カラマーゾフの兄弟(2) の商品レビュー
p.217 神は欠かせないといった考えが、中略、頭にしのび込んだという点が、じつに驚くべき所なのさ。 地球について理解できないくらいなら、神のことなんて到底理解できるはずがない p.409 〜人生の充実を自分一人でも味わいたいと願っているからです。ところが、そうしたもろもろの...
p.217 神は欠かせないといった考えが、中略、頭にしのび込んだという点が、じつに驚くべき所なのさ。 地球について理解できないくらいなら、神のことなんて到底理解できるはずがない p.409 〜人生の充実を自分一人でも味わいたいと願っているからです。ところが、そうしたもろもろの努力の結果生まれてくるのは、まぎれもない自己喪失なのです。それというのも、自分の存在をはっきり際立たせてくれる人生の充実のかわりに、完全な孤立におちいっているからです。
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登場人物のキャラクターや魅力も多彩で、セリフがやたら長いところや、心身ともに病的な様子が多く見られる点など、ドストエフスキーらしさがたくさん見受けられる
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イワンとアリョーシャの会話が難しくて頭に入らず、なかなか読むのが苦痛な巻だった。読み方のおススメとしては、とりあえず本編を頑張って読んだ後に亀山さんの後書きを読むこと。普段、後書きや解説は読まないクセがあり、さらにこの長編を読んだ後では早く本を閉じたいと思っていた。だが、後書きで...
イワンとアリョーシャの会話が難しくて頭に入らず、なかなか読むのが苦痛な巻だった。読み方のおススメとしては、とりあえず本編を頑張って読んだ後に亀山さんの後書きを読むこと。普段、後書きや解説は読まないクセがあり、さらにこの長編を読んだ後では早く本を閉じたいと思っていた。だが、後書きで噛み砕いて当時の貨幣価値から宗教的背景まで説明してもらうことで、頭の中にガタガタに構築されていた話の筋を見事に整理してもらえた。
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巻末に付された、訳者による読み方ガイドが秀逸。これがなかったら、途中で挫折してたと思われる。とはいえ、それでも尚、読まされてる感が少なくない。第1部に引き続き、ここでもちょくちょく、宗教論というか宗教史みたいなのが、色んな人の会話の中に盛り沢山。目で追っているうち、思考がどこか他...
巻末に付された、訳者による読み方ガイドが秀逸。これがなかったら、途中で挫折してたと思われる。とはいえ、それでも尚、読まされてる感が少なくない。第1部に引き続き、ここでもちょくちょく、宗教論というか宗教史みたいなのが、色んな人の会話の中に盛り沢山。目で追っているうち、思考がどこか他のところへ飛んでいってしまったり、あるいは寝てしまったり(苦笑)。でもそれを除くと、ただの親子間のいさかいというか、横恋慕というか、そんな物語になってしまうから、本作を孤高たらしめているポイントは、小難しい会話の中にあるんだろうけど。個人的には正直、しんどい気持ちの方が大。
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一巻がまあまあ面白かったのと、本作の評価がすさまじいことから二巻を手に取る。 数日かけて読んだので後半の印象が主になってしまうが、内容のほとんどを宗教の話題が占めていたように感じる。無宗教の私には「大審問官」は画期的な思考とは映らなかったが、これには私の教養不足が原因にあるのかもしれない。 他のレビューによると3巻から一気に面白くなるらしいので、続きを読むのが少し楽しみである。 【他の方の解説を読んで追記、星5に修正】 時代背景や内容の解釈を知ると、この小説の面白さや普遍性、なぜ評価されるのかが分かってきた。この小説のテーマは「自己欺瞞」と言えるのではないか。ミーチャとイワンはヒョードルにネグレクトされたことを許せず、しかしそんな自分を認めたくないため様々な行動に出る。例えば、グルーシェニカを奪おうとすること、大審問官、カテリーナがミーチャと婚約することである。あまり面白くなかった、よくわからなかったという人は、以下のリンクの解説を聞くとこの小説の魅力に気づけるのではないかと思う。 https://www.youtube.com/watch?v=4T3rttOZgGw&t=1685s
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1巻に比べ、人間の本質を突くような内容がちりばめられていて、ぎくりとする。 印象深かったのは、第6編の2-d謎の訪問客 『私はあなたを殺しに来たんですよ。あなたを殺しても、後々その罪を背負うことも考えずに、その時はそんなことも考えずにあなたを殺そうとしました。』結果この人は殺さなかったのだが、殺されそうになった人は大きなわだかまりを持つ。 私もある事件で人が憎くて、人を殺したいと行動しそうになったことがある。本人の前で「それ以上しゃべるな!殺したくなる」と言ったことがあり、「殺せるものなら殺してくれ」と返されたことがある。その時私は思った。「(空白何も考えられなかった後)こいつはずるいやつだ!!わたしの今の苦しみを解消させようとさせながら、後で殺したことを後悔させることで、私を苦しめようとしている。どの道を選んでも、こいつに縛られるんだ!!!その時は殺さなかったが、私が壊れることで、その衝動はなくなった。苦しみからは解放されたが、壊れる前のあの生活はもうできないんだと思うと、何とも言えない空白がよぎる。 自分のような経験は過去の本に書かれており、そんなに珍しい事ではないんだと思わさられ、知らされる。ドストエフスキーに尊敬と共に感謝の気持ちを持った2巻目だった。 また1巻でさらされた多くの伏線が引っかかる点が面白かった。 解説で書いてある、『ファウスト』にも挑戦したいと思った。
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第1巻ではカラマーゾフ家をはじめとする主要な人物をそれぞれに描いていたが、第2巻ではその人物たちの結びつきがより深く描かれている。 なかでもイワンが物語詩をかたる「プロとコントラ」、ゾシマ長老の半生の回顧と説教を繙く「ロシアの修道僧」が表裏一体、相反するテーマをもって絡み合う。 ...
第1巻ではカラマーゾフ家をはじめとする主要な人物をそれぞれに描いていたが、第2巻ではその人物たちの結びつきがより深く描かれている。 なかでもイワンが物語詩をかたる「プロとコントラ」、ゾシマ長老の半生の回顧と説教を繙く「ロシアの修道僧」が表裏一体、相反するテーマをもって絡み合う。 まだ若いイワンの『神は存在しない』という思想と、老いて間もなく死を迎えるゾシマの『神は存在する』という教え。 それぞれ単独の物語といっても差し支えないのに、あくまで長大な物語のなかの一篇にすぎない潮流が、不吉な予兆を孕んで更なる展開を呼ぶ。 イワンとゾシマ長老の考えは全く反対のようだが、実は「人間を信じている」という点では共通するのではないかと思う。 イワンにとっては人間を信じるがゆえに、神の許しなど不要で、不死である必要もなく、教会も天国もまた不要なものなのだろう。人間は人間の力で罪を許し合い和解することができるし、その瞬間を見たいと思っている。 ゾシマ長老にとっては人間を信じるがゆえに、神の存在も、許しも、愛も、世界に満ちていて、人間はみな平等ゆえにそれらを遍く享受できる、その日を迎えることができると信じている。 このふたつの物語が、今後の展開の中にどう影響してくるのか、俄然楽しみになってきている。そしてまた、この作品が文学の最高峰といわれる意味も分かりかけているような気がする。 富めるものと貧しきもの、これから変わっていく、変わらなければならない国、そして不変の価値観について。 明治時期から戦前までの日本の学生が、ことのほかロシア文学を読み込んだ理由も、わかるような気がした。
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ゾシマ長老の衰弱を気にしつつもアリョーシャはカラマーゾフの問題を解決するために奮闘する。カテリーナとグルーシェニカ、ドミートリーの間で生じている生々しい問題はイワンやヒョードルなどの人物をも巻き込み、より複雑怪奇な物語へと導いている。その問題について追究していくうちに我々読者はド...
ゾシマ長老の衰弱を気にしつつもアリョーシャはカラマーゾフの問題を解決するために奮闘する。カテリーナとグルーシェニカ、ドミートリーの間で生じている生々しい問題はイワンやヒョードルなどの人物をも巻き込み、より複雑怪奇な物語へと導いている。その問題について追究していくうちに我々読者はドミートリーの人物像を築き上げている。この第2部の謎めいた箇所といえばやはりイワンの話す大審問官の章。人間の姿として現れたその人に対して大審問官は、あなたが自由を与えたから人々は苦しんだとして批判した。これは聖書を読んでいないと分からないなと思った。そもそもこのカラマーゾフの兄弟を読むにあたって聖書の基礎知識が無ければ理解は不十分に終わる気がした。この物語は宗教面、ロシア情勢、階級社会、金銭面など様々な背景を含んでおり、重層的で多義的な物語であることがこの第2部で分かる。つまり様々な視点で見つめなければならないと感じた。また、第1部では説明的な文章が多く、物語の流れをいまいち掴めなかったが第2部でドミートリーの不穏な動きなどが目立つのを認めると我々読者も少しずつ何かしらの予期が生まれてきたではないだろうか。この予期がどんな形で生まれるのか第3部を読んで確認したい。
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やっと第2巻を読破。2巻から面白くなるという何かを見て期待を込めて読み進めていく。噂に名高い大審問官のところを楽しみにして読んでいったが、なんとなく理解できたような出来ないような。きっと読解力が自分に足りないのだろう、この部分の素晴らしさ、示唆的な所までは理解できなかった。最後の...
やっと第2巻を読破。2巻から面白くなるという何かを見て期待を込めて読み進めていく。噂に名高い大審問官のところを楽しみにして読んでいったが、なんとなく理解できたような出来ないような。きっと読解力が自分に足りないのだろう、この部分の素晴らしさ、示唆的な所までは理解できなかった。最後の長老の言葉も、罪の告白のところまではよかったのだが、そのあとがなんだか難解で、だーっと読み飛ばしてしまった。後に大事な内容だったらどうしよう…とにかく話が進みそうな第3巻にいってみる。
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イワンの懐疑(子どもへの虐待と大審問官)とゾシマ長老の神への信仰。この二つが織りなすコントラストとその間で揺れるアリョーシャ。 それにしても読みやすい。
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