ヨーロッパ退屈日記 の商品レビュー
伊丹十三のすごさを思い知った本。 彼のことを映画監督と思っていたけれど、実は映画俳優でありデザイナーでありエッセイストであり映画監督であり雑誌の編集長であり翻訳者であり料理も一級という何足もの草鞋を履いた方だったのです。天才!? さて、この本は伊丹十三俳優時代の記録なのだけど...
伊丹十三のすごさを思い知った本。 彼のことを映画監督と思っていたけれど、実は映画俳優でありデザイナーでありエッセイストであり映画監督であり雑誌の編集長であり翻訳者であり料理も一級という何足もの草鞋を履いた方だったのです。天才!? さて、この本は伊丹十三俳優時代の記録なのだけど、すごい洞察力でヨーロッパを観察していてなにげに教養本。 「退屈に至る道程を、退屈ならざる巧みさで表現した傑作。」 と解説にあるが、まさにその通りで。 アーティチョーク(フランス語ではアーティショーらしい)の食べ方、飲み残す葡萄酒(の礼儀)、スパゲッティの正しい食べ方などと示唆に富んでいて面白い。 (フランスびいきの森茉莉さんのエッセイと若干リンクする節あり。) この本を読んで伊丹十三のイメージが大転換、そんな本でした。
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書店に他の本を探しに行ったときに, タイトルの「退屈日記」と表紙に書いてある「この本を読んでニヤッと笑ったら,あなたは本格派,しかもちょっと変なヒトです」という文章が目に入り,衝動買いした. まず日本文化に対して圧倒的な知識を持っており,相当教養が深いということは明らかに感じた...
書店に他の本を探しに行ったときに, タイトルの「退屈日記」と表紙に書いてある「この本を読んでニヤッと笑ったら,あなたは本格派,しかもちょっと変なヒトです」という文章が目に入り,衝動買いした. まず日本文化に対して圧倒的な知識を持っており,相当教養が深いということは明らかに感じた. それを踏まえヨーロッパで滞在した国々でそれぞれの国の文化に対しての解釈も非常に面白い. 日本文化に精通している人とそうでないひとが海外に行った場合やはり両者が感じる,学ぶことには明白な差がでてくると思う. まず海外に行って,「日本ではどうなのですか」という質問に答えられるか否かは非常に重要な点だと言える.そこから会話が広がるし,相互理解が始まる.本書でもふれられていたが,日本人が海外に行ったら,その時点でその人はその地で日本を代表する人となる. 伊丹氏の物の感じ方,とらえ方は非常に独特でおもしろい. いろいろな物語がおもしろおかしくではあるが上品に表現されている気がする.個人的にこの人の書き方がすごく好きだ. 多彩な人との付き合いがあるのも,言葉の壁を越えて,伊丹氏の人柄にみんながひかれているのだと思う. 僕なんかから見るとかなり上流階級に生きた人間ではある気はかなりしたが,嫌味がなく,最後まで楽しく読めた.
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いまでは当たり前に知られている欧米の生活様式や食文化。1961年に単身俳優として乗り込んでいった伊丹十三が、自分が見聞したことを綴ったエッセイ。 ジャギュアやロータスエランを乗りこなし、ブリッグの蝙蝠傘とダンヒルのパイプを身につけ、フランス国内のミシュラン3ツ星をしらみつぶしに訪...
いまでは当たり前に知られている欧米の生活様式や食文化。1961年に単身俳優として乗り込んでいった伊丹十三が、自分が見聞したことを綴ったエッセイ。 ジャギュアやロータスエランを乗りこなし、ブリッグの蝙蝠傘とダンヒルのパイプを身につけ、フランス国内のミシュラン3ツ星をしらみつぶしに訪れる。これだけではただの「欧州かぶれのスカシ野郎」で終わってしまうが、英国紳士の真似事は分不相応と手を出さず、結局のところ心を許せる外国人はみんなゲイといったあたりに、卑屈になってもおかしくない日本人の肩身の狭さがユーモアたっぷりに語られていて伊丹十三の芯の強さを感じる。
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これを読んでニヤッとしたら、あなたは本格派で、しかも少し変な人です。――文庫表紙より まずこの、『ヨーロッパ退屈日記』というタイトルがいいではないか。タイトルで思わず借りてしまったではないか。 内容のほうも、題名に反して(笑)退屈することなく楽しめた。今よりずっと海外に行くのが...
これを読んでニヤッとしたら、あなたは本格派で、しかも少し変な人です。――文庫表紙より まずこの、『ヨーロッパ退屈日記』というタイトルがいいではないか。タイトルで思わず借りてしまったではないか。 内容のほうも、題名に反して(笑)退屈することなく楽しめた。今よりずっと海外に行くのが大変であっただろう時代に、「退屈」というタイトルをつけるだけあって、なかなか挑戦的で、それでいてキザな内容である。 しかしその「キザさ」には、覚悟と信念があった。いいものはいい。格好悪いものは、格好悪い。どうせやるなら、おいしいものを食べて、高いもので洒落込み、贅沢をして何が悪い。ああ、こんな台詞、一度でいいから言ってみたいものです。 自分の目で「本物」を見極めることは、自意識を満足させてくれると同時に、自分にも他人にもモノにも妥協しない、行動力と気力が必要なのだろうな。 著者のことはよく知らないけれど(『お葬式』という映画は聞いたことがあるようなないような・・・その程度)、なんだか気になる人だと思った。生き方が物語になりそうな人、というかんじ。 溢れ出しそうな教養を持った人、というのに憧れます。
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1961年、俳優として映画撮影のため長期滞在していたヨーロッパでの体験について記したエッセイ。発表されたのは1965年ですが、50年後の今読んでも「カッコイイ」本です。この本の登場で、随筆ではない「エッセイ」が生まれたとも。そういえば日本で「アル・デンテ」という言葉が登場したの...
1961年、俳優として映画撮影のため長期滞在していたヨーロッパでの体験について記したエッセイ。発表されたのは1965年ですが、50年後の今読んでも「カッコイイ」本です。この本の登場で、随筆ではない「エッセイ」が生まれたとも。そういえば日本で「アル・デンテ」という言葉が登場したのは、ヨーロッパ退屈日記が初めてだったかもしれません。「ジャガー」でなく「ジャギュア」と呼ぶこと、正装とは、本格的カクテルとはなど、この時代における映画、料理、お酒、音楽、車、服装などについて、何が「ホンモノ」なのかを語ってくれます。
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視野は広くもちつつも、人によっては素通りしてしまうディテールにでも足を止めて、観て、捉える。こうしたことを通して自分のこだわりを形成する。何度も読みながら肯く。そうそう、あるある。前に海外で共に暮らした友人と昔話をしているような感覚。
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・「ムード」と週刊誌と香水入りおしぼりの国、日本。男が女よりも先にタクシーに乗り込む国、日本。折角の風景を無数の広告で、すっかり台無しにしてしまう観光国、下水もないのにテレビだけは7つのチャンネルをもつ国、日本。 ・紳士として最も失ってはならないもの、それは心のゆとりである。エチ...
・「ムード」と週刊誌と香水入りおしぼりの国、日本。男が女よりも先にタクシーに乗り込む国、日本。折角の風景を無数の広告で、すっかり台無しにしてしまう観光国、下水もないのにテレビだけは7つのチャンネルをもつ国、日本。 ・紳士として最も失ってはならないもの、それは心のゆとりである。エチケットも大切に。
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この本が書かれたのは昭和という時代。 物があふれ、豊かになったはずの現代。 そんな今にこそ、読んでおきたい一冊。
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少なくなってしまった偏屈オヤジの偉大さを身にしみる本。 ヨーロッパに行きたくなる本。情景が浮かぶようだ。
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伊丹さんの才能は分かりますね。自分の中にを取り込んで上手く料理して出てくる感じが好きです。 でも好きな人は好きだけど苦手な人は苦手かも知れませんね。
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