悪人 の商品レビュー
読んだのは2回目。 さすがに、1回目に読んだときほどの衝撃はないけど、色々と胸にくるものがあります。 やり場のない怒り、もどかしさ・・・ 決して誰も悪くない、というわけではないけれど、誰かを責めることもできないというか・・・ 読みごたえのある一冊です。
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長編だったが、続きが気になってあっという間に読んでしまった。ただおもしろいだけではなくしっかり残る作品。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めてこの作者の作品を読んだ。 文の構造に不正確な部分が少し見られたが、表現、描写が簡潔で美しく読みやすいと思った文体だった。 人物全員がざらりとやすりをかけられるような不快な一面を持っている。 主人公は「それくらいで?」と思えるほどあっけなく殺人を犯す。そのくせ母親や恋人に自己犠牲的に愛情を示す。 その恋人は知り合って数日で、しかも肉体関係のみのつながりを根拠に彼と逃避行する。彼女の心理が一番不可解に思える。 被害者と彼女を峠に捨てた大学生は人間の屑みたいに書かれているし、被害者の父親が、そんな娘に育ったことも感じていないのが哀れでならない。 主人公の祖母は子育ても孫育ても失敗している。子供や孫は勝手には悪くならない。養育者はその子を必ず庇護すべきであるのに放置した結果でしかない。「ばあさんは悪くない」にまた違和感があった。 「悪人」を描く筆力に脱帽である。
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しみじみ哀しい話。結局誰かが自分の感情を堪えて我慢することでしか均衡がとれない世界なんだね。お年寄りが苦しむ話はつらい。
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軽く読むつもりだったのにそうはいきませんでした。全く先入観なしに、映画化されていたことも知らずに読みましたが、素晴らしい内容でした。特に祐一くんには泣かされました。短絡的に結論を出すことはできないのだと、改めて思わされました。あと、大嫌いなマスコミの下劣さも。この世からマスコミと...
軽く読むつもりだったのにそうはいきませんでした。全く先入観なしに、映画化されていたことも知らずに読みましたが、素晴らしい内容でした。特に祐一くんには泣かされました。短絡的に結論を出すことはできないのだと、改めて思わされました。あと、大嫌いなマスコミの下劣さも。この世からマスコミとかメディアとかってなくなれば良いと思います。ついでに子金持ちのボンボン二世も。祐一くんに肩入れした結果ですが、タイトルを"悪人"ではなくしてもらえるともう少し救われます。
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何年か前に映画を見て原作は初めて読んだ。 映画を観た時、もうどうしようもなく落ち込んでしまって、胸が切り裂かれる思いがしばらく何日も消えなくて、作り話なのにこんなにも痛みが生々しく心が持っていかれてしまう体験は初めてで、衝撃的だった。 それを覚えているから、原作を読んでいる時は、...
何年か前に映画を見て原作は初めて読んだ。 映画を観た時、もうどうしようもなく落ち込んでしまって、胸が切り裂かれる思いがしばらく何日も消えなくて、作り話なのにこんなにも痛みが生々しく心が持っていかれてしまう体験は初めてで、衝撃的だった。 それを覚えているから、原作を読んでいる時は、なるべく作品に入り込まないように注意しながら読んだ…が、やっぱりダメだった。またも落ち込んでしまった。 そういう意味では、かなり現実逃避のできる本で、そういう意味では、リフレッシュなのかもしれないけど、いかんせん落ちている。 でも読んで良かったと本当に思う。 この作品で唯一救いを挙げるとすれば、ここでの悪人は、自分の中の善を追及した先の最終的な選びようのない結果にすぎない、社会的には悪だけど思想的には善でいられることもあるんだ、と感じることができたことかな。
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私がレビューでさんざん叩いてる吉田さんですが こうやってたまに当ててくるから嫌いになれない! 出会い系サイトで知り合った男女の殺人事件の話 こう書くと簡素だが、人間の感情について深く考えさせられる 人を殺した人間が「悪人」なのか 「悪人」だから人を殺したのか 作者のずば抜け...
私がレビューでさんざん叩いてる吉田さんですが こうやってたまに当ててくるから嫌いになれない! 出会い系サイトで知り合った男女の殺人事件の話 こう書くと簡素だが、人間の感情について深く考えさせられる 人を殺した人間が「悪人」なのか 「悪人」だから人を殺したのか 作者のずば抜けた描写力が如何なく発揮された作品 ハードカバーでも相当分厚い本だけど、 その7割は人物と場面の描写といっても過言ではない 事件に関わるさまざまな人間を一人一人完全に描ききっているのが この作品の最大の良さだと思います まぁ、一人か二人、この人なんだったの?ってのもあったけど とりあえず、一人称をころころ変えるという書き方がうまい ほぼ全てが実在の地名で、セリフはすべて方言 きっと九州の人だったらさらにリアル
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誰が本当の「悪人」なのか 確かそんなような帯がついていた気が、、。 誰が悪人なのか? 「悪人」と「犯罪者」は違う。 全てはボタンの掛け違い。 でも一人の命が絶たれてしまったことに変わりはない。 そこを美化してしまっては、きっといけない。 でもボタンがもし掛け違える事無くいられた...
誰が本当の「悪人」なのか 確かそんなような帯がついていた気が、、。 誰が悪人なのか? 「悪人」と「犯罪者」は違う。 全てはボタンの掛け違い。 でも一人の命が絶たれてしまったことに変わりはない。 そこを美化してしまっては、きっといけない。 でもボタンがもし掛け違える事無くいられたら。 「悪人」を演じようとすることのできる清水の優しさ、強さをひしひしと感じるだけにそう思わずにはいられない。 鶴田の存在がなんだかとても気になる。
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祐一は周りの悪から絡まれて悪事を行い、 悪人となってしまったような感じ… 悪と悪人は違うんじゃないか… 読んでみると 悪って、そんじゃそこらに いっぱい転がってる… そのことを考えるなんて そうそうにないかも… 極論かもしれないけど、 ルールって必要なんだ...
祐一は周りの悪から絡まれて悪事を行い、 悪人となってしまったような感じ… 悪と悪人は違うんじゃないか… 読んでみると 悪って、そんじゃそこらに いっぱい転がってる… そのことを考えるなんて そうそうにないかも… 極論かもしれないけど、 ルールって必要なんだけど、 ホントにいつでも必要なのだろうか… まだ、先にストーリーがあるなら 光代には、もう一歩 踏み込んでほしいと想った次第。
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誰が本当の悪人か というようなキャッチコピーだ 読後強く感じたのは、以前宗教評論家が言っていた、 「生まれながらの善人・悪人はいない。悪人だと思われている人はたまたま縁が悪かったので悪の道に踏み込んだ。自分が善人でいられるとしたら、それは自分がいい縁に恵まれていたからだ」という...
誰が本当の悪人か というようなキャッチコピーだ 読後強く感じたのは、以前宗教評論家が言っていた、 「生まれながらの善人・悪人はいない。悪人だと思われている人はたまたま縁が悪かったので悪の道に踏み込んだ。自分が善人でいられるとしたら、それは自分がいい縁に恵まれていたからだ」という言葉が本当にぴったりだという事だ。 愛という言葉はどこにも出てこないが、主人公二人の愛と被害者親子の愛がこの小説の暗い世界観の中でとても眩しく輝いていた
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