重力ピエロ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
再読 放火は昔から現在に至るまで大罪でこれを何件も起こしてるだけでも重罪であるのに、幾ら悪人とは言え殺人を起こしている春を自首を思いとどまらせる泉水はかなり頭がおかしいと言わざるを得ないし納得がいかない
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伊坂作品ではなかなかの重い運命というか十字架というか、血の話で喰らったのはこれが初めて。その後も似たようなものは何度か訪れるのを高校生当時の僕はまだ知らない。
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春は伊坂幸太郎作品の中で一番好きなキャラクター。 その人生のほとんどを一人で苦しみ抱え込み、心に決めた想いを考え続けたからこそ超越した精神力を持つ春。 生まれながらにしての運命に毎日内なる大きな怒りを抑えつつ、自分をコントロールしてきた彼がどれほどの辛い思いで生き続けていたか。...
春は伊坂幸太郎作品の中で一番好きなキャラクター。 その人生のほとんどを一人で苦しみ抱え込み、心に決めた想いを考え続けたからこそ超越した精神力を持つ春。 生まれながらにしての運命に毎日内なる大きな怒りを抑えつつ、自分をコントロールしてきた彼がどれほどの辛い思いで生き続けていたか。 「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」 ものすごく重たいテーマの作品だが、春のこのセリフが全てを物語っている。 素晴らしく温かい家族の愛と、春の全てを卓越したセリフの数々が、想像を絶する状況にいる家族の物語を単なる辛く悲しいものにはせず、温かくて希望と爽快感とユーモアのあるストーリーにまとまっているのが素晴らしい。 家族それぞれみんなが辛い立場にあるのに、人への思いやりと前向きに生きる心を保ち続けているところがとても素晴らしい。 あと伊坂幸太郎の他作品の黒澤が出てくるのがファンには堪らない。しかもめちゃくちゃ格好良い。 映画の展開とは色々と異なっているのでその点も二度楽しめて大満足。
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「春が2階から落ちてきた」 一行目のこれで心持ってかれて、 「本当に深刻な事は陽気に伝えるべき」 で腰抜けた。 重いイメージあったけど全然そんなことなかった。 8 / 10点満点中
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映画公開時 テレビから流れてきた予告にシビレた 円盤化を待ち ようやく観ることの出来たその作品は素晴らしく 何度も繰り返し観た そして やっと ようやく 今さらながら 原作を読んだ 分かっていたことでは あるが 文句のつけどころがない 印象的なセリフが多くて どれもメモして...
映画公開時 テレビから流れてきた予告にシビレた 円盤化を待ち ようやく観ることの出来たその作品は素晴らしく 何度も繰り返し観た そして やっと ようやく 今さらながら 原作を読んだ 分かっていたことでは あるが 文句のつけどころがない 印象的なセリフが多くて どれもメモして残したくなる 切ないし 悲しいけれど 惜しみない愛情が溢れている 幸せでいて欲しい この兄弟に 柔らかで あたたかい日常を 願わずにはいられない
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春が二階から落ちてきた。こんな言い回しから始まる本書は究極の家族小説だ。 冒頭の「春」は季節の春のことではなく、主人公である泉水の弟の名前を指している。彼らの血は半分しか繋がっていない。春は母親が少年にレイプされたことででき、産まれた子供だ。犯人は少年法に守られ、名前も世間に知...
春が二階から落ちてきた。こんな言い回しから始まる本書は究極の家族小説だ。 冒頭の「春」は季節の春のことではなく、主人公である泉水の弟の名前を指している。彼らの血は半分しか繋がっていない。春は母親が少年にレイプされたことででき、産まれた子供だ。犯人は少年法に守られ、名前も世間に知られることなく、兄弟が大人になった今ものうのうと生きている。春を産むことを決めたこの家族が、ずっと好奇の目にさらされていたことも知らずに。それでも血縁なんて関係なく、ずっと彼らは仲の良い家族であり続けてきた。遺伝子関係の会社に勤める泉水と自分の出生から性的なものを病的なまでに嫌い、ガンジーをこよなく愛する春、そして癌に侵されながらも明るい父。彼らは仙台市で起こっている連続放火事件の犯人を追いながら、それぞれの思惑を交錯させ、もっと大きな何かに巻き込まれていく。 家族に血の繋がりはいらない。本書を読んで一番に思ったことだ。生みの親、育ての親とはよく言うけれど、彼らの前では生みも育ても関係ない。泉水が、春が、彼らの両親が、家族だと思った人が家族なのだ。だからこそ、春は自分の母親を犯した犯人や性的な事柄を一切許せない。泉水にしても同じだ。しかしいずれの場合にも母親がレイプされなければ春が産まれることはなかったというパラドックスが付き纏う。そこが苦しい。母がレイプされた過去と春の誕生が結びつくこと、そして許せない相手が今もずっと反省せずに生きているのはどんなに辛いことだろう。 この家族を救ってきたのは父親の存在だ。春を産む決断をしたのも父親だった。家族の中でひとりだけ絵が上手く、それは血が繋がっていないせいだと思い込んだ春を救ったのも父の「お前はピカソの生まれ変わりだから絵が上手いんだ」という言葉だった。本書にでてくる父親の台詞ひとつひとつに当たり前に家族と思っているよという気持ちがあらわれている。 いま、世の中では「毒親」という言葉が普通に使われるようになった。実親でも過度に期待を押し付けられたり、子供を利用したりする「毒親」はいて、そういう親を持つ子供は血縁関係があっても離縁することが珍しくなくなってきている。だが、その反対の構造もあるのだ。血縁関係があっても家族じゃないひとは家族じゃないし、なくても家族は家族だ。血の繋がりを飛び越えた家族の繋がりをこの小説に見た気がした。
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敢えて☆5つ。 理由は、「救い」のあるラストにしてくれているから。 起こり得るが、あり得ない条件の重ね方。 28年前の事件に端を発し、 ・身籠もった子を生むという夫婦の決断 ・事件が周囲や生まれた本人にまで知られていること ・犯人が名を変え、この街に舞い戻ってきていて、それを被害者家族が知るようになること この3つが重なり、ラストへと導かれていく。 自分の「生」そのものに向き合い続けなければいけない”春”の心情を考えると、いたたまれない気持ちになった。 この作品を気に入ったのは、 小説として描写される以前のこの家族の様子が、ちょっとのエピソードで浮かび上がってくる点と、 語り手である兄”泉水”の、一連の落書き・放火事件の中での推理の、真実を避けているかのような『もたつき』。 それ自体が、弟”春”に対する深い、家族としての情愛を示しているように思われるから。 このような受け取り方ができるのは、僕がこの事件のような経験や苦しみを味わったことがないから。 本作は虚構の世界であるが、 現実に被害に遭う方を減らすためにも、厳罰化や教育、再犯防止のシステムなどの取り組みが必要だと思う。
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ミステリーといえば、乱歩が好きなのでこういう爽やかなのは新鮮だった 冒頭文の秀逸さは言うまでも無いけど 自分の好み的にはもっと生々しい苦しみが見たかった でもそんなのばっかだと、胃もたれしちゃうもんね
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【血の繋がっていない兄弟が放火事件を解決していく物語】伊坂さんならではの独特なテンポ。言葉の掛け合いが気持ちよかった。文章の見せ方も面白いな、と思うこともあり、なかなか良かった。伏線回収が仕切れてない部分があるように感じたが、それは私の理解力の欠如なのだろうか…。最初と最後の一文...
【血の繋がっていない兄弟が放火事件を解決していく物語】伊坂さんならではの独特なテンポ。言葉の掛け合いが気持ちよかった。文章の見せ方も面白いな、と思うこともあり、なかなか良かった。伏線回収が仕切れてない部分があるように感じたが、それは私の理解力の欠如なのだろうか…。最初と最後の一文が良かった。
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爽快感、という言葉がぴったりだなと思う。 社会から見れば狂人とされてしまう出来事でも、真実の蓋を開ければ清々しい行い。 葛城に道場できないからこその感想であり、主人公たちに同情してしまうからこその感想だ(笑)。 同時に世の中にある生きづらさをごっそり取り除いてくれるような...
爽快感、という言葉がぴったりだなと思う。 社会から見れば狂人とされてしまう出来事でも、真実の蓋を開ければ清々しい行い。 葛城に道場できないからこその感想であり、主人公たちに同情してしまうからこその感想だ(笑)。 同時に世の中にある生きづらさをごっそり取り除いてくれるような安心感がある。特に最後の方なんて……。 また読みたいと思える、素敵な話だった。
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