阿Q正伝・狂人日記 他十二篇 の商品レビュー
格差社会の最下層として生きる上で、なんでも自分の都合よく考え、自分を騙すくらいでないと、生きるのが辛いのではないかと感じた。 最後無抵抗のまま死んだのは、自分が周りより劣っていてとてもちっぽけな存在だということに気づいてしまったから、無抵抗のまま死んだのだと感じた。 当時の中国の...
格差社会の最下層として生きる上で、なんでも自分の都合よく考え、自分を騙すくらいでないと、生きるのが辛いのではないかと感じた。 最後無抵抗のまま死んだのは、自分が周りより劣っていてとてもちっぽけな存在だということに気づいてしまったから、無抵抗のまま死んだのだと感じた。 当時の中国の情勢がよく伝わる内容であった。
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誰が狂人だって言うんだ。お前が狂人なのではないか?昔からやってるからっておかしくはないのか? それを指摘する俺が狂人だって言うのか?? 疑心暗鬼になる彼、中国の当時の様子が伝わりました。 故郷。まるでペールグリーンのような爽やかな物語。風を感じる。日本にも通じるようなノスタルジ...
誰が狂人だって言うんだ。お前が狂人なのではないか?昔からやってるからっておかしくはないのか? それを指摘する俺が狂人だって言うのか?? 疑心暗鬼になる彼、中国の当時の様子が伝わりました。 故郷。まるでペールグリーンのような爽やかな物語。風を感じる。日本にも通じるようなノスタルジー。
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おまえ(祖国フィリピン)は社会的な病に苦しんでいる。わたしはみずからの自尊心さえ犠牲にして、ベールに隠された(病に苦しむ)おまえの姿を明らかにしよう。わたしもおまえの子として、おまえの欠点と弱点のために苦しまなければならない。ホセ・リサール『ノリ・メ・タンヘレ』1887 ***...
おまえ(祖国フィリピン)は社会的な病に苦しんでいる。わたしはみずからの自尊心さえ犠牲にして、ベールに隠された(病に苦しむ)おまえの姿を明らかにしよう。わたしもおまえの子として、おまえの欠点と弱点のために苦しまなければならない。ホセ・リサール『ノリ・メ・タンヘレ』1887 *********************** 強者には媚びへつらい、弱者には威張り散らす。強者の理不尽には理屈をつけて自分を慰める精神勝利法。ちっぽけな自尊心を癒している。無知と無自覚。中国民衆に蔓延した情けない道徳観(奴隷根性)を変えなければならない。魯迅『阿Q正伝』1922 女の天性には母性と娘性とがあるが、妻性はない。妻性は無理に作られたもので、母性と娘性との混合でしかない。魯迅『面己集 小雑感』 絶望は虚妄である。希望がそうであるように。魯迅『野草』1927 魯迅。日本へ留学(1902)。(現)東北大学医学部で藤野教授に医学を学ぶ。魯迅「中国人は日本人の誠実さ・真面目さを学ばなければならない」 ▼同胞が公開処刑されるのを好奇の目でみる中国民衆に衝撃を受ける。文学で民衆の精神を変えようとした。
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標題の「阿Q正伝」は、阿Qと呼ばれる名前もはっきり分からない、行状もはっきり分からない、当時(1920年頃)の中国の最底辺で暮らす、家も無い、家族も無い、日雇労働者で稼いだ金は全て飲み代に使ってしまうような男が主人公。 皆から馬鹿にされ、しょっちゅう殴られているのだが、変なプ...
標題の「阿Q正伝」は、阿Qと呼ばれる名前もはっきり分からない、行状もはっきり分からない、当時(1920年頃)の中国の最底辺で暮らす、家も無い、家族も無い、日雇労働者で稼いだ金は全て飲み代に使ってしまうような男が主人公。 皆から馬鹿にされ、しょっちゅう殴られているのだが、変なプライドがあり、例えば殴られた時でも「息子に殴られたようなものだ」とか「我こそ自分を軽蔑出来る第一任者なり」などと考え、自分を納得させて、殴った相手よりも意気揚々とその場を立ち去る。 しかし、自分よりも見すぼらしい者や女性のことは軽蔑している。 ある時、その町に革命軍がやってきた。その革命軍が町の有力者を怯ませたと聞いて、「革命軍に入るのも悪くないな」と考えるのだが、革命軍側についたのは、町の有力者で、阿Qは革命軍に入れて貰えるどころか、とっととその場を去れと言われる。 結局、無実の罪で、拘束され、それでも見せしめの処刑になる寸前までそのことに気づかず、悲しい最後を遂げる。 これは中国の当時の社会の闇なのか、その当時の世界の流れなのか、それとも負の連鎖で、今のこの日本でもこのようにいつまでも報われない底辺の人がいることに私が気付いていないのか……と哀しくやるせなくなる中篇だった。 他の作品は短編が多く、社会の底辺の悲哀を描いたものが多かった。魯迅は、自序に書いている通り、子供の頃は父親の病気のために、質屋とくすりやに通い詰める、貧しい暮しではあったらしいが、それでも少しは人を雇うような家で、当時の西洋学を学ぶ学校に行き、日本にも留学している。「故郷」という作品では、子供のころ仲良くした使用人の息子と二十年ぶりくらいに出会い、「旦那様」と呼ばれ、彼の暮らしが大変で有ることに距離感を感じてしまう寂しさが書かれていた。 貧しさの経験があり、底辺の人を描きながら、ある程度偉く有名になってしまった自分に矛盾を感じていたのかもしれない。
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「故郷」は確か、高校の現代文の授業で読んだ覚えがある。非常に情景描写の美しい短編で、印象的である。特に好みなのは、「孔乙己」。酒場の描写で、映画「紅いコーリャン」のワンシーンを思い出した。それにしても、孔乙己はお人よし過ぎたのだ。 中国事情に疎すぎるため、巻末の注をパラパラとみて...
「故郷」は確か、高校の現代文の授業で読んだ覚えがある。非常に情景描写の美しい短編で、印象的である。特に好みなのは、「孔乙己」。酒場の描写で、映画「紅いコーリャン」のワンシーンを思い出した。それにしても、孔乙己はお人よし過ぎたのだ。 中国事情に疎すぎるため、巻末の注をパラパラとみていると、頁がなかなか進まなくて苦労した。背景知識もある程度ないと、本当の意味では楽しめないのかもしれない。
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この歳になるまで魯迅を読まずに来てしまったのですが、勿体ぶらずにさっさと読んでおくべきだった。こういう世界であったか、まさに近代文学。著名な表題作のほか、「故郷」のラスト1行が心を打ちました。
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阿Q正伝 自分の中で折り合いをつけていく阿Qの考え方は必要 読んでいてつげ義春を思い出した 井上井月に似てる
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多分大多数の人と同じく、教科書で「故郷」を読んだだけで大人になってしまったのだが、名作をきちんと読みたいと思うようになり、読んでみた。やっぱり魯迅は竹内好、と昔買ってほったらかしていた岩波文庫を読む。 原題は『吶喊』。はじめの「自序」で、魯迅が文学を志し、この短編集を書くに至った...
多分大多数の人と同じく、教科書で「故郷」を読んだだけで大人になってしまったのだが、名作をきちんと読みたいと思うようになり、読んでみた。やっぱり魯迅は竹内好、と昔買ってほったらかしていた岩波文庫を読む。 原題は『吶喊』。はじめの「自序」で、魯迅が文学を志し、この短編集を書くに至った理由が綴られている。父が闘病中、名医と言われていた漢方医にかかり、高価な薬(三年霜にあたった砂糖きび、つがいのコーロギなど、)を処方された挙句死んでしまい、「漢方医というものは意識するとしないとにかかわらず一種の騙りに過ぎない」と西洋医学を学ぼうとするが、仙台の医学専門学校に留学した時、ロシアのスパイの容疑で斬首される中国人と、その様子を見る野次馬の中国人のスライドを見せられ、「医学などは肝要ではない、と考えるようになった。愚弱な国民は、たとい体格がよく、どんなに頑強であっても、せいぜいくだらぬ見せしめの材料と、その見物人になるだけだ。病気したり死んだりする人間がたとい多かろうと、そんなことは不幸とまではいえぬのだ。むしろわれわれの最初に果すべき任務は、かれらの精神を改造することだ。」と考えるに至る。 その思いが一番よく表れているのが「阿Q正伝」である。この本の中で一番長い。最底辺に生きながら、自分の中で理屈をつけてプライド高く生きる愚かな男阿Q。その死に方は、魯迅の憤りを伝える。お前たちは阿Qと何の違いもないのだぞ、ここまで書けばわかるだろう、という。 しかし、本当に名作なのは「孔乙己」ではないかと思う。「故郷」もそうだが、ここには憐れみとやさしさがある。ユーモアは阿Qにもあるが。その他「薬」「小さな出来事」「端午の季節」なども良い。これを読むと、魯迅が作家として優れていることがよくわかる。 名作はやはり読む価値ありと思える一冊だった。
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再読。20世紀の初め、動乱の大国中国で地を這うように生きる阿Q達。かつてよりも自分と阿Qが重なるのを寂寞たる思いで読んだ。別に人生に絶望を感じている分けでなく、諦めた分けでもない。ただ、色んなものを受け入れやすくなっている自分の変化に気づけた。
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「それになんとまぬけな死刑囚ではないか。あんなに長いあいだ引き廻されながら、歌ひとつうたえないなんて。これでは歩き損じゃないか、というのだ。」 ちゃんと読んだことなかったけど面白いね。阿Qとそれを取り巻く人々を通じて旧弊な前近代が浮き彫りになる。その一方で、阿Qの死は近代化の波の...
「それになんとまぬけな死刑囚ではないか。あんなに長いあいだ引き廻されながら、歌ひとつうたえないなんて。これでは歩き損じゃないか、というのだ。」 ちゃんと読んだことなかったけど面白いね。阿Qとそれを取り巻く人々を通じて旧弊な前近代が浮き彫りになる。その一方で、阿Qの死は近代化の波のなかで起こっていて、だから阿Qを殺したのは前近代と近代との相克だとも言える。
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