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転がる香港に苔は生えない の商品レビュー

4.5

44件のお客様レビュー

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2024/04/06

長らく積ん読になっていたのは600頁超という量におののいていたのと、1997年と四半世紀近くも前の返還前後のことをいまさら読むのもどうかなと思っていたから。ところが、読み始めると面白くて、どんどん読み進めていけた。四半世紀前の普通の(中の下くらい?)の生活感が何となく味わえる感じ...

長らく積ん読になっていたのは600頁超という量におののいていたのと、1997年と四半世紀近くも前の返還前後のことをいまさら読むのもどうかなと思っていたから。ところが、読み始めると面白くて、どんどん読み進めていけた。四半世紀前の普通の(中の下くらい?)の生活感が何となく味わえる感じがする。騒がしくてバイタリティがあり、大陸人の生きにくさがあり、香港人の生きにくさがあり、隣の人の生活や人生を見聞きしているような近さを感じながら読んだ。 そして、返還前後の香港の空気感を確認できたのもよかった。中国に返還されることによる楽観論も悲観論も右往左往していたあの頃。25年くらいがたって、いまの香港のことを思えば悲観論が勝ってしまったような気がする。ただ、それでもきょうも香港は生きて転がり続けているはず。 この本に出てきた著者の友人・知人の人たち、いまはどうしているんだろう。特に子俊とか肖連といった若い人たちのその後を知りたい。

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2024/01/04

著者が留学生以来10年ぶりに香港に住みつき返還前後の二年間の香港生活を洞察力、若さと行動力で見事に書き上げた、渾身の一冊。

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2023/05/19

返還前に香港に添乗員として何回か 訪れていたのであの時の躍動を舞台裏から知る事が出来た。ちなみに当時の社内では国内旅行は伊豆に始まり伊豆で終わると言われ、海外旅行は香港に始まり香港で終わると言われていた。深夜特急もそんな感じですよね。 自分の失敗もさらけ出して記述頂いて おり文章...

返還前に香港に添乗員として何回か 訪れていたのであの時の躍動を舞台裏から知る事が出来た。ちなみに当時の社内では国内旅行は伊豆に始まり伊豆で終わると言われ、海外旅行は香港に始まり香港で終わると言われていた。深夜特急もそんな感じですよね。 自分の失敗もさらけ出して記述頂いて おり文章にとても信頼感が持てた。 いつかまた行ってみたいと思った。

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2022/12/25

香港返還前後に住んだ筆者のフィールドワークである。500ページを超える大著なので、文庫本も厚いと思われる。香港に行く前にこの本を読むと、観光でない香港が味わえるであろう。ガイドブックにもこの本をお勧めで掲載した方がいい。  フィールドワークでの推薦本やテキストでは紹介されていない...

香港返還前後に住んだ筆者のフィールドワークである。500ページを超える大著なので、文庫本も厚いと思われる。香港に行く前にこの本を読むと、観光でない香港が味わえるであろう。ガイドブックにもこの本をお勧めで掲載した方がいい。  フィールドワークでの推薦本やテキストでは紹介されていないのは大著であることと関係するのかもしれないが、沢木耕太郎の一瞬の夏も大著であるがフィールドワークとして詳細している。一瞬の夏というボクシングというスポーツを扱うよりも、この転がる香港の方がフィールドワークとして適していると思われる。

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2021/11/02

これまた、『地図のないところで眠りたい』で推薦されていた本。丸善の秋のブックフェアでも推薦されており、この度手にした本。 自分が好きなものへの距離の取り方、そしてその表現の仕方が絶妙である。 いくら香港のことが好きだからといって、人間だもの、時にイライラさせられることもあるし...

これまた、『地図のないところで眠りたい』で推薦されていた本。丸善の秋のブックフェアでも推薦されており、この度手にした本。 自分が好きなものへの距離の取り方、そしてその表現の仕方が絶妙である。 いくら香港のことが好きだからといって、人間だもの、時にイライラさせられることもあるし、もう嫌だと思わせられることもある。でもやっぱり好き、そんなもどかしい感じが全編に貫かれており、そのもぞもぞした感じを楽しみながら読み耽った。 本棚において、何度でも楽しみたい一冊だ。

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2021/06/09

最高でした 台湾の喧騒を思い出す、また行きたくなるけど、この本で思い出せそうな気がする 何度でも読み返したい

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2021/06/05

あらゆる出来事や物に対する、星野さんの繊細で暖かく、時にハッとさせられる洞察力に感嘆。 星野さんがその目を通じて見たもの、感じたことが、丁寧に丁寧に書かれています。 正直、読んでいると香港の街はなんて生きづらく、香港人と接するのはとても苦労するな…なんて思うことはたくさん!笑 ...

あらゆる出来事や物に対する、星野さんの繊細で暖かく、時にハッとさせられる洞察力に感嘆。 星野さんがその目を通じて見たもの、感じたことが、丁寧に丁寧に書かれています。 正直、読んでいると香港の街はなんて生きづらく、香港人と接するのはとても苦労するな…なんて思うことはたくさん!笑 でもそれと同じくらい、魅力に溢れる場所であり、力みなぎる人々なんだと思わせてくれる。それはひとえに、星野さんの力でもあります。 面白かった!他の作品も読みたい!

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2022/06/14

勤める業界のOBが勧めていて手に取った。 4ページ目で、筆者が香港の返還を北極星に例える描写がロマンティックで、それなのに華美ではなくて、この本は絶対に面白い、素晴らしい本を手に取った、と確信した。 実際に、うんざりしつつもどうしようもなく香港に惹かれている筆者による香港の喧...

勤める業界のOBが勧めていて手に取った。 4ページ目で、筆者が香港の返還を北極星に例える描写がロマンティックで、それなのに華美ではなくて、この本は絶対に面白い、素晴らしい本を手に取った、と確信した。 実際に、うんざりしつつもどうしようもなく香港に惹かれている筆者による香港の喧騒の描写が素晴らしかった。香港の様子がありありと思い浮かんだ。 この本に出てくるエリートや密航者、街の飲食店に勤める人々はいまどうしているだろうかと思わずにはいられない。いまどこで過ごし、いまの香港の現状をどんな風に受け止めているんだろう。

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2021/03/19

香港返還時期に立ち会った生き証人。生々しく生きる人々から学んだ香港の光と陰。著者は「日本はいい国だ」という言葉の意味は、自分たちが無防備でいられることだという。単一のほうが楽だから、楽な方向に向かおうとし、異物を排除しようとする。 「今我々に必要なのは誇りではなく、多様性だと...

香港返還時期に立ち会った生き証人。生々しく生きる人々から学んだ香港の光と陰。著者は「日本はいい国だ」という言葉の意味は、自分たちが無防備でいられることだという。単一のほうが楽だから、楽な方向に向かおうとし、異物を排除しようとする。 「今我々に必要なのは誇りではなく、多様性だと私は思う」 今から16年以上前に著者が感じたことだ。そして現在、我々はその時から変わっているのであろうか。世界を震撼させ続けている疫病を理由に再び楽な単一を選ぼうとしているのではないだろうか。 

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2020/04/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

香港返還の瞬間に立ち会うため、返還の前後2年間現地で過ごした筆者による記録。 政治的、経済的に不安定な中でもたくましく生きる香港の市井の人々の人生が、筆者との交流を通して瑞々しく時に生々しく描かれている。 現在の、この不安定な日々の中、勇気をもらえた作品。長編が苦手だが、読みやすい文章&電子書籍だったおかげで、どんどん読めた。 「すべてのものは変わってゆく。永遠に変わらないものなど何一つない。予期しない変化を嘆いたところでどうしようもない。ただその中で自分が生き残ることだけを考えて前に進む。」

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