小さき者へ の商品レビュー
小学校の国語の教科書や、塾の国語の教材でよく出てくる重松清のお話。小6のこどもに勧められて読みました。
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古本市でたまたま出会った本。 これまで重松清さんの本はあまり読んだことがなかったが、全六篇あっという間に読み終わってしまった。 解説でもあったが、全ての篇で大きな結末を明言せず、問題解決をせずに終わっている。 ちょっとだけ前向きになったり、ちょっとだけ考え方が変わった主人公の気...
古本市でたまたま出会った本。 これまで重松清さんの本はあまり読んだことがなかったが、全六篇あっという間に読み終わってしまった。 解説でもあったが、全ての篇で大きな結末を明言せず、問題解決をせずに終わっている。 ちょっとだけ前向きになったり、ちょっとだけ考え方が変わった主人公の気持ちや表情を書いて終わっている。 正直、最初の「海まで」を読んだ時、これで終わり?結局誰が悪いの?みたいな形でモヤモヤした。 でもこれで、考えや構想を読者に任せているだなと重松清のスタイルを改めて感じた。 テーマとしては、親と子。 時より入ってくる友達。 どの家族も全然違う背景や現状があり、悩みも違う。 でも共通しているのは、お互いが本当に思っていること、伝えたいことがすれ違っていること。 本音では分かり合いたいのに、わからない。 近寄りたいのに離れていく。 それでも自分の中で大事にしたい思いも譲れない。 なんで?どうしたらいいの?というそれぞれの葛藤が様々な角度で見て取れ、考えさせられた。 やはり、人との関係は家族であっても難しい。 逆に家族だからこそ、難しい問題もあるのだろうなぁ。 自分がこの先新しい家族ができた時などにまた読んでどう思うのかを知りたいなと思う。
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これは面白いですね。あとがきで著者が言ってるんですが特に何かが解決するわけでもなくそのまま終わってしまう話が多いです。その途中での主人公や周囲の人物の心情にとっても心を揺さぶられます。解説の人も書いてありますが子供や大人どんな立場で読むかによってまた受け止め方も変わると思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
海へ 切ないと言うか辛い。老いゆく一人きりの母が重なりすぎて。長男へつらく当たるのは結局何だったのか。母とて完全無欠ではなく、老いと孤独ゆえの拗らせがあるということか。だとしたらあまりにつらい。 フィッチのイッチ 子ども視点だからこその夫婦関係の切り取り。オチは予想できたけど、それを子どもの見方で、子どもの言葉で表すことにとても意味があったと思う。ちょっとやそっとですることじゃないけど、これを読んだらちょっとやそっとでは離婚できない。 小さき者へ 相手に届くことのない手紙形式。家族の設定がしんどい。この本はこんなテイストが続いていくのか。相手に届くことのない手紙は、届かないから相手に何かを響かせることはない。だから息子はどんどん荒れていく。家族も荒れていく。全くこの先うまいこといく気がしない。どうしたらいいんだと、こっちまで頭を抱える。 団旗はためくもとに 娘目線だからか、ちょっとライトに読める。思いを伝えるというのは難しい。ラストはコテコテ。 青あざのトナカイ 勝負をかける人生と、その必要がない人生と、何が幸せか考えさせられる。勝負をかけたいという欲求自体、万人共通ではない気もするが。負けた父親が、その姿を子どもにも妻にも見せたくないという心情は、自分にも当てはまるのかちょっと考える。まぁ今回は極端に雅人の人物像が弱く描かれている。 三月行進曲 未来にもしもの入り込む隙間はどんどん小さくなってしまい、代わりに過去を振り返るともしもの分かれ道が無数にある。もしもを思うと、胸が高鳴るのではなく、締めつけられる。 男と女は分かり合えないし、男と男もうっかりすると踏み外す。自分が子どもだった時、大人をどう見取っていたかちゃんと覚えているだろうか。
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短編集 色々なうまくいかなさを抱えた父親たちが、それでも何かを応援する話。 大変なこともあるけど自分のことばっかりじゃなくて誰かを応援できる大人でありたいなあと思えた。 とくに団旗はためくもとにが面白かったです押忍。
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全6篇。 それぞれの応援のかたち。 読み終えた後の清々しい気持ち。 子どももおとなも、皆成長途中。
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私はまだ10代で、娘の立場ではあるが、父親もこういうことを思いながら家族と接してきた、あるいは接しているのだろうかと、父親からの立場を主観的に捉えさせられた。
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お父さんが私のことをこう思ってたのかなって、 伝えてもらってもいつもわからないままだ。 愛があることだけには確信を持てるような関係でいられていることが今ならとてもよくわかる。
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父親と子どもの関係を描いた短編集。 息子(娘)の考えていることがわからず、どう声をかけていいかもわからない。 あれこれ悩み、優柔不断だったり、子どもに自分の想いを押し付けて反発されたり……そして自身の子どもの頃を思い返しと、そんな父親(や、大人)が大嫌いだった……。 親となった...
父親と子どもの関係を描いた短編集。 息子(娘)の考えていることがわからず、どう声をかけていいかもわからない。 あれこれ悩み、優柔不断だったり、子どもに自分の想いを押し付けて反発されたり……そして自身の子どもの頃を思い返しと、そんな父親(や、大人)が大嫌いだった……。 親となったからでしょうか、余計に沁みる気がしますし、自分が父親と不仲である(そして、それも、この作品群とおなじ、中学に入る頃から)こともあって、これからの息子(今は2歳)との関係に漠たる不安を抱かされもします。 が、なるようにしかならないことでもあります。 重松の描く小説の登場人物は、みな何らかの悩みを抱えていたり、「負け」たりしていますが、どうにか一歩踏み出そうと頑張っていますし、それを応援してくれる人もいます。 読んでいて、決して救いや解決には至らない結末でも、暖かい気持ちになれるのは、登場人物の姿を見て、自分も「頑張ろう」と思えたり、頑張っている人を応援しようと思えたりするからかもしれません。
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「人間って2種類あると思う。野球とサッカーで言ったらグラウンドで試合する人と、スタンドからそれを見る人」 「負けは負けでいいんですよ。人間誰だって負けることはあるんだから。でも、そこからじゃないですか、男の価値っていうか、真価が問われるのって」
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