気になる部分 の商品レビュー
外国文学を読む時、最近は訳者が気になるんです。エドウィン・マルハウスという本を読んでみたいと思っているのですが、その訳者さんが岸本さん。というわけでエドウィンに行く前に岸本さんのエッセーにて彼女をチェック。 いやはや、なんというか、ぶっとんでおります。 幼少期の自分語りを読んでい...
外国文学を読む時、最近は訳者が気になるんです。エドウィン・マルハウスという本を読んでみたいと思っているのですが、その訳者さんが岸本さん。というわけでエドウィンに行く前に岸本さんのエッセーにて彼女をチェック。 いやはや、なんというか、ぶっとんでおります。 幼少期の自分語りを読んでいると、え、なんかかなりへんてこな子だったのね、、、と思うのと同時に自分もそういや同じような事普通にしておったぞと気付き、強烈なショックを受けるという。 そしてどうやらご自身の変態さ(失礼過ぎる)に完全にお気づきのようで、そのなんというか自分の趣向というのか、好きな本を訳したいという感じでお仕事をされているのかなと勝手に想像。 III章「軽い妄想癖」では、今までのキテレツぶりから一転してちょっとなんというかゾッとする小話が続くんですよ・・・ いやはや、懐が深くてビックリです。彼女がお好きな本を何冊も紹介されているのですが、なんというか読むのが恐い(笑
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
岸本佐知子さんが某洋酒メーカーを辞めて翻訳家となり何年か経った33~39歳の時のエッセイで、最初のエッセイ集がこの本です。 しょっぱなから、「リニアモーターカーは根性とか念力で動いている」と密かに感じているとのたまう岸本佐知子さん。 最初のエッセイを最後に読むことになってしまったが、この本も、岸本ワールドが期待できそう♪と確信。 とは言え、遠慮して抑えている感も伝わってきて、円熟した岸本ワールドをさらけ出すまでには至っていない。 一番面白かったのは、新書版で追加された最後のエッセイで、これだけが2006年(46歳)に書かれたものだから遠慮なく自由だ。 一度も会ったことのない川上弘美さんとの思い出話を詳しく書いている。 差し向かいで飲み屋でお酒を飲んだこと、歳も住まいも違うのに小学生の時同級生だったこと、高校の時も同じクラスにいたこと。 その時々の様子が鮮明に記憶されていて、絶対にあり得ないことが具体的に次から次へと思い出され筆が止まらない。 岸本さんのエッセイは楽しい! ロールシャッハ・テストの絵がどれも「骨盤」に見えてテストにならない。 「お騒がせ」を「おさがわせ」と言う人がかなりいることに密かに気づいた。 人体で不要なもの、男の乳首問題。「乳首あてゲーム」という使い道くらいしかない。 売れ残り商品を完売させるには「福袋」にすればいい。 一卵性双生児の片方に素敵な名前を、片方にひどい名前をつけたら人間性に違いが出るか? 大人になってやらなくなることは、スキップ、ジュースのストローをブクブク吹く、月に向かって懐中電灯を照らす、クワガタに触った手を嗅いでみる、 まあ、こんな話題で埋め尽くされている。 "気になる部分"は、どうでもいい「部分」ばかりで、 トラックの車輪の後ろにぶら下がっている、あのビラビラしたものや、 ダイヤル式の電話の指止め金具や、 勤めていた会社の社長の額のホクロや、 工場見学に行った時の天井のパイプなど。 新書で200ページは少し物足りないが、期待どおり面白かった。 だけど、これで、楽しみに残しておいた岸本佐知子さんのエッセイがなくなってしまった。 これからしばらくは、何冊か残っている三浦しをんさんだな(^^♪
Posted by
予想を超えて面白かった。 収録されているエッセイの初出は、一番古いものだと1993年。だけど、時代を感じさせるものは少なく、普遍的な日常や記憶の中からお題を取り上げて深く考える過程が、上手く、面白く文章化されている、と感じる。 元々人間的にも魅力を感じていて、この本を読んで言語感...
予想を超えて面白かった。 収録されているエッセイの初出は、一番古いものだと1993年。だけど、時代を感じさせるものは少なく、普遍的な日常や記憶の中からお題を取り上げて深く考える過程が、上手く、面白く文章化されている、と感じる。 元々人間的にも魅力を感じていて、この本を読んで言語感覚も好きなことを確認できた。 岸本さんは、元々はショーン・タンの絵本の訳者として知り、その後、アトロクで翻訳者のお仕事の話だったか日本翻訳大賞の審査員としてだったか、とにかく出演し話しているのを聞き、話し方や話す内容、会話の反応から「この人、なんかちょっと気になるな……」と思っていた(そのとき一緒に出演していた柴田元幸さんも斎藤真理子さんも、みんな翻訳した本を読んでいたので、すごく面白い話を聞けたという記憶がある)。
Posted by
『ねにもつタイプ』ですっかりファンになって、出版順をさかのぼって読了。 エッセイだけど時々フィクション?の不思議な感じがほんと大好き。 クスッと笑わせつつ、幻想小説のような味わいがあります。 何より読んでいると肩の力が抜けてきて気持ちが楽になります。 岸本佐知子さんのエッセイを手...
『ねにもつタイプ』ですっかりファンになって、出版順をさかのぼって読了。 エッセイだけど時々フィクション?の不思議な感じがほんと大好き。 クスッと笑わせつつ、幻想小説のような味わいがあります。 何より読んでいると肩の力が抜けてきて気持ちが楽になります。 岸本佐知子さんのエッセイを手に取ったきっかけは、書評家の豊崎由美さんの「まだ読んでいない人が羨ましい」も一言でした。 ほんと未読の人は羨ましい。もちろん読み返しても楽しい一冊。 現在連載中の「ちくま」を購読中です。単行本になるのが待ち遠しい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いやぁ、やはりいい。 この人面白い。 もちろん誇張や脚色はあるのだろうが、空気が読めず周囲に溶け込めない、かと思えば溶け込み過ぎてそこに居ることに気付かれないという、自分のコンプレックス、妄想癖をネタにした、にやにや笑いが止まらないエッセイの連続。 翻訳家ゆえの語彙力なのだろうか、ただでさえ奇抜な場面、展開をこれでもかというほど誇大な言葉で修飾するから、ばかばかしさは最高。 『ねにもつタイプ』に続き図書館で借りた著者の作品だが、こうなってくると手元に置いておきたい気持ちすら湧いてくる。 本書は後半、著者の本業の方の話題もあり、そちらも興味深々。 本書を読む前から、以前から気になっていた『掃除婦のための手引き書』がこの著者の訳であることを知ったとき、近く読んでみようと思っていた。 加えて、本書で紹介された”ニコルソン・ベイカー”の『中二階』は、エスカレーターを昇っていく途中の考察だけで一冊が出来上がっているという、まさに岸本ワールドに通ずる世界観。 嬉しきかな、どっちも行きつけの図書館にあるぞ。
Posted by
勧められて読んだがこの独特な感性。言葉のセンス。良い意味で変人ですね。 思わず笑ってしまうネタがほとんどで基本面白い、んだけど正直「ん?」と思った描写もあったので、手放しで「好きなエッセイ」とは言えないです。でも岸本さんの他のエッセイや翻訳本も順に読んでみるつもり。
Posted by
独自の視点と観察力、分析力、表現力がないと、 趣のあるエッセイは書けないのだろうと思います。 著者の場合は、 それにユーモアのセンスと シュールな妄想癖も加わるので無敵です。 本業である翻訳の仕事の鬱憤を、 エッセイで晴らしておられるのでしょうか? べそかきアルルカンの詩的...
独自の視点と観察力、分析力、表現力がないと、 趣のあるエッセイは書けないのだろうと思います。 著者の場合は、 それにユーモアのセンスと シュールな妄想癖も加わるので無敵です。 本業である翻訳の仕事の鬱憤を、 エッセイで晴らしておられるのでしょうか? べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin237
Posted by
会社員時代の話、子供時代の話、明らかに妄想とわかる話、ちょっと判断に迷う話など色々。軽い妄想癖で済むんだろうか。類が友を呼んでいるかのような知人の話がまたおかしく。日本兵の行軍やら夜中三時の訪問客やらは一歩間違うとホラーだ。ともあれ、ロシア民謡『一週間』に対する気持ちはよくわかる...
会社員時代の話、子供時代の話、明らかに妄想とわかる話、ちょっと判断に迷う話など色々。軽い妄想癖で済むんだろうか。類が友を呼んでいるかのような知人の話がまたおかしく。日本兵の行軍やら夜中三時の訪問客やらは一歩間違うとホラーだ。ともあれ、ロシア民謡『一週間』に対する気持ちはよくわかる。私も同じようなこと思った。とくにお風呂のくだり。そろそろ岸本さんが訳した積読本を読む頃合いか……と意識しつつ読了。
Posted by
最初から最後まで『なんだろう、この感じは』と終始一貫した感覚のまま読み終わり 著者をウィキペディアで調べてると 『奇妙な味わいのエッセイ』とあり まさに言い得て妙、、、となりました。 嘘かホントか、現実か空想かわからない内容。 好みではなかったです。
Posted by
前回の「ねにもつタイプ」に引き続き、ひとりで吹き出しながら読んでしまった。電車で読むのは危険だ。みんなが知っている、知っていて当然のメジャーな話が苦手、の部分にうなずきすぎる。そうなんです、べつに自分だけ特別だとかそうではなくて、みんなが知ってるなら自分は知らなくてもいっか、とい...
前回の「ねにもつタイプ」に引き続き、ひとりで吹き出しながら読んでしまった。電車で読むのは危険だ。みんなが知っている、知っていて当然のメジャーな話が苦手、の部分にうなずきすぎる。そうなんです、べつに自分だけ特別だとかそうではなくて、みんなが知ってるなら自分は知らなくてもいっか、という感覚なんです。そしてニコルソンベイカー、すごく読んでみたくなりました。
Posted by