夜の蝉 の商品レビュー
精神的に嫌な事件や、正ちゃんが隠す星座の理由、姉と私の姉妹関係など、いろいろ印象に残ってる。なかでも1番印象に残ってるのは江美ちゃんの事。ショックや・・・、次作読みたくないわ・・・(笑) 全体的に内容は今回も素人には不親切な気がした。
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これは「円紫さんシリーズ」ではなく「円紫さんと『私』シリーズ」であることを再認識。 ミステリであると同時に「私」の成長物語でもあるんだなぁ。 『夜の蟬』以降も『秋の花』『六の宮の姫君』『朝霧』と、デビュー作の『空飛ぶ馬』を含めれば全五作ある。 朝ドラのヒロインの成長を見守るように...
これは「円紫さんシリーズ」ではなく「円紫さんと『私』シリーズ」であることを再認識。 ミステリであると同時に「私」の成長物語でもあるんだなぁ。 『夜の蟬』以降も『秋の花』『六の宮の姫君』『朝霧』と、デビュー作の『空飛ぶ馬』を含めれば全五作ある。 朝ドラのヒロインの成長を見守るように、いや大河ドラマを観るかのように、この「私」の行く末を父親のような気持ちでやきもきしながらこれからも追いかけていくんだなぁ。 子供の頃は「おばけ」が怖くて怖くてしょうがなかったが、大人になってからある日を境にぱったりと怖くなくなった。 特になにがあったというわけでもないが、人間はいずれ必ず死ぬものだと、急に「死」を悟った、受け入れたのだ。 おばけや幽霊への恐怖、畏怖というものは、すなわち人間の「死」に対する不安や恐れであると僕は思っている。 かくいう僕も、小学校低学年のときに人間は必ず死ぬとはたと気づいて毎晩泣いていた。そして「おばけ」が怖くてしょうがなかった。 同じく「必ず死ぬ」とわかったのに、幼い頃は恐れおののき、大人になってからは「まあ、しょうがない」と諦念に至るのだから不思議だ。 だがしかし、最近「おばけ」がまた少し怖くなってきた。 おばけや幽霊の常套句といえば「うらめしや」である。 死んでまで他人や現世に恨みや執着があるのだ。 ましてや生きている人間のその感情は如何ばかりのものか。 恐ろしいのは「死」ではなく、むしろこの世に生きる人間の負の感情だったのだと今更ながらに気づく。 『朧夜の底』 存在が不確定で見えないけれども、それでも「私」がエレベーターに乗れなくなる気持ちはわかる。 ブクログユーザーのみなさんにも共感する方はきっといるはずだ。 『六月の花嫁』 ミステリの仕掛けに満ちた一品。 「女王」の消失に端を発する連続殺人事件のような趣き。 もちろん殺人事件が起こるはずもなく、誰一人として死んでいないが、種が明かされてみればその手のミステリに通ずるトリックと、青春のある季節の物語を融合させた構成に感嘆。 しかも外枠にさらに円紫さんの謎解きが加わるという、入れ子構造の贅沢な作り。 謎解きの面白さがあり、尚かつ読ませる。 『夜の蟬』 とても詩的なタイトル。 そして、その意味するところの郷愁を誘うエピソード。 ミステリの謎解きを通して垣間みる知られざる素顔と一つの成長。 成長したのはけっして「私」だけではない。 シリーズ二作目ではあるが、登場する個々のキャラクターがぐっと大人になった巻だった。 それぞれが皆まっすぐで眩しくて、少し面映いような、それでもそっと見守りたくなるような、そんなエピソードの三篇だった。 さあ、いよいよ『秋の花』だ。
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そもそもミステリーに分類してしまうのが良くないのかもしれない。ただ、思考的には本格かもしれない。それでいて、やっぱり人が死なない話はミステリーっぽくないなどと考えてみたり。 私と姉、二人の関連性はミステリーなのかもしれない。いや、私と姉だけではない。全ての人間の関連性はミステリーで伏線は沢山転がっているのかもしれないが、本質的には結末が見えない物語なのかもしれない。 そんなことを考えながら人間の関係性を手繰りながら読み進めるのであれば面白く読めるのかもしれない。などと思いながらも、どこかしらクイズ的な展開を待ち望んでいる自分としては、どうやっても満足することができなく評価も下がってしまう。 他人の評価が高くても自分の中では愉しむことができない。それは耳で味わってはいけないと言うのに似ている。目で評価をしてはいけない。そう思うのだ。他の人がどう思おうが、自分にとって退屈なものは退屈。それゆえ、この評価。
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江戸小噺を聴くような心地よさ。独特のテンポ。ミステリーというより、人間の心の機微を綴っている。日常に潜む、ごくありふれた人々の、心にさした影。
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再読。はじめて読んだ学生の頃には感じることの出来なかった、【彼女たちの恋】がスパイス的に散り混ぜられていて、より深く感じた三篇だった。こんなに時間が経ってもまったく色褪せていないのは、このシリーズの強みでもあると思う。三三さんの「つるつる」は、どんなふうなアレンジになるのかと思う...
再読。はじめて読んだ学生の頃には感じることの出来なかった、【彼女たちの恋】がスパイス的に散り混ぜられていて、より深く感じた三篇だった。こんなに時間が経ってもまったく色褪せていないのは、このシリーズの強みでもあると思う。三三さんの「つるつる」は、どんなふうなアレンジになるのかと思うと、『夜の蝉』も落語でやって欲しくてたまらない。
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(メモ) 母との東京・谷中旅行の帰りの新幹線で読み終える。 三三de北村薫 の為に、父→私→母の順に読んだ。 作家さんの名前で想像していたのと、全然違う雰囲気にびっくり。 とっても好きな感じだった。 知れて、ラッキー。 その後、公演で北村薫さんを見て、これまた意外でびっくり。
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『空飛ぶ馬』に続く、「円紫さんと私」シリーズの第2作。 前々から続編があることは知っていたが、読書に割く時間が減ったこともあり、最近まで保留されていた。 ふと思い出して購入&読了。 一作目同様、非常に品の良い作品で、「綺麗」という言葉がしっくりくる。 ジャンルとしては推理小説に...
『空飛ぶ馬』に続く、「円紫さんと私」シリーズの第2作。 前々から続編があることは知っていたが、読書に割く時間が減ったこともあり、最近まで保留されていた。 ふと思い出して購入&読了。 一作目同様、非常に品の良い作品で、「綺麗」という言葉がしっくりくる。 ジャンルとしては推理小説になるのだろうが、主人公の「私」と周囲の登場人物の物語ともとらえられる。 日常を舞台としており、作風としても好きな部類。
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「朧夜の底」では本屋を舞台に、上下が逆さまになっている本の謎は?円紫さんの推理が冴えわたります。主人公のわたしの淡い恋の行方は? 「六月の花嫁」、なくなったチェスの駒はいったいどこに。それが織りなす可愛い謎かけはほのぼのしました。しかし、友達が結婚と言う流れは、驚きました。 ...
「朧夜の底」では本屋を舞台に、上下が逆さまになっている本の謎は?円紫さんの推理が冴えわたります。主人公のわたしの淡い恋の行方は? 「六月の花嫁」、なくなったチェスの駒はいったいどこに。それが織りなす可愛い謎かけはほのぼのしました。しかし、友達が結婚と言う流れは、驚きました。 「夜の蝉」本の題名にもなっていますが、三作品の中ではこれが面白かったです。姉とわたしとの小さいころの確執。兄弟、姉妹はもっとも身近なライバル関係だと思う。姉は、妹が生まれる事で、それまで独占していた親の愛情が妹にも注がれる事で不満を抱くかもしれない。妹は姉に力では勝てない。多分、一番最初に泣かさる相手ではないだろうか。小さなころはお互いが決して手に入れることのできないものを欲しがるかもしれない。小さなころのこの二人はそんな関係だったのかな。 しかし、妹が寝ている部屋に蝉がまぐれ込み、恐怖を感じた時、姉が現れて、妹が抱きつくと言う場面は感動しました。 大人になってあの時は、ああ思っていたんだよと言われるのは、今となっては良い思い出です。 今回も面白かったです。
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『円紫さん』シリーズ第2弾。女子大生の〈私〉と噺家の春桜亭円紫師匠が活躍する。鮮やかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な伏線と、主人公の魅力あふれる語りが読後の爽快感を誘う。俳句の季語で、「七夕」秋!だとは!!真夏真っ盛りかと?。旧暦・・・時代劇はよく読むけど意識してないなぁ。落語を知っていると面白いですね。次巻『秋の花』(東京創元社、1991年) - 初の長編作品。
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このシリーズはあまりに瑞々しくて、自分の中に湧き上がるものが清々しさなのか哀しみなのか区別がつかないことがある。 人と人の脆く不確かな繋がりへの描写が見事で、こんなに色っぽいミステリなのに(もっと師匠のこととか書きたいのです)、感想を言う時には、私はいつも謎の部分まで追いつけない...
このシリーズはあまりに瑞々しくて、自分の中に湧き上がるものが清々しさなのか哀しみなのか区別がつかないことがある。 人と人の脆く不確かな繋がりへの描写が見事で、こんなに色っぽいミステリなのに(もっと師匠のこととか書きたいのです)、感想を言う時には、私はいつも謎の部分まで追いつけない。
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