ガラスの動物園 の商品レビュー
読み手の年齢、性別が異なっても、多くの人が登場人物の誰かに 感情移入できる作品だと思いました。 作者の人生を知ってから振り返ると、切なさ倍増のお話でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
テネシー・ウィリアムスは、この『ガラスの動物園』よりもあとに書かれた『欲望という名の電車』がすごく好きだということもあり、どうしても共通点を探しながら読んでしまいました。 アマンダとトムの言い合いを読んでいると、個人的にはブランチとスタンリーの対立を思い出してしまいます。どちらもともに、過去に縋り付くオールドミスと、若さと獰猛さを兼ね備えた男の罵り合いでり、水と油の様子がやはり掛け合いとしてすごく面白いです。 しかし、『ガラスの動物園』の大きなポイントとなるのは、なんと言ってもローラの存在なんですよね。アマンダとトムの口論も、その内容は常にローラについてであり、『ガラスの動物園』というタイトルもローラが大事にするガラス細工から来ているものです。 ローラが世の中に馴染めない難しい存在であることが、皮肉なことに3人の家族関係を悪化させてしまっていて、そういった噛み合なさがローラの孤独感を増長しているように思えます。ローラには、いつでも悲しそうな目をしているようなイメージが残りました。 精神病院で生涯のほとんどを過ごしたという著者の姉がローラのモデルと聞くと、それこそ悲惨さが増しますね…。
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ガラスの動物たちに囲まれたローラの儚げで陰鬱な生活と彼女を取り巻く人間の空しさやもろさが淡々と進んでいくようすがすきです。スクリーン、照明、音楽のト書きも斬新で舞台でもみたくなる!
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「そのろうそくを吹き消してくれ、ローラ――」 「ガラスの動物園」というタイトルからして秀逸だと思う。 このタイトルからして、どこか退廃的で儚げで、 そして美しい狂気を感じる。 つのがとれてしまったユニコーンは、 みんなと違う存在から普通の馬に戻れた、 というポジティブな暗示な...
「そのろうそくを吹き消してくれ、ローラ――」 「ガラスの動物園」というタイトルからして秀逸だと思う。 このタイトルからして、どこか退廃的で儚げで、 そして美しい狂気を感じる。 つのがとれてしまったユニコーンは、 みんなと違う存在から普通の馬に戻れた、 というポジティブな暗示なのだろうと一瞬思うのだけど、 最後まで読んでみると、また違った暗示を思い起こさせる。 非常にネガティブな、破滅的な暗示を。 さすが、作者の自伝とも言うべき演劇であるだけあって、 母親のヒステリックとも言うべき性格、ローラの儚さ、 そして彼女らとトムと三人の織り成す家族関係の危うさが 非常にリアルに描かれていた。
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泥沼に足を取られたように三者三様身動きが取れなくなっている下層中流家庭を描く戯曲。夫に捨てられた母は、若かりし日々の幸福な思い出に自閉して、子供たちを己の幻想へ押し込めようとする。不具の娘は、劣等感から世界へ向けて一歩を踏み出せない。夢に見合わぬ現実に悶々とする息子は、世界に冒険...
泥沼に足を取られたように三者三様身動きが取れなくなっている下層中流家庭を描く戯曲。夫に捨てられた母は、若かりし日々の幸福な思い出に自閉して、子供たちを己の幻想へ押し込めようとする。不具の娘は、劣等感から世界へ向けて一歩を踏み出せない。夢に見合わぬ現実に悶々とする息子は、世界に冒険を求めて終に"家庭"を飛び出す。周囲を見渡せば何処にでもありふれている"つまらない人生"の遣り切れない悲哀。 "そう、映画! どうだい、あの――魅惑のスターたち――あの連中が冒険という冒険を――かっさらってるんだ――ひとり占めしてるんだ! その結果、どうなる? みんな自分で経験するかわりに、敬虔な面持ちで映画見ることになる! ハリウッドのスター連中がアメリカじゅうの人間になりかわって冒険をおこない、アメリカじゅうの人間は暗闇にすわってスター連中の冒険をじっと見つめる、ってわけだ!" "・・・空間に見失ったものを行動に見いだそうとしたのです"
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親子三人の見据えている目先が、それぞれ外へ、内へ、自分へと異なり、その中で交わされる過剰な会話の応酬がとても面白かった。 本人の意識とは別に、母・アマンダの頭が半分逝ってる妄想は、その大部分が子供への愛かと思われるのだが、僕には己が愛しいが故の自己防衛に見える。 現実を見ないこ...
親子三人の見据えている目先が、それぞれ外へ、内へ、自分へと異なり、その中で交わされる過剰な会話の応酬がとても面白かった。 本人の意識とは別に、母・アマンダの頭が半分逝ってる妄想は、その大部分が子供への愛かと思われるのだが、僕には己が愛しいが故の自己防衛に見える。 現実を見ないこと認めないことっていうのはどこまでいっても、ガラス細工で作られた宝石のように美化された、脆くて傷つきやすい心を演出する弱さだけだと思う。演出するだけってどうなのだろう。 そういう人って、それ以前にもっと自分に、相手に、向き合うべきではないだろうか。 それと戯曲って過剰であればあるほど面白いし、現実味が出てくると思ったりもした。
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学校の課題で読んだ! うーん なんていうかな〜 一回も出てこない父が、なぜか印象に残ってたりする
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なんの気なしに取った授業で課題にされたので読んでいたら、最初の数ページで「あ、こりゃ合わない」と思ってしまい散々苦しんで最後まで読んだは良いが「薄暗っ」以外の言葉が全く頭に浮かばなくて、しょうがなく見方を変えた苦し紛れの見解(たしか"彼"は医者を表しているとか...
なんの気なしに取った授業で課題にされたので読んでいたら、最初の数ページで「あ、こりゃ合わない」と思ってしまい散々苦しんで最後まで読んだは良いが「薄暗っ」以外の言葉が全く頭に浮かばなくて、しょうがなく見方を変えた苦し紛れの見解(たしか"彼"は医者を表しているとかなんとか)でレポート提出したら意外にもA+という好評価を頂いたという妙な思い出が残る一冊。合わない文献を課題にされると本当に辛いんです。 ちなみにロボトミー手術の存在を初めて知った本でもある。うわぁ医学とノーベル賞の黒歴史…。怖いことする。
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これ、読んだんだけど、手元に置いてなかった。できればもいちど読んでみたい。…おやおや、ブック○フで100円(それも天は裁断されてないしページもとってもきれい)、それなら買っとこう!もっと「戯曲」という形式のものを読み込めるようになりたいんだよなぁ、私は。というわけで、私の今月の「...
これ、読んだんだけど、手元に置いてなかった。できればもいちど読んでみたい。…おやおや、ブック○フで100円(それも天は裁断されてないしページもとってもきれい)、それなら買っとこう!もっと「戯曲」という形式のものを読み込めるようになりたいんだよなぁ、私は。というわけで、私の今月の「黄色い本」の仲間入り。さて(以下、本編とはほぼ関わりなし)。ガラス細工が好きです。購入しやすい価格の、数cmほどのガラス細工の動物は、気づいたら少しずつ増えてます。こういうのって「お土産」にも適当なんですよね、一応は「私なりの厳正なる基準、安易に買うべからず!」という法律はあるんですが。「ガラス細工の動物の動物園(架空の生き物含む)」は、わが家にもささやかなものがあります。ものすごく、ヘンテコな眺めです。そしてそこもやっぱり、「フラジール」です。
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高校の授業でポール・ニューマンが監督、映画化したものを先に観てしまった。アメリカに内向きな感情があることを知ったきっかけ。
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