フェルマーの最終定理 の商品レビュー
年末に読んだこの本が、2007年のもっとも印象深い一冊となった。ある定理について、「証明の成功」のみを宣言し、実際の証明方法は明かさないまま没した17世紀の数学者・フェルマー。ピュタゴラスの定理に端を発するその単純な定理、そこへいたるまでの数学の歴史と、フェルマーが残した謎を解く...
年末に読んだこの本が、2007年のもっとも印象深い一冊となった。ある定理について、「証明の成功」のみを宣言し、実際の証明方法は明かさないまま没した17世紀の数学者・フェルマー。ピュタゴラスの定理に端を発するその単純な定理、そこへいたるまでの数学の歴史と、フェルマーが残した謎を解くべく挑戦を続けたその後300年にわたる数学者たちのドラマを描くこのノンフィクションには、現実の物語ならではの感動があふれている。数学を扱った作品ではあるが、作者であるBBC記者の文章は非常に明快で読みやすく、完全文系人間にも楽しく読める。正しく証明された「真」なる答えは永遠不変の「真」である数学の世界の美しさ、そしてその世界に生きようとする人間たちの波乱に満ちた生き様の対比が、両者ともの魅力を一層引き立てているように感じられた。
Posted by
数学界最高の問題が解き明かされるまでを順を追って説明したサイエンスブック。文科系の私でも惹きこまれるほど面白かったのは、もちろん作者の構成力や筆力なんでしょうが、今著が読みやすいのは「フェルマーの最終定理」に関わった人々を生き生きと書き込んだからだと思う。350年に及ぶ探求の歴史...
数学界最高の問題が解き明かされるまでを順を追って説明したサイエンスブック。文科系の私でも惹きこまれるほど面白かったのは、もちろん作者の構成力や筆力なんでしょうが、今著が読みやすいのは「フェルマーの最終定理」に関わった人々を生き生きと書き込んだからだと思う。350年に及ぶ探求の歴史を一人一人にスポットを当てて丁寧に人物を書いている。だから歴史上の名前が単に記号で終わらずに「その人」として現れるのだ。 正直後半の数式は丁寧に説明されても何がなにやら・・・。でもそんな数の分からない人間も関わった人の熱意やこの定理の重要性は感じることが出来た。だから感動するし面白いのだと思う。
Posted by
難しい知識は必要ないので、数学初心者でも気軽に読める。 フェルマーの最終定理にはこんなエピソードがあったのか!!数学者ってかっこいいな!!
Posted by
気になっていた本が文庫版になっていたのでさっそく購入。これはおもしろい! 名著・名映画『博士の愛した数式』以来、「数」の持つ神秘性・完全性に興味を持ち、数学というものに対する認識を改めさせられたワタシにとって、本書もまた数学のおもしろさを伝えてくれる格好の書となりました。数学とは...
気になっていた本が文庫版になっていたのでさっそく購入。これはおもしろい! 名著・名映画『博士の愛した数式』以来、「数」の持つ神秘性・完全性に興味を持ち、数学というものに対する認識を改めさせられたワタシにとって、本書もまた数学のおもしろさを伝えてくれる格好の書となりました。数学とはすなわち真理の探求、美の追求。宗教や哲学と同様に、数学もまた真実を探求しようとする人間の好奇心・執念だったのですね。そして言語を超えた「数」なるものの神秘性。数は人間が作り出した概念ではなく、世界が誕生する以前から「数」は存在していたという。この視点にわたしは目から鱗でしたよ。だから数は完全性を持つのですね。芸術や自然と同様にただただ美しいものだったのですね。すごい。 ピュタゴラスの時代から始まり、17世紀にフェルマ−が残した数学史上最大のなぞなぞは300年もの間、多くの数学者を悩ませてきたそうです。決して解かれる事のないその難問に、果敢に挑んでいった数学者たちの姿を追ったドキュメンタリー。数学書というよりは歴史書ですねコレは。いたずら好きで偏屈だったというフェルマ−の人間像も興味深く描かれています。数々の数学者が挑んでいった軌跡とそこに生まれる人間ドラマ。そう、この真理探究の道程には時代を超えた様々なドラマがあったようなのです。難しい数式を使わずに、数学者の内面にスポットを当てた著者の筆力は素晴らしいです。思わずグングン読んでしまいます。そして300年を経て遂に証明されるその瞬間。読者までもがその歴史の一部になったような感動と高揚感が迫ります。 文系理系を問わず必読の名著。
Posted by
面白い! 内容が数学で、ここまで面白い本が書けるのか、 と思うほど面白い。 数式をほとんど使わずに書いているところもいい。 われわれは学術論文が読みたいのではない。 面白い読み物としての「数学」が読める1冊。 本年のノミネート作品。
Posted by
数学が特に好きでないという方でもサクサク読み進められると思います。訳が素晴らしいですし数学の世界の奥深さを知れる良い本でした。
Posted by
青木薫先生の翻訳。難解な数式は一切登場せず、端的で的確に纏められており、留まらず読み進められる。非常に面白かった。
Posted by
「x**n+y**n=z**n n が3以上のとき、一つの n 冪を二つの n 冪の和に分けることはできない。この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる」17世紀の天才的数学者フェルマーが書物の余白に走り書きした“証明なき定理”。360年...
「x**n+y**n=z**n n が3以上のとき、一つの n 冪を二つの n 冪の和に分けることはできない。この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる」17世紀の天才的数学者フェルマーが書物の余白に走り書きした“証明なき定理”。360年間に亘り多くの数学者が挑み、跳ね返されてきたこの簡潔にして大いなる壁に、数学のすべてを集めて20世紀の超一流数学者・ワイルズが挑む!証明の過程で個々別々に数学者たちが取り組んできた様々な理論がこの定理の下に収束していく様には深い感動を覚えること必死!熱い!科学系の書籍でも抜群のオススメ度!【061228新/070703】
Posted by
フェルマーの最終定理が数年前に証明されたんやけど、 それに関するノンフィクション。すごく面白かったです。 専門的で分からんくなる箇所も特に中盤にあったけど、 それでも話に引き込む力がすごかった。 めっちゃ丁寧に書かれてるから 数学に拒否反応を示す人でも楽しめるんじゃな...
フェルマーの最終定理が数年前に証明されたんやけど、 それに関するノンフィクション。すごく面白かったです。 専門的で分からんくなる箇所も特に中盤にあったけど、 それでも話に引き込む力がすごかった。 めっちゃ丁寧に書かれてるから 数学に拒否反応を示す人でも楽しめるんじゃないかと。 ましてや高校数学をやった人は楽しめるハズ。 (高校数学が得意でも苦手でも) めっちゃドラマティックで、数学の世界は深いと知りました。 ここ最近ではぶっちぎりでオススメ。
Posted by
各登場人物達が証明にかける情熱もさることながら、難解な数論の世界を一般の読者にも分かりやすく紹介できる著者の能力に脱帽した。媒介・媒体的な機能も一つの専門的な能力であると感じた。心理援助の仕事もそのような仕事であり、媒介としての能力を高めたいと思った。
Posted by