ボトルネック の商品レビュー
恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい(「BOOK」データ...
恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい(「BOOK」データベースより) こ、これは好き嫌いがはっきり分かれそうな話だなぁ。 パラレルものって点は割とありきたりなんだけど、話の持って行き方は全くもってありきたりではないのでその点は好評価。 ただ「さよなら妖精」や「古典部シリーズ」などの雰囲気を求めて読まれたとしたら、大きいしっぺ返しをくらうかも。 その点ご注意を。 ちょーっと後味が悪かったので、私はその点でやや減点。 想像力(←妄想力とも言う)豊かなもんで、主人公の思想には共感できなかったけど、ボトルネックという言葉の哀しさには胸打たれました。
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好きだったノゾミが東尋坊から落ちて死んだ。 彼女を弔うためにそこを訪れていた僕・リョウは強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。 が、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。 とりあえず家へ帰ってみると、存在しないはずの「姉」のサキに出迎えられた。 どうやらここは「僕が産まれな...
好きだったノゾミが東尋坊から落ちて死んだ。 彼女を弔うためにそこを訪れていた僕・リョウは強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。 が、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。 とりあえず家へ帰ってみると、存在しないはずの「姉」のサキに出迎えられた。 どうやらここは「僕が産まれなかった世界」らしい。 僕とサキはお互いの世界の「間違い探し」をしながら僕が戻る方法を探るが・・・。 米澤さんの新刊。ミステリーではなく、かなり痛くて残酷な青春小説です。 米澤穂信・黒バージョンとでも申しましょうか。これまでの作品で滲み出ていたブラックさが全開です。 そして、よく受身の男子高校生を描かれていますが、これはその究極形。 ここまで「何もしない」主人公って逆にすごい。 なんでもないエピソードが終盤になって重要な意味をもってくるあたり、さすがでした。 が、あまりにもやりきれない読後感。 ラスト、リョウはどちらの道を選択したのか。 私はあのメールはとどめだと思ったのですがどうでしょう?
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恋人を弔うために訪れた東尋坊で リョウは意識を失う。 目覚めるとそこは“僕の生まれなかった世界”だった。 そう、そしてこの世界には 僕の世界では生まれなかった『姉』がいた。 元の世界に戻る手がかりを探す、時空を超えた姉弟。 果たしてリョウは元の世界に戻れるのか。 だーくねす。す...
恋人を弔うために訪れた東尋坊で リョウは意識を失う。 目覚めるとそこは“僕の生まれなかった世界”だった。 そう、そしてこの世界には 僕の世界では生まれなかった『姉』がいた。 元の世界に戻る手がかりを探す、時空を超えた姉弟。 果たしてリョウは元の世界に戻れるのか。 だーくねす。すごい。 論理が飛躍するし 表現は使いまわしだし、荒削り感がある。 でも、最後の章、最後の一文のパワーがすさまじい。 かなり賛否両論あるみたいだけど。 そのパワーに圧倒された。 『追想五断章』で最後の一行で物語の印象をがらりと変えるには それなりの計算が必要って書いてあった気がするけど この本もまさに構成力の賜物だなーって感じ。 それにしても、ああ、むくわれない。 きっと、リョウがいた世界にしかない良い結果もあったと思うよ。 それがこの3日間にたまたま見つけられやんだだけで。 間違い探しってかなり残酷な表現だ。 人生の岐路って気付かないうちに終わっていく。 意識しているときもあるけど 根源的な岐路は意識されないものだよね。 最近気付いた。 リョウと今現在の私の思考回路って結構似てて 若干自己投影しながら読んでしまった。P176、299とか。 なんかさ。だめだよね。 駄目って言われてるなってわかった。 考える意思が足りない。 人間は「考える葦」らしいけど 私は「やっぱり考えてない藻」って感じ。 楽なほうに流されたいんだ。 だらしがない。 東尋坊 という単語にすら思い出を見出してしまう。 馬鹿だなー。自分。 「ヒューマニストにもモラリストにもなりたくなかった」 しかし、何もかもを受け入れるよう努めたことが、 何もしなかったことが、 こうも何もかもを取り返しがつかなくするなんて。 違っていることはそれだけでは価値を生まない。 「羨ましいんだよ」
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平行物語。設定は身近で入りやすかったが、深いテーマ設定の割に、アクセントが弱かったのが残念。展開も予想の範囲を超えず、もう少しじっくり考えさせられるor意外性を味わわせてくれるようなストーリーだと良かったです。
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これを読んで、やっと米澤穂信という作家が少しだけ理解できた気がしました。 あっかるいのがダイスキで、楽しいのがいい人には オススメ出来ません。 サキというキャラクターのおかげで 凄くテンポ良く読み進められた。 青春小説であるけれども これは大人であっても深く本を読むことが好...
これを読んで、やっと米澤穂信という作家が少しだけ理解できた気がしました。 あっかるいのがダイスキで、楽しいのがいい人には オススメ出来ません。 サキというキャラクターのおかげで 凄くテンポ良く読み進められた。 青春小説であるけれども これは大人であっても深く本を読むことが好きな人なら とても良い作品に思います。 パラレルであっても、人間の核心をついた作品であり 本当に救いのない終わり方ではありますが そこから得るものは様々だなと思います。 ただ面白いから読むのではなくて この話から何かを感じとるという作業が この本の醍醐味かなと思いました。 高校生の男子に、この事実が受け入れられるのかは 謎ですが 何もせずに、生活に甘んじなんとなく生きるのではなく どうにか抜け出せないかと もがき打破するのも選択肢にあるのだと思えました。
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高校生の主人公が、自分が生まれなかったパラレルワールドに飛ばされる。冒険&青春小説かと思いきや、これがなんという後味の悪さ。でも色々と考えさせられました。やっぱりこの作者はすごい.
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パラレルワールド。そして鬱スパイラル。 自分が存在しない方が世界が少し上手くいくとわかったら。 それでも生きようという気にはなれないよ…
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読んだ後、頭に浮かんだのは敬愛する方が以前いわれた『人は自分の命を自分で絶つ自由もある』という言葉でした。 それでも・・・
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読み物としては楽しめました。 ただ「この作品が好きか?」と問われれば好きとは答えないだろうけど ラストの解釈といい、良い意味でも悪い意味でも人を選ぶ作品
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主人公がたどり着いた結論もやりきれなければ、最後の一行も怒りを覚えるほどに救いがない。 でもそこで、苦笑いして、色々なしがらみを(諦めでもいいから)振り落として、生きていってほしいなぁ・・・と希望。
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