右翼と左翼 の商品レビュー
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右翼と左翼をきちんと区別してください。大人なんだからできるでしょ??よくわかんないです!! なんとなくわかっている言葉をきちんと把握するシリーズ。簡単に説明されていてよかったよ。 _____ p43 辞書的な意味 右翼と左翼はタグ付の違いで理解するのがわかりやすいと前から思っていた。単純な対比構造じゃないからね。 「左翼」=進歩、自由、平等、合理主義、下層階級、知性・啓蒙主義、国粋主義、民族主義 「右翼」=保守、秩序、階層性、非合理主義、上層階級、反知識人主義、社会主義、共産主義、無政府主義 こんな感じ。 p210 自虐史観 ここに三十年来の日本の教科書がマルクス史観の歴史家によって編纂されたせいで、反国粋主義な内容(南京虐殺、従軍慰安婦などの歴史事実が明らかになってない問題など)になっているという右翼の主張。 自虐史観は本当に自虐なのだろうか。左翼にとって天皇制や軍国主義など当時の帝国主義は対抗勢力である。当時の日本はまさに否定すべき大勢だったのだから、日本否定は別に自虐じゃあない。 右翼にとっては自虐だけど、やってる当事者の左翼にとっては自虐でもなんでもないのだ。つまり、この問題は右翼の自分勝手な喚き散らしなところも無くはないのである。 右翼、左翼、こういうところがあるからわかりづらい。あと一歩頭良くないんだよな。 p234 存在意義が狂わせる 今の日本で右翼、左翼、とも胡散臭いものになっているのはなぜか。それは、日本が安定した国家になったために、存在意義がなくなって必死にほえ続けているからなのかもしれない。 社会主義は世の中の労働者がブルジョワに搾取され劣悪な生活をしている時代じゃないと存在意義がない。 国家主義は戦争中など、敵対勢力が居て一致団結しないといけないような世の中じゃないと存在意義がない。 存在意義を失いつつあるものは何をするか。自分たちの存在意義を確立するために、ない物をでっち上げたり、人々の不安をあおって世の中を扇動しようとする。だから胡散臭くなっちゃうんだよな。 p241 宗教・民族主義の反共主義 共産主義は、宗教権威や既存の権力機構の否定・打倒を叫ぶ。だから、世界の宗教であるローマカトリックやイスラエルやアラブは共産主義を嫌っている。冷戦中もそういった宗教組織は西側に加担した。 ______ 右翼と左翼の違いを説明できるようになった。 どうして右翼と左翼が胡散臭い物に思えるのか説明できるようになった。 今の日本で右翼と左翼はどうなるのか、なんとなくわかってきた。安倍総理は右翼だが、彼が活動できるようになってきたのは、対抗勢力の左翼(中国とか)を煽って自分たちの正当性を表現できるようにしているからだな。 今の日本人に大切なのは、彼らの誇大広告に敏感に反応しないことだ。「お前らそんなに一生懸命やるな。おせっかいだ、ボケ。」くらいの態度、自分たち民間人ですべて賄えるという気概をもって生きていくことが大事なんだな。 そのために左翼もいらないよう生きなきゃ。中道を生きる難しさ。でもそれこそ本当の自立と自由だ。
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右翼と左翼について、フランス革命から現代日本(2006年)までの流れを解説した本。 物語としてスムーズに描かれていると思う。
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今までの歴史や政治などの断片的な知識が全てつながったような痛快さを感じた.新書らしからぬ,豊富な図解,噛み砕いた説明.良書.
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―――――――――――――――――――――――――――――― 「尊王」のうち退けられた神秘的部分は、教育の分野で生き延びました。 小学校高学年で教えられる国史は、神武天皇以来の皇統の暗唱から始まり、古事記神話をも歴史として教えるものでした。これは後に昭和の「右翼」へとつながって...
―――――――――――――――――――――――――――――― 「尊王」のうち退けられた神秘的部分は、教育の分野で生き延びました。 小学校高学年で教えられる国史は、神武天皇以来の皇統の暗唱から始まり、古事記神話をも歴史として教えるものでした。これは後に昭和の「右翼」へとつながってゆきます。146 ―――――――――――――――――――――――――――――― 昭和の「右翼」は、明治の権力者が庶民用、軍人用に創り上げたフィクションであるこの伝統(顕教)を真に受けました。 学問的エリートたちの通説だった「天皇機関説」(密教)を、天皇陛下を蒸気機関のごとく見做す不敬な学説ゆえ弾圧すべしと突き上げるまでに到ったのでした(国体明徴運動)。153 ―――――――――――――――――――――――――――――― 日本国憲法は、象徴天皇制と議院内閣制を明文で規定しました。 かつての「左」の(密教的)解釈が、もはや解釈の余地なき体制として確定採用されたのでした。 戦前の権力内「右」は、反体制の「右翼」へ押しだされたのです。163 ―――――――――――――――――――――――――――――― 現在、日本の「右」「左」の対決はこれまでにもまして、不完全燃焼なものとなってきています。 すなわちどちらにも「現実」から大きく飛翔してゆく「理念」が極めて乏しいからです。211 ――――――――――――――――――――――――――――――
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右翼と左翼という対立軸がたどった歴史的変遷を、分かりやすく解説した本です。 フランス革命以降、進歩史観とマルクス主義の形成とたどり、さらに冷戦後の展開までを踏まえて、右翼と左翼の対立という図式を概観しています。さらに、明治維新以降の日本における右翼と左翼の対立軸についても触れら...
右翼と左翼という対立軸がたどった歴史的変遷を、分かりやすく解説した本です。 フランス革命以降、進歩史観とマルクス主義の形成とたどり、さらに冷戦後の展開までを踏まえて、右翼と左翼の対立という図式を概観しています。さらに、明治維新以降の日本における右翼と左翼の対立軸についても触れられています。 最後に著者は、戦後左翼が心情的な平和主義以上の何も提出できなかったのと同様に、右傾化が口にされる現在の日本でも、「日本は良い国だと思いたい」という現状肯定への欲求以上の意志は見られないと指摘しています。このこと自体は、大衆社会現象として構造的に論じられるべきだと考えますが、著者の議論はそうした方向には向かわず、サブカルチャーにおける「セカイ系」の流行との心理的な共振を指摘するのみに終わっています。 もっとも、著者のスタンスがあらかじめそうした議論を塞いでいるのではないかという懸念もあります。著者は、フーコーの権力分析に代表される、マイノリティの擁護などを旗印に掲げる文化左翼的な議論を「セカイ系左翼」と読んで、「知的自尊心を傷つけられやすいマイナー知識人らが求めゆく、知性の避難所」にすぎないと述べて、「こうした考えはいかに哲学的に精緻ではあれ、社会の多勢への影響力は乏しい」と難詰していますが、そうしたスタンスを取る限り、大衆社会現象そのものへの批判的な分析がおこないにくくなるような気がします。
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右翼とは何か。左翼とは何か。 歴史を追う中でそれぞれがどう変遷していったのか、 どのようにお互いが関わりあってきたのかについて解説している。 そういう点では六章までが分かりやすく良いと思った。 ただ七章の現在の状況についての説明は作者の意見も混在しているのと、 まだ変わりつつある...
右翼とは何か。左翼とは何か。 歴史を追う中でそれぞれがどう変遷していったのか、 どのようにお互いが関わりあってきたのかについて解説している。 そういう点では六章までが分かりやすく良いと思った。 ただ七章の現在の状況についての説明は作者の意見も混在しているのと、 まだ変わりつつある今を説明しようとしているせいか一部納得しかねるところがあった。 ただ、今後は単なる二元論ではなく、 いろいろな軸を加えて評価して行かなければならないという見方は参考になる。 宗教は果たして右か左かという問いは個人的に新しい知見。 思想という枠内にあるのになぜこれを今まで気にしなかったのだろう。
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思想一般の不誠実さがどこからくるのか少し分かった気がした。己の思想がどんな来歴や原理原則に根差していることを直視せずに、結局のところ中道ぶる姿勢が欺瞞なのだ。 右派については、「自衛隊のイラク派兵…彼らのみにリスクを負わせるな。徴兵制復活が先だという主張が…上がったという報道はあ...
思想一般の不誠実さがどこからくるのか少し分かった気がした。己の思想がどんな来歴や原理原則に根差していることを直視せずに、結局のところ中道ぶる姿勢が欺瞞なのだ。 右派については、「自衛隊のイラク派兵…彼らのみにリスクを負わせるな。徴兵制復活が先だという主張が…上がったという報道はありません」という言及。 左派については、「被征服のリスクは、非武装の憲法を選択している論理的な帰結としては負うべき」という言及。 この原理を意識せずに何事かを述べること、本来自分の思想がこのどちらかに基礎を置き構築されていることに気づかないこと、それがあらゆる欺瞞の本性のように感じた。
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社会主義、共産主義を唱えながら、そのための犠牲は厭う「左」と、ナショナリズムは叫ぶが、やはりそのための犠牲は避けたい「右」が補完し合いつつ、全国民的な政策合意であった「経済成長」へ邁進していった戦後日本。それは「右」「左」が、それぞれ核として持っていたはずの「正義」を喪失していき、体制の一機関と化してゆくプロセスだったといえましょう。p187 「新左翼」の学生運動のモチベーションの源泉⇒イギリスの政治学者イングルハートのいう政治行動の脱物質主義化?p196
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はて、この考えは左なのかはたまた右なのか。そんな疑問から本書を購入した。 今日続いてる右左の軸はフランスの政治に由来しているらしい。しかし国や歴史によって様々な意味付けもされているようだ。自分はおそらく左派だと思うが、左派の弱点はアイデンティを与えることが出来ないとの指摘は響...
はて、この考えは左なのかはたまた右なのか。そんな疑問から本書を購入した。 今日続いてる右左の軸はフランスの政治に由来しているらしい。しかし国や歴史によって様々な意味付けもされているようだ。自分はおそらく左派だと思うが、左派の弱点はアイデンティを与えることが出来ないとの指摘は響いた。 ヒトが物事を理解するためにはそれを分けることだ。そしてそれは二つに分けることから始まる。右左もそのようなものだろうか。それともそれは原始的な敵味方を区別する生物的なものだろうか。
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右翼・左翼いうイデオロギーが、近年特にセカイ系小説のように矮小な動機づけに基づいている。 「自分自身が生きにくいのは、社会がゆがんでいるせいにして、世の中が変われば幸せで面白い日々が私にもくると信じる」 「自分自身の矮小さや脆弱さを、民族だの階級だの革命だのといった偉大な使命へ自...
右翼・左翼いうイデオロギーが、近年特にセカイ系小説のように矮小な動機づけに基づいている。 「自分自身が生きにくいのは、社会がゆがんでいるせいにして、世の中が変われば幸せで面白い日々が私にもくると信じる」 「自分自身の矮小さや脆弱さを、民族だの階級だの革命だのといった偉大な使命へ自分を委ねている自覚で乗り越えた気になる」ものとしての右翼、左翼といったイデオロギーが「一種のカウンセリングやメンヘルドラッグ」として求められる傾向が強まっているのだという。
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