フェルマーの最終定理 の商品レビュー
さらっと数学で当たり前に習うことも、天才的な数学者達が様々な試練を乗り越え、解き明かして証明したからこそなのだと、その努力を垣間見ることができた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
数学者たちの苦闘から完全証明を行ったワイルズに至るまで、三世紀に渡る壮大なストーリーが描かれた作品。 この作品の秀逸だと感じる点は以下三点である。 ①登場人物がどのような人であったのか、人となりが伝わるように描かれている ②3世紀にも及ぶ壮大なストーリーを、時系列順にどんな発見がなされたか巧みに記している ③数学に明るくない読者を想定して、可能な限り証明を分かりやすく表現している (詳しい方向けに補遺付き) 数学者の証明がメインであるけれど、その数学者たちがどのような環境下で、どのような思いで研究を行ってきたのかがとても分かりやすく描かれている。この壮大なドラマの中で、日本人(谷山 豊氏と志村 五郎氏)が重要な役割を果たしていたことを初めて知って衝撃を受けた。各数学者達が果たした証明が徐々に繋がって、点と点が線となり、二次元が三次元になっていくような、世界の広がりを感じた。 全く門外漢であるが、数学の美しさや証明のロマンに触れることができ、とても楽しい時間だった。こんな素敵な世界を覗かせてくれた著者に感謝。
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この本は、高校生、大学生くらいの学生の方におすすめしたい1冊です。 フェルマーの最終定理。それはピタゴラスの定理から派生させた非常にシンプルな定理です。 その定理を証明するために300年という年月、何人もの数学者、何百ページにわたる数式の論文が必要でした。 ノンフィクションな...
この本は、高校生、大学生くらいの学生の方におすすめしたい1冊です。 フェルマーの最終定理。それはピタゴラスの定理から派生させた非常にシンプルな定理です。 その定理を証明するために300年という年月、何人もの数学者、何百ページにわたる数式の論文が必要でした。 ノンフィクションなのに、まるでフィクションかのような、多くの人の人生を巻き込んだ1つの物語で、数学に明るくない私でも、最後まで楽しく読めました。 本の最初の方で、数学と科学における証明の違いが説明されます。「数学は一度証明されればそれは永遠に変わらない」。それに対して科学は「仮説を立て実験し実証して限りなくそうに違いない」というところまでの証明は可能だが、後にそれを覆す証拠も出てくることがあり、その時点でそれが最も正しいらしい答えとなるそうです。 それぞれの分野における「証明」という言葉の持つ意味について考えたことがなかったので、確かにそうだなととても納得しました。 そう考えると、数学はすべての分野において基礎であり、学生の頃もう少し踏み込んで勉強してみたかったなという気持ちになりました。 ですので、ぜひ学生の皆さんにこの本を読んでみて欲しいと思います。
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高校時代、自分は文系だったが数学が嫌いではなかった。新しい公式を覚えてそれを駆使して問題を解いたときや難解な証明問題の納得できる答えを見たときの達成感のようなものが好きだった。スケールは全く違うが、本書はそんな数学の楽しさを思い出させてくれる一冊だった。補遺にある証明も含めてわか...
高校時代、自分は文系だったが数学が嫌いではなかった。新しい公式を覚えてそれを駆使して問題を解いたときや難解な証明問題の納得できる答えを見たときの達成感のようなものが好きだった。スケールは全く違うが、本書はそんな数学の楽しさを思い出させてくれる一冊だった。補遺にある証明も含めてわかりやすく説明されているおかげで楽しんで読むことができた。 読む前はフェルマーの最終定理という存在とそれをワイルズという数学者が証明したという知識しかなかったので、新鮮な情報が多かった。特に谷山=志村予想という形で日本人も大きく関わっていたことはなんだか自分のことのように嬉しく感じた。 本書ではフェルマーの最終定理の証明はただ難解なクイズを解いただけではない大きな影響力を持つことまで説明されている。しかし作中にもある通り、ワイルズなどの数学者は必ずしも社会的な影響を意識して証明に取り組んでいるわけではないという。何かに取り組むときに「それをして何の役に立つの?」という疑問が浮かぶことが年々増えたが、好奇心を尊重するというポジティブな思考も本書は与えてくれた。
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壮大なバトル漫画を読んでいるかのようでした。プロの数学者ではない裁判官であるフェルマーが趣味程度で見つけた定理を、プロの数学者が300年かけて挑むという、もはやフィクションの世界観だと思った。 高校や大学の講義で出てきた、定理や法則の名前にもなってる数学者が続々と登場しては、...
壮大なバトル漫画を読んでいるかのようでした。プロの数学者ではない裁判官であるフェルマーが趣味程度で見つけた定理を、プロの数学者が300年かけて挑むという、もはやフィクションの世界観だと思った。 高校や大学の講義で出てきた、定理や法則の名前にもなってる数学者が続々と登場しては、フェルマーの最終定理に敗れていく中盤の内容がとても興味深く、面白かった。 一見簡単に証明できそうな問題でも、こんなにも複雑で多数の分野をまたいだ証明が必要になるというところに、数学のロマンと奥深さがあるのだなと感じた。 読み終わった後はかなりの達成感があった
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図書館員って文系ばっかでしょと思われています。理系出身者も意外といるんですよ。私はセンター試験後に文転したダメダメ元理系です。この文章を読んでいる高校生の皆さんはそんなことにならないように心底願っています。頑張ってください。阪大図書館で待っています。 さて、高校時代、数学ができな...
図書館員って文系ばっかでしょと思われています。理系出身者も意外といるんですよ。私はセンター試験後に文転したダメダメ元理系です。この文章を読んでいる高校生の皆さんはそんなことにならないように心底願っています。頑張ってください。阪大図書館で待っています。 さて、高校時代、数学ができないのに理系クラスにいた私ですが、最後まで数学を嫌いになることはありませんでした。点数も取れないし、受験対策の演習の時間には、クラスメイトがスラスラ解けるレベルの問題が全然解けなくて恥をかいたし、数学の授業には今も新鮮に嫌な気持ちになる思い出がたくさんありますが、数学自体を嫌いになることはありませんでした。それはこの本のおかげです。難しいけれど、数字や計算だけではない、その向こう側にある人間のドラマや、その数式が意味するものを教えてくれたからです。 数学好きな方も、むしろ嫌いな方も、ぜひ一度読んでみてください。最初の序章、著者がフェルマーの最終定理を解いた数学者を見かけた場面から、すっと引き込まれて、数学の歴史や、フェルマーの最終定理の証明に関わった数学者たちの人生に触れることができます。とても読みやすく書かれていますので、前提知識は必要ありません。受験勉強の合間に(特に数学をやる意味を見失いそうな時に)読んでみてください。モチベーションが復活するかもしれません。
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読みものとして、数学がチンプンカンプンでも付いて行けます。何に役立つかわからないけど、心燃やす知性への探究が堪能できます。しかしながら数学的なことを作者も理解して書いてる(当たり前だけど)のが凄いことです。
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300年間だれも証明することができなかったフェルマーの最終定理が解かれるまでを描いた数学ドキュメンタリー。 普段触れることのない「数学の世界」で戦う天才たちの終わりの見えないと苦悩と、証明がなされたときの言葉にできない達成感が伝わってくる。読後の爽快感が堪らない。そう、この問題...
300年間だれも証明することができなかったフェルマーの最終定理が解かれるまでを描いた数学ドキュメンタリー。 普段触れることのない「数学の世界」で戦う天才たちの終わりの見えないと苦悩と、証明がなされたときの言葉にできない達成感が伝わってくる。読後の爽快感が堪らない。そう、この問題が解かれるには、沢山の天才たちの、自殺を図るまでの苦悩や夜明けの決闘を経なければならなかった。 「論理的」であること、絶対にこうであると言い切れる数学はそれにのめり込む人たちを掴んで離さない。数学の学問としての魅力や完全性が伝わってくる。 そして果たしてフェルマーは正しい証明を持っていたのかどうか、それはいまなお謎のままである。ただここまで、数学者を虜にさせたのは、その数式の簡潔さだけではなくその書き残したドラマチックな「匂わせ」の一言であることは間違いない。
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この世の全ての学問で数学が一番美しいのではないか、と思わせてくれるような本だった。実際にそうではないとしても、そう思う日があったのは素敵なことだと思う。 やはり、数学に関する本の中にも日常に生かしたいと思えるような部分を見つけてしまう。統一や止揚、集中。 何かを成し遂げるには、愛...
この世の全ての学問で数学が一番美しいのではないか、と思わせてくれるような本だった。実際にそうではないとしても、そう思う日があったのは素敵なことだと思う。 やはり、数学に関する本の中にも日常に生かしたいと思えるような部分を見つけてしまう。統一や止揚、集中。 何かを成し遂げるには、愛が必要なのだろう。8年かけて、やっと一つの問題が解決されることもあるのだから。
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普段生きている上ではほとんど知ることのない数学の世界にどっぷり浸かれた。 どんな分野にもロマンがあるんだとも思いました。 読んでて素敵!と思ったことを記録しておきます。 ネタバレ…かな?ご注意を。 ・中世では愛を育むために友愛数を刻んだ御守りをお互い身につけていた(これまじで...
普段生きている上ではほとんど知ることのない数学の世界にどっぷり浸かれた。 どんな分野にもロマンがあるんだとも思いました。 読んでて素敵!と思ったことを記録しておきます。 ネタバレ…かな?ご注意を。 ・中世では愛を育むために友愛数を刻んだ御守りをお互い身につけていた(これまじでリアルにやりたい) ・女性の数学者になぜ結婚しないのか?と問うた時の答 「私は真理と結婚しているから」 ・数学者はエイプリルフールが好き(あかん) どうでもいい話ですが、 仕事で8191っていう数字を見かけて、「素数っぽい!」と思って調べたところ見事に素数でした。 なんか嬉しい。 本を読むことは、毎日に小さな気づきと喜びを増やすことなんだろうなぁ。 ほっこり。
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