悪人 の商品レビュー
おもしろかったです。九州の話で、博多弁や知っている地名がたくさんでたから余計に親近感が持てました。 この本はぱらぱらとページをめくって、目次を見たときに読もう!と決めました。 第一章 彼女は誰に会いたかったか? 第二章 彼は誰に会いたかったか? 第三章 彼女は誰に出会ったか?...
おもしろかったです。九州の話で、博多弁や知っている地名がたくさんでたから余計に親近感が持てました。 この本はぱらぱらとページをめくって、目次を見たときに読もう!と決めました。 第一章 彼女は誰に会いたかったか? 第二章 彼は誰に会いたかったか? 第三章 彼女は誰に出会ったか? 第四章 彼は誰に出会ったか? 最終章 私が出会った悪人 うーん、なんてそそる構成なんだ。 一番の悪人は殺人をした彼。だけど極悪人というよりは、ずるい人という感じですかね。 結局自分一人でいろいろかぶってさ。 あともう一つ考えたのは悪人ってのは世間じゃないかと。 本当のことを知らずに騒ぎ立てたり、祐一が嘘をついてまでかばった彼女を「マインドコントロール」と思わせてしまうとか。 本当は心優しい祐一をおびえる女性を見て興奮するタイプと限定しちゃうところとかさ。 不覚にも泣きそうになってしまった箇所もあったりで大満足です。 再読したい1冊です。
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冒頭では祐一はぱっとしないうだつの上がらない男だな、とおもっていたけれどヘルス嬢とのエピソードあたりで、本当は一途な男なのかなぁと見方が変わっていった。 つかみどころもなく、衝動的に行動にでてしまう部分もあり、善いところと悪いところの二面性があるところにひきこまれていった。 光代との逃亡シーンは、ラストを迎えるのが儚く悲しかった。 そして最後に光代の首を絞めたのは、「本当に愛していたのなら首なんて絞めない」と後で光代は振り返っていたけれど、そう自分を悪人に仕立て上げるところまでが祐一の計算だったのだろう。祐一が初めて本気で愛した女であったことに、間違いはないはず。 光代と祐一の揺れ動く心にところどころ涙しそうになった。
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「大切な人はいるか?その人の幸せな様子を思うだけで、自分まで嬉しくなってくるような人はいるか?今の世の中大切な人もおらん人間が多すぎる。そういう人間は失うものがないから自分が強くなった気になり、何でもできると思い込む。失うものもなければ、欲しいものもない。だから自分を余裕のある人...
「大切な人はいるか?その人の幸せな様子を思うだけで、自分まで嬉しくなってくるような人はいるか?今の世の中大切な人もおらん人間が多すぎる。そういう人間は失うものがないから自分が強くなった気になり、何でもできると思い込む。失うものもなければ、欲しいものもない。だから自分を余裕のある人間と思い込み、失ったり欲しがったり一喜一憂する人間を馬鹿にする。そうじゃない。」 ここの場面が、映画で見ても本で読んでもひどくつらかった。 「どっちも被害者にはなれんたい」 最近読んだ小説の中で最も心に残る衝撃的な発言。
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「悪人」 何を持って悪人とするのか。 何が「悪」なのか。 祐一は結局何がしたかったのかなあ。 佳乃にも増尾にも腹が立って仕方ない。 光代は吊り橋効果すぎてそこまで感情に入り込めない。 ただただ房枝が気の毒で、祐一の感情表現がへたくそで、 ただただ哀しくて、ぽっかり穴が開いた感じ。 祐一のどっちも被害者にはなれないっていうのは確かにとも思ったけど、今思うと本当にそうか?と思う。 自分の言葉を信じてくれる人が現れたと思ったなら、光代に対してのあの行動はやっぱり違うと思う。 もし、光代を守りたくてした行為ならそれは違う気がした。 うーん、わからない。笑
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祐一が悪人だ。 人は殺したらだめなんだなって当たり前のことだけどわかってよかった。 祐一さんにはがっかりした。お母さんとの関係に注目!どちらも被害者にはなれん。って祐一の言葉。 痛いぐらいわかるんだな。 でもやっぱり越えてしまったんだ。sos だせよ、祐一。 だせよ、祐一。
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「悪人」って、決め付けられる人なんていないんだよなぁ。 人によって、立場によって、「悪人」はくるくる変わる。 自分の持っている情報だけで物事を判断するのってすごく危険だなと思った。 ただ・・・金髪で着古したピンクのトレーナーのイケメンって・・・想像できない。
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普通のミステリーかな、でも犯人分かってるし・・・という導入部で、何となく読んでいましたが、最後の最後になってタイトルの深い意味を理解しました。 してしまった事が罪であることは間違いないのですが、犯人が悪人であるかどうか?という点で、人間とは何だろう?と考えさせられますね。
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一気に読んでしまった。 個々の人間描写がとても良い。 果たして悪人とは何だろうか。 佳男が言った 「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。失うものもなければ、欲しいものもない。だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ」 言葉がその通りだと思います。 何だろうか、純粋に重い気持ちになりましたが、人に優しい人間になろうと思いました。 手を差し伸べられるくらいの器に私はなりたい。
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九州で起きた殺人事件を題材に 「悪人」とは何なのかをテーマに徹底的に掘り下げる。 物語の最初で既に犯人は逮捕されており 結末は見えているけど、グイグイと引き込まれる。 設定だけ抜き取ると 「出会い系で知り合った色恋沙汰と浅はかな殺人」 となってしまうけれど 登場人物を様々な角度から描写し 読み進むにつれて心象が様変わりする。 宮部みゆきの「理由」にも似た完成度。 「どっちも被害者になれんたい」 「少女のちくわのエピソード」 がたまらない。 アメリカのロードムービーのような、 素晴らしい恋愛小説です。 そこに九州の方言が切なさを倍増。 光代は優しい、いい女だ!と思っていたら 映画版では深津絵里という完璧なキャスティング!
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(2009より転載) 今までに読んだ吉田修一作品の中では、一番だったと思う。 終章のタイトル…ずっと考えながら読んで、読み終わっても考えて、 やっぱりあいつだよなー、と私は思ったけど、 読む人によって違うんだろうな。そういう話を書けるのはすごい。 2009/3/12読了
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