わたしを離さないで の商品レビュー
米津玄師さんのアルバム「LOST CORNER」のタイトルが、この作品からきていると聞いて手に取った。 介護人、提供者、ヘールシャムの施設…出てくるワードの意味がわかったようなわからないような不思議な感覚で読み進めていった。 ヘールシャムで行われていた作品作りや授業内容は、普通...
米津玄師さんのアルバム「LOST CORNER」のタイトルが、この作品からきていると聞いて手に取った。 介護人、提供者、ヘールシャムの施設…出てくるワードの意味がわかったようなわからないような不思議な感覚で読み進めていった。 ヘールシャムで行われていた作品作りや授業内容は、普通なようでなんとなく違和感を感じるものだったけど、真実が明らかになるにつれてすっと腑に落ちる。 置かれた環境は違えど、結局人間誰しも似たようなものなのかも。 アルバムから入ったこともあって、収録曲が脳内BGMで流れていたけど、どこかしらに漂う虚無感や諦観の境地みたいなものが共通しているなと思った。
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世間の高い評価がよく分からない。すれ違い、理解、そして勘違い……、その機微が、ズドーンと深い突拍子もない設定の中で展開される。これはよく分かるし、そのほろ苦さは心を打つ。しかし、これってある意味、昼ドラだし、本作が学園もの(+アフターストーリー)で設定が SF チックなことを考慮...
世間の高い評価がよく分からない。すれ違い、理解、そして勘違い……、その機微が、ズドーンと深い突拍子もない設定の中で展開される。これはよく分かるし、そのほろ苦さは心を打つ。しかし、これってある意味、昼ドラだし、本作が学園もの(+アフターストーリー)で設定が SF チックなことを考慮すれば、少女マンガとかライトノベルとか(ある種のアダルトゲームとか)と射程が重なる。 だからなのか、本作の設定のずぼらさは、どうしても気になってしまう。日本の読者がこの設定を受け入れているというのが少し信じがたい。設定なんて仕掛けの一つだと言う人もいるのかもしれないが、ならばそもそもそんな味付けはなければよかろう。歴史的な悲劇を舞台装置とすることで設定を流用するとか、思い切って昼ドラにしておけば良かったのにと思いつつ、それでは売れなかったろうなとも思う。
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うぅ、読み終わったら、「ずーん」ってなるよ。体じゃなくて心がね。人間のさ、複雑な関係とかも緻密に書いてあって、こんなのあり?!(ありだよ!)すごすぎんって思った。
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二日で一気に読みました。最高のストーリーだけど心は沈みます笑 一人称で語られるけどもどこか客観的な語りが読み手の心を余計に揺さぶります。
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ノーベル賞作家カズオ・イシグロの代表作。 感情の描写が直接的じゃなくて、わかりにくい部分もあるけどその分情景の描写が丁寧。 必要以上に何かを書こうとせず、何気ない日常の出来事やそのシーンを克明に描いてそこに何かを語らせる。 どちらかと言えば小説というより、映画などの映像作品に近い...
ノーベル賞作家カズオ・イシグロの代表作。 感情の描写が直接的じゃなくて、わかりにくい部分もあるけどその分情景の描写が丁寧。 必要以上に何かを書こうとせず、何気ない日常の出来事やそのシーンを克明に描いてそこに何かを語らせる。 どちらかと言えば小説というより、映画などの映像作品に近いのかも、と思った。 悲しいし、切ないけれど、読み進めていく中で自分の心の中が静かになっていく感じがした。雨の日、家に篭っている時に読みたい本。
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ノーベル賞作家カズオ・イシグロの代表作。謎めいた前半と徐々に真実が語られる後半。巧みなストーリーテリングは圧倒的です。そして、ラストは涙で視界がぼやけます。クローン人間という点で80年代のSF映画「ブレードランナー」を想起させますが、ノスタルジックなイギリスの田園風景を舞台にこれ...
ノーベル賞作家カズオ・イシグロの代表作。謎めいた前半と徐々に真実が語られる後半。巧みなストーリーテリングは圧倒的です。そして、ラストは涙で視界がぼやけます。クローン人間という点で80年代のSF映画「ブレードランナー」を想起させますが、ノスタルジックなイギリスの田園風景を舞台にこれを描くというのがすごいと思う。3.11直後の不安な生活の中で出会った忘れられない1冊。原題と同じタイトルのナッキン・コールの歌(小説とは直接関係ないのですが…)これもしみじみといいです。
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2022年12月3日 介護人、提供者、使命を終える 重い意味を持つ言葉だった。 エミリー先生やマダムの実験(と敢えていう)はキャシーやトミー、ルースのためになったのだろうか? 実験が無ければ、どう過ごしていたのだろうか? 中途半端な人道主義がむしろ残酷とも言える。
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エミリ先生の言ったこともなんとなく分かるけど幸せな時間があった分後々のことが余計に辛いよね…とも思う。でも他の提供者はヘールシャムを羨んでいたし…やっぱり一時だけでも、結末が酷なことだとしても幸せな時間があるっていうのは少し救いなのかなとも思うし…どっちが良いとは簡単に言えないかもしれない。 ルースが出てくるたびにギスギスしそうで心配したし(大体ギスギスした)本当に友達かこれ??って思っちゃった。色々なことがあっても友達続けられるのすごいよ…。 すごく後になっちゃったけどトミーとキャシーがちゃんと一緒になれて良かったと思った。 これが初めてのカズオイシグロ作品だったけど他のも読んでみたいな。
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いまやフライパンはテフロン加工があたり前になってしまいましたね 昔ながらのフライパンは登山家のキャンプ用具か職人気質の料理人が営む洋食屋の厨房でしか見かけなくなりました(そんなわけないだろ) もちろんあっという間に淘汰されてしまったのはテフロン加工が圧倒的に使いやすいからですよ...
いまやフライパンはテフロン加工があたり前になってしまいましたね 昔ながらのフライパンは登山家のキャンプ用具か職人気質の料理人が営む洋食屋の厨房でしか見かけなくなりました(そんなわけないだろ) もちろんあっという間に淘汰されてしまったのはテフロン加工が圧倒的に使いやすいからですよね 焦げつきが少なく手入れも簡単 ですが注意しなければいけないこともあります 最初のころは自分もよく奥さんに怒られました 『たわしで擦らないで』なんちて さて『わたしを離さないで』です 前々からカズオ・イシグロの作品は読んでみたかったんです なにしろノーベル賞作家ですからね で、実際に読んでみて思ったのは 凄い「したたか」だな〜ってことです ちょっと言葉悪いかもしれませんが、このお話し設定が凄い突飛なのにずっと普通の顔してるんですよ こちらが「こんなん現実にはありえないよ!倫理的にもおかしいし!」と声高に叫んでも逆にぽか〜んとされちゃうような感じ え?いやいやそんなこと言われましても…みたいな で特に説明もされずに当たり前に進んで行きます 最後にはあれ今のイギリスってこんな感じなん?みたいなね あ、なんか自分の方が間違ってたんかな なんかすみませんでしたっていう 完全に詐欺師のやり口w 私は単に同じ施設に育った男女3人の恋や悩み、希望、秘密そして別れを描いただけですよ そちらがどう感じるかは自由ですよ そして自分はまんまとそれが現実のような気がしてしまったのです そしてそしていつかそんなことが本当に現実になって その現実を世界が普通に受け入れて特になにも感じない そんな日がきたら それはかなり嫌だな〜と思いました
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救いの無いような終わり方が逆にリアルで、本当に世界のどこかで同じことが起きているような悲しい気持ちになった。 文章自体はとても読みやすいものでした。
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