症例A の商品レビュー
精神分裂症や境界例、多重人格などの精神の病を非常に丁寧に描いた秀作でした。途中、博物館の件をどうやって回収するんだろうって考えていましたが、とても上手く回収して、一本取られちゃいましたって印象です。ただ本戦も伏線も上手く引き込み線を入れたって所で終わっちゃってるのでもう少し掘って...
精神分裂症や境界例、多重人格などの精神の病を非常に丁寧に描いた秀作でした。途中、博物館の件をどうやって回収するんだろうって考えていましたが、とても上手く回収して、一本取られちゃいましたって印象です。ただ本戦も伏線も上手く引き込み線を入れたって所で終わっちゃってるのでもう少し掘って欲しいところがいっぱいで、どうも消化不良気味です。けどちょっと多重人格の説明の件では、合点のいく解説ではありましたが余りにもあっさり受け取っちゃってて、アララって印象はぬぐえませんでした。 面白い本なんですけど…500ページ越えの大作ならもうちょっとズシリと落ちる感動が欲しかった感じですね。
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分裂病(統合失調症)、境界例、精神分析、解離性同一性障害(多重人格)等についての小説。特に境界例や多重人格についてはかなり詳細に描かれていて、多重人格については主人公榊医師が基本的には反対というのが面白い。最後には認めちゃうけど。 ただ、元々入院していたJKちゃんやパラレルに進...
分裂病(統合失調症)、境界例、精神分析、解離性同一性障害(多重人格)等についての小説。特に境界例や多重人格についてはかなり詳細に描かれていて、多重人格については主人公榊医師が基本的には反対というのが面白い。最後には認めちゃうけど。 ただ、元々入院していたJKちゃんやパラレルに進む美術品の模造話が尻切れとんぼで終わってしまい不完全燃焼感は否めない。JKちゃんは多重人格だからまだいいけど、美術品の話不要だったんじゃないかと。またはもっと書き込んで話に絡ませるか。
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医療に携わった経歴がないとはいえ、一冊の小説のためにしては参考文献があまりにも多くてびっくりしました。 いわゆるサイコパス分野になると思いますが、内容としてはエンタテイメントものとは違い、患者と真摯に向き合ってる精神科医のお話です。 双極性障害、精神分裂病、境界性人格障害、解離生...
医療に携わった経歴がないとはいえ、一冊の小説のためにしては参考文献があまりにも多くてびっくりしました。 いわゆるサイコパス分野になると思いますが、内容としてはエンタテイメントものとは違い、患者と真摯に向き合ってる精神科医のお話です。 双極性障害、精神分裂病、境界性人格障害、解離生同一性障害といった精神病が、その区分の難しさに悩むことで細かく描写されており、精神疾患に関心を持ってる方には勉強になるような内容です。 残念だったのは、最後の展開が唐突だったのと、終わり方が中途半端な気がした点です。 メインの精神病とは別に、最後の方で絡んでくる博物館の話があるのですが、メインに絞ってもう少し書き込んでほしかった。 先に書いた精神病の症状や区分けの難しさ、というのが著者の焦点だったのかな?
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境界性人格障害について調べていた時に出会った小説。 巻末の参考文献数を見ればわかる通り、かなり調べ上げた上で書かれた作品です。フィクションではあるのですが、かなりリアリティーがあります。
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久しぶりにのめりこんだ小説だった。 テーマは精神医療。医療そのものが個人的に興味のある分野で、最初からぐいぐい引き込まれた。 主人公の精神科医、榊とつかみどころのない不思議な少女の患者。当初統合失調症という診断だったが、多重人格ではないかとの疑問が浮上する・・・。 以前分裂症と呼...
久しぶりにのめりこんだ小説だった。 テーマは精神医療。医療そのものが個人的に興味のある分野で、最初からぐいぐい引き込まれた。 主人公の精神科医、榊とつかみどころのない不思議な少女の患者。当初統合失調症という診断だったが、多重人格ではないかとの疑問が浮上する・・・。 以前分裂症と呼ばれた統合失調症というのは、言葉のイメージより思い病気だということがわかった。作者はものすごい数の文献を読んで病気のことを研究したようだ。 「ミステリー」に仕立てようと、博物館に隠された秘密など細かく出てくるが、読み終わってみるとあまり必要ではなかったように思われる。 ラストがしょぼくて、というか尻切れトンボで物足りない。作者は途中で疲れてしまったんだろうな、という感じ。とはいえ、全体としては先が気になって仕方がないほど夢中になれたので、満足感は高い。 この本の著者、多島氏はここ数年遺書のようなものを残して失踪しているという。
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確かに時間をかけたつくりになっている。一文一文を丁寧に積み重ねてあって、読み応えあるのに、のめり込んで一気に読めてしまう。 もっと悲惨なことになる、というか破滅的な終局を迎えるのではないかと思って読んでいたら、意外に希望のある終わり方で読後感は穏やかなものがあった。
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このミス ベスト10、2001年版9位。複数の精神病患者の話と文化財の話が平行に進んで行く。それぞれ、話の展開は興味深く進んで行くが、全体のバランスが悪いのとそれぞれの話のからみ弱くバラバラ感がある。結末も中途半端な感あり。可能性は感じるが完成度的にいまいち。
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いかに世の中は偏見に満ちているか。 気づかぬままステレオタイプに落ち込み、わかったような気になる。 この本の扱うテーマは、ある意味手垢の付き過ぎた有名なもの。 この作品に出会ったことで、私のなかで完全に再構築がなされた。 本はペダンチックであっていいと思う。あるべきだと思う。 で...
いかに世の中は偏見に満ちているか。 気づかぬままステレオタイプに落ち込み、わかったような気になる。 この本の扱うテーマは、ある意味手垢の付き過ぎた有名なもの。 この作品に出会ったことで、私のなかで完全に再構築がなされた。 本はペダンチックであっていいと思う。あるべきだと思う。 でも優れているほどに鼻につく。 こんな自然なアプローチで、意識を変えさせられた本も珍しい。 傷を負った者同士が、迷い、悩み、苦しみながらも向き合う様は、胸を打つ。 ミステリに分類される作品なのだろうか。 しかしミステリ的要素は、魅力には乏しい。 影響を受けたという点で、この本は比類なく素晴らしかった。 作者は今、どうしているのだろう。 もうこの世にいない気が多分にする。 こんな真摯な作品を紡ぐ人だからこそひっそりと身を消したのだろうか。
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ミステリで多重人格が出てくるとゲンナリしますが、この話ではそんなこともなく、興味深く読み進められました。 ちょっと余韻を残す終わりかた(というか、あれ?これで終わり?という終わりかたかな?)ですが、私は嫌いじゃないです。 阿佐美ちゃんの背景はもうちょっと知りたかったなぁとは思い...
ミステリで多重人格が出てくるとゲンナリしますが、この話ではそんなこともなく、興味深く読み進められました。 ちょっと余韻を残す終わりかた(というか、あれ?これで終わり?という終わりかたかな?)ですが、私は嫌いじゃないです。 阿佐美ちゃんの背景はもうちょっと知りたかったなぁとは思いますが。
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