影武者徳川家康(下) の商品レビュー
桜の、花びらが開け放した窓からの風に吹かれて舞う様をただ眺めているだけの、ただただ心を無にしてその瞬間に浸っていられる幸せに胸が熱くなる。 隣には愛する人、また命を共にした仲間、そこで飲む酒の味を思いながら激動の生を生き抜いた二郎三郎に乾杯。
Posted by
影武者の追いかけた壮大な夢は半ばに破れるも…という下巻です。 自由を愛しながら、ひょんなことから影武者になり、さらに影から武士の頂点という表舞台、およそ自由人とは間逆の立場になりながら、あえてその立場を利用し、本当に自由な世を作るべく人生を賭けていく、という話に、当時高校生であ...
影武者の追いかけた壮大な夢は半ばに破れるも…という下巻です。 自由を愛しながら、ひょんなことから影武者になり、さらに影から武士の頂点という表舞台、およそ自由人とは間逆の立場になりながら、あえてその立場を利用し、本当に自由な世を作るべく人生を賭けていく、という話に、当時高校生であった自分にとって、大人のカッコよさを感じたのを覚えています。影は光になれるか、でも夢破れ、でもいいじゃないか、というほろ苦い感じも好きです。うまく言い表せませんが。
Posted by
上中下の三巻を漸く読み終えた。面白かった。最後はもう終わるのが寂しくて、しばらく積読にしてしまった。 下巻には多少キリシタンの事がでてきて、キリスト者としては興味があった。 それにしても著者の推論、(関ヶ原以後は家康が死んだために影武者が家康を演じたと言う説)は説得力があって...
上中下の三巻を漸く読み終えた。面白かった。最後はもう終わるのが寂しくて、しばらく積読にしてしまった。 下巻には多少キリシタンの事がでてきて、キリスト者としては興味があった。 それにしても著者の推論、(関ヶ原以後は家康が死んだために影武者が家康を演じたと言う説)は説得力があって面白い。秀忠が陰湿な男として描かれているが、それはこの推論により納得できる。史実とされている家康の関ヶ原以後の陰湿さと、豊臣家への暴虐の陰謀は、実は家康のものではなく秀忠の者だったのかも知れない。本当にそうなのかもしれないと思わされるほど、小説の内容がしっくりと着て面白かった。 星五つ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
秀忠の粘りと,そして自らの老いにあらがえず,ついに大阪冬の陣が勃発する.しかし,淀君が全ての元凶ていうのは,衆目の一致するところなんだろうか? 淀君を好意的に書いたものってないよな.二郎三郎がついに死ぬまでを描く.その未来は密かに忠輝に託されるところまで終わり. 巻末のあとがきとして隆慶一郎の友人らしい人が文を寄せいているが,隆のことを「伝奇小説家」と.確かに,伝奇小説だ,これは.しかし,それをいったら真田太平記も相当怪しい.
Posted by
遂に秀忠の策と時代の流れに負けて豊臣家を滅ぼしてしまった二郎三郎、だが秀忠&柳生との直接対決は最後まで踏ん張りつつ毒を盛られて部屋で花見をしながら終了。ラストシーンも素晴らしい。 文章レベルが非常に高く、二郎三郎、六郎、風斎、島左近、秀忠、柳生むねのりといった魅力的なキ...
遂に秀忠の策と時代の流れに負けて豊臣家を滅ぼしてしまった二郎三郎、だが秀忠&柳生との直接対決は最後まで踏ん張りつつ毒を盛られて部屋で花見をしながら終了。ラストシーンも素晴らしい。 文章レベルが非常に高く、二郎三郎、六郎、風斎、島左近、秀忠、柳生むねのりといった魅力的なキャラが織り成す多層構造の物語の妙。偽史ながらもしっかりした時代考証(ホントに家康別人説というのがあると後書きで知ってなおびっくり!)。読むのは時間がかかったけれど、文句無く素晴らしい小説でした。
Posted by
天下をとって何が大変って、まずは各武将の功績に応じた知行の配分に違いない。戦乱期に生死を賭け共に軍義を凝らした武将たちに替え玉であることを悟られずして、それを行えるのか。そもそも側近の大方が気づかないってのは考えられない。それでも、一向一揆を学び、架空の人物である甲斐の六郎に惹か...
天下をとって何が大変って、まずは各武将の功績に応じた知行の配分に違いない。戦乱期に生死を賭け共に軍義を凝らした武将たちに替え玉であることを悟られずして、それを行えるのか。そもそも側近の大方が気づかないってのは考えられない。それでも、一向一揆を学び、架空の人物である甲斐の六郎に惹かれ、かなり持ち上げられてはいようが風魔を知った。秀忠と淀君の人物評価は何とも気の毒だ。小説だから勧善懲悪やむなしだけど、個々が善悪を内包してるはず。いずれにせよ、譜代よりむしろ親藩の方が安穏としてはいられない道理を改めて思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
関ヶ原から、冬の陣夏の陣と家康が死ぬまで。 歴史の教科書だと一瞬で終わってしまうこの期間が、とてもいきいきと感じられた。 こういうのを読んでいたら、高校生の時、歴史も少しは苦手じゃなかったのかなー。
Posted by
上中下 全部 いいですね!! かなり読み応えあります!! 史実からどこまでかけ離れているかがわかりませんが とっても 面白いです。 徳川とは 戦国時代の下克上時代から平和な時代に移るにあたって!? 平和を望む人 国をよくしたいと思う人 はたまた 将軍なのに自分の欲望に突き進...
上中下 全部 いいですね!! かなり読み応えあります!! 史実からどこまでかけ離れているかがわかりませんが とっても 面白いです。 徳川とは 戦国時代の下克上時代から平和な時代に移るにあたって!? 平和を望む人 国をよくしたいと思う人 はたまた 将軍なのに自分の欲望に突き進む人 人をひきつける何かを持っている人 夢、現実、時代の勢いと時流、妬み、欲望、復讐、恨み、戦略 戦国時代から 関が原の戦いになり ここから徳川政権300年が始まる礎の基礎 徳川についての疑惑を皮切りに 物語を作り上げた作者にスゲーの賛辞です 面白かったです! ここに出てくるのが本当だったら 秀忠は、好きでないなぁ・・・ でも 執念がすごいから あっぱれ! あと 風魔・・・ 気になりますね
Posted by
テレビ東京のドラマがきっかけで読み始めたのですが、 …すっごく面白い! ハラハラする展開の連続と、登場人物の人間味あふれる描写と、歴史を別の視点から見る面白さなどが一体となって読み出したら止まらない。 特に、島左近が男前すぎて惚れますよ。
Posted by
家康の影武者は「吉原御免状」の設定であったが、上中下巻1500ページ以上じゃ抵抗があった。正月で図書館の貸出期間が3週間だったので何とか読めると借りたが・・予想以上に面白かった。個人的には、歴史で家康より秀忠が好きだったんだけど(笑) 御免状の光秀の代わりに島左近が重要なキャラに...
家康の影武者は「吉原御免状」の設定であったが、上中下巻1500ページ以上じゃ抵抗があった。正月で図書館の貸出期間が3週間だったので何とか読めると借りたが・・予想以上に面白かった。個人的には、歴史で家康より秀忠が好きだったんだけど(笑) 御免状の光秀の代わりに島左近が重要なキャラになる。本物の家康を殺した六郎と風魔一族が柳生と闘い、影武者家康はいくさ人として生き抜く。荒唐無稽の時代小説と位置付けるには歴史的事実の使い方がしっかりしている。秀作だが、名のない人達が数多く、一行であっさりと殺されるのは・・まぁ、歴史の残酷さであって作者としてはどうしょうもないな。
Posted by