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利己的な遺伝子 増補新装版 の商品レビュー

4.2

100件のお客様レビュー

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2015/05/05

ずっと読んでおかねばと思っていた、進化についての凄い有名な本+ミームの提唱本。 自然淘汰の単位を遺伝子に置くことで個体単位で見た場合に利他的に見える行動をとるような進化がなぜ起こるのかを解説する。 ・その遺伝子を拡散することに有利な形質を発現させる遺伝子が繁栄する  ・個体ベー...

ずっと読んでおかねばと思っていた、進化についての凄い有名な本+ミームの提唱本。 自然淘汰の単位を遺伝子に置くことで個体単位で見た場合に利他的に見える行動をとるような進化がなぜ起こるのかを解説する。 ・その遺伝子を拡散することに有利な形質を発現させる遺伝子が繁栄する  ・個体ベースで利他的に見えても遺伝子ベースで利己的(同じ遺伝子の拡散)につながる行動につながる遺伝子は、結果的に多くの個体に受け継がれていくので増える 言われてみれば凄い単純な話、なんだけど、わかりやすさのためにあえてやっている目的があるかのような擬人化記述に引っ張られて解釈を誤りそうになる瞬間がちょくちょくある。 そういう意味では『理不尽な進化』を事前に読んでいたことが、やっちゃいがちな誤解を防ぐのに貢献してくれたかも。

Posted byブクログ

2015/05/05
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生物学の古典といわれるだけあって圧巻な内容だった。特に雄と雌の争いという章が良かった。雄の方が多いとあぶれ雄(現在の中国で起きている現象)だが、雌の方が雄より大きな投資をしている。雄ももてる者がより勝者になるからしょうがないのだ。人間世界でも全く同じだ。DNAを利己的ない遺伝子としてまるで意志のあるものとして扱っているところがユニークで、その自己複製子が担体に働きかけるというところは面白い。自然淘汰、利他主義、生存機械、ESS、擬態、近縁度、ノンゼロサムゲーム、DNA等生物が身近になってきて、人間と照らし合わせて考えていきたい。

Posted byブクログ

2015/04/12

 進化倫理学入門という本を読んだ際、著者の考えの根幹を為していたのが本書らしい。  かなり批判も多いようだが、本書で人間を説明出来る点も多々あるようだ。科学史に残る画期的な一冊であることに変わりはないだろう。

Posted byブクログ

2014/10/08

前書きと後書きだけで一冊の本になる分量で圧倒。それだけの版数を重ねてきたってことですね。 「柔らかな遺伝子」とセットで薦められる例も見るんだけど、個人的な感想としては「柔らかな遺伝子」を読めば、こちらは蛇足かな。確かに「柔らかな遺伝子」は生まれか育ちかに焦点を当てていて、こちら...

前書きと後書きだけで一冊の本になる分量で圧倒。それだけの版数を重ねてきたってことですね。 「柔らかな遺伝子」とセットで薦められる例も見るんだけど、個人的な感想としては「柔らかな遺伝子」を読めば、こちらは蛇足かな。確かに「柔らかな遺伝子」は生まれか育ちかに焦点を当てていて、こちらの本は突然変異と自然淘汰に焦点を当てておりフォーカスは違う。けど、自然淘汰については現代ではあまりにも知られ過ぎている。古典を持ちだしたところで特に目新しい話題はないように思えた。 本質とはずれたところではミーム。最近読んだ何冊かでミームの話題が出てきていたけど、きちんと説明してる本はなくて。あまり日本では馴染のない言葉だと思ってたんだけど。この本ではきちんと説明してた。まぁwikipedia見れば十分ではある。 そう言えば、この本を読んでいてパレートの法則とか、たんなる経験則じゃなくて、自己組織化と関連してたりするのかな、とか思ったんだけど、調べてみたらやはりそういう考え方もあるらしい。

Posted byブクログ

2014/10/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

附属図書館にて。 メタルギアソリッド ライジングよりミームに興味を持ち、今回やっと読んだ。 以下、理解した内容の列記。 ネオダーウィニズムにおける自然淘汰の解釈としての遺伝子淘汰。自己複製子である遺伝情報が、いわゆる進化の主体であり、生物の体は自己複製子が操る生存機械であると解釈できる。また、血縁淘汰などの場合分けの必要な解釈が必要なエソロジー分野での形質についても、遺伝子淘汰とゲーム理論で一意な解釈が可能となる。 ミーム(MEME)は、後天的に摸倣によって獲得する文化などの形質を司る、最新の自己複製子である。遺伝情報と同様の粒子性を持ち、繁殖、淘汰が行われる点で同等の物として扱える。ダーウィニズムは遺伝子のみに当てはまるものではなく、広く自己複製子全てに当てはまる論である。反復囚人のジレンマを用いることで、進化的に安定(ESS)の評価が出来る。パラメータの設定は複雑、恣意的なものになる恐れがあるが、それさえパスすれば遺伝子淘汰のシミュレーションが可能となる。 遺伝学と人工知能が同じモノを扱えることに感心した。ミームの定量化が出来るようになれば、ミームの操る生存機械としての人間の再現ができるだろうか。 途中、男と女の扱いの違いを、卵と精子の策略から説明しているが、納得とは行かなかった。根幹に旧時代の考えが匂った気がする。

Posted byブクログ

2014/09/15

どこかで一回は耳にしたことががあるんじゃないかというこの主張 他人に優しくするの(利他的な行動)って結局自分が満たされたいだけ(利己的な行動)でしょ? この主張に対して何らかの示唆を得られるんじゃないかというモチベーションで読んだ本。 自分のこの命題に対する結論を言うと「利他...

どこかで一回は耳にしたことががあるんじゃないかというこの主張 他人に優しくするの(利他的な行動)って結局自分が満たされたいだけ(利己的な行動)でしょ? この主張に対して何らかの示唆を得られるんじゃないかというモチベーションで読んだ本。 自分のこの命題に対する結論を言うと「利他的な行為が人間の利己的な面からきているというのは生物学的には真に近い。なぜなら、私達人間は利己的な振舞いで自然淘汰を勝ち抜いてきた利己的な遺伝子からできているからだ。」というものです。 つまり、(本の中にもあるけれど)人々が非利己的で協力的な社会を築きたいなら、生物学的知見は全然頼りにならない。これはなかなか衝撃的な内容でした。 しかし、我々人間社会には利己的暴力を防ぐために「文化」というものがあります。そのため「人間=利己的な存在」と結論付けるのは難しいと思われます。以下引用。 ーー 純粋で、私欲のない、本当の利他主義の能力が、人間の独自な性質だという可能性もある。是非そうあってほしいものだが、この点に関して私は、肯定的にも否定的にも議論するつもりはない… (中略) 我々がたとえ暗いほうの側面に目を向けて、個々の人間は基本的には利己的な存在なのだと仮定したとしても、われわれの意識的な先見能力には、盲目の自己複製子(≒遺伝子)たちの引き起こす最悪の利己的暴力から、われわれを救い出す能力があるはずだということである。少なくともわれわれには、単なる目先の利己的利益より、むしろ長期的な利己的利益のほうを促進させるくらいの知的能力はある。 ーー 結局自分の疑問に対するハッキリとした結論は出なかったけれど、生物学的な視点から新たな視野を与えてくれた一冊でした。500ページ位ありますが、読み応えはかなりあると思いますよ。

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2014/07/21

当たり前だと思っていた自分の自由意志が否定される。 私の肉体は単なる機械にすぎない。利己的な遺伝子という考え方は、これまでの自分認識を大きく揺さぶる考え方。 脳みそがしびれているような読後感がしばらく続いている。 何か新しいことを知る。何かをきっかけにこれまで考えたことのない...

当たり前だと思っていた自分の自由意志が否定される。 私の肉体は単なる機械にすぎない。利己的な遺伝子という考え方は、これまでの自分認識を大きく揺さぶる考え方。 脳みそがしびれているような読後感がしばらく続いている。 何か新しいことを知る。何かをきっかけにこれまで考えたことのない方向で考えを巡らす。読書の醍醐味を感じられる一冊。 かなり昔に発行されていたことにも驚き。

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2014/07/14

生物学的に、淘汰は、群淘汰でも、血縁淘汰でも、個体淘汰でもなく、遺伝子淘汰だという観点から、異種攻撃だけでなく、同種個体間攻撃の位置づけについてまとめた本。親が子供に対して利他的になる、配偶者に対して利他的になる、兄弟に対して利他的になる、同種に対して利他的になる、ようにみえるす...

生物学的に、淘汰は、群淘汰でも、血縁淘汰でも、個体淘汰でもなく、遺伝子淘汰だという観点から、異種攻撃だけでなく、同種個体間攻撃の位置づけについてまとめた本。親が子供に対して利他的になる、配偶者に対して利他的になる、兄弟に対して利他的になる、同種に対して利他的になる、ようにみえるすべての行為は、利他的行為ではなく、遺伝子の利己的継承意思から来るものであると従来の説や倫理バイアスを否定する。著者は冒頭で、だからといってすべての倫理が無意味なのではなく、それは社会的な倫理であって生物学的なものではないと説く。個体はあくまで遺伝子を守るためのツールであり、脳は個体を効率的にコントロールするために遺伝子が創りだしたものだが、脳の進化により個体は遺伝子の意思とは反する行動をとるようにもなったという発想は斬新で、かつ的を得ている。

Posted byブクログ

2014/04/29

いわゆる説明上手な理系の本はものすごく論理的でわかりやすく、読んでいて楽しいなぁと思います。 わかりやすいことがすべてだとは思いませんが、専門的な事象をまったくそういうことに不慣れな人間に理解させようとすれば自然と文章は平易になり、筋道立った文章が必要になるのだと思います。 動...

いわゆる説明上手な理系の本はものすごく論理的でわかりやすく、読んでいて楽しいなぁと思います。 わかりやすいことがすべてだとは思いませんが、専門的な事象をまったくそういうことに不慣れな人間に理解させようとすれば自然と文章は平易になり、筋道立った文章が必要になるのだと思います。 動物や人間社会で見られる行動の本質を、生物個体ではなく遺伝子の視点から説明しています。 個体をあくまで遺伝子が繁栄する為に必要とする「乗り物」と見なす点が非常に特徴的ですが、従来の群淘汰説で説明が難しい点を明解に説明できていると思います。 さらに、著者は一歩踏み込んで、遺伝子に近い存在として人間の文化を「ミーム」と定義付けし、遺伝子の行動プロセスと同様の説明で人間の文化の在りようにも触れています。 1976年に初版発行とのことですが、今もって通用する臨機応変な主張であることは間違いないでしょう。 なお、『利己的な遺伝子(THE SELFISH GENE)』というタイトルは、著者も認めているとおり誤解を生みやすいと感じます。 著者はあくまで、遺伝子が自身の繁栄を一番に考えた戦略を用いて現在も自己を複製していることを伝えたかったのであり、生物そのものが本質として利己的で他を省みないといっているわけではないからです。(詳細は是非読んでご確認を) メンデルの優性・劣性遺伝然り、ダーウィンの自然淘汰説然り、科学分野の思想が曲解され都合のよい解釈のもとに使われてしまうことがままありますが、理論と応用はまったくの別問題という意識をきちんともたなければいけませんね。

Posted byブクログ

2014/04/27
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生物はあくまで遺伝子の乗り物である、という驚きの発想。 もちろん本を読まずともその内容はどこかしらで目にしてきたのだけど、読んでみるとその流れるような思考の展開にほえーっと感心してしまう。 一見利他的にみえる動物の行動も、「該当する遺伝子の複製」という目的からみれば全く違う見え方になるのだということを、模擬的に確率計算してみせる。 とても分かりやすい(若干分かりやすくしすぎているのではないかとも思うほどに)。 生物間の利害調整の仕組みの合理性を見ると、人間って本当にめんどくさい生き物に進化したんだな(褒め)と思う。 数多くの批判が寄せられたそうで、それに対しての説明にけっこう頁数が当てられている。 そのせいで、読んでいて少しくどく感じるところもあった。

Posted byブクログ