イッツ・オンリー・トーク の商品レビュー
「キング・クリムゾン」に目を奪われて購読。期待を裏切らない素晴らしさだった。 「イッツ・オンリー・トーク」は、キング・クリムゾンのエレファント・トークのなかで繰り返しぼやかれるセリフだ。これと同名の本作品は、まさにキング・クリムゾン的な世界である。 暴力的な狂気とニヒリズムが...
「キング・クリムゾン」に目を奪われて購読。期待を裏切らない素晴らしさだった。 「イッツ・オンリー・トーク」は、キング・クリムゾンのエレファント・トークのなかで繰り返しぼやかれるセリフだ。これと同名の本作品は、まさにキング・クリムゾン的な世界である。 暴力的な狂気とニヒリズムが渾然一体となっている。それは作中で「へんなの。不気味だよ」と言われるような、変な世界なのである。 しかし、この変さは、決して乱雑なものではない。むしろ整然としている。この丁寧さも魅力的であり、とてもうまいと思った。 「第七障害」もよかった。すごく丁寧に創られている。上州弁がさりげなく出てきて、ニヤついてしまった。ただ、キンクリ感はあまり感じられなかったのは残念だ。 解説で、絲山作品にはAとBがある、Aは芥川賞的で、Bはキンクリ的だ(と私は解釈した)、とあった。なるほど、Aもいいが、やっぱりBを読みたいなあ。
Posted by
「第七障害」は好きな終わり方。表題作はなんというか、もやもや。居候はもっと若い男かと思って読んでいて最後で話全体のイメージが変わってしまった。
Posted by
2編収録。表題作は都会的でハイソ、別作は田舎に憧憬をもつ質素。タイトル はどう訳するのだろう。某辞書には、「only talk:《be ~》口先{くちさき}ばかりである。」とあるが、どうも作品の内容とマッチしているようには思えない。口先ばかりではなく、やることはやっているからね。...
2編収録。表題作は都会的でハイソ、別作は田舎に憧憬をもつ質素。タイトル はどう訳するのだろう。某辞書には、「only talk:《be ~》口先{くちさき}ばかりである。」とあるが、どうも作品の内容とマッチしているようには思えない。口先ばかりではなく、やることはやっているからね。一般的には顰蹙を買うような登場人物に対して、主人公が今までにないとらえ方、価値観を見出しているのが新鮮であった。設定に対する説明の少なさは、映画のようである。
Posted by
悪くない。トモフスキーもでてくるしちっとも嫌いじゃない。 だけどどーもこの頃、こういう小説を真に受けることができない。 小説なんて「ムダ話さ」。ムダ話に飽きてしまったのかもしれない。 あと「第七障害」で馬の死を嘆いた後ですぐ男の話に移るのは、やめてほしいと思ったね。そういう「...
悪くない。トモフスキーもでてくるしちっとも嫌いじゃない。 だけどどーもこの頃、こういう小説を真に受けることができない。 小説なんて「ムダ話さ」。ムダ話に飽きてしまったのかもしれない。 あと「第七障害」で馬の死を嘆いた後ですぐ男の話に移るのは、やめてほしいと思ったね。そういう「女」の出し方って、ないよ。
Posted by
「イッツ・オンリー・トーク」…精神の病で躁鬱病を発症してリタイアしたキャリアウーマンが主人公。ちょっと村上龍の「限りなく透明に近いブルー」を読んだ時に似た読後感。どんだけ文学的香りを放っていても、下ネタの多い作品は苦手だわ。 「第七障害」…乗馬競技に夢中になっていた主人公が、愛馬...
「イッツ・オンリー・トーク」…精神の病で躁鬱病を発症してリタイアしたキャリアウーマンが主人公。ちょっと村上龍の「限りなく透明に近いブルー」を読んだ時に似た読後感。どんだけ文学的香りを放っていても、下ネタの多い作品は苦手だわ。 「第七障害」…乗馬競技に夢中になっていた主人公が、愛馬を安楽死させることになって、東京に逃げ込んで、紆余曲折の末、だんだん癒されていくストーリー。こちらは、ちょっと感情移入できたかな。 以上の中編2篇。1つ目はちょっと苦手だったけど、少し他の作品も読んでみたい気も。。
Posted by
2003年、「イッツ・オンリー・トーク」で第96回文學界新人賞を受賞。 「イッツ・オンリー・トーク」は廣木隆一監督によって「やわらかい生活」のタイトルで映画化されている。
Posted by
高学歴で新聞社に入社、バリバリ仕事してきた優子は、精神病棟に一年入って出てくる。 設定は重たいんやけど、絲山さん流の淡々とした文調で暗さはない。 合意の痴漢と定期的に会い、絵で稼いだお金を食い潰しつつ、女に捨てられたいとこを養い… 妙なおかしみがあるな。
Posted by
「ばかもの」を映画で見て、小説を読んでみたいと思った絲山秋子の文學界新人賞受賞作。 大学卒業後にメーカー入社、営業職として勤務した後に心の病を患う。 と、何となく私の大好きな山本文緒を彷彿させる経歴の著者…。 話もとってもアンニュイな感じで、つかみづらい…。 主人公もうつ病を患...
「ばかもの」を映画で見て、小説を読んでみたいと思った絲山秋子の文學界新人賞受賞作。 大学卒業後にメーカー入社、営業職として勤務した後に心の病を患う。 と、何となく私の大好きな山本文緒を彷彿させる経歴の著者…。 話もとってもアンニュイな感じで、つかみづらい…。 主人公もうつ病を患った経験を持っている設定なのですが、考えすぎた結果として「Don't think.FEEL! 」というブルース・リー的なメッセージなのかと捉える事にしました、私は。 「私は衝動的に行動したが自分の感情を信用してはいなかった」 という通りに(性的な意味で)かなり奔放な生活を送りつつも、 そんな自分の社会的な位置付をどこかで探してしまう主人公。 「愛が無いのに心がこもっていた。不思議だった。」 うーん、この一言、考えさせられます。。。
Posted by
2作ともすごく良かった。 イッツ・オンリー・トークの方は 読み終わりが、なぜかすごく切なくなりました。 どちらの作品も 強い女性なのに、どこかほっとけなくて そこがまた可愛いなと。 分かる分かるって思いながら すぐ読めました。
Posted by
はじめて絲山さんを読む。 精神病の主人公が、一癖ある男たちと過ごす日常。よくある日常とは遠い出来事ばかりだが、文体は淡々としていて、感情が抑え目なところが丁度良かった。「痴漢」ってネーミングの男が魅力的に描かれているのが面白い。 「それはパンをトーストするのと同じくらい単純なこと...
はじめて絲山さんを読む。 精神病の主人公が、一癖ある男たちと過ごす日常。よくある日常とは遠い出来事ばかりだが、文体は淡々としていて、感情が抑え目なところが丁度良かった。「痴漢」ってネーミングの男が魅力的に描かれているのが面白い。 「それはパンをトーストするのと同じくらい単純なことで、理由も名前もない、のっぺらぼうのトーストは食べてしまえば実にあっけらかんと何も残らないのだ」
Posted by