絆 の商品レビュー
法廷ミステリーとしても社会派としても 小谷野さんから。 裁判エンターテインメント。同時に、社会派エンターテインメント。 法廷ミステリーは初めて読んだ。筆致が丁寧で面白かった。紋切型も厭にならない範囲で巧みで、無駄な文章が少い。素材はきっちりと社会派に収めてある。 テーマ...
法廷ミステリーとしても社会派としても 小谷野さんから。 裁判エンターテインメント。同時に、社会派エンターテインメント。 法廷ミステリーは初めて読んだ。筆致が丁寧で面白かった。紋切型も厭にならない範囲で巧みで、無駄な文章が少い。素材はきっちりと社会派に収めてある。 テーマ的に、大江健三郎を思ひ浮かべた。よくできた筋だ。社会派としてまったく古びてゐない感じさへあった。 直木賞候補になったが落された。選評を読むと、文体だったり人情物だったりに難癖がつけられてゐる。この小説が落されるのだから、当時の直木賞は相当レベルが高かったのだなと皮肉交じりに思った。
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我が家のお庭は芝生なのだが、毎年この季節は草取りが大変(-。-; 土日ともなると何時間も外で草取りをしている(-。-; いつも通り、早朝に草取りをしていると、隣に住む読書好きの叔母が声をかけてきた。 いつも私がポチポチした本は、一冊残らず、全て隣の叔母に回しているのだ。(もちろ...
我が家のお庭は芝生なのだが、毎年この季節は草取りが大変(-。-; 土日ともなると何時間も外で草取りをしている(-。-; いつも通り、早朝に草取りをしていると、隣に住む読書好きの叔母が声をかけてきた。 いつも私がポチポチした本は、一冊残らず、全て隣の叔母に回しているのだ。(もちろん、ラブセメタリーもだ) 「まきちゃん、いつも本ありがとね。 まきちゃん、絆って本読んだことある?小杉なんとかって人だったと思うけど。 あれなかなか良かった記憶があるよ。」 と教えて貰ったのですぐにポチった(笑) 弓丘奈緒子は、夫を殺害したことを認めていたのだが、担当する弁護人である原島は無罪を主張する。 殺された夫には、愛人がいたことがわかっていた。夫婦の間では離婚話もあった。 明らかに検察側が圧倒的に有利だったのだが、原島弁護士によって真相が明らかにされていく。 新聞記者であり、幼い頃被告人の隣の家に住んでいた男性が物語を進めていく。 彼は被告人の弟と幼い頃仲良くしていたことがあった。知的障害者の弟に命を助けられたこともあったのだ。 最初はちょっと難しいのかな?退屈かな??と思ったのだが、次第に物語が進み出す。 半分くらい来ると、早い!早い! どんどん新事実が出てきて読者を飽きさせず、後味も悪くない終わり方o(^▽^)o 叔母はこういう本が好みなのだろうなo(^▽^)o しっかり楽しませて頂いた♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
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夫殺しの被告弓岡奈緒子。殺された夫には愛人が⋯。状況は被告不利に傾いて行く。だが、裁判の進行につれて秘められた意外な真実。人間の心の気高さを謳いあげる感動の法廷ミステリー。
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法廷ミステリー テーマは暴いてはいけない真実といったところでしょうか? ストーリとしては、 夫殺しの起訴事実を認めている被告の奈緒子。しかし、弁護士の原島は無罪を主張。 検察の状況証拠や論述、本人の自白も含めて、奈緒子の犯行にしか思えないところから、原島が法廷で少しずつ真実を明...
法廷ミステリー テーマは暴いてはいけない真実といったところでしょうか? ストーリとしては、 夫殺しの起訴事実を認めている被告の奈緒子。しかし、弁護士の原島は無罪を主張。 検察の状況証拠や論述、本人の自白も含めて、奈緒子の犯行にしか思えないところから、原島が法廷で少しずつ真実を明らかにしていきます。 奈緒子が殺人の罪を背負ってまで、守りたかったものとは? といった展開です。 そこには知的障碍者が絡んできます。 さらに家族の絆が浮き彫りになります。 そして、この裁判を通して、語り手である司法記者の「私」の知的障碍者に対する考え方、生まれてくる子供に対する決断が心打たれます。 とってもお勧め
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第41回日本推理作家協会賞長編部門受賞作。直木賞候補にも挙がった作品である。 物語は、被告人に憧れを抱いていた司法記者の視点で進み、記者自身が進行形で抱える問題と、裁判の進行が見事にリンクする構造となっている。 罪を全て認めている被告人と、無罪を主張する弁護人。実際の事件の犯人は...
第41回日本推理作家協会賞長編部門受賞作。直木賞候補にも挙がった作品である。 物語は、被告人に憧れを抱いていた司法記者の視点で進み、記者自身が進行形で抱える問題と、裁判の進行が見事にリンクする構造となっている。 罪を全て認めている被告人と、無罪を主張する弁護人。実際の事件の犯人は誰なのか、という点に主眼はなく(そこも一定の推理はされるが)、「被告人はなぜやっていない罪を認めるのか」を、知的障害者(本作では精神薄弱者となっている)の問題と「罪」に絡めて描写している。 舞台は全て法廷であり、尋問を見つめながら過去を紐解く語り手の「私」の設定が秀逸だと思えた。 きっちりきっちりと薄皮を剥ぐように明らかになる事実。 弁護人は法廷外で語ることばはほぼない。代わりに前弁護人が、弁護人の葛藤を語り、その考えを語り、そして「私」も心を決める。この物語は多くの人物が心に抱える「何か」を、痛みを抱えながら清算する物語なのだ。 被告人は過去の罪への思いが強すぎて結果、現在の家族をある種置き去りのような形にしているのもどこか人の業を感じてしまう。人間は複雑だ、というありきたりな結論になってしまうのだけれど。
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法廷ミステリー。 原島弁護士が被告人の過去を暴くことで無罪を勝ち取る。 こんな悲しい過去があったなんて。 最後は姉弟が明るく笑顔であったことが何より。
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この人の作品はたぶん今まで読んだことがないと思うけど、帯に「日本推理作家協会賞長篇賞受賞」って書いてあったので、それがどんなもんかさっぱしわからなかったけど評価は得てる事は確かなんだしと思って読んでみた。 普段、推理小説はほとんど読まないけど、これは面白かった。 最初から最後ま...
この人の作品はたぶん今まで読んだことがないと思うけど、帯に「日本推理作家協会賞長篇賞受賞」って書いてあったので、それがどんなもんかさっぱしわからなかったけど評価は得てる事は確かなんだしと思って読んでみた。 普段、推理小説はほとんど読まないけど、これは面白かった。 最初から最後まで一つの殺人事件の裁判シーンばかりで構成されていて、隠されている事をひとつひとつ暴いていく・・・なんてこたあ、推理小説にとって当たり前のことなんだろうけど、題材が知的障害を持つ家族にあるので、単なる探偵ものとはちと違う。 私だってというか、誰だって家族の中に障害者が出来るかもしれないのだから、偏見差別の話は、かなり勉強になるし、知っていなければいけない事だと思う。 ただ、やっぱり推理小説って嫌いじゃないけど、あえて進んで読む分野ではないな。完全に個人の嗜好ですが。
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ー これまでの検察側の尋問においても、被告人の犯行は浮き彫りにされたのである。さらに、被告人自身も自白している。このようなケースにおいて、なおかつ原島弁護士だけが無実の主張をしているのだ。 事実はなにか。法廷にさらけ出されるのは、『訴訟上の事実』であって、『真実』ではない。『真...
ー これまでの検察側の尋問においても、被告人の犯行は浮き彫りにされたのである。さらに、被告人自身も自白している。このようなケースにおいて、なおかつ原島弁護士だけが無実の主張をしているのだ。 事実はなにか。法廷にさらけ出されるのは、『訴訟上の事実』であって、『真実』ではない。『真実』は神にしかわからないのだ。 冤罪事件の多くは不当な自白から起こっている。冤罪事件の弁護は、捜査側の自白強要による嘘の供述の指摘からはじまる。つまり、被告人は取調官の過酷な追及に抗し切れずに、ついにやってもいない事件を自白してしまうのだが、裁判に入って、その自白をくつがえすことから、冤罪裁判がはじまるのだ。 ところが、この事件の被告人弓丘奈緒子は、裁判に入ってもすなおに罪をみとめている。その被告人を無実だと、原嶋弁護士は言いはなったのである。 ー 起訴事実をすべて認めている被告人を無罪だと主張する弁護士が紐解いていく“真実”。 後半の弁護側の冒頭陳述からの展開が面白い! 背後にある重たいテーマも考えさせる作品。
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内容紹介 夫殺し!罪を認めた妻の供述に不審な点を発見。いったい何を隠そうとするのか。被告人絶対不利の状況で、法の下の真実を追求して原島弁護士が立ち上がる。法廷ミステリー
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
夫を殺した犯人にされた妻はアリバイを主張せず、法廷でも犯行を認める証言を繰り返す しかし、ひとり無実を確信して、弁護士は法廷で無罪を主張する… 法廷劇ミステリーで、濃い人間ドラマでもあり、当時の社会福祉を問う内容でもあり、さらにはどんでん返しを仕組んであるといういい本でした
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