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恥辱 の商品レビュー

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68件のお客様レビュー

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2013/05/20

主人公のじじいが最初からかなりキモくて、やってることは買春だったり強姦だったりするのに「やれやれ」「おやおや」みたいなテンションを保つので混乱する。大物ポエマーで、妄想ひとつをとってもくどいしキモい。キモい。とにかくキモい。主人公の存在自体が盛大な皮肉で、あとあと受ける辱めこそが...

主人公のじじいが最初からかなりキモくて、やってることは買春だったり強姦だったりするのに「やれやれ」「おやおや」みたいなテンションを保つので混乱する。大物ポエマーで、妄想ひとつをとってもくどいしキモい。キモい。とにかくキモい。主人公の存在自体が盛大な皮肉で、あとあと受ける辱めこそが核なんだろうと思っていたのに、主人公ずっと楽しそう…。

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2013/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大学教授の転落とそれからの生活を通じて、人間の尊厳について問いかける作品なんだと思います。 この作品が特に意味を持つのは、解放直後の南アフリカを舞台としていて、人種の間、文化の間、都市と田舎の間、あとたぶん現実社会と抽象的な世界の間とか男と女の間とか、ごまかし切れない差異を描いていることなんだと思うんですが・・・ ちゃんと理解しうるまでの教養・・・以上に空気が分からないから、正直良くわからんというのが感想。 人生経験をもっと積んだら良くわかるようになるのかなと。 読んで清々しくなったり楽しくなったりする類の本ではないですけど、 時代に対する何かしらの答え的なものは見つかるのかも。 イギリスのブッカー賞受賞作品だそうです。

Posted byブクログ

2013/04/07

主人公は元大学教授。盛を過ぎたことを認められない男のはなし…と思ってたら、これは、ひとの感じるすべての傷みを書いてあるのではと思った。感情は揺さぶられる、静かにだけど。

Posted byブクログ

2013/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

たんに、転落していく初老の男の物語、なのではなく、簒奪された者たちの物語。それを受け入れる者と、受け入れない者。さらには、語ろうとしない者や語ることができない者たち(女子学生や殺処分される犬たち)にまで著者のまなざしは広がっている。 [以下ネタバレの内容を含みます] 主人公である大学教授デヴィッド・ラウリーは教え子メラニーと関係を持つが、彼女によってセクハラで訴えられ教職を追われる。そのさいの査問においてはメラニーとの対話はいっさい閉ざされていて、どのような経緯から訴えるにいたったのかを知ろうとしても謎のままである。スキャンダルにまみれ地位も名誉も失うという恥辱。しかしデヴィッドは(女子学生に)恥辱を与えた側でもあり、すすんでその恥辱をえらび、まるで破滅したいようにすら見える。 その後、農園暮らしをする娘(ルーシー)のもとに滞在するが、そこでデヴィッドは、今度は地位や名誉ではなく財産や肉体を損なうこととなる。理不尽かつ暴力的な簒奪によって。ただし彼はこの「ふたたびの恥辱」については受け入れることができない。 そして娘に安全な地への移住を望む父の意に反して、ルーシーは、その地で生きていくために、その不条理さや恥辱を受け入れていこうとする。その地を去ることの敗北感や恥辱よりも、この状況を受け入れることを選ぶのだ。ルーシーの隣人であり防人である農夫ペトラスは、つねにデヴィッドの問いかけに対してまったく答えなかったり、不可解きわまりない返答を繰り返し(カフカを否が応でも想起させる)、彼を混乱させる。父子の考え方と態度は決裂しあったままである。 「愛情は育つものよ。その点は、母なる自然を信じていい。きっと良い母親になってみせるわ、デヴィッド。良き母、善き人に。あなたも善き人を目指すべきね」「遅きに失したようだな。わたしはもはや年季をつとめる老いた囚人だ。だが、きみは前に進みなさい」 そのたどり着くところは受容する側の強さなのか、愛なのか。序章から晴れぬままの靄はその色合いを変えつつも去ることなく終末を迎える。 南アフリカの現在とはこのようなものなのだという説得力もさることながら、バイロンに着想を得た作中劇などの詩的なしかけによって、「いまここで」に限定されることのない、失われていく者たちの普遍的な物語が見事に表現されている。

Posted byブクログ

2013/01/19

肌の色の記述を避けるのは、南アでの検閲を逃れるためとあとで知ったが、それがクッツェーの作品の魅力を引き出しているとも言える。人間の営みにはカフカ的なものが隠されている。

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2012/08/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あまり共感できない。 ノーベル賞を取るだけの作品だろうか? ただ一つ思うのは、これは転落を描いた作品ではないということ。 文学を愛する、文学的に生きる自己本位な彼にとって、内なる情熱は肯定されるべきものであり、転落は創造の糧である。恥辱に耐えることは、彼なりのロジックに置き換えられ昇華される。 センターだったら不正解な解釈だとは思うが。 とりあえず物足りない。

Posted byブクログ

2014/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

利己的過ぎる主人公。自分中の鑑。でも彼が賢いからこそそのような性格や思考やらが作られたのだと思います。特に分析力がすごい。人の気持ちを自分なりに探り、分析できる冷静さは類稀なるものだなぁと感心していました。まぁその冷静さを持ってしても欲望には逆らえないんですよね。 彼は自分の欲望によって道なき道を手探りで進むことになります。恥辱に溢れた人生を切り開いてしまったわけです。でもそんな井戸の底のように(客観的にいって)惨めな生き方の中で彼の考え方が変わっていったり、大切なものを見つけることができたりと獲得するものはあるんですね。ただ、獲得しただけであって、それを彼はどうすることもできないと悟っている。この、もどかしくもありながら、しっかりと状況を受容していく彼の態度が浅はかなものでなくてとても良いです。 後、レズビアンの娘が男に犯されるシーン。あれがすごく悲しかった。強い彼女の弱さが見えてすごく痛々しかった。この作品に引き込まれて眠さも忘れ、夜通し、読み耽っている自分がいました。大学生の特権ですね。すみませんでした。

Posted byブクログ

2012/05/07

恐ろしい話だと思った。 同時に、誰にでもありえる話だと思った。 ただ、個人的には「転落」という言葉がしっくりこない。 「しぶとい」の方がしっくりくる。 「犬」というモティーフが何度も出てくるように。 犬畜生として生きるのは転落なのかな? 私にはそう思えない。 ただの根源的な...

恐ろしい話だと思った。 同時に、誰にでもありえる話だと思った。 ただ、個人的には「転落」という言葉がしっくりこない。 「しぶとい」の方がしっくりくる。 「犬」というモティーフが何度も出てくるように。 犬畜生として生きるのは転落なのかな? 私にはそう思えない。 ただの根源的な生命力を感じた。 なので転落とは思えない。 それに彼らはあまりに人間的すぎる。 頑固でより自分を正しいと思い「相手」を変えたいと思いすぎる。 主人公の変化は終盤の終盤に明かされ、そこで終わる。 なのでただの人間そのもの、畜生のお話です。 だから面白かった。

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2012/04/12

当たり前な感想だけれど、人間を描いた作品だと思う。 変わりたくない人間が変わりゆく状況によって徐々に変わる様には悲哀を感じる。運命なんて大それたものじゃなくても、人間は周囲の変化に影響を受け、翻弄されるわけだ。 深く味わうこともできるだろうけど、浅く読んでも十分面白い。 時を...

当たり前な感想だけれど、人間を描いた作品だと思う。 変わりたくない人間が変わりゆく状況によって徐々に変わる様には悲哀を感じる。運命なんて大それたものじゃなくても、人間は周囲の変化に影響を受け、翻弄されるわけだ。 深く味わうこともできるだろうけど、浅く読んでも十分面白い。 時を経て読み返したいと思える。 翻訳については、好みが分かれる気がする。 鴻巣氏があとがきに記すように原文は「淡々と」しているし、それにあわせてあっさり訳そうとしているのも伝わってくる。ただ体言止めが多かったり、代名詞のheを「彼」とするのにこだわっていたり、普通なら過去形で訳すところを終始現在形で訳しているところなどは、訳の個性が前面に出ている。人によっては「これは翻訳小説なのだ」と意識してしまうかもしれない。 確かに、クッツェーが日本人だった場合、こうした文体を駆使することも否定できないが、彼自身の飾らない簡潔な文体から、それは想像できない。 ちなみに個人的には嫌いではない。 特に主人公ラウリー教授の台詞・言い回し方などは、さもあらんと思わされる。

Posted byブクログ

2012/03/11

途中、苦しい、と思う。 そして、苦しくても最後まで読み続けなければ、読み続けたい、と強く思う。 救いがないというのでは、ない。 むしろ読了した私の中に残るのは、微かだが確かな希望だ。 主人公デヴィッドが当初感じていたような希望とは違うはずのものだが。 この小説に終始引きずり込...

途中、苦しい、と思う。 そして、苦しくても最後まで読み続けなければ、読み続けたい、と強く思う。 救いがないというのでは、ない。 むしろ読了した私の中に残るのは、微かだが確かな希望だ。 主人公デヴィッドが当初感じていたような希望とは違うはずのものだが。 この小説に終始引きずり込まれた自分は、幸せだ。

Posted byブクログ