1,800円以上の注文で送料無料

タンノイのエジンバラ の商品レビュー

3.9

51件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/10/30

「夜のあぐら」の中に”定見が無い”という言葉が出てきます。なるほど、どの作品の主人公も定見が無く、周りに流されていく人々です。同じように”定見が無い”人を良く描く作家として川上弘美さんが居ます。 しかし、この二人の雰囲気は随分違います。川上さんの主人公達は行く先不明のボートに乗...

「夜のあぐら」の中に”定見が無い”という言葉が出てきます。なるほど、どの作品の主人公も定見が無く、周りに流されていく人々です。同じように”定見が無い”人を良く描く作家として川上弘美さんが居ます。 しかし、この二人の雰囲気は随分違います。川上さんの主人公達は行く先不明のボートに乗っているものの、周りはゆったりとした流れで、波に揺られて暖かくて居心地はなかなか良さそうです。一方、長嶋さんの主人公は、周りの岩にゴツゴツぶつかりながら流されています。なんだか迷惑そうなのですが、かといって必死に抵抗をすることも無く流されているようです。 どうも、川上さんの世界の方が好きですね。 ただ、この長嶋さんも悪くない。もう少し読んで見ましょうかね。

Posted byブクログ

2017/10/29

同じ団地の隣家に住む風変わりな女の子の世話を押しつけられた男と彼女との、ひと晩の交感を描いた「タンノイのエジンバラ」。3人姉弟と義理の母親との確執を描いた「夜のあぐら」。半年前に結婚した主人公と妻、半年前に離婚した主人公の姉の3人組によるバルセロナ観光の物語「バルセロナの印象」。...

同じ団地の隣家に住む風変わりな女の子の世話を押しつけられた男と彼女との、ひと晩の交感を描いた「タンノイのエジンバラ」。3人姉弟と義理の母親との確執を描いた「夜のあぐら」。半年前に結婚した主人公と妻、半年前に離婚した主人公の姉の3人組によるバルセロナ観光の物語「バルセロナの印象」。そして、パチンコ屋の景品係としてアルバイトをする主人公女性のバイト仲間との日常にスポットを当てた「三十歳」。現代家族と個人の関係のありようが、長嶋有ならではの独特の視点と状況設定によって描かれる。 作者の筆が描き出すのは、失業中の男と少女の束の間の疑似家族的な関係であり、普段は疎遠の姉弟が目的を達成するためにいっとき結束することから始まるドラマであり、海外という逃げ場のない空間での肉親者同士の緊張関係であり、著者自身の年齢にも重なる30歳という微妙な年齢に達した女性の内面の物語である。

Posted byブクログ

2017/01/08

個人的長嶋さんブーム再来の三冊目。 表題作は読んだことあるようなきがしたんだけど、他のはたぶん読んだことない……。 タイトルのつけ方が本当にすごいと思う。 「タンノイのエジンバラ」なんて、私にはまったくなんのことかわからなかったもん。 「そこ? それをタイトルにしてしまうの?」...

個人的長嶋さんブーム再来の三冊目。 表題作は読んだことあるようなきがしたんだけど、他のはたぶん読んだことない……。 タイトルのつけ方が本当にすごいと思う。 「タンノイのエジンバラ」なんて、私にはまったくなんのことかわからなかったもん。 「そこ? それをタイトルにしてしまうの?」と思った。 他の話もすべて、タイトルから話が全然想像出来ないし。 話としてはどれも、特に何か大きな事件が起こるわけでもなく、淡々としているんだけど。 でも淡々とした話をおもしろく書ける才能ってすごい。

Posted byブクログ

2017/01/04

ちょっとダメでうまく世の中に居場所を見つけられない人たちがゆらゆらたゆたう日常物語。なんでもない、何も起こらない日々だというのになんでこうも惹きつけられてしまうのか。 言葉運びと感情の切り取り方に不思議と引き込まれます。ちぐはぐでいびつでだからこそおかしみがこみ上げるような日々。

Posted byブクログ

2016/11/23

4篇とも30歳前後の、人生というマラソンで集団から遅れていて、尚且つその状況を諦めの境地で受け入れている様子の人物が主人公になっている。とても共感できた。この作家は子どもから大人、女から男まで年齢性別を問わず「生身の人間」を描き出すのが本当に上手くて感心してしまう。文字を読んでい...

4篇とも30歳前後の、人生というマラソンで集団から遅れていて、尚且つその状況を諦めの境地で受け入れている様子の人物が主人公になっている。とても共感できた。この作家は子どもから大人、女から男まで年齢性別を問わず「生身の人間」を描き出すのが本当に上手くて感心してしまう。文字を読んでいるだけで、人物像が確かな肉体を持って浮かび上がるような感じがする。特にその人の歩んできた歴史がありありと感じられるのがすごいと思う。 どの話も面白くて順位をつけるのは難しい。似たような主人公を設定しながら、それぞれ違う味わいがある。けれど強いて言えば『三十歳』が一番好きだろうか。人生における一歩を踏み出す物語がなんだかんだでとても好きなのだが、最も明確に前に一歩進んだのはこの話ではないだろうか。どこか自分のことも他人事のようだった彼女が、最後に思いっきり泣くことができてよかった。

Posted byブクログ

2015/12/15

短編集、どれもたいへんよろしく、読んでるうちはそれが一番おもしろいと思ってたのに、最終的にはぜんぶおもしろい。 自由気ままに生きているような人をたくさんかいておいて、「なんでもかんでも自分の意志で選んで生きてこられたわけがないでしょう」って言うの、お前がゆうなやって怒りたくなるく...

短編集、どれもたいへんよろしく、読んでるうちはそれが一番おもしろいと思ってたのに、最終的にはぜんぶおもしろい。 自由気ままに生きているような人をたくさんかいておいて、「なんでもかんでも自分の意志で選んで生きてこられたわけがないでしょう」って言うの、お前がゆうなやって怒りたくなるくらい大事な一冊になった。

Posted byブクログ

2014/11/18

出来事が地味なわけではないのに、静かな印象を与えてくる。 夜のあぐらと三十歳が特に好き。主人公たちが一見淡々としているような語りに読めたせいもあり、ラストの秋子が叫び、泣くシーンはとても胸を突いた。夜のあぐらだと弟が格好良かったのと、姉が金庫を盗めず泣くところにグッときた。 鈍感...

出来事が地味なわけではないのに、静かな印象を与えてくる。 夜のあぐらと三十歳が特に好き。主人公たちが一見淡々としているような語りに読めたせいもあり、ラストの秋子が叫び、泣くシーンはとても胸を突いた。夜のあぐらだと弟が格好良かったのと、姉が金庫を盗めず泣くところにグッときた。 鈍感な主人公、ミネラルウォーターくらいしか入っていない冷蔵庫、など共通している部分がままあったがわざとだろうか。

Posted byブクログ

2014/08/29

【本の内容】 隣家の女の子を押しつけられたり、実家の金庫を盗みに行くはめになったり。 人生には、そんな日がめぐってくるのだ。 話題の芥川賞作家、待望の最新短篇集。 [ 目次 ] [ POP ] 長嶋有さんと川上弘美さんは似ている(もちろん作風がですよ。外見は似ていない)...

【本の内容】 隣家の女の子を押しつけられたり、実家の金庫を盗みに行くはめになったり。 人生には、そんな日がめぐってくるのだ。 話題の芥川賞作家、待望の最新短篇集。 [ 目次 ] [ POP ] 長嶋有さんと川上弘美さんは似ている(もちろん作風がですよ。外見は似ていない)。 と、思う。 ご賛同いただけるでしょうか。 以前川上さんの小説が「俳味がある」と表現されているのを目にした覚えがあるのだが、言い得て妙だわと膝を打った覚えがある(長嶋さんも川上さんも俳句を詠まれるとのことだし)。 解説に「長嶋本のなかでもっともいい」と書かれた本書だが、私もすごく主人公たちに共感した。 彼らの“いろんなことが割とどうでもいい”性格というのが、他人事と思えなかったからだ。 今でこそ、結婚して3人の子の母となり、普段そんな気持ちは無意識に押さえ込まれているわけだが、もしも自分ひとりだったら楽な方へ楽な方へ流れていってしまいたいという誘惑に勝てないような気がする(それが結局はのっぴきならない状況へ追い込まれる結果になったとしても)。 実際にはそうはしません。 しませんが、小説で読むのはオッケーですよね。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ

2014/07/10

二冊目の長嶋有。短編集。 文体の柔らかさに、男性作家だと分かっていても時折性別を錯覚してしまいそうになる。 淡々とした日常の一部を切り取った作品が多い中、「夜のあぐら」は他の作品と少し毛色が違ってコミカル。でもこの作品の家族にはちょっとついていけず、特に姉の振る舞いには読みながら...

二冊目の長嶋有。短編集。 文体の柔らかさに、男性作家だと分かっていても時折性別を錯覚してしまいそうになる。 淡々とした日常の一部を切り取った作品が多い中、「夜のあぐら」は他の作品と少し毛色が違ってコミカル。でもこの作品の家族にはちょっとついていけず、特に姉の振る舞いには読みながらいらいらさせられた。 好きなのは「タンノイのエジンバラ」と「三十歳」。

Posted byブクログ

2014/03/20

短篇集。 どうも文章が頭に入ってこない。 職安通いをしている主人公(男)が、隣家の女に押し付けられた娘の世話をする一日を描いた表題作がいちばんわかりやすかった。 正統派な純文学なのだろう、こう波長が見事に合わない感。 好きな人は好きなのね、という感じだった。

Posted byブクログ