阿Q正伝・狂人日記 他十二篇 の商品レビュー
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⚫︎受け取ったメッセージ 無知は最大の罪 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 中国の文学者・思想家である魯迅の長編小説。1921年、中国の新聞「晨報」に発表され、注目を集めた長編小説。辛亥革命の時代を生きる阿Qという日雇い労働の男が、ある事件をきっかけに土地を追われ、意味もわからぬまま革命に加担、処殺されるまでを描いた。自尊心が高く無知蒙昧な愚民として典型化された主人公を通して、当時の中国社会の病理を鋭く告発した作品として評価された。特にこの作品を気に入った毛沢東が談話でしばしば引き合いに出したため、魯迅の名声が高まったと言われる。 ⚫︎感想 都合の良い方ばかりを信じる人間の習性、何も学ばない人間の行き着く先は、身の破滅。常に広い視野を持とうという姿勢を大事にしなければならない。興味がなかなかわかない、でも大切だと思うことにも、一通り知識は持っていたい。
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学生時代教科書に載ってたいくつかの短編以外も急に気になって、初めて自分から魯迅の一冊を読んだ。 魯迅先生は僕の最も尊敬している人間の1人で、10年前仕事で仙台に行った時も、魯迅がかつて留学した時使っていた教室を見学したり、当時使用していたノート(確か)や成績簿の展示を見たりしたく...
学生時代教科書に載ってたいくつかの短編以外も急に気になって、初めて自分から魯迅の一冊を読んだ。 魯迅先生は僕の最も尊敬している人間の1人で、10年前仕事で仙台に行った時も、魯迅がかつて留学した時使っていた教室を見学したり、当時使用していたノート(確か)や成績簿の展示を見たりしたくらい。勉強が嫌いだったので基本的に教科書に載っている文章こそ嫌いになりがちだが、こころから感心していたのは魯迅の文章くらいだった。特に「故郷」は、今回読み返してもほとんど一文も忘れていなくて当時は確か全編暗記してたような気がする。 やはり魯迅先生は偉大な作家だけではなく、筆を武器にして戦う戦士だなぁと改めて感じた。少しずつ他の作品集も読んでいこうと決めた。
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1900年代初頭の中国の社会情勢がよく読み取れるような本だった。 中国史には詳しくないが、それでもどのような背景でこの短編・中篇小説が書かれているか、背景が思い浮かぶ描写が所々に見られた。 少し言葉が難しいところもあるが、注釈も書かれているので読み進めやすい本。
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有名な阿Q正伝を読んだ。 著者が日本に留学していたためなのか、それとも翻訳者の作風なのか、この本が書かれた時代の他の日本の文豪が書いた作風になんとなくにたもの感じる。 彼が医学から文学へ転向したのは、中国人スパイが処刑されるのを、同胞が処刑されるのをぼんやりと見ている中国人を見たからといった逸話が最初にできているが、全体を通じ、決して中国人だからというよりは、普通に昔の日本人にも通じるような、逸話が全体を通じて散見されるように思う。 もちろん中国と日本は違う文化的変化を遂げていること、当時の中国固有の社会システム等の中での出来事を語っているので、ぱっと見は違うが、何かしらの外的要因により、酒を飲んであばれる、自分を高めて見せようとする、皆でバカにするといったアウトプットにつながっていく様はなんだか日本人とも非常に似ている気がしてならない。 彼が言いたかったことは、もしかしたら下記の一文に全て現されているのではないだろうかと思ってしまった。 P.180 もし創造主を責めることを許してもらえるなら、私は言いたい。かれはあまりにも無造作に生命をつくり、またあまりにも無造作に生命をこわしすぎる。
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じぶんの書物とその発露のことを吶喊!と言える覚悟よ〜 まあなんてことなく、寂しさから、とか、あることをなんとなく書きました、とか言ってるけどほんとうに心決めてないとできないことよね、かっこいい 文章もかっこいい、逃げてないかんじがある
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清朝末期の貧窮知識人(?)を描き出す短編 ■孔乙己 官僚身分であることを示す官服(すでにボロボロになっている)を着てツケで呑む。そのうちツケも通らなくなり… ■風波 村の知識人 本を振りかざして三国志の人物批評をする “趙七爺は隣村の茂源酒店の主人である。五里四方の内...
清朝末期の貧窮知識人(?)を描き出す短編 ■孔乙己 官僚身分であることを示す官服(すでにボロボロになっている)を着てツケで呑む。そのうちツケも通らなくなり… ■風波 村の知識人 本を振りかざして三国志の人物批評をする “趙七爺は隣村の茂源酒店の主人である。五里四方の内ではたった一人の図抜けた人物で兼ねてなかなかの学者先生である。彼は学問があるのでいささか遺老の臭気がある。
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読んでてまったくわからん。笑 『孔乙己』については、宮崎市定の『科挙-中国の試験地獄-』(中公新書)の巻末近くにその背景が出てくる。それを読んでやっと少し理解できた。
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岩波文庫 魯迅 「 吶喊 」 解説 竹内好 愚民の精神を改造するには、医学でなく文芸だと宣言した「自序」に始まる短編集。苦労人 魯迅の雄叫びと皮肉といったところ 儒教道徳が人を生きづらくすることを人喰いに喩えた「 狂人日記 」〜ラストシーンは、仁義道徳をまだ知らない子供...
岩波文庫 魯迅 「 吶喊 」 解説 竹内好 愚民の精神を改造するには、医学でなく文芸だと宣言した「自序」に始まる短編集。苦労人 魯迅の雄叫びと皮肉といったところ 儒教道徳が人を生きづらくすることを人喰いに喩えた「 狂人日記 」〜ラストシーンは、仁義道徳をまだ知らない子供に将来を託したということか? 奴隷根性の世界を描いた代表作「 阿Q正伝 」〜ラストシーンは、自序の「具弱な国民は〜どんなに頑強であっても〜見せしめの材料と、その見物人になるだけだ」を意味? 政治的な意図を持つ啓蒙小説なので、対立は匂わせるだけで、抵抗を煽るレジタンス文学というより、寂寞を憂い、民心改造を強調している 「髪の話」の「すべてを忘れるのが幸福なんだ。自由とか平等とか、そんな言葉をおぼえさせると、一生苦しみの種だ」が奴隷根性だと思う 「故郷」思うに希望とは〜それは地上の道のようなものである。もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ
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近代文学の祖である魯迅による短編集。 当時の中国の社会背景や共通認識が分からなくてよくり理解できないところは多々あったが、ユーモアとシニカルの混じった魯迅の表現が面白く、一気に読了してしまった。 ・阿Q正伝 阿Qの本質はそのポジティブさにある。何が起こっても自分を蔑まず、いや蔑...
近代文学の祖である魯迅による短編集。 当時の中国の社会背景や共通認識が分からなくてよくり理解できないところは多々あったが、ユーモアとシニカルの混じった魯迅の表現が面白く、一気に読了してしまった。 ・阿Q正伝 阿Qの本質はそのポジティブさにある。何が起こっても自分を蔑まず、いや蔑むことすらも自分の長所だと捉えることで、めげずに成功を求め続ける。自分を棚に上げて他人を見下すことができる。これは人間の精神衛生的にはとても良いことだと思う。 たとえそのせいで死んでしまったとしても、阿Qは幸せだっただろう。 ・故郷 『故郷』は中学の時に教科書に載っていた以来に読んだが、当時とは違って非常に心を動かされた。自分の心境の変化によってまったく見え方が違っている故郷、今の立場の違いからまったく関係性の変わってしまった幼馴染、子世代にはそうなって欲しくないと願いながらもそれが不可能だと薄々感じている絶望感、すべて今の自分に刺さる描写だった。 何かを得たならば何かは手放さなければならない。言語化すれば自明ではあるが、改めて突き付けられると中々に手厳しい。
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阿Qの最期は自業自得である。一族の抗争など当時の人々の考え方や社会の雰囲気が短い小説の中に凝縮されておりそこが興味深い点であった。
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