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影武者徳川家康(下) の商品レビュー

4.5

60件のお客様レビュー

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秀忠・柳生との暗躍に…

秀忠・柳生との暗躍に勝ち続けた二郎三郎。しかし裏を返せば秀忠を鍛える結果に。超大作完結。

文庫OFF

著者は少年誌でも家康…

著者は少年誌でも家康の時代を見事に描写!活字の方も見劣りしません。

文庫OFF

2023/03/10

上・中・下巻読了。 覚えきれないほど大勢の登場人物に膨大な量のエピソードや事件。ものすごく読み応えがありました。時間をおいて読んでもたちまちその世界観に引き込まれました。人物が魅力的。甲斐の六郎の凄味(こんな言葉では薄っぺらすぎますが)。影武者二郎三郎の生き様。秀忠の悪役ぶりさえ...

上・中・下巻読了。 覚えきれないほど大勢の登場人物に膨大な量のエピソードや事件。ものすごく読み応えがありました。時間をおいて読んでもたちまちその世界観に引き込まれました。人物が魅力的。甲斐の六郎の凄味(こんな言葉では薄っぺらすぎますが)。影武者二郎三郎の生き様。秀忠の悪役ぶりさえ徹底していてある意味あっぱれでした。あの時代を、徳川家康という人物を、別な視点で見ることが出来ました。 美しい終わり方。 桜の花びらの舞い散る中での酒宴が目に浮かぶよう…。今年の桜はこの本のラストに思いを馳せることになりそうです。 おすすめしてくださった方に感謝です。そうでなければ出会えなかった本でした。

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2021/12/15

二郎三郎はあくまで豊臣家との和平と、その後に招来する二大勢力によるパワーバランスを目指す。しかし史実は、豊臣が滅亡の道を歩む大坂冬の陣~夏の陣へと容赦なく進む。本作創出は『史疑徳川家康事蹟』が基となった大作だが、他の史料とも整合させる造りとなっている。もはや70歳を超し老齢の極み...

二郎三郎はあくまで豊臣家との和平と、その後に招来する二大勢力によるパワーバランスを目指す。しかし史実は、豊臣が滅亡の道を歩む大坂冬の陣~夏の陣へと容赦なく進む。本作創出は『史疑徳川家康事蹟』が基となった大作だが、他の史料とも整合させる造りとなっている。もはや70歳を超し老齢の極みに達した二郎三郎には、秀忠、柳生の陰謀を完全に封じることができなくなった。そして最後に、「鯛の天ぷら」を食べたことが死因という逸話に、柳生毒殺を被せてきた!? 家康が影武者だったら……そんな物語を楽しませてもらった。

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2021/05/29

2021年5月29日読了。 いよいよ、大坂での決戦が近づく。 二郎三郎は秀頼工作を続け、何とか平和な世が続くように画策するが、二代目将軍秀忠と柳生勢が邪魔をする。 中、下巻は年表とイベントは史実通りだが、ディティールがフィクション。 支倉常長がなぜ渡欧したのか?とか、忠輝の...

2021年5月29日読了。 いよいよ、大坂での決戦が近づく。 二郎三郎は秀頼工作を続け、何とか平和な世が続くように画策するが、二代目将軍秀忠と柳生勢が邪魔をする。 中、下巻は年表とイベントは史実通りだが、ディティールがフィクション。 支倉常長がなぜ渡欧したのか?とか、忠輝の運命は?とか、最後の大坂決戦はなぜ回避できなかったのか?とか、面白いったらありゃしない。

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2021/04/23

本書三巻をやっと読み終える。後書きの解説に網野史学と谷川民族学を取り込み、村岡素一郎の「史疑徳川家康事績」から影武者説を起こし、父方の家系から繋がる漂泊の民への思いが、本書に結実したことを知りました。様々な史料との格闘から本書が成り立っていると理解しても、自分が期待した小説のエン...

本書三巻をやっと読み終える。後書きの解説に網野史学と谷川民族学を取り込み、村岡素一郎の「史疑徳川家康事績」から影武者説を起こし、父方の家系から繋がる漂泊の民への思いが、本書に結実したことを知りました。様々な史料との格闘から本書が成り立っていると理解しても、自分が期待した小説のエンターテイメント性には、不遜ですが、満足出来ませんでした。筋書の主な場面に登場する忍びの者、また、二郎三郎の閨事も少々食傷気味で、興が削がれました。

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2021/01/18

 徳川家康の影武者として生きた男の生涯を描く最終巻。  男の目指す和平とは、徳川と豊臣の勢力が緊張状態にあるからこそ戦乱のない時代を迎えられるというもの。しかし、その状態が崩れれば、影武者徳川家康として生き、和平を実現しようとした男の夢は潰えることになる。しかし、時世の流れは無情...

 徳川家康の影武者として生きた男の生涯を描く最終巻。  男の目指す和平とは、徳川と豊臣の勢力が緊張状態にあるからこそ戦乱のない時代を迎えられるというもの。しかし、その状態が崩れれば、影武者徳川家康として生き、和平を実現しようとした男の夢は潰えることになる。しかし、時世の流れは無情にも徳川と豊臣の最終決戦「大坂の陣」へ向かってしまう。  戦国の世に生きるとはどのようなものか、様々な人間の思惑が交差する時代の波に翻弄されながらもどこか余裕をもって物事にあたる人間の姿を描く。  この下巻では「松平忠輝」がキーマンになってくる。この作者の作品には、この松平忠輝にフォーカスした作品もあり、いずれは読んでみたいと思う。

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2020/05/11

〈上中下巻合わせて〉 忍の甲斐の六郎は、関ヶ原の戦いの開幕間近、徳川家康の暗殺に成功する。家康の影武者であった世良田二郎三郎は、急遽家康として成り変わり、勝利を納めて天下を取る。二郎三郎は影武者である以上、用が済んだら徳川家に殺される運命を悟るが、そうならないよう、協力者や信頼...

〈上中下巻合わせて〉 忍の甲斐の六郎は、関ヶ原の戦いの開幕間近、徳川家康の暗殺に成功する。家康の影武者であった世良田二郎三郎は、急遽家康として成り変わり、勝利を納めて天下を取る。二郎三郎は影武者である以上、用が済んだら徳川家に殺される運命を悟るが、そうならないよう、協力者や信頼に足る部下を集めながら、「徳川家康」を代行していく。 もし、徳川家康が関ヶ原で殺されていて、以降は影武者が代行していたとしたら、そんなifストーリーな解釈での時代小説。しかし、実際の記録に照らし合わせながら物語は進むので、思った以上に説得力がある。 読み応えが凄かった。大変面白かったです。

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2020/02/26

いいなぁ この爽快感 いいなぁ この説得力 いいなぁ この生き様 網野善彦さんを読み終えると 隆慶一郎さんを手にしたくなる 隆慶一郎さんを読み終えると 網野善彦さんを手にしたくなる 座右の書棚には このお二人の文庫本たちが 並んで いつでも出番を 待ってくれています ちなみ...

いいなぁ この爽快感 いいなぁ この説得力 いいなぁ この生き様 網野善彦さんを読み終えると 隆慶一郎さんを手にしたくなる 隆慶一郎さんを読み終えると 網野善彦さんを手にしたくなる 座右の書棚には このお二人の文庫本たちが 並んで いつでも出番を 待ってくれています ちなみに そのすぐ横には 沖浦和光さんと 塩見鮮一郎さんが 並んでいます

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2019/09/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

上巻、中巻と続いてきた徳川家康=二郎三郎の権力固めと二代将軍、秀忠との確執も集大成。 冒頭の戦いで二郎三郎の影となり戦い続けてきた甲斐の六郎の腕が切り落とされてしまうという衝撃の展開。しばらく戦線から離脱した六郎は、中盤には不動金縛りの術を極めて復帰する。上巻、中巻でもいわゆる肉弾戦的な戦は何度も描かれてきたが、六郎のこの術が加わったことで、下巻の戦はそれまでとはまた違う趣になっている。 あくまで豊臣家への恩義を忘れず豊臣を活かしたい二郎三郎と、執念を燃やして豊臣を滅ぼしたい秀忠。最終的には豊臣側の自滅とも言える振る舞いにより、史実通りに二郎三郎=家康は豊臣を滅ぼすことになる。 そして終盤にかけ、一気に世の流れは当然ながら若い秀忠のほうに傾き、二郎三郎は静かに人生を閉じていく。ただし、自分の亡き後、秀忠が自分の子どもたちを殺すことのないよう、周到な仕掛けと細工を施してから。 この小説は終わり方が好い。満身創痍でこの世を去っていく二郎三郎を、完璧な勝者として舞台から去らせてはいない。かと言って、悪役を担い、生き残って徳川幕府を継いでいく秀忠が勝者かというと、それはまず間違いなく違うというぐらい完膚なきまでに叩きのめされた状態で終焉を迎えている。 では誰が勝者だったのか。戦乱と策謀の世を生き抜いた者か、子孫を残し系譜を存続できた者か、あるいはただ単に何もなさずとも生き永らえた者か。 言えるのは、二郎三郎は自分の信念のままに家康として生き抜いたということ。そして、この小説がもし史実だったら、これほど痛快で、なおかつ家康の関ヶ原以降の変容を適切に説明しうる解釈はないのではないか、ということ。 最後に。 徳川家の系譜を見ると、二代秀忠から続いていた将軍の系譜は七代目の家継で途絶えてしまう。そのあとを継いで八代将軍になった吉宗は、秀忠が殺そうとしていた頼宣の孫。以降、十四代家茂まではこの家系が将軍職を襲っていく。そして徳川家最後の将軍である慶喜は、同じく秀忠が殺そうとしていた頼房の家系。 即ち、徳川家の正統として権力を欲していた秀忠の系譜は七代目までで絶たれ、その後の徳川の繁栄を担い、さらに徳川の世を終えるという重圧を担ったのは家康の系譜ということになる。さらにこの小説で言うならば、二郎三郎が家康を装った関ヶ原以降に生まれた頼宣と頼房の子孫ということになるので、「徳川家康」とその嫡子である「徳川秀忠」の「徳川家」による治世は七代目までで終わり、その後は「二郎三郎」の血筋が世を治めていったということになる。 これだけでも、この小説を読んだ者ならば痛快至極なのである。

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