月光ゲーム Yの悲劇'88 の商品レビュー
作品解説:夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われたように...
作品解説:夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われたように出没する殺人鬼! 有栖川有栖のデビュー長編。 登場人物が17人という多さだが、それぞれが見事に個性を発揮しており、読み手の混乱を招かないようになっている。この人物設定のうまさが以降の学生アリスシリーズを生み出したのだろう。
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以前読んだ「双頭の悪魔」は、 同シリーズ3作目で 著者の最高傑作と謳われる作品だが、 物語もトリックもさほど良くなかった。 その為、有栖川作品自体を敬遠していたが、 ラノベとして読めばなかなか楽しめた。 後半に差し掛かっても、 真相が全く見えて来ず、 最後まで楽しんで読めた。...
以前読んだ「双頭の悪魔」は、 同シリーズ3作目で 著者の最高傑作と謳われる作品だが、 物語もトリックもさほど良くなかった。 その為、有栖川作品自体を敬遠していたが、 ラノベとして読めばなかなか楽しめた。 後半に差し掛かっても、 真相が全く見えて来ず、 最後まで楽しんで読めた。 真相自体は驚くほどのものでなく 残念だったが、 本格ミステリを備えた 青春ストーリーとしては なかなかだと思う。
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とにかく登場人物が多くて、序盤は覚えるのに一苦労。火山の噴火シーンもリアリティがあってよかったし、クローズドサークルものは読んでいてドキドキするのでやっぱり好きだな。ダイイングメッセージや、トリックに至ってはなるほどと思ったが、ちょっと動機が薄くないか?と思うのだが、何が人を鬼に...
とにかく登場人物が多くて、序盤は覚えるのに一苦労。火山の噴火シーンもリアリティがあってよかったし、クローズドサークルものは読んでいてドキドキするのでやっぱり好きだな。ダイイングメッセージや、トリックに至ってはなるほどと思ったが、ちょっと動機が薄くないか?と思うのだが、何が人を鬼にするかは人それぞれといったところか。推理小説であり甘酸っぱい青春小説であり、なかなかに楽しめた作品であった。にしても、救助来るの遅すぎやしないか…?
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(あとで追記予定) そういえば読んだことなかったなと思ったので購入。 この作品は夏に読みたいなと思ったので、7月まで寝かせてから手に取りました
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ミステリが好きだと言いつつ、ミステリの何たるかという小難しいことを語ってくる人や、それを鼻にかけてくるミステリ好きは苦手なのだけど、基本も読んでみたいなぁと思わせてくれる作品だった。 ただ、登場人物が多すぎて、その上キャラが特筆してたっていないせいか、なかなか把握しずらいので(特に男性キャラ)流れを追うのに誰が何だって?と首をかしげることも。 何より、主人公であるアリスの惚れっぽさというか、若気の至りなのだろうけど後先考えなさに呆れてしまった……。 いくら好きな女の子といえど、数日のうちの知り合いで、人を殺したかもしれないという疑いがあるのにも関わらず、その彼女の行為を黙認するような行為……。 いくら何でも軽率というか軽薄では。 探偵役は作家アリスと同じようにアリスではなく江神だけれど、主人公としては褒められたもんじゃない……という感が拭えない。 私が名探偵コナン好きだからなのかもしれないけど。 江神の推理はわからなくもないけど、なんとなくもやっとする感じは残る。 犯人本人も言っていたけれど、そんなことで殺人を…?としか言いようがない。 動機がもっと明確なら納得できたのだろうか。
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有栖川有栖のデビュー作。学生アリスシリーズは「双頭の悪魔」→「孤島パズル」と逆走した形で読んだ。アリスは大学に入学したばかりの法学部1回生。入部した推理研究部の面々と共に矢吹山にキャンプに出かける。そこで意気投合した他大学の学生と共に楽しむ筈だった。休火山の矢吹山が噴火するまでは...
有栖川有栖のデビュー作。学生アリスシリーズは「双頭の悪魔」→「孤島パズル」と逆走した形で読んだ。アリスは大学に入学したばかりの法学部1回生。入部した推理研究部の面々と共に矢吹山にキャンプに出かける。そこで意気投合した他大学の学生と共に楽しむ筈だった。休火山の矢吹山が噴火するまでは。孤島と化した矢吹山で起こる殺人事件。犯人は?その動機は?登場人物が17人もいる大所帯な物語。アリスのほのかな恋愛。そして全て大学生なので青臭く、恋愛もなんとなく潔癖な所も。全員が極限状態に陥ると心も荒む。関係もぎくしゃく。不安定な精神を上手く出てると思った。
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後の作品と随分作風が違うのでビックリした。 クローズドサークルもので、状況は古典的だけど、ちゃんとドキドキハラハラする。 謎解きも、へえ〜ってなる。 それはいいんだが… 動機が全然納得出来ない! 美加さんの仮説の方がまだ納得出来るんですけど! なんでこうしたの?? そりゃあ賞通らんわ〜。。。
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大学のサークルメンバーでのキャンプ。 そこで出会った人達と、密室になってしまったキャンプ場。 楽しいだけのはずが、殺人事件に発展。 当然犯人はこの中にいる! という状態。 よくある事態ですが、精神のすり減り具合が 半端ない状態です。 しかし、それは犯人にとっても同じ事。 そんな...
大学のサークルメンバーでのキャンプ。 そこで出会った人達と、密室になってしまったキャンプ場。 楽しいだけのはずが、殺人事件に発展。 当然犯人はこの中にいる! という状態。 よくある事態ですが、精神のすり減り具合が 半端ない状態です。 しかし、それは犯人にとっても同じ事。 そんな犯人は、必死に知恵を絞ってどうにかこうにか。 思いつきもしなかった保管に、案外冷静だな、と。 動機も分かりませんし、どうやったのかも謎。 最後の解決編までに、すべてのヒントが出てるそうですが さっぱりまったく分かりません。 言われて、あぁなるほど、と納得するぐらい。 ミスリードさせるような描写が多すぎです!w
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推理小説研究会に所属する4名を始めとする17名の大学生の男女がアウトドアキャンプに訪れた山で火山の噴火によって下界から隔離され、そのクローズドサークルを舞台に、一人が失踪、そして殺人が繰り広げられていく。 最初は、火山という非現実的に思えた舞台、登場人物の多さ、登場人物たち...
推理小説研究会に所属する4名を始めとする17名の大学生の男女がアウトドアキャンプに訪れた山で火山の噴火によって下界から隔離され、そのクローズドサークルを舞台に、一人が失踪、そして殺人が繰り広げられていく。 最初は、火山という非現実的に思えた舞台、登場人物の多さ、登場人物たちの方言や口調、ふりがなが振られていないと読めない単語たち、さらっと出てくる知らない単語たち…、それらから、取っ付きにくそうなやや年配の作者の小説、という印象を抱いた。最近若い作者の小説を中心に読んでいたせいもあるかもしれないけれど。後になって調べてみると、作者はタイトルにある88年当時29歳、そんなに古い人ではなかった。そのおかげもあってか、少し読み進めると自らアクセルを踏むように引き込まれていった。 難点は、登場人物の多さ。カバーの裏、表紙の裏に登場人物の一覧が載っているのだが、できる限りそれに頼らず読もうとした結果、何度も語り手有栖川有栖とその他の人物が出会った場面を見返す羽目になり、そしてそれは犯人を暴くシーンになってまでも続いた。批判するほどには苦にはならなかったが。 最も残念なのは、動機の弱さ。青臭い大学生で、非現実的な状況だから仕方ないか、では済まないくらいに違和感があった。 読み手のテンポを巧みに操る改行の巧さ、人物が多い中で誰の台詞で誰がどう動いたのかをくどくなく描写してみせるなど、ストーリーやトリックの巧みさのみならず、そういった作者の力量で、話に引き込まれていったのだろうと思う。 学生アリスシリーズ、いつかは読み進めてみようと思う。
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別々の大学から来た4グループがキャンプ地に選んだ山が突如噴火して大学生達は閉じ込められてしまう。本来なら協力して乗り切らなければならないはずの場面で何故か起こる殺人事件。犯人は閉じ込められた大学生達以外には考えられないが、何故噴火が起きたばかりの極限状態で殺人が行われたのか? ...
別々の大学から来た4グループがキャンプ地に選んだ山が突如噴火して大学生達は閉じ込められてしまう。本来なら協力して乗り切らなければならないはずの場面で何故か起こる殺人事件。犯人は閉じ込められた大学生達以外には考えられないが、何故噴火が起きたばかりの極限状態で殺人が行われたのか? 一般的なミステリー小説に置いて重要視されるのは、「どうやって殺したのか」「誰が犯人なのか」の二点であるように思える。だからこそ物語の構成を深く見ていけば、結構犯人は予想できたりもするのだ。しかし、本作では「何故殺人が起きてしまったのか」という一点が大きな意味を持っている。その理由を推理するのはかなり難しいように思える。だから、私も解決編に至るまで全く真相を推理することができなかった。 明確な探偵役がいないというのも本作の特徴の一つだろう。素人探偵が事件を解決するというパターンは珍しくも無いが、この作品も例に漏れず最終的に真相を当てるのは推理研の部長である。こう言ったパターンに多いのは満足な捜査が行われない点だろう。 本作でも閉鎖空間であるために死体や現場の検証は殆ど行われない。せいぜいが現場に残された“Y”というダイイングメッセージに思い悩む程度である。 解決の前には作者から読者への挑戦状があり、こてこてのミステリー然をしている。時々思うのだがこういった挑戦を真正面から受けて立ち、見事勝利できる読者はどれほどいるのだろうか。
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