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プリンシプルのない日本 の商品レビュー

3.9

124件のお客様レビュー

  1. 5つ

    28

  2. 4つ

    46

  3. 3つ

    36

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2019/11/08

日本のミスターダンディズムと呼ばれる男。風の男、占領を背負った男。 ケンブリッジを卒業後、新聞記者を経て商社へ勤務するも日本の敗戦を見越し、鶴川村で百姓へ。 その後、吉田茂に請われ衆参連絡中央事務局参与になり、日本国憲法成立などに関与。 歯に絹着せぬ物言いが気持ち良い。言葉...

日本のミスターダンディズムと呼ばれる男。風の男、占領を背負った男。 ケンブリッジを卒業後、新聞記者を経て商社へ勤務するも日本の敗戦を見越し、鶴川村で百姓へ。 その後、吉田茂に請われ衆参連絡中央事務局参与になり、日本国憲法成立などに関与。 歯に絹着せぬ物言いが気持ち良い。言葉のどれもこれもが、激しく頷けるものばかりだ。小難しくなく、実に分かりやすい。しかし、この当時から言っていた内容が今でも頷けるってことは、敗戦から現代まで政治の在り方が変わっていないってことなのか... 当時のヘルシンキオリンピックにも言及している。「オリンピックは大いに結構。然し未だ防空壕的の家屋に暮らしている人々が随分いると聞く。今回のオリンピック派遣費で、それ等の人々のために何軒かの家が出来たろうと思うと何だか変な気がする。オリンピックにケチをつける気は毛頭ないが。」 今にも通じるよな。東日本大震災、台風19号の爪痕。こないだの天皇即位の時に使った金と、北海道に移ったマラソン...どれだけの家が建ったかね。

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2019/05/04

ある時期、何人かの人に「白州 次郎」(1902〜1985)についての話を 聞いたことからこの本を手にした。 昨年あたりから、ちょっとしたブームになっているようだ。 なんでも、「白州 次郎」が書いた文章が載っているのは、 この本だけとのこと。 本人が、「文藝春秋」に寄稿した文...

ある時期、何人かの人に「白州 次郎」(1902〜1985)についての話を 聞いたことからこの本を手にした。 昨年あたりから、ちょっとしたブームになっているようだ。 なんでも、「白州 次郎」が書いた文章が載っているのは、 この本だけとのこと。 本人が、「文藝春秋」に寄稿した文章を集めた内容となっているため 意図して、書籍化したわけではない。 「白州 次郎」は、戦後の日本建国時、アメリカ(GHQ)から提示された 憲法案を翻訳した本人であり、当時の様子が書かれている。 他にも、戦後の政治家についての批判が述べられているが、 中身は、今の世の中でも通じるようなことが書かれている。 政治批評本は、あまり読んだことがないので、比較できないが、 ウワサで聞いていたよりも、実直で世の中の正しくないことを キチンと述べているように感じた。

Posted byブクログ

2019/01/20

kikainekoさんオススメ こういう気持ちいい文章が書きたいなぁ。 どきりとすること頻りで、考えさせられる内容だった。 評伝の「風の男 白州次郎」も読みたい。

Posted byブクログ

2019/01/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2019-002『プリンシプルのない日本』(白洲次郎) 2019年2冊目 (実はこっちの方が2019-001より先に読み終わっていたけれど)。本書は日本が敗戦を喫し、GHQによる日本国の再構築が図られた時代、当時の内閣総理大臣であった吉田茂の側近として活躍した白洲次郎による論考をまとめたもの。一見すると官僚などのお偉いかと思いきや、早々に政界を退き、田舎で農業をしていたというのだから面白い。 タイトルにもあるように、白洲次郎が述べることは極めてシンプルで核心を付いている。プリンシプルとは原理原則という意味であるが、まさにこの原理原則に忠実に生きた人なのだと思う。だから彼の目にはプリンシプルのない、アメリカの目を気にした政治家の動向や、筋が通っていない意思決定などが納得のいかないものに映ったのだろう。 特に印象に残ったのは、「我々の時代にこの馬鹿な戦争をして、元も子も無くした責任をもっと痛烈に感じようではないか (p.108)」「いつまでも盲目的にアメリカに追従するのはやめて、この問題など率先してアメリカに中共の存在という事実をよく納得さしてやろう位の気概を持ったらどうだ (p.206)」「何でもかんでも一つのことを固執しろというのではない。妥協もいいだろうし、また必要なことも往々ある。しかしプリンシプルのない妥協は妥協ではなくて、一時しのぎのごまかしに過ぎないのだと考える (p.219)」「人の前で恥をかかしたって、面子々々っていうけど、八月十五日以来、日本人に面子なんてあるかっていうんだ (p.274)」などの文章。 プリンシプルが明確であるからこそ、日本が敗戦したことを素直に受け止め、その上で一国としてどのように立ち上がるのかということを考え、目指したのだと思う。 ところで、このプリンシプルとは何なのであろうか。個人的には、「意思決定をするときにふと耳に鳴る言葉」こそがプリンシプルであり、この状態になるとこれが根付いているのではないかと考える。例えば、日本人にとってわかりやすい例としてことわざや四字熟語がそれに該当するのではないか。因果応報、己の欲せざるところは人に施すなかれ、山あり谷あり等々。要は、先人たちが生きてきた中で経験した失敗、成功から重要な要素を抽出し、「どう生きれば良いのか」という原理原則をすでに提示してくれている例はたくさんある。あとは、歴史にいかに学び、それを素直に認め、実行するか。ただ、それだけである気がする。

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2018/12/29

50年から60年くらい前に書かれた文章のはずなのに、どこかであったようなことを述べていると感じるのは、戦後から平成末期までの日本の社会が抱えてきた問題が、全く変わっていないということだ。全ての主張に諸手を挙げて賛成できるというわけではないのだが、ここからただ現在の政治のやり方を憂...

50年から60年くらい前に書かれた文章のはずなのに、どこかであったようなことを述べていると感じるのは、戦後から平成末期までの日本の社会が抱えてきた問題が、全く変わっていないということだ。全ての主張に諸手を挙げて賛成できるというわけではないのだが、ここからただ現在の政治のやり方を憂えるだけじゃなく、だからどうしたらいいのかということを考え、自分なりの意見を言えるようにありたい。

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2018/11/23

以前から読もうと思っていた本をようやく読む。 時代背景含め、簡単な本ではないが、著者の一端が垣間見えたように思う。 周辺知識を身につけなければならない。

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2018/10/23

本書は、白洲次郎の政治、経済に対する罵詈雑言集。1950年代の政治・経済をほとんど知らない私にとっては、それらが当たっているのかどうかは判断できないのだが、この人が言うとなんだか非常に説得力があるとともに、ある種の愛嬌を感じさせる。 また、本書の冒頭に白洲氏の友人である今日出海氏...

本書は、白洲次郎の政治、経済に対する罵詈雑言集。1950年代の政治・経済をほとんど知らない私にとっては、それらが当たっているのかどうかは判断できないのだが、この人が言うとなんだか非常に説得力があるとともに、ある種の愛嬌を感じさせる。 また、本書の冒頭に白洲氏の友人である今日出海氏が、端書を寄せている。白洲を「育ちのいい野蛮人」と一言で表したこの短文も、実に味わい深く、なかなか良い。

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2018/10/21

翻って21世紀の日本 プリンシパルベースアプローチとコンプライorイクスプレイン が求められる時代です。 日本版スチュアードシップコードが金融庁から出ました。金融庁資料には「日本には馴染みないもの」との注記がありますが、白洲次郎はとっくの昔に気づいていて、本にしているにも関...

翻って21世紀の日本 プリンシパルベースアプローチとコンプライorイクスプレイン が求められる時代です。 日本版スチュアードシップコードが金融庁から出ました。金融庁資料には「日本には馴染みないもの」との注記がありますが、白洲次郎はとっくの昔に気づいていて、本にしているにも関わらず、戦後60年、日本人は何をしてきたのでしょうか。 何も本質は変わっておらず腐っているのでしょうか。

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2018/07/21

新憲法制定の際、日本が依然として主権在君式の考え方だった事は、GHQが用意した草案を強制的に日本人のものとしておしつけるのに理想的環境だった。この憲法を平和憲法だなんて言ってありがたがってる連中は、おそらくこの憲法の出生由来を知らないのではないか。 昔の塾は塾生が塾長よりものを教...

新憲法制定の際、日本が依然として主権在君式の考え方だった事は、GHQが用意した草案を強制的に日本人のものとしておしつけるのに理想的環境だった。この憲法を平和憲法だなんて言ってありがたがってる連中は、おそらくこの憲法の出生由来を知らないのではないか。 昔の塾は塾生が塾長よりものを教わること以外に、塾長の私生活に日夜ふれてその影響を享けたことが甚大であったに違いない。 戦争に負けはしたが、奴隷になったわけではない。言うべきことは言わなければならない。

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2017/08/14

白洲はプリンシプルをどう日本語に当てはめるかを迷った。本書では「原則」に落ち着かせたが、ニュアンスは伝わりきれなかったろう。英ケンブリッジでの、日本の武士の、それぞれのプリンシプルは異なるかも知れないが、一本筋の通った原理原則、主義主張と理解した。50代の白洲が、昭和20年代の国...

白洲はプリンシプルをどう日本語に当てはめるかを迷った。本書では「原則」に落ち着かせたが、ニュアンスは伝わりきれなかったろう。英ケンブリッジでの、日本の武士の、それぞれのプリンシプルは異なるかも知れないが、一本筋の通った原理原則、主義主張と理解した。50代の白洲が、昭和20年代の国政に怒っている。GHQから押し付けられた経緯に関わった現憲法の改正。男女同権と言いつつ女性宮家ができないこと。国会一院制など、現代にも通ずる問題を提起する考え方はすごい!

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