アンダーグラウンド の商品レビュー
とにかく読むのに時間がかかったが素直に読んでよかったと思えた。 僕はいま23歳である。 地下鉄サリン事件の時にはまだ小学生になっていなくこのころの記憶はほとんどない。(阪神大震災もそれなりに揺れた地域に住んでいるがそれもあまり記憶がない。) 昨年にオウムの二人が逮捕され、オウ...
とにかく読むのに時間がかかったが素直に読んでよかったと思えた。 僕はいま23歳である。 地下鉄サリン事件の時にはまだ小学生になっていなくこのころの記憶はほとんどない。(阪神大震災もそれなりに揺れた地域に住んでいるがそれもあまり記憶がない。) 昨年にオウムの二人が逮捕され、オウムとは何か、地下鉄サリンとはなにかというものが気になっていた。 オウムがなにかというのは正直よくわからない。当時の熱狂(?)などは全然記憶がなくよくわからない。 しかし、今回この本で地下鉄サリン事件というものはなにがあり、人々はなにをみてどう行動し何を感じ何を考えたのかは体験することができた。 このような本がかけたのはやはり村上春樹でないとかけなかったであろう。名前が抜群に通る著名人だからこそこれが書けたのだろう。 この仕事をしてくれた村上春樹氏を本当に尊敬する。
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地下鉄サリン事件被害者の悲痛な叫びだけで構成されているわけではなく、それぞれの人の物語が丁寧に描かれている。改めて恐ろしい事件だと感じた。
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1Q84を BOOK3まで読了したが、消化不良の部分があり、BOOK4の発売を待つのもあれだから、とりあえずかかわりが深いとされるこの本を手にとってみた。地下鉄サリン事件については当時小学生だったため、テレビのニュース番組を通して地下鉄の入口から出てくる人たちの映像と、麻原彰晃の...
1Q84を BOOK3まで読了したが、消化不良の部分があり、BOOK4の発売を待つのもあれだから、とりあえずかかわりが深いとされるこの本を手にとってみた。地下鉄サリン事件については当時小学生だったため、テレビのニュース番組を通して地下鉄の入口から出てくる人たちの映像と、麻原彰晃のテーマソング?「しょうこーしょうこーしょうこしょこー」的な歌、そして今年の6月に最後のオウム逃亡者高橋が逮捕されたというくらいしか知らない。自分がいきている間に起きた大事件でありながら、自分はあまりにもその事件について知らなすぎるとということは昔から感じていた。そういったことも本書を読むきっかけとなった。なので僕が知りたかったのは ・オウム真理教はなぜ無差別殺人を実行しなければならなかったのか? ・麻原彰晃とはどのような人物なのか? ・教団幹部や信者はどういった契機で入信したのか? ・教団内部の実態はどのようなものなのか? ・報道と実態の差異はどの程度のものなのか だ。この本はこれらの問に答えてくれるものではない。しかし上のいくつかの問に答えてくれるのがこの本と対に成っている「約束の場所で」らしいので、とりあえず先に手にとったこの本を読んでみることにした。内容は地下鉄に乗車してサリンの被害を受けた人たちのインタビュー。何人かのインタビューを掻い摘んで読んでみた。その何人かの人はどの人もみな充実した日々を送っていて、日常生活を送っているとき突如この事件に合った。そして事件後後遺症が出る人もいればでない人もいる。そしてその後遺症のせいで会社をやめなくてはならなくなった人もいるようだ。そして多くの人がオウムそのものに付いては多くを語らない。事件がどうであったかということは鮮明にイメージできるのだが、オウムそのものについてはまったく存在が浮かび上がってこない。だから、やはりこの人達は不運だったんだと思う。ただただ不運なのだ。たとえ、原発の放射能を浴びてしまうことと大差ない。社会の中で生まれた歪に出くわしてしまったのだ。それが既得権益を貪る者たちによって引き起こされたものであれ、オウム真理教によって引き起こされたものであれ、一般の人々にしてみれば、同じことなのである。よく原発の放射能と交通事故が比較に出されるが、まさにそれと同じで、結局一般の人は何かしらの被害に合うのだ。それがたまたま一般の人々の中のごく一部の不運な人のもとに降りかかってしまう。原発は止められただろうか?オウムは止められただろうか?人身事故のない社会はありえただろうか?たぶんこの事件が起きることになってしまったことも必然なんじゃないだろうか。と思いました。
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村上春樹さんによる地下鉄サリン事件被害者(又はその家族)へのインタビュー集です。 事件前後における一人一人の物語が、1冊の本になることで人によって事実や感じ方の記憶が同じ部分、異なる部分があることが分かったり、それがその人にとっての事実であるんだなと感じしました。 あなたは誰か(何か)に対して自我の一定の部分を差し出し、その代価としての「物語」を受け取ってはいないだろうか?私たちは何らかの制度=システムに対して、人格の一部を預けてしまってはいないだろうか?もしそうだとしたら、その制度はいつかあなたに向かって何らかの「狂気」を要求しないだろうか?あなたの「自立的パワープロセス」は正しい内的合意点に達しているだろうか?あなたが今持っている物語は、本当にあなたの物語なのだろうか?あなたの見ている夢は本当にあなたの夢なのだろうか?それはいつかとんでもない悪夢に転換していくかもしれない誰か別の人間の夢ではないのか?(P705) 私は何故か知らないけど、インタビュー冒頭の生い立ち等が書かれている部分を読むのが好きでした。 しかし「自分の置かれている立場は、好むと好まざるとにかかわらず、発生的にある種の傲慢さを含んでいるものなのだ」という基本認識をより明確に持つべきだったと、今では反省してる(P713)。
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2ヶ月かけて(年を越しました)大切に読んだ本。地下鉄サリン事件の被害者にインタビューした素材を「村上春樹」という媒体が記録したという言い方が著者の意にも沿っていると思います。 事件が起きた3月20日は僕の6歳の誕生日でした。当時はテレビに釘付けだったのを覚えています。東京のど真ん...
2ヶ月かけて(年を越しました)大切に読んだ本。地下鉄サリン事件の被害者にインタビューした素材を「村上春樹」という媒体が記録したという言い方が著者の意にも沿っていると思います。 事件が起きた3月20日は僕の6歳の誕生日でした。当時はテレビに釘付けだったのを覚えています。東京のど真ん中でなにがあったのか、本書に書かれた記憶は当時の誕生日を立体的に蘇らせてくれます。
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1995年3月20日に東京の営団地下鉄で、オウム真理教が起こした無差別殺人テロ「地下鉄サリン事件」の被害者へ、村上春樹がインタビューし、その内容をまとめたもの。 インタビュー対象者は約60人。事件時は重症で殆ど記憶がない方や軽傷で救護援助に参加した方など、色んな方がいます。 読んでみて印象に残ったのは、「オウム、絶対に許さない」という主観的恨み節はあまり無く、むしろ「何故あんな事件が起こってしまったのか、起こさないようにするためにはどうするべきだったのか」と客観的に考えているインタビュイーが多かったこと。
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読むのがつらかった。こわかった。 オウムを許さない、という気持ちと、 被害にあわれた方の心身の回復を祈る気持ち。 まずそれが第一。 それから私が感じたことは、 自分がもしその場にいたらどんな行動をとっただろうか、ということ。 死にかけているひとを、懸命に助けようとしたひとが...
読むのがつらかった。こわかった。 オウムを許さない、という気持ちと、 被害にあわれた方の心身の回復を祈る気持ち。 まずそれが第一。 それから私が感じたことは、 自分がもしその場にいたらどんな行動をとっただろうか、ということ。 死にかけているひとを、懸命に助けようとしたひとがいる。 駅がざわついているのを横目に、「なにかあったのかな」と素通りしていったひともいる。 どちらもわかる。 情報がなくて、被害者を助けようとして服にしみこんだサリンを吸って、 自分も被害にあったひと。 情報がなくて、大事な会議のために急いで会社に向かったひと。 だれも責められない。 だれも不適切なことをしていないと思う。 非常ベルが鳴って電車が止まったとき、 せきこみながらすばやく逃げたひとがいる。 なにかあったのかな、まぁすぐ動くだろう、 ところでさっきからせきがでるなぁ、かぜひいたかな、と思いながら、 電車内で読書を続けたひとがいる。 本当に、どちらもわかる。 私は、どうしただろう? オウムを死ぬほど憎む被害者がいる。 理解できないせいかなんの感情もわかないという被害者もいる。 私はなにができるだろう。
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地下鉄サリン事件の被害者の方々にに村上春樹がインタビューをして纏めた作品。この場で語りたい人、と公にせずに製作者側から細い糸を辿るようにして60名余の被害者の方々にお願いしたという部分がこの作品のカラーを大きく決定付けていると思う。 私は事件当時小学五年生だったので正直あんまり...
地下鉄サリン事件の被害者の方々にに村上春樹がインタビューをして纏めた作品。この場で語りたい人、と公にせずに製作者側から細い糸を辿るようにして60名余の被害者の方々にお願いしたという部分がこの作品のカラーを大きく決定付けていると思う。 私は事件当時小学五年生だったので正直あんまり記憶がないのだけど、(前後の都庁爆破事件、松本サリン事件、村井刺殺事件など関連の事件が多くて混濁しているのかもしれない)やはり3月が来るたびに思い出す事件ではある。 テレビでは家族を失った人や重い障害が残ってしまった人の話をよく見るが、この作品は症状の軽い重いに関わらず、その時車内や駅で何が起きて何を感じたかということを語ってもらっている。 私の単純なイメージでサリンの入った袋が傘で突かれたのをきっかけに爆発的なパニックになったのだろうと思っていたけれど、そうではなく、30分や1時間という長い時間をかけてどんどん混乱していく現場の生々しさの語りには鳥肌の立つものがある。 テレビの報道で無臭だといっていたのでそう思っていたけれど、本書のインタビューに答えておられた方々の殆どは甘いにおい、動物の死体のようなにおい、シンナーのようなにおい……など表現はばらばらだけれどもなんらかの異常なにおいを感じ取っていたというのも意外な情報だった。(中には職業柄サリン製造に使われた成分のひとつを言い当てていた方もいた)2段組700ページ弱のこの本は、こういう細部の意外性に満ちている。 大局的に捕らえることも大切だけど細部を受け継ぐのことも大切だと思う。細部を無視しては深く考えることなど出来ないのではないかといつも(私の)ショックの大きい事件が起きたときに思う。
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この本は小説ではなく、オウム真理教による無差別テロ地下鉄サリン事件の被害者62人に対する、村上春樹氏のインタビュー集だ。 1995年3月20日。東京の地下を網の目のように走る何本もの地下鉄でおこった事件。それは、最新化学兵器とでもいうべき猛毒サリンを地下鉄車内に放置するという前...
この本は小説ではなく、オウム真理教による無差別テロ地下鉄サリン事件の被害者62人に対する、村上春樹氏のインタビュー集だ。 1995年3月20日。東京の地下を網の目のように走る何本もの地下鉄でおこった事件。それは、最新化学兵器とでもいうべき猛毒サリンを地下鉄車内に放置するという前代未聞の無差別テロだった。地下鉄に乗り合わせた一般市民が犠牲となった。その遭遇した人々からの生の証言が、ありのまま載せられていた。 数多い生々しい証言から、わけのわからなかった事件のあらましが浮き彫りにされていた。誰が被害者になってもおかしくない無差別テロ。日常茶飯事、都民の足として使われている地下鉄の中で、テロが起こるとは誰が想像しただろう。そう、事件は一つ間違えれば私も被害者になっていたかもしれないほど、身近なところでおこったのだ。いつどこで起こるか分からないテロの恐怖を思い知った。 最近その事件に関与した最後の逃亡者が捕まった。否応なしに、17年前の地下鉄サリン事件のニュース映像が映し出され、当時のことを思い出した。私の記憶の中には忘れられない一枚の写真がある。宇宙服を思わせるような、頭からすっぽりとかぶった防護服姿でサリンに犯された車内を洗浄する自衛隊員が写っている写真。これは、自衛隊の中でも特別な、化学兵器に対処する部隊・化学防護隊の隊員だった。最近では東海村JCO臨界事故で出動もしているが、サリン事件が初出動だったと思う。あまり出動して欲しくないこの部隊が出たと言うことは、小銃や拳銃、砲弾の戦争が去ったということだった。「核兵器・化学兵器のボタン一つで終わる戦争」の時代到来。頭ではわかっていたが、遠い未来のことだと考え、のんびりと毎日を過ごしていた私にとってはちょっとショックな映像だった。 このインタビュー集は、見えない敵「猛毒サリン」の襲撃を体験した生き証人たちからの忠告でもある。サリンをばらまいたのはオウム真理教の信者だった。たった一人の教祖のために、数多くの人々が犠牲になり、現在もまだ後遺症に苦しんでいる人々も多いと聞く。「信仰の自由」という日本の法律に守られ野放しにされてきた宗教集団からのとんでもない贈り物だった。自由にも限度があるだろうに…。 二度とこのような事件はおこってはならない。被害者をはじめ、国民はみなそう思っていることだろう。そして、この事件を忘れてはならない。 そういう意味でこの本はとても貴重なインタビュー集なのだ。
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随分前になりますが この本が刊行された時期に一度読了しました。 最近になって 地下鉄サリン事件で指名手配されている犯人が 相次いで逮捕されたことを受け、12歳になる長男が 「地下鉄サリン事件」ってどんなの? と聞いてきたことから、再読。 その朝、地下で、何があったのか。 そ...
随分前になりますが この本が刊行された時期に一度読了しました。 最近になって 地下鉄サリン事件で指名手配されている犯人が 相次いで逮捕されたことを受け、12歳になる長男が 「地下鉄サリン事件」ってどんなの? と聞いてきたことから、再読。 その朝、地下で、何があったのか。 それぞれの人の感じたこと思ったこと、行動が その人の人柄と共に淡々と綴られ、胸に迫ります。 その普通の日常が突然に破られる理不尽さに 底知れぬ恐怖を感じつつ、 この本の力に改めて気づかされました。
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