症例A の商品レビュー
あるサイトで精神分裂病(現在は統合失調症)に関して詳しい記載があると知り購入した。 興味深く面白い内容で一気に読んだが、結末に至る最終段階が少し早急過ぎる印象を受けた。 物語は精神病院と博物館の話しが並行して進む。 2つの話しといくつかの謎が一点に集約していくのはミステリーの醍醐...
あるサイトで精神分裂病(現在は統合失調症)に関して詳しい記載があると知り購入した。 興味深く面白い内容で一気に読んだが、結末に至る最終段階が少し早急過ぎる印象を受けた。 物語は精神病院と博物館の話しが並行して進む。 2つの話しといくつかの謎が一点に集約していくのはミステリーの醍醐味である。それは本作品でも味わえる。 なお、舞台となっている世界は時代的には一昔前である。
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人格障害について小説用に面白おかしくでなく、事実に忠実に解説されてるようです。とても興味深く読み勉強になりました。 もちろん小説としても精神科とまったく関係ない歴史資料館の話が繋がっていく様子が面白かったです。
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ある精神科病院に新任してきた若手医師が主人公。前任の医師が事故死したため、彼の患者を引き継いだのだが、その中に統合失調症とうたがわれる厄介な10代の美少女の患者がいた。主人公はほかの病気の可能性も疑いつつ治療を進めていくが、彼女の自由奔放で天真爛漫な態度に振り回されそうになる。そ...
ある精神科病院に新任してきた若手医師が主人公。前任の医師が事故死したため、彼の患者を引き継いだのだが、その中に統合失調症とうたがわれる厄介な10代の美少女の患者がいた。主人公はほかの病気の可能性も疑いつつ治療を進めていくが、彼女の自由奔放で天真爛漫な態度に振り回されそうになる。そんな中、彼女の担当臨床心理士から多重人格の可能性を指摘されるが主人公は受け入れられない。しかしある事がきっかけで多重人格に対する認識を改め、例の患者に対しても多重人格の可能性を疑い始めた時に見えていなかったものが明らかになっていく。 ひとことで言えば、多重人格ってあるんだよという話。 1人の患者のせいで医師や看護師が振り回されて病院内がぐちゃぐちゃになるみたいな話かと思っていたが、多重人格ってのはこんな病気でそれに向き合うにはこういう心構えでないとダメです、ということが主旨。 患者の話と並行して、ある博物館の美術品が偽物であるという話も語られているが、このストーリー必要なんだっけ?という感じ。
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途中までとても面白かっただけに終盤が残念。 あさみの症例がわかったのなら、診断を受けている過程の描写を読みたかったなと。 多重人格について全く知らなかったので勉強になった。 精神世界の知識がないので知りたいと思ってしまった。
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多重人格を扱った小説なので、てっきりどんでん返しやサイコな感じの内容なのかと思ったけれど、かなり真面目な話でした。 先の見えない精神病治療に、何だか読んでいる私も鬱々としてきてしまう。 一見関係のなさそうな精神病院の話と博物館の話がどう繋がるのか、と思い最後まで読み切りましたが...
多重人格を扱った小説なので、てっきりどんでん返しやサイコな感じの内容なのかと思ったけれど、かなり真面目な話でした。 先の見えない精神病治療に、何だか読んでいる私も鬱々としてきてしまう。 一見関係のなさそうな精神病院の話と博物館の話がどう繋がるのか、と思い最後まで読み切りましたが これは病院の話1本でも良さそう。
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とても精神科について専門的な内容まで詳しく書かれており読み応えがあって面白かった。 精神科医のとても細かな洞察が丁寧に描かれていて、実際に自分もこのように相手を探ることができたらもうすこし円滑にコミュニケーションが取れるのではないかとさえ思った。過去や常識など、様々葛藤しながらも...
とても精神科について専門的な内容まで詳しく書かれており読み応えがあって面白かった。 精神科医のとても細かな洞察が丁寧に描かれていて、実際に自分もこのように相手を探ることができたらもうすこし円滑にコミュニケーションが取れるのではないかとさえ思った。過去や常識など、様々葛藤しながらも懸命に患者と向き合う主人公の姿勢が心地よい。 一方で金工のくだりが途中途中はさまれていて精神科医と交互に物語が進んで行ったが、「最後どのようにこの伏線を回収するんだろう」と楽しみにしていたもののそこまでどんでん返し的なものではなく意外にあっさりしていた。別に伏線回収を楽しみしてたわけではないが少々残念であった。 精神分析について自分も興味を持っていて、実際に少しかじっていたので、"精神分析は医学ではなく文学だ"というセリフは「なるほど、当事者の客観的な視点とはこのようなものなのか」と、とても新鮮だった。それと同時に文学部である身としては、文学は主観的で科学よりも劣ったものとして作者が捉えているような感じが垣間見え、少しだけ気になった。精神分析の芳しくないものとしてのイメージを文学に例えるのは文学を冒涜してはいまいか!と思ったが、全体のストーリーとしてはとても面白くあっという間に読み終えてしまったので、良い本に出会えたと思う。
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タイトルと裏のあらすじから『精神科医』がテーマの物語とだけ認識し読み始めた。途中で『多重人格』の言葉が出てきて“これはもしかして、一時流行ったビリーミリガン的なものか??”と思ったが、そこまでの細かい精神科の描写や一向に猟奇的な方向に進まない(進むことは望んでいないが)状況に良い...
タイトルと裏のあらすじから『精神科医』がテーマの物語とだけ認識し読み始めた。途中で『多重人格』の言葉が出てきて“これはもしかして、一時流行ったビリーミリガン的なものか??”と思ったが、そこまでの細かい精神科の描写や一向に猟奇的な方向に進まない(進むことは望んでいないが)状況に良い意味で裏切られた感じがした。 精神分裂病(現・統合失調症)と他の症例との類似点や違いについてもしっかり説明されており、医学知識の乏しい私のような読者も読んでいる間は俄か専門家になれているような気がした。 終わり方はなんとなくフェードアウトしたような物足りなさもあるが、完治の無い病気がテーマだからこそ人生が続く限り終わらないと考えれば納得です。
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精神科医の榊が診る、精神分裂病なのか、境界性人格障害なのか、はたまた解離性同一性障害なのかという十七歳の亜左美をはじめ濃やかな描写や診断が興味深い。解離性同一性障害の症例の怒濤の描写も飲み込まれるよう。一時は濃密すぎて現実に侵食して来そうなくらい凄まじかった。その分もまだ途中のよ...
精神科医の榊が診る、精神分裂病なのか、境界性人格障害なのか、はたまた解離性同一性障害なのかという十七歳の亜左美をはじめ濃やかな描写や診断が興味深い。解離性同一性障害の症例の怒濤の描写も飲み込まれるよう。一時は濃密すぎて現実に侵食して来そうなくらい凄まじかった。その分もまだ途中のような終わり方が残念。
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※このレビューにはネタバレを含みます
4 精神病診断の難しさに向き合う精神科医榊を中心とした精神医療と博物館の真贋を巡る謎が交互に展開される小説。統合失調症、境界例、多重人格の違い、見極めの難しさ、各々の療法などが理解できる。物語としても面白く、榊と臨床心理士である広瀬由起による、診断の難しい患者亜佐美に対する対処のせめぎ合いなど。実際の現場の微妙な権威構造を如実に表しているらしい。精神医療に対して困難な局面に立ちながらも真面目に真摯に取り組んでいるあたりが面白い。博物館の謎は、精神病一本でもよさげではある。
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