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誠実な詐欺師 の商品レビュー

3.9

49件のお客様レビュー

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2012/04/14

淡々として不穏な感じが好き。ところで、解説でムーミンの著者だと知って、ものすごくびっくりした。そのあと、納得した。

Posted byブクログ

2012/04/10

トーベ・ヤンソンといえば、何をおいても〝ムーミン〟シリーズですが、この作品にも共通した雰囲気がありました。北国の憂鬱、冬の閉塞感、寂寥感、そして登場人物につきまとう孤独感などです。孤独とは、けして卑下したり、寂しがったりするものではありません。それは、誰もが背負わされたさだめなの...

トーベ・ヤンソンといえば、何をおいても〝ムーミン〟シリーズですが、この作品にも共通した雰囲気がありました。北国の憂鬱、冬の閉塞感、寂寥感、そして登場人物につきまとう孤独感などです。孤独とは、けして卑下したり、寂しがったりするものではありません。それは、誰もが背負わされたさだめなのですから。それでも世の中には、孤独をうまく受け入れられる人と、そうでない人がいます。 物語の舞台は北欧の小さな海辺の村。主人公は25歳の女性カトリ。カトリは誠実であるがゆえに、他人と親しく交わることをせず、飼い犬にも名前すらつけません。村人から信頼されていながらも、うとまれる存在です。彼女の夢は生活に困らない程度に収入を得て、15歳の弟マッツとお金の心配をせずに生きること。そんなカトリの目にとまったのが、親の遺産を受け継ぎ、大きな屋敷にひとりで住んでいる老画家のアンナでした。アンナは他人を疑う必要に迫られたことのない、世間知らずの無垢な女性です。アンナと共に暮らし始めた姉弟でしたが・・・。 誠実であることの難しさ、優しさの本質とは何かということを、この物語は厳しく問いかけてきます。そして、人にはそれぞれ、身につけた生き方があるということを、カトリとマッツ、そしてアンナと名もない犬を通じてわからせてくれます。

Posted byブクログ

2011/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

降りしきる雪に覆われた海辺の村。 数字と弟マッツのことしかあたまにないカトリ、遺産があり裕福で「親切な人」の画家アンナ。 カトリの計画によって、姉弟と犬、そしてアンナの同居が始まる―。 カトリとアンナの闘いは緊張感で息がつまる。 「誠実な人」vs「親切な人」というのはある意味面白いが、互いの流儀で相手にダメージを与える過程には痛みがある。 自分が信じていた世界を壊されるのは、苦しい。 しかし、それは自分を服従させてきた世界からの解放にもつながる。 カトリの最後の手紙の文面は、読者に委ねられる。 良心の呵責は感じていても、「恥ずべき迎合、追従、無意味な形容」はカトリらしくない。 心に綴ったそのときに、閂は外され、本格的な春が訪れる。 読み返すたびに、深みにはまる本。 少人数でこっそり語る読書会に向いている。

Posted byブクログ

2011/09/01

うそをついていながら自分を律し、誠実であろうとする姿が、妙に親近感がわくというか、自分のことのように思えるというか。 ムーミンの作家とは思えないくらいざくっときます。 まぁ、派手さはないですけどね。

Posted byブクログ

2011/07/27

年老いた画家と、住み込みで彼女の面倒を見る娘・カトリの物語。 謎めいたタイトルは、この物語にぴったりなんだと最後に納得しました。そういう物語って好きです。 読んだ後に余韻が残る話でした。そこはムーミンにも共通すると思います。

Posted byブクログ

2011/06/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

近いほうの図書館。 励まし合って読書会今月の課題本。(11.06.12) 読み始めたらあっという間に読んでしまった。 誰かを信じず、打算で、自分と弟を守ってきたカトリと 人を疑うなんてめんどくさいことはしない、しなくてもいい境遇のアンナ。 対照的な2人が関わりあうことで何が生まれたのだろう。 それぞれの生き方ゆえに問題は抱えていたと思う。 でも、そっとしておいたほうがいい部分を、お互いに壊しあってしまったように見えてしかたない。 カトリは打算を捨てることで居場所を失ったわけだけど、 今までの行き方を完全に捨て去るのは難しいと思う。 アンナは自分の意志で花柄ウサギを描かなくなったわけだけど それで仕事は大丈夫なのだろうか? 新しい芽がそれぞれの中に芽生えたところで ぶつっと話が終わってしまう。 春の訪れとともに芽生えたものは、 それが植物なら夏に向けて成長するけれど 人の心に芽生えたものは・・・? 氷の上に不用品を置くと、氷が割れたときに全部沈んで処分できるというのは かなりびっくりしたw (11.06.13)

Posted byブクログ

2011/06/03

信念というものは如何に純粋なものでも、時に残酷で容赦のない姿を見せる。答えはそれぞれのうちにあるという少し厳しめのムーミン谷。

Posted byブクログ

2011/05/22

トーベ・ヤンソンの人物描写は鋭いなー。個性的で強烈なんだけど、激情的ではないから投影しやすい。北欧だから…? 閉ざされた冬、人と人が影響を及ぼし合うようすがくっきりと。

Posted byブクログ

2011/02/22

降り積もる深い雪のなか、極めて静かに、しかし確実に、まるで獲物を狩るようにして忍び寄る『得体の知れない何か』 その『得体の知れない何か』がしっくりこず、ぼんやりとした残像でしか捉えることができなかった。 重くどっしりと身体を横たえる雪深い北欧の冬のできごと。 これまで自分の信じて...

降り積もる深い雪のなか、極めて静かに、しかし確実に、まるで獲物を狩るようにして忍び寄る『得体の知れない何か』 その『得体の知れない何か』がしっくりこず、ぼんやりとした残像でしか捉えることができなかった。 重くどっしりと身体を横たえる雪深い北欧の冬のできごと。 これまで自分の信じてきた軸を大きく揺さぶられたときに彼女は一体どうすれば良かったのだろうか。哲学的。 雰囲気は好きだが、わからなかったところも多かった。 もう少し大人になってからもう一度読みたい。

Posted byブクログ

2010/10/16

主人公カトリは計算高く、不愛想な少女。彼女のあるもくろみをめぐって物語が展開する。後半はピリピリするような緊張感に満ちている。

Posted byブクログ