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誠実な詐欺師 の商品レビュー

3.9

49件のお客様レビュー

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2010/06/25

うだるような暑さが続く中、北欧の、しかも記録的な大雪にみまわれたとある冬の話を読んでいる。 トーベ・ヤンソンといえばムーミンシリーズで有名だが、この話にはそういった妖精の類いは出てこない。 明瞭で簡潔な文体にも好感がもてる。 大人のための物語だ。 老画家アンナ、カトリとマッツの...

うだるような暑さが続く中、北欧の、しかも記録的な大雪にみまわれたとある冬の話を読んでいる。 トーベ・ヤンソンといえばムーミンシリーズで有名だが、この話にはそういった妖精の類いは出てこない。 明瞭で簡潔な文体にも好感がもてる。 大人のための物語だ。 老画家アンナ、カトリとマッツのクリング姉弟、カトリの従順な犬。 この3人と1匹の奇妙な共同生活の果ては? 湖の氷が溶けはじめる頃、マッツは彼の理想のボートを手に入れる。 アンナはもう以前のような絵は描かない。 カトリは・・・彼女は彼女のままだ。 カトリは周囲に対して自分に対して「誠実」でありつづける。 「誠実」の意味を考える。 あるいはカトリにとっての誠実さとは、正しさとは?

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2010/06/15

大変だった・・・・・・。ムーミンもiittalaもデンマークも好きだけど、私はビョークがとても苦手。頭痛のする夕方、湿り気のある暗い午後、耳鳴り。ザ・憂鬱をおもわせる。 うすい、すぐに読めるような本なのに、主人公がとてもかしこい女性で、信頼できるのに、この暗さ、不安、寄る辺のなさ...

大変だった・・・・・・。ムーミンもiittalaもデンマークも好きだけど、私はビョークがとても苦手。頭痛のする夕方、湿り気のある暗い午後、耳鳴り。ザ・憂鬱をおもわせる。 うすい、すぐに読めるような本なのに、主人公がとてもかしこい女性で、信頼できるのに、この暗さ、不安、寄る辺のなさ。 つらかった。こういうとき、途中で投げ出せたら楽なのに、最後まで読んでしまう。 なのに、夜寝る前に読みはじめて、眠かったのにつらくて先を読まないわけにいかなくて終われなくて、朦朧としながらさいごまでいったら、あまりにも謎過ぎて、もはやなにが起きたのか今でもわからないってどういうことでしょう。 もう本当にどうしたらいいかわからない。

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2009/10/22

ムーミンではないトーベ・ヤンソン。 もう全然ムーミンらしさのないトーベ・ヤンソン。 価値観の全く異なる二人がそれぞれの目的のために一つ屋根の下に暮らす。 と、書くとなにやらサスペンス感が溢れているが 実際は二人とも非常に内面に生きているのでサスペンスは起こらない。 ただ、否応な...

ムーミンではないトーベ・ヤンソン。 もう全然ムーミンらしさのないトーベ・ヤンソン。 価値観の全く異なる二人がそれぞれの目的のために一つ屋根の下に暮らす。 と、書くとなにやらサスペンス感が溢れているが 実際は二人とも非常に内面に生きているのでサスペンスは起こらない。 ただ、否応なく自分の価値観を変えねばならぬ展開は ひどく主人公に残酷な変化を強要する。 読後感が良いとは言えないが考えさせられることは必至。 物語の舞台となっているような深い雪の日に読むといいかもしれません。

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2009/10/09

北欧、という大雑把な括りで語るのはよくないかもだけども。 けど、ある大好きな北欧のサックスプレイヤーの音のその冴え渡り方。どんなにフリーキーなプレイも氷の熱さ。孤高の音色。そこにどうしても「北欧」という場所を想像してしまう。 この「誠実な詐欺師」も、読んでずっと経っていても、今な...

北欧、という大雑把な括りで語るのはよくないかもだけども。 けど、ある大好きな北欧のサックスプレイヤーの音のその冴え渡り方。どんなにフリーキーなプレイも氷の熱さ。孤高の音色。そこにどうしても「北欧」という場所を想像してしまう。 この「誠実な詐欺師」も、読んでずっと経っていても、今なお心に残っているのは、その北欧の白い雪の世界。冷え切った空気。静かで重くて動かない冬。 寒い土地だから、音を立てて燃えさかるストーブのある暖かい部屋があるわけで、それは幸せの象徴であり、そして、そこにどういう理由だか入れない、または拒絶されてしまう人もいる。そこに生まれる静かな憎しみ、恨み。 そういうものもきっと、その場所にはあるのだ。

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2009/11/11

「ムーミンシリーズ」でお馴染みのトーベ・ヤンソンの小説。 どことなく暗い雰囲気が漂う話。 本当に幸せだったのは誰なんだろうか、と頭をひねってしまうラストの秀逸さ。

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2009/10/04

簡潔で抑制のきいた文体、北欧の張り詰め澄み切った空気。厳格であまりに一途な娘の「誠実な詐欺」は、安穏とした孤独に微睡んでいた老女や、彼女の弟、村人、そして彼女自身に何をもたらしたのだろう。黒い土が顔を出す頃、確かに何かが失われ、そして生まれた。娘の犬の行方が胸に痛い。一気に読める...

簡潔で抑制のきいた文体、北欧の張り詰め澄み切った空気。厳格であまりに一途な娘の「誠実な詐欺」は、安穏とした孤独に微睡んでいた老女や、彼女の弟、村人、そして彼女自身に何をもたらしたのだろう。黒い土が顔を出す頃、確かに何かが失われ、そして生まれた。娘の犬の行方が胸に痛い。一気に読めるが、余韻が残る。冬の間にもう一度読み返したい。

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2009/10/04

中学生の時に読んで分からなかった描写に少し大人に近づいた今なら気付けた物がありました。 こうやってこの作品の魅力を少しでも共有できるなら、年を取るのも強ち悪いことでもないかもしれません。

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2009/10/04

なんだか文章が読みにくくて、よくわからない。読後感もなにやら変な感覚。なのだけど妙に景色が頭に浮かぶ。不思議な本。

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2021/09/22

「ムーミン」シリーズのヤンソンの大人向け長編。北欧の冬の凍てついた空気そのもののような雰囲気をまとった作品で、痛いほど冷たいのに美しく思わずにはいられない明澄さが、胸に迫る。他人と、自分と、ごまかしなく向き合うことは何をもたらすのか?それは必要なことなのか?張り詰めた“意思”がも...

「ムーミン」シリーズのヤンソンの大人向け長編。北欧の冬の凍てついた空気そのもののような雰囲気をまとった作品で、痛いほど冷たいのに美しく思わずにはいられない明澄さが、胸に迫る。他人と、自分と、ごまかしなく向き合うことは何をもたらすのか?それは必要なことなのか?張り詰めた“意思”がもたらす緊張感が凄い。

Posted byブクログ