新聞社 の商品レビュー
毎日新聞社の常務を務めた著者の目から、新聞を取り巻く現状と展望(+提言)について語る。 活字離れではなくて新聞離れであるという事実。 「紙」の販売にまつわる収益構造のねじれ。 (子会社の)TVをめぐる利権の渦。 二大新聞社の野望。 など、新聞が抱えるさまざまな問題についてであ...
毎日新聞社の常務を務めた著者の目から、新聞を取り巻く現状と展望(+提言)について語る。 活字離れではなくて新聞離れであるという事実。 「紙」の販売にまつわる収益構造のねじれ。 (子会社の)TVをめぐる利権の渦。 二大新聞社の野望。 など、新聞が抱えるさまざまな問題についてである。 このうち「二大新聞社」というのは読売と朝日のことであり、毎日はカヤの外ということになる。そこで著者は「第三の極」(三番手以下の新聞社の大同団結)を提案する。 だが、これらの“美しい”ソリューションは、各社のメンツ(企業文化)や拡大再生産の発想(守旧派の抵抗)の前で実効性を持つのだろうか。 結局、新聞は読朝の二大潮流に収斂し、やがて衰退していく未来しかイメージできないのだが…。
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【教育学部図書館リクエスト購入図書】☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA81229191
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著者は毎日新聞社で記者からスタートし、社長室室長、常務取締役を歴任した人物。新聞社経営が崖っぷちであることを認識しながら、新聞再生を模索。業界は違っても・・と明日はわが業界もを感じさせる本。
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その冒頭部分を読み始めて、びっくり仰天した。 新聞社という企業は、販売店に対する配達手数料や広告代理店に対する取扱手数料、さらに部数拡張のために販売店につぎ込む販売報奨金やらで、実に売上の45%を持って行かれるというのだ。さらに、(これは本書とは無関係の新聞社に勤める友人...
その冒頭部分を読み始めて、びっくり仰天した。 新聞社という企業は、販売店に対する配達手数料や広告代理店に対する取扱手数料、さらに部数拡張のために販売店につぎ込む販売報奨金やらで、実に売上の45%を持って行かれるというのだ。さらに、(これは本書とは無関係の新聞社に勤める友人の話であるが)新聞社の売り上げの20%を、新聞用紙代が占めるのだそうだ。 つまり、新聞販売にかかるいわば原価が、売り上げの実に65%を占める。会社の建物の維持費や取材にかかる経費、そして最も大切な社員の給料は、残る35%から捻出しなくてはならない。 何たる高コスト体質だ・・・と思ってしまう。
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新聞社の押し紙問題は非常に根深い。また、押し紙に関わる新聞本社と販売店の間のやり取りもなかなかに複雑だ。販売店は新聞代収入を一旦本社に納め、そこから販売手数料と販売奨励金を受け取る。販売奨励金は基数により変動があり、戦略的に実質原価ゼロとなるような奨励金を出す場合もある。(ただし...
新聞社の押し紙問題は非常に根深い。また、押し紙に関わる新聞本社と販売店の間のやり取りもなかなかに複雑だ。販売店は新聞代収入を一旦本社に納め、そこから販売手数料と販売奨励金を受け取る。販売奨励金は基数により変動があり、戦略的に実質原価ゼロとなるような奨励金を出す場合もある。(ただし、2013年現在では、単純な基数制度は見直されているようだ) 本書は2007年の発刊であり、5年経過後の現在どうなっているのか、追跡確認が必要。
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2007年3月初版の古い本だが、なかなか刺激的だった。2013年の今、新聞社は大して変化していないように見える。しかし確実に「新聞社を見る目」は変わっており、傘下の放送事業と併せて斜陽産業と見做され、経営は展望を失っている。そして彼らの記事はますます実態からの乖離してしまい、批判...
2007年3月初版の古い本だが、なかなか刺激的だった。2013年の今、新聞社は大して変化していないように見える。しかし確実に「新聞社を見る目」は変わっており、傘下の放送事業と併せて斜陽産業と見做され、経営は展望を失っている。そして彼らの記事はますます実態からの乖離してしまい、批判や嘲笑を受けて、記者は希望を失いつつあるように見える。
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元 毎日新聞の役員。 新聞社と販売店の泥々な関係図、新聞社の今後について、自身の意見で書かれている。特に、読売と朝日に続く第三局を業務提携で作るべき、との持論は面白かった。 新聞社は瀬戸際の状態。消費税UPで破綻もありうる中、船頭は必死で安全な岸に船を付けようとしているが、船の中...
元 毎日新聞の役員。 新聞社と販売店の泥々な関係図、新聞社の今後について、自身の意見で書かれている。特に、読売と朝日に続く第三局を業務提携で作るべき、との持論は面白かった。 新聞社は瀬戸際の状態。消費税UPで破綻もありうる中、船頭は必死で安全な岸に船を付けようとしているが、船の中は花見酒の宴会が続く現状を描いている。
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先輩記者の、新聞社の経済面を学べという言葉を何となく覚えてたけど、そういう本。毎日新聞にずっといた著者の視点から。面白かった。部数に纏わる話だとか、知らないことが多かった。結論については自分の考えとは違った。ただこれ読んだ上で先日の、夕刊に関する議論を思い出しても、こちらの主張は...
先輩記者の、新聞社の経済面を学べという言葉を何となく覚えてたけど、そういう本。毎日新聞にずっといた著者の視点から。面白かった。部数に纏わる話だとか、知らないことが多かった。結論については自分の考えとは違った。ただこれ読んだ上で先日の、夕刊に関する議論を思い出しても、こちらの主張は、あり得ない論説では全くなかった、と思うのだけど…。
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解決策は過激な感じがしましたが、内容としてはわかりやすいし、入門書としてはとてもいいのではないかと思います。新聞ってここまでやばいのね… 本当に変わるならいまだろうと思わされました。
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メディアとしての新聞が、かつての影響力を失って久しい。 今日では、テレビやインターネットなどの新興メディアが台頭したことで、新聞は「無くては困るもの」ではなくなった。しかし、この現状を新聞社は正確に把握できているのであろうか。元毎日新聞の常務取締役を務めた著者の答えは「No」であ...
メディアとしての新聞が、かつての影響力を失って久しい。 今日では、テレビやインターネットなどの新興メディアが台頭したことで、新聞は「無くては困るもの」ではなくなった。しかし、この現状を新聞社は正確に把握できているのであろうか。元毎日新聞の常務取締役を務めた著者の答えは「No」である。 本書は、新聞の言論機能ではなく、あくまで「産業としての新聞の現在」(p.4)を論じることを目的としている。特に、新聞社の販売制度やテレビ局との関係を分析対象として、これらのビジネスモデルは既に「破綻」していると批判する。例えば、現在の新聞社は、その販売経費が四〇~五〇%を占める「相当なコスト高体質」(p.19)に陥っている。この背景には、部数の増加による広告収入の増益を以って、そのコストをカバーするというビジネスモデルがある。しかし、新興メディアが台頭する今日では、部数の増加は必ずしも広告収入の増益に繋がらなくなった。もはや、このビジネスモデルは「破綻」しており、それどころか様々な歪(「押し紙」問題など)を生じさせていると指摘する。 著者は、今日の新聞界の最大の問題は「過剰な部数至上主義と過当競争体質である」(p.165)と力説する。既にオールド・メディアとなった新聞にとって、言論機能とビジネスモデル-この両輪の改革は遅かれ早かれ不可避となることは明らかである。一般的には、前者の問題点が注目されがちであるが、後者の問題点を簡潔にまとめた一冊として、本書は勉強になった。 ただ、この破綻したビジネスモデルに代わる新しいビジネスモデルを構築することは並大抵のことではない。本書でも、著者の改革案が提示されているが、これはあまり説得的ではない。今後、新聞社はどのようにして生き残っていくのか、あるいは、生き残る必要はないのか・・・。この問題はまだまだ議論の余地がありそうである。
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