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の商品レビュー

4.2

190件のお客様レビュー

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2013/09/19

この物語のタイトルは、『恋』以外に考えられない。 読了しての、それが最初の感想。 今回、このお話がTBSでドラマ化されると聞き、およそ15年ぶりに読んでみた。 主人公3人の関係はうらやましいほどに眩しく、これとははるか遠い世界に住む自分にすら、ある種の憧れを抱かせる。1人が本物...

この物語のタイトルは、『恋』以外に考えられない。 読了しての、それが最初の感想。 今回、このお話がTBSでドラマ化されると聞き、およそ15年ぶりに読んでみた。 主人公3人の関係はうらやましいほどに眩しく、これとははるか遠い世界に住む自分にすら、ある種の憧れを抱かせる。1人が本物の「恋」に貫かれてしまった瞬間からそれはガラガラと音を立てて崩れ始めるのだが、思い出だけは美しく、それぞれの胸の中で生き続ける……。 人物の息遣いや風景の移り変わりがいきいきと描かれていて、読んでいる間、自分が同じ空間で彼女たちと過ごしているかのような錯覚に陥るほどだった。 そして、自分が生まれた「昭和47年」の日本はこんな空気に包まれていたのだと、初めて“実感”させてくれた一冊になった。

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2013/08/18

面白かった!そして読み応えがあった。 1970年代初めの学生運動の熱気と混沌の支配する日本を舞台として、その一瞬の混沌の中でのみ成立した人間関係の危うさみたいなものが描かれている。 ラストの90年代の描写がまたいい。 混沌の中の一瞬の儚い出来事や情念は確かに存在し、残され...

面白かった!そして読み応えがあった。 1970年代初めの学生運動の熱気と混沌の支配する日本を舞台として、その一瞬の混沌の中でのみ成立した人間関係の危うさみたいなものが描かれている。 ラストの90年代の描写がまたいい。 混沌の中の一瞬の儚い出来事や情念は確かに存在し、残された者はそれを大切に胸にしまっているのだということを感じさせる。

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2013/08/01

直木賞受賞作。 この秋、ドラマ化のニュースを見て、読むことに。 『恋』というタイトルからは想像できない内容、などと、 レビューを読んだのでかなり期待していました。 舞台は浅間山荘事件の起こった1972年の軽井沢。 そこで女子大生がおこした猟銃殺人事件を ノンフィクション作家が、...

直木賞受賞作。 この秋、ドラマ化のニュースを見て、読むことに。 『恋』というタイトルからは想像できない内容、などと、 レビューを読んだのでかなり期待していました。 舞台は浅間山荘事件の起こった1972年の軽井沢。 そこで女子大生がおこした猟銃殺人事件を ノンフィクション作家が、 20年以上も経って、病気の加害者をたずねて、 掘り起こしていく。 そこで語られる内容は、倒錯した愛なのだが、 かなりの官能小説。 アブノーマルではあるけれど、 優しい愛に満ちている作品。

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2013/05/23

アンソロジー以外の小池真理子作品を初めて読んで見ました。 「恋」というタイトルのイメージとはかけ離れた内容だと、読み始めてすぐに思ったのだが、読み終わってみると、布美子にとっては恋以外の何物でもなかったんだろうと改めて思うのです。 1970年代のころの時代背景や雰囲気が伝わっ...

アンソロジー以外の小池真理子作品を初めて読んで見ました。 「恋」というタイトルのイメージとはかけ離れた内容だと、読み始めてすぐに思ったのだが、読み終わってみると、布美子にとっては恋以外の何物でもなかったんだろうと改めて思うのです。 1970年代のころの時代背景や雰囲気が伝わってきて、人物のキャラもすごくはっきりと伝わってきて、読みながら頭の中で一本の映画を見ているようでした。 出てくるタバコやお酒や車や部屋のインテリアまでも、全て絵になってるという印象。 描写力半端ないです。 マルメロの実の匂いを嗅いでみたいです。

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2013/03/17

官能的な愛や人間模様の話。直木賞受賞作品。 短編集のイメージの強い小池真理子氏だが、本作品は497ページにも渡る重厚感のある大作である。浅間山荘事件の裏で起きた女子大生の銃殺事件の全貌を描いた話、というあらすじを見たとき、「タイトルは『恋』なのに、ミステリーなのかな?」と思い購入...

官能的な愛や人間模様の話。直木賞受賞作品。 短編集のイメージの強い小池真理子氏だが、本作品は497ページにも渡る重厚感のある大作である。浅間山荘事件の裏で起きた女子大生の銃殺事件の全貌を描いた話、というあらすじを見たとき、「タイトルは『恋』なのに、ミステリーなのかな?」と思い購入したところ、内容は恋愛、いや、ドロドロしてるわけではないが濃厚で官能的な愛や人間模様の話だった。 学生運動が盛んだった時代の話なので私とは35年ほど時代が違うのだが、それでもそこまで古臭いなと感じなかったのは、愛の形が不変的なものだからなのか。普段の私なら「何この恋愛模様、付いてけない、気持ち悪い」と敬遠してしまうはずなのに、本作ではこんなにのめり込んでしまうほどの愛の経験をした布美子が羨ましくも感じた。男女の愛だけでなく、人としての愛の描写が、刺激的だった。 軽井沢のイメージが追加更新されたなぁ。

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2013/03/01

「浅間山荘事件が、あのうねるような1つの時代の終焉を告げるものであったとするならば、私は私で、ある日を境に自らの生にピリオドを打ったのである。或る種の幻想に浸っていられた時代。 そんな時代と共に生き、共に私も終わった。そう考えると、今でも、不思議な気持ちに駆られる」 直木賞...

「浅間山荘事件が、あのうねるような1つの時代の終焉を告げるものであったとするならば、私は私で、ある日を境に自らの生にピリオドを打ったのである。或る種の幻想に浸っていられた時代。 そんな時代と共に生き、共に私も終わった。そう考えると、今でも、不思議な気持ちに駆られる」 直木賞受賞作。 物語は、ある女性の死と、その人生を追った作家の交流から始まる。浅間山荘事件の起こった日、新聞欄の一面を飾る事件の詳細のそのほんの隅に、彼女が起こした事件が載っていた。 猟銃で撃ち殺されたのは、電気屋の男 重傷を負った彼女の不倫相手である大学教授。 そしてその場に居合わせた教授夫人。 一見、単なる不倫のもつれにも思えるこの事件。 その奥に潜む悲しい秘密と、恋の物語。 いやー。 これよかったです。 まず文章がうまい! 展開もうまい! すっごくどろどろしてるのに それが嫌じゃないどころか 凄く小さな子どもの凄く純粋な恋のストーリーにも思える。 お互いのお互い以外の相手との行為を 嬉しそうに報告しあう夫婦。 それが出来たのは、そうすることで 相手の全てを知った気になれたから。 自分に話してくれている間は、 その相手に対して本気じゃないから。 だったら最初から遊びを許して、 共有したほうがいいじゃない? そこに新たな秘密が生まれたとき。 悲劇は始まった。 慎太郎の怒りが、痛いほどわかった。 慎太郎は愛してた。 痛いほど。 布美子も愛してた。 痛いほど。 でも 雛子は、別の人に恋をした。 気付いてしまった。 禁断の果実に。 最初から二人の間にあった 悲しい秘密を うすーいベールで、必死に隠してきたのに。 たった一度の恋が、その全てを終わらせた。 恋の恐ろしさ。 愛のもつ狂気。 時代の持っていた独特の空気がこの作品に素晴らしく合っている。 この設定で、この時代背景にしたところにこの作品の成功の秘訣があるのかもしれない。

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2013/02/08

複雑な男女関係だが、スラスラ読ませられるのは、作者の筆力とキャラ設定が秀逸だからだと思う。オチが冒頭でわかっているのに、動機が気になって一気に読んだ。

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2012/10/30

読めば読むほど、濃い小説だなーという感想。小池真理子は初めて読んだけど、とても濃厚で繊細な表現の作家であった。しかし、人間の中心に位置する人に恋する感情というのは本当に複雑で、衝動的で濃いものなんだなと感じた。それが、ある人は結婚、ある人は別離、ある人はもつれて殺人にまで至る。そ...

読めば読むほど、濃い小説だなーという感想。小池真理子は初めて読んだけど、とても濃厚で繊細な表現の作家であった。しかし、人間の中心に位置する人に恋する感情というのは本当に複雑で、衝動的で濃いものなんだなと感じた。それが、ある人は結婚、ある人は別離、ある人はもつれて殺人にまで至る。その元凶たる感情の実態を、こんなに緻密に描いた小説はなかなかないだろう。

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2012/10/28

恋というタイトルだけど少し変わった恋です。 読んだ後、ここ数日物語がずっと頭の中に残ってます。 悲しいけれど嬉しいような、言葉でうまく説明できないけれど とにかくすごくいい小説でした。 帯には「小池文学の頂点を極めた直木賞受賞作」とありますが、本当に素晴らしい小説です。

Posted byブクログ

2012/10/06

自分の気持ちに説明がつかなくて苦しかった時にたまたま読んだこの本の中に気持を代弁してもらえる一文がありました。その箇所を見つけた時の解放感から忘れられない1冊に。

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