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阿Q正伝・狂人日記 他十二篇 の商品レビュー

3.8

70件のお客様レビュー

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2013/05/08

国語の教科書で読んだ「故郷」が、妙に印象に残っていたので。 歪んだ倫理やおぞましい迷信を暴露した話は読んでいて背筋が寒くなった。我々の社会はこんな病根を抱えているのだよ、という魯迅の訴えを感じた。

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2012/12/10

2012年初めに読んだ。 おかしなキャラクター、当時の現状の批判、現実から逃げ続けたことによる結末。ものすごいものだった。 私の中ではベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーです。

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2012/11/05

 順序からいうと「狂人日記」が先で「阿Q正伝」が後だ。自序を除いて14篇の短篇集である。  中国社会に蔓延している病根は「馬々虎々」(マーマーフーフー)、一言で言うなら「いい加減」「どうでも良い」といった態度のことだそうだ。魯迅はこれに日本留学中に気が付き、それまでの医学を止め...

 順序からいうと「狂人日記」が先で「阿Q正伝」が後だ。自序を除いて14篇の短篇集である。  中国社会に蔓延している病根は「馬々虎々」(マーマーフーフー)、一言で言うなら「いい加減」「どうでも良い」といった態度のことだそうだ。魯迅はこれに日本留学中に気が付き、それまでの医学を止め文学に転向し、「馬々虎々」と戦い続けた。  「狂人日記」は中国の封建社会においては、支配者が儒教を利用して人間の肉をも食らうことさえも礼賛するという「礼教食人」という欺瞞を暴露している。魯迅は支配者たちが儒教を単に人民を支配する道具として利用していたに過ぎないことを小説で明らかにした。  「阿Q正伝」は魯迅唯一の中篇小説であり、かつ代表作、しかも最高傑作といわれる。ユーモアに満ちた文体で、この作品が成功した原因の一つはこのユーモアによって調子づいた「従容不迫」(しょうようふはく)の文体にあるそうだ。主人公の阿Qはその文体にピッタリのチャランポランないい加減な男であり、この文体でなければ「馬々虎々」の極め付きのような阿Qを表現することができなかっただろうといわれる。  いい加減な阿Qは気分で革命軍につこうとしたり、でも入れてもらえなかったりで、結局は銃殺刑にされてしまう。それでも村人たちは、銃殺は首切りより面白くないなどと不満をいう。彼らもどうでも良い「馬々虎々」なのだ。  魯迅はこの短篇集全体を通してこの「馬々虎々」を告発したかったのだ。

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2012/10/25

初、中国文学。狂人日記は心が病んでいた10代の頃の自意識過剰な自分を思い出した。自分の存在が他者からの観察によって認めらるっていうか、なんていうか。それを風船の様に肥大化して、もう右も左も分からない状況が私の思春期。

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2012/06/02

わたしは阿Q正伝を読んでわたしもまた阿Qだと思ったが、阿Qは阿Q正伝を読んでも己を阿Qだと思うことはないのだろう。 装飾と情緒を削いでなおふくらみと余韻のある、魯迅の文章は好みだ。 訳が良かった、日本語として好きな文章だった。竹内好訳。肌触りがしっとりさらりとしていて、心地良...

わたしは阿Q正伝を読んでわたしもまた阿Qだと思ったが、阿Qは阿Q正伝を読んでも己を阿Qだと思うことはないのだろう。 装飾と情緒を削いでなおふくらみと余韻のある、魯迅の文章は好みだ。 訳が良かった、日本語として好きな文章だった。竹内好訳。肌触りがしっとりさらりとしていて、心地良い。 とても陰鬱な色調の話で始まって戦慄いたのだが、行きつ戻りつだんだんとほの明るい色調になった。 昼の明るさではなく月のささやかな光。最初のどうしようもないどん底の絶望を読まねば、この明るさをさほどに感じなかったと思う。 話の配置の良い短編集。 最初の狂人日記の食事がすげーまずそうなのに、最後の村芝居の食事はすげーうまそうなんだよね。空豆を煮ただけなのに!

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2012/05/11

もっと劇的な凄味のある物語を期待していたのだが、肩すかしを喰らった感じ。辮髪は17世紀に満州族が中国へ侵入し、明朝を倒して清朝を樹てたとき 、この風俗を恭順の印として道士と僧侶を除く漢族の男子全部に強制したものであるという事実を初めて知った。

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2011/09/25

今でも、中国では好きな有名人のトップ10には入っているそう(1位はジャッキー・チェン、毛沢東は4位だったか) 辮髪のもつアイデンティティはすごい刺激的。

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2011/08/09

故郷なつかしいな~中学の教科書に載っていた以来。背景知識不足のためそこまで楽しめなかったけど、その時代の中国人を痛烈に批判していることはわかった。髪の話とか面白い。

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2011/02/18

1900年代初め、革命の混乱、新思想と儒教的思想とのぶつかり合いから生じる中国社会の陰鬱さをえぐり出した本書。表題作の他に12編の短編を含む。 儒教由来の封建社会が中国社会の病巣だよする魯迅は、農村社会の風景を切り取ることで、それを伝えようとした。 「狂人日記」では、儒教にお...

1900年代初め、革命の混乱、新思想と儒教的思想とのぶつかり合いから生じる中国社会の陰鬱さをえぐり出した本書。表題作の他に12編の短編を含む。 儒教由来の封建社会が中国社会の病巣だよする魯迅は、農村社会の風景を切り取ることで、それを伝えようとした。 「狂人日記」では、儒教における親を大事にする教え「孝」を例としている。人肉が薬用になるという俗信に基づく、「病気の父母には子が自分の肉を食わせなくては立派な人間ではない」という教えが儒教には存在する。 もちろん、これは親を敬う比喩でしかない。これを誤って理解し、自分も村人にいずれ食われるのだと思い込んだ狂人の手記を通して、儒教的な思想を痛烈に批判している。 元々つじつまの合わない破壊的な文体の手記が、「自分も食われる」という妄想を帯びるにつれ、恐怖感を露わにしていく様は、生々しく、戦慄させられる。妹の肉を食べたと思い込み、崩壊するラストシーンも衝撃的だ。 表題作「阿Q正伝」では、最底辺階級に属する阿Qを通して、中国農村社会の旧き悪しき習慣を切り取る。打破出来ない封建制度の根強さ、そして革命の到来が阿Qを絶望の道へと歩ませる。 近所の遊び人にボコボコにされても「せがれにやられたみたいなもんだ」などとほざく、異常なほどのポジティブシンカーである阿Q、一見、彼のこの性質を魅力的に捉えることが出来なくもない。 しかし、暴行されてる最中に「自分は虫ケラだ」と痛々しく許しを請い、その後すぐに「自分は自分を軽蔑できる第一人者だ」と言い放ち、意気揚々と去るその姿からは、病的な何かを感じ、寒気が走る。 儒教的な封建制度が、そんな阿Qを作り出してしまったとするならば、この時代にはびこる闇とそのパワーが圧倒的なものであったことを明確に物語っていることになる。 その他にも、「兎と猫」のような寓話的な世界に心の闇を映してみたり、「小さな出来事」のように訓示的なアプローチをとってみたりと、魯迅の作家としての意思が垣間見える。 しかし、全体的に文体が難しく、また註が多すぎて、ストーリーがつかみづらい。中国の制度や慣習を厳密に解説してくれているのはありがたいが、初心者には厳しい。何度も読み直してこそ得られるものがあるのかも。そういう意味で、星4つ。

Posted byブクログ

2011/01/31

要するに只当時の中国に、警鐘をならすだけの作品でないと感じた。慣習や自分の集団のもつ思想はずっと人を縛るものだし、これからもそうだ。そこから外れることは異端となることである。今にだって置き換えることができる価値観の問題じゃないかと思う

Posted byブクログ