症例A の商品レビュー
まるで「精神科医の方の随筆だろうか」と思わせる程、緻密な作品。淡々とすすんでいく物語でありながら(いえ、だからこそでしょうか)、深く心に残りました。ただ、やや蛇足が過ぎるような印象が残ったのも確かです。
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精神科医とか、病院のそうゆうお話。 最初はとっつきにくそうな内容だなと思ったけど、そんなことはない。 面白いと言うより、色んな意味で深い本。 少し分厚いけど、読み出したら止まらなくなる。とにかく凄い小説。
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2000年に上梓された本であるが、それからわずか4年の間に分裂病をとりまく世界はかなり変わってしまった。2002年に精神分裂病という病名は統合失調症という名に変わった。さらに、薬の進歩のせいなのか、患者数も減少しているそうだ。一方でうつ病の患者数は急激に増大しているらしい。 思春...
2000年に上梓された本であるが、それからわずか4年の間に分裂病をとりまく世界はかなり変わってしまった。2002年に精神分裂病という病名は統合失調症という名に変わった。さらに、薬の進歩のせいなのか、患者数も減少しているそうだ。一方でうつ病の患者数は急激に増大しているらしい。 思春期の患者と、もう一人の人格障害者に翻弄されながら、真実を求め続ける精神科医の話。
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今までミステリーやサスペンスは全くといって良いほど読んだことがなかった。途中で飽きたりしてほおりだしたことは何回かある。 しかしこの「症例A」に関しては、読み始めると止まらない、という言葉どおり、3日で読破した。(夏休み中だったこともある) 精神病院と、美術館、二つの舞台がどう絡...
今までミステリーやサスペンスは全くといって良いほど読んだことがなかった。途中で飽きたりしてほおりだしたことは何回かある。 しかしこの「症例A」に関しては、読み始めると止まらない、という言葉どおり、3日で読破した。(夏休み中だったこともある) 精神病院と、美術館、二つの舞台がどう絡んでいくのか・・・ 見る価値ありです!
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精神科医の榊は、転任した病院で一人の少女の担当を受け持つことになる。彼女は、いわゆる「問題児」。彼女と接するうちに、前任者の下した判断に違和感を持った榊は、女性臨床心理士と共に、新たな原因を付きとめようとするが・・・。 境界線例という精神疾患を、この小説で初めて知った。サイドスト...
精神科医の榊は、転任した病院で一人の少女の担当を受け持つことになる。彼女は、いわゆる「問題児」。彼女と接するうちに、前任者の下した判断に違和感を持った榊は、女性臨床心理士と共に、新たな原因を付きとめようとするが・・・。 境界線例という精神疾患を、この小説で初めて知った。サイドストーリー的な形で、考古学界の贋作問題も進んでいき、うまく絡んでいく。話し全体そのものは、淡々と進んでいく感じ。
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精神科のお医者さんが著者なの?と思わせるくらいの濃い内容。参考文献の数を見て明らか。だからと言って読みにくくなく精神の病についてあいまいな印象しかもっていなければ読んでみるといいかも。
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新しい職場――S病院で精神科医の榊は17歳の美しい少女・亜佐美の担当を任ぜられた。前任の沢村医師は彼女を精神分裂症と判断していたが、榊は境界例では無いかと思い始める。 首都国立博物館に勤める江馬瑶子は故郷の兄から送られてきた古い手紙の判断に悩み、金工室長・岸田にその手紙を見せた。...
新しい職場――S病院で精神科医の榊は17歳の美しい少女・亜佐美の担当を任ぜられた。前任の沢村医師は彼女を精神分裂症と判断していたが、榊は境界例では無いかと思い始める。 首都国立博物館に勤める江馬瑶子は故郷の兄から送られてきた古い手紙の判断に悩み、金工室長・岸田にその手紙を見せた。手紙の内容は、博物館に重文指定で収蔵されている「青銅の狛犬」が贋作であるという内容だった。 亜佐美とともに沢村医師から受け継いだ患者・及川は晩発性分裂症患者で十年ほど前に発症した現在52歳の男性であった。彼が回想録を書いてることに興味を覚えるが、院長はそれに前任の沢村医師がとりつかれ、自殺したのだと打ち明けると、榊を担当医から外した。 一方、亜佐美が解離性同一障害では無いかと指摘する広瀬由起と境界例と診断を下す榊の間に微妙な亀裂が生まれ始めていた。 精神分裂病という名称は2002年8月に統合失調症と変更されたが、この作品の発表時期・背景の時代は、この名称が無かったため、前者で統一してるという事です。 謎があるので、ミステリーといえばミステリーだが、トリックやアリバイなどが必要なミステリーとかなり趣きが違います。 解離性同一障害つまり多重人格をモチーフにしてるわけですが、それを認識して行く側から書かれてあり、そして及川の話を進めて行くという感じ。どっちかといえば、私はこの及川側の話が好きですね。これ1本に絞っても面白いんじゃあないかと思ったり。 逆に亜佐美側を1本にしても読み応えはあると思いますね。ミステリーというカテゴリを起こす為に同時進行させたりなら、ちょっと勿体無い感じかも。 なので、話(作品)自体が分割された――というか独立単体感がかなりあって、微妙に座りが良く無い。絡まってよ!とか勝手に思って読んでる節が多々ありますからね(笑)(読み手が悪い) でも、精神医療の説明というか考察というか・・・上手くいえないが、ここら辺りの記述は専門的な色をビシバシ感じる。政治経済学部卒業の著者が何故にこれほど長けてるんだ、と思ったり。
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