利己的な遺伝子 増補新装版 の商品レビュー
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個体や個体群が有利なようにという考え方ではなく、自己の遺伝子が有利になるようにそのような形質が現れる。 自己の遺伝子を後世に残すために現れる形質は自分自身の身体のみでなく、自身の行動、周りの環境を有利なように変化させている。
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徹底してダーウィン主義的淘汰の観点から同種間、親子間、雄雌間での争いを解説した本。 生物は遺伝子によって組み上げられた生存機械で、淘汰の結果として特定の形質を発現する遺伝子が残り反映していく。 遺伝子自体に意思はなく、結果として変化していくのだけど、多様化の末に生存機械の複雑な制...
徹底してダーウィン主義的淘汰の観点から同種間、親子間、雄雌間での争いを解説した本。 生物は遺伝子によって組み上げられた生存機械で、淘汰の結果として特定の形質を発現する遺伝子が残り反映していく。 遺伝子自体に意思はなく、結果として変化していくのだけど、多様化の末に生存機械の複雑な制御が可能となっているため、気を抜くと意志を持った争いだと捉えてしまう自分がいるのが面白かった。 生物は遺伝子と淘汰の奴隷として存在するが、ヒトは言語により「文化」を獲得し、それにより擬似的に後天的遺伝を持つことが出来たために奴隷を脱却することが出来た。他の生物でもコミュニケーションを使役し、文化を形成することが見られるが、ヒトは記録できる記号を発明したことによりその速度を加速させた、と考えている。 現代では機械学習というブラックボックスを通して出てくるアウトプットが、ヒトが判別できるレベルを凌駕している。この構図は遺伝子がヒトを発現し、ヒトが文化を発現し遺伝子に反逆した構図と同じなのがめちゃくちゃ面白い。ヒトが生んだ機械に反逆される日は来るだろう。 個人的にトピックスとして面白かったのは「何故歳をとって死ぬのか?」に対する答えが、「歳をとってから負の要素を発現する遺伝子は複製の時点で淘汰を受けないから」というもの。極論「40歳まで繁殖禁止」とする国家が永劫続いたら、きっとその国の寿命は伸びるだろう。 本書では触れられなかったけど、生物が違う種として分岐するまでにはどの位の世代を必要とするのかが気になった。 一年以上塩漬けにしてた本だったけど、読めてよかった。高校の生物の先生は、ちゃんと生物を教えてくれていたんだなぁと実感した。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです ☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA76802207
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マーク・トウェーンは利他的行動が“功名心”から説明できるとしたが。マルクス主義はフロイト理論を援用して、「ブルジョワジーは自らの階級の利益のために行動する」としたが、(『デューン』のベネ·ゲセリット教団と同じく)“遺伝子の流れ”が本体で、遺伝子の自己保存の論理で本能的“自己犠牲”が説明できる。動物にも欺瞞や裏切りがある。卵子を持つ不利な♀に対し♂の誠実:浮気がどの程度の割合になると均衡に達するかまで数学的に算出する手法にセンスオブワンダーがある。異性に“誠実”は有利な戦略ではあるが、シングルマザーに養育費を払わない男も遺伝子的には有利。連れ子が虐待で殺されたりしなければ。やれやれ。 生物を「遺伝子の乗り物」として考察するばかりではなく、最終章に至ってミームという“文化的遺伝子”を提唱し(この本が元祖とは知らなかった)人間性の本質に光明を与える(渡り鳥の道が一定なように動物でも伝承文化はあるそうだが)。
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遺伝子はそれ自身が生き延びることだけが目的、というショッキングな内容。人間にしろ動物、生物、植物…、容器は何であれその個体が遺伝子を残し続けることだけが存在理由というのはスゴイ。 が、近年の心理学などでも裏打ちされつつある事実。 しかも種どころからあくまでも個体が遺伝子情報を伝...
遺伝子はそれ自身が生き延びることだけが目的、というショッキングな内容。人間にしろ動物、生物、植物…、容器は何であれその個体が遺伝子を残し続けることだけが存在理由というのはスゴイ。 が、近年の心理学などでも裏打ちされつつある事実。 しかも種どころからあくまでも個体が遺伝子情報を伝えることだけがその存在意義なのだから、そう考えると容器であれ我々の悩みなんて全く表面に着いたかすり傷みたいなもの。 色々考えさせられる内容だし、表現や例えば難しく読み解きにくい部分もあるが、一方で興味深くも読めた。 これは20年以上前に書かれたので新しい本も読みたい。
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「利己的な遺伝子」リチャード・ドーキンス著・日高敏隆訳、紀伊国屋書店、2006.05.05 558p ¥3,024 C0040 (2019.03.26読了)(2019.03.14借入)(2017.02.01/11刷) この本は、「生き物は、遺伝子の意のままに操られている」というこ...
「利己的な遺伝子」リチャード・ドーキンス著・日高敏隆訳、紀伊国屋書店、2006.05.05 558p ¥3,024 C0040 (2019.03.26読了)(2019.03.14借入)(2017.02.01/11刷) この本は、「生き物は、遺伝子の意のままに操られている」ということを縷々述べているものというイメージで読み始めたのですが、著者の述べていることがどうもよくわからないまま終わってしまいました。4日ぐらいで読み終わるつもりが8日ほどかかりました。 生物の習性については、いくつか興味深い事例が述べてありました。 【目次】 三〇周年記念版への序文 一九八九年版へのまえがき 序文(ロバート・L・トリヴァース) 一九七六年版へのまえがき 1 人はなぜいるのか 2 自己複製子 3 不滅のコイル 4 遺伝子機械 5 攻撃―安定性と利己的機械 6 遺伝子道 7 家族計画 8 世代間の争い 9 雄と雌の争い 10 ぼくの背中を掻いておくれ、お返しに背中をふみつけてやろう 11 ミーム―新登場の自己複製子 12 気のいい奴が一番になる 13 遺伝子の長い腕 補注 書評抜粋 公共の利益のために ピーター・メダワー卿 自然が演じる芝居 W・D・ハミルトン 遺伝子とミーム ジョン・メイナード=スミス 訳者あとがき 1980年2月 日高敏隆 第二版への訳者あとがき 1991年1月 日高敏隆 第三版への訳者あとがき 2006年3月14日 日高敏隆 訳者補注 参考文献 索引および参考文献への鍵 ●訳者あとがき(525頁) 動物にみられる一見「道徳的」な行動―たとえば同種の仲間を殺したり傷つけたりすることを避けるとか、親が労をいとわず子を育てるとか、敵の姿に気づいた個体が自分の身にふりかかるリスクをも顧みず警戒声を発するとか、働きアリや働きバチがひたすら女王の子孫のために働くとか―をどのように解釈するかは、長い間の問題であった。とくに、自己犠牲的な利他行動がいかにして進化しえたかということは、説明が困難だった。 一つの考え方が群淘汰説である。淘汰は個体にではなく、集団に働くのだと、この説では考える。利他行動によって互いに守り合うような集団は、そうでない集団より、よく生き残ってゆくであろう。 もう一つの説は、この本でドーキンスが述べている遺伝子淘汰説である。淘汰はやはり個体、いや正しくは遺伝子に働くのだというのである。 ☆関連図書(既読) 「種の起原」チャールズ・ダーウィン著・堀伸夫・堀大才訳、朝倉書店、2009.05.10 「ダーウィン『種の起源』」長谷川眞理子著、NHK出版、2015.08.01 「攻撃 1」ローレンツ著・日高敏隆訳、みすず書房、1970.01.30 「攻撃 2」ローレンツ著・日高敏隆訳、みすず書房、1970.05.15 「男性と女性 下」M.ミード著・田中寿美子訳、東京創元新社、1961.09. 「ブリンジ・ヌガグ」コリン・ターンブル著、筑摩書房、1974.04.10 (2019年3月28日・記) (「BOOK」データベースより)amazon 「なぜ世の中から争いがなくならないのか」「なぜ男は浮気をするのか」―本書は、動物や人間社会でみられる親子の対立と保護、雌雄の争い、攻撃やなわばり行動などが、なぜ進化したかを説き明かす。この謎解きに当り、著者は、視点を個体から遺伝子に移し、自らのコピーを増やそうとする遺伝子の利己性から快刀乱麻、明快な解答を与える。初刷30年目を記念し、ドーキンス自身による序文などを追加した版の全訳。
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時が経ち続編も書かれて、著者自身も学術的誤りを認めている部分もありますが、この本の価値は動物行動学や遺伝学といった学術書に留まるものではありません。この本は自分がナニモノであるのかを考える上で、非常に重要な視点を与えてくれました。 自分がナニモノかというのは定義の問題なので、...
時が経ち続編も書かれて、著者自身も学術的誤りを認めている部分もありますが、この本の価値は動物行動学や遺伝学といった学術書に留まるものではありません。この本は自分がナニモノであるのかを考える上で、非常に重要な視点を与えてくれました。 自分がナニモノかというのは定義の問題なので、必ずしも証明されうる事実に基づく必要はないでしょう。考える材料として大事なのは納得できるかどうかです。この本は私には全くの新しい領域であるにもかかわらず、圧倒的な説得力をもって私の中に入ってきてくれました。生き物とはなんなのか。生きるというのはなんなのか。他人を思いやるというのはなんなのか。なんと有難い出会いだったことか。 人生の中で大きな選択を迫られた時、「自分」が本当に求めているモノは何なのかを考える時、見栄や外聞や自己陶酔やパターン化された感情に流されずに何かを掴み取るべき時。そんな時にこの本に書かれていたことは頼もしく私を支えてくれましたし、今も私という人格の基礎の一部を成してくれていると思っています。こんな無機質に近いモノを人格の芯に加えて置くことが良いことか悪いことかはわかりません。しかしそのお陰で大抵の困難には心折れずに、自分を失わずに生きてこれたと思います。もちろん作者であるリチャードドーキンス氏には感謝していますが、18歳の時にこの本に辿り着いてくれた当時の自分にも今も感謝しています。 どうか若い人たちに読んでほしい。名著です。
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>30年経っても色あせない科学書は大変珍しい。本書の出版と同時に「科学者はどのようにして私たちの考え方を変えたか?」というドーキンスをテーマにした26人の科学者によるエッセイ集が出版されたが、そのことからも本書の影響力の大きさが伺える。
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進化的に安定な戦略(SSS)をキーワードに、生物の進化を解釈しなおした本。従来の利他的行動による種の保存「群淘汰」を否定し、利己主義による「個体淘汰」(遺伝子淘汰)を唱える。 以下注目点 ・養子を養う行動は、組み込まれた行動の誤用 ・人口増加は、何歳のときに出産するかで左右され...
進化的に安定な戦略(SSS)をキーワードに、生物の進化を解釈しなおした本。従来の利他的行動による種の保存「群淘汰」を否定し、利己主義による「個体淘汰」(遺伝子淘汰)を唱える。 以下注目点 ・養子を養う行動は、組み込まれた行動の誤用 ・人口増加は、何歳のときに出産するかで左右される。 ・医学の進歩と同様、緑の革命は、人口の増大速度を速める。 ・福祉国家は不自然。 ・利他的システムは、本来不安定なもの。利用しようとしている利己的な個体に濫用されるすきを持っているから。 ・自分自身に投資するより、若くて無力な子供に投資したほうが、自分の遺伝子に対してもっとよく貢献できる。
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wired・科学・第1位 「生物は遺伝子が利用される"乗り物"」というテーゼで知られる名著は、その後の生物学、進化論の行方に決定的な影響を与えた。 ※全体で3位 ◆ユーザーからのコメント ジーンとミームの話の影響力は絶大/大学の講義で読んだ。生物に対...
wired・科学・第1位 「生物は遺伝子が利用される"乗り物"」というテーゼで知られる名著は、その後の生物学、進化論の行方に決定的な影響を与えた。 ※全体で3位 ◆ユーザーからのコメント ジーンとミームの話の影響力は絶大/大学の講義で読んだ。生物に対する考え方が変わった/引用をよく読むのでつい読んだ気になっていましたが、実は読んだことがありませんでした(^_^;)/この本で紹介されてるアクセルロッドの論文読んだときは鳥肌が立つ程興奮したなぁ。人生を変えた本だな/僕の人生観を変えてしまった本です。我々はジーン(遺伝子)のビークル(乗り物)に過ぎない/恐ろしく誤読されている本。合わせてマット・リドレーの『徳の起源』を読んでほしい/利己的な遺伝子が生き残らせた人間の特質はむしろ「互恵的利他主義」/ドラマ「高校教師」のイメージが強いw/価値観が逆転するような本は貴重だ/高1のときに読んで超興奮しました。あのときまで私、生物系ぽかったんだけれどなー/高校のときに読んで、一発で生物が好きになった/日高先生の『利己としての死』を読んでから、これを読んだ覚えがあります。ここから動物行動学に興味が/僕の遺伝子にも刷り込まれた書(笑)。今思うとニヒリズム的すぎるきらいも
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