワーを持ってかれるので、忙しい最近は意図的に読むのを回避していましたが、この人のは面白いかも知れない。ちょっと他も読んでみよう。

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2010/01/12

表題作を含む4つの短編集。 長嶋有の小説は好きなのだが、どこがどういう風に、とレビューとして書くのは、いつも難しい。 何か大きな事件が起きる訳でもなく、何かを暗示するような象徴的な出来事がある訳でもなく、その登場人物たちの日常に起きたちょっとした事(このちょっとした事というの...

表題作を含む4つの短編集。 長嶋有の小説は好きなのだが、どこがどういう風に、とレビューとして書くのは、いつも難しい。 何か大きな事件が起きる訳でもなく、何かを暗示するような象徴的な出来事がある訳でもなく、その登場人物たちの日常に起きたちょっとした事(このちょっとした事というのが重要なのだが)が丹念に描かれているように思う。 私が一番好きなのは、『三十歳』という話。 上司との不倫で、勤めていたピアノ教室を辞めた秋子は、せまい部屋にグランドピアノを置いている。そして働き始めたのはパチンコ屋の景品係。そこで年下の安藤という男と親しくなっていく。 この秋子の激昂するでもない、淡々とした感情が、不思議とリアリティがあるように思う。

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2009/12/23

表題作/夜のあぐら/バルセロナの印象/三十歳、の四篇。 路傍に潜む心の引っ掛かりは、あるものとして、在り続ける。「どこか」を、目を開いたまま無意識に渇望する常態。 かすめるのは、漫画について思わず判を押したように反応してしまう世代感だったり、聞きなれない電化製品のネーミングとの距...

表題作/夜のあぐら/バルセロナの印象/三十歳、の四篇。 路傍に潜む心の引っ掛かりは、あるものとして、在り続ける。「どこか」を、目を開いたまま無意識に渇望する常態。 かすめるのは、漫画について思わず判を押したように反応してしまう世代感だったり、聞きなれない電化製品のネーミングとの距離感だったり、何かを発する人や土地と居場所へ腑に落ちるまでの時間だったり、人の少しだけずれた行動に気がついた時のひそやかさが逆に安定させる高揚だったり。 やっぱり好きだなぁ、長嶋さんの文章。描かれた佇まいがふんわり浮かぶ。それはきっと人それぞれで。さらりとしてるのに切実。零れ落ちるものたちの、容赦なさと優しさ。呆然と泰然と、どこか持て余している生理。その生々しさに驚かされます。

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2009/10/12

性別も年齢も超えて、何にだってなれる作家、長嶋有。静かなんだけど、静かだからこそ、ガーッて心が大きく揺れるときの表現は、もう読んでてヒリヒリ響いてくる。

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2009/10/04

再読...。のはず 表題作には記憶がありましたが、他の3編には全く記憶がない!これにびっくり! でも、なかなか良かった。特に真ん中の2編「夜のあぐら」「バルセロナの印象」が好き。「バルセロナ〜」は行った後に読んだので、作品に対する印象も変わった気がする。街の描写にとても親しみがも...

再読...。のはず 表題作には記憶がありましたが、他の3編には全く記憶がない!これにびっくり! でも、なかなか良かった。特に真ん中の2編「夜のあぐら」「バルセロナの印象」が好き。「バルセロナ〜」は行った後に読んだので、作品に対する印象も変わった気がする。街の描写にとても親しみがもてた。そうそう!みたいな。話もおしづけがましくない素敵なお話だった。こういう風に、その時の経験値によって、本に対する印象って変わるから、読書っておもしろいな〜と思いました!

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2009/10/07

これまだ2冊目の短編集なんだ、すでに、たとえば固有名詞の使い方が絶妙。「バルセロナの印象」の主人公は、ガウディの死後も建設の続いているサグラダ・ファミリア教会について「山田康夫の死後も物まね芸人を使って放映を続けるルパン三世のようなものかと思う」なんて言ったりする。主人公の興味や...

これまだ2冊目の短編集なんだ、すでに、たとえば固有名詞の使い方が絶妙。「バルセロナの印象」の主人公は、ガウディの死後も建設の続いているサグラダ・ファミリア教会について「山田康夫の死後も物まね芸人を使って放映を続けるルパン三世のようなものかと思う」なんて言ったりする。主人公の興味やいい加減さなんてのがこれ一発で伝わってしまう。表題作、SPEEDとかアムロとか固有名詞先に振っておいて、みごとなラストにつながっていく。

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2009/10/04

『三十歳』がいちばん好き。トランスワールドは実在するのかどうか気になってしまった。著者とは年代が近いので、様々な固有名詞がツボに入る。「今の若い人達はSMAPの森くんとか知らないだろうなぁ」などと考えては悦に入ってみたりする。

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