八月の路上に捨てる の商品レビュー
30歳目前で妻と離婚する予定の敦と、自動販売機に飲料缶を補充するなどする仕事の同僚でシングルマザーである水城さんとの会話をメインに物語は進む。なんで離婚すんの、とか、そんなとこまで聞いたり話したりするんだというようなところまで語っている割には、すごくあっさり淡白にすら読めてしまう...
30歳目前で妻と離婚する予定の敦と、自動販売機に飲料缶を補充するなどする仕事の同僚でシングルマザーである水城さんとの会話をメインに物語は進む。なんで離婚すんの、とか、そんなとこまで聞いたり話したりするんだというようなところまで語っている割には、すごくあっさり淡白にすら読めてしまう。 人と出会って親しくなって一緒になって、苦しくなって誤魔化して誤魔化しきれなくなって別れを選んで。あとは、夢を追いかけて掴めなくて、でも諦めきれなくて、それでも現実には食っていかないといけなくて、というままならなさの感じもあって、そういう現実のやるせなさも感じられた。
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何者でもない、しかし、だから何者にでもなれる。 という幻想の中を、なぜか自然に生きていける期間はそう長くない。 そういう期間を過ごした覚えのある人には、むず痒く、でも懐かしく感じさせる力のある作品。 心地よい幻想から、醒めなきゃいけない時期が来ていて、薄っすら気づいてはいても、上...
何者でもない、しかし、だから何者にでもなれる。 という幻想の中を、なぜか自然に生きていける期間はそう長くない。 そういう期間を過ごした覚えのある人には、むず痒く、でも懐かしく感じさせる力のある作品。 心地よい幻想から、醒めなきゃいけない時期が来ていて、薄っすら気づいてはいても、上手く醒められない、「寝ぐずり」みたいな本でした。
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表題作は、明日離婚する男と離婚経験のある同僚の先輩女性社員の、男に関する結婚生活などのプライベートの会話と間に挟まれる男の結婚生活の回想の物語。 夫が夢を追うこと、そしてそこにお金の問題(貧困)が原因なのは、よくある離婚のパターンではある。しかし、この作品を書いた伊藤たかみさん本...
表題作は、明日離婚する男と離婚経験のある同僚の先輩女性社員の、男に関する結婚生活などのプライベートの会話と間に挟まれる男の結婚生活の回想の物語。 夫が夢を追うこと、そしてそこにお金の問題(貧困)が原因なのは、よくある離婚のパターンではある。しかし、この作品を書いた伊藤たかみさん本人も離婚を経験しており、その自身の経験も交えた物語であるとすると、また別の見方ができると感じた。婚姻届を提出するシーンで佐藤(男)の戸籍上の苗字の藤の漢字がハフジ(草冠の部分がハ)であることが判明したのだが、そこで藤の漢字にそんなちょっとの違いがある旧字があることを初めて知った。 読みやすい文体で、それゆえにあっさり読み終わってしまい、物語の本質や著者が伝えたいことを汲み取れなくなってしまいそうで、慎重に読み進めた。
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さらっと読んじゃうとふ〜んで終わっちゃう本 全て落着させて終わらせてもいない、だからこそ読み手の想像力とか感受性とか試されてる気がしなくもない 離婚することになった夫婦のいきさつを旦那さん視点で綴られた話は、ありふれた話よなぁ~と思いつつ 当事者になったらこんなに落ち着いて俯瞰...
さらっと読んじゃうとふ〜んで終わっちゃう本 全て落着させて終わらせてもいない、だからこそ読み手の想像力とか感受性とか試されてる気がしなくもない 離婚することになった夫婦のいきさつを旦那さん視点で綴られた話は、ありふれた話よなぁ~と思いつつ 当事者になったらこんなに落ち着いて俯瞰もできないか 冷静に読めるときにこそ読んで戒めにするのも良いかも 同棲カップルの日常を描いた話も淡々と穏やかに日々が過ぎているが、それこそが尊いとも言える 価値観(思考回路)が似ていることは大切か、同じことを同じように大切と考えられる二人は素直に素敵だなと思える
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大人なんだから子供らしいく。 それとなく、苛立ちは感じながらも相手が何を求めるのか気が付いているのがリアルで苦しい。 もっと素直になりたいけど近ければ近くなるほど。 孤独。 FAXはジンときた。 また、どこかに何かを残すこと自体が誰かとの会話になる。意見板がもっと帰ってきて欲...
大人なんだから子供らしいく。 それとなく、苛立ちは感じながらも相手が何を求めるのか気が付いているのがリアルで苦しい。 もっと素直になりたいけど近ければ近くなるほど。 孤独。 FAXはジンときた。 また、どこかに何かを残すこと自体が誰かとの会話になる。意見板がもっと帰ってきて欲しい。誰かとの繋がりを。どこか分かってしまう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・八月の路上に捨てる 自販機の補充作業をする男と女、仕事をしながら身の上話を話していく。それだけなのにどこか心地よく、夏の匂いがする ・貝からみる風景 スーパーの投書箱、気になるお客様の声から想像をふくらませる一夜
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日常の些細な気付きや思いを主人公目線で切り取ったお話。 状況は違えど誰しも似たようなことはありそう。
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結婚も恋愛も。自分をできれば客観的に見られて、相手ときちんと話せれば、長く続くのかもと思った。敦と水城さんのこれからが上手く行くと良いな。
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翌日に離婚する自動販売機の補充員。 翌日に異動が決まっている水城さんとのやりとりを中心に話は進んでいく。 過去を描いている部分が多く、人物たちを思い返すような小説だった。 過去を描いていることもあり、読んでいて物語の発展しない停滞感のようなものは読感としてあった。 離婚するこ...
翌日に離婚する自動販売機の補充員。 翌日に異動が決まっている水城さんとのやりとりを中心に話は進んでいく。 過去を描いている部分が多く、人物たちを思い返すような小説だった。 過去を描いていることもあり、読んでいて物語の発展しない停滞感のようなものは読感としてあった。 離婚することを決めた後、妻とゆかりの場所を巡るシーンに関してはとても情緒的で、懐かしさ共に感じることができるほど素敵なものだった。 この物語の登場人物たちにはなぜか諦めのようなものを感じる。
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いつから最初の2人は慈しめなくなってしまったんだろう。 分からないことをほうっておくとだんだん面倒だと思うようになっていくのかも。だとしたら私にも経験がある。 女らしくしなきゃ、とか家のことしなきゃ、とか性差から来る常識(ではないのだけどなんとなく染み付いていて取れないこと)を口...
いつから最初の2人は慈しめなくなってしまったんだろう。 分からないことをほうっておくとだんだん面倒だと思うようになっていくのかも。だとしたら私にも経験がある。 女らしくしなきゃ、とか家のことしなきゃ、とか性差から来る常識(ではないのだけどなんとなく染み付いていて取れないこと)を口に出し始めるととんでもなく惨めになることがあって、それに支配されてる時って男女以上の関係にはなれない。私は女以前に人間なんだ、相手のことは男以前に人間として好きになったんだと気付けたなら、きっとまたお互い様だと慈しめるはず。 そんな妄想が広がった。 結局素敵な妄想となり、お話の順番が効いてるなぁと感心。
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