海辺のカフカ(上) の商品レビュー
夢みたいにいくつもの話が切り替わる。 集団催眠?にかかった記憶喪失の男の子達と軍医、猫と話せる男、カラス?の声に導かれて家出した男の子。 特殊な表現なのにそれにだれも触れず話が展開していく奇妙な面白さがある。 ふわふわしすぎていなくてとても好き☺︎
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15歳の家出少年の物語と,幼少期の事故でディスクレシアになった老人の物語が交互に独立して進む.いずれも生に対する価値を別な観点から対照的な設定で問う対比的物語として進行するが,段々と互いの世界が交差し始める.下巻で,この構造的な世界がどのように閉じるのか,期待させる.
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あいだ間に不思議な話が入っている。そこで、ふと現実に戻されるような感覚。3つの話が変わりばんこにどんどん進んでいく。
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四国への旅のお供にと、手に取った、久しぶりの村上春樹。 海辺なんだけど、山のシーンも多い。 少し、「ツイン•ピークス」を感じる。 関東圏からの旅だったので、本を読み進めるのが楽しい。 四国の島で山に登り、海岸を散歩し、 本の世界をより楽しめた。 さて、ナカタさんホシノさん、カ...
四国への旅のお供にと、手に取った、久しぶりの村上春樹。 海辺なんだけど、山のシーンも多い。 少し、「ツイン•ピークス」を感じる。 関東圏からの旅だったので、本を読み進めるのが楽しい。 四国の島で山に登り、海岸を散歩し、 本の世界をより楽しめた。 さて、ナカタさんホシノさん、カフカくんの旅、 どこで交差するのかしら?
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※このレビューにはネタバレを含みます
ナカタさんとカフカの2つの物語で構成されている ナカタさんは山の話から、カフカは家出から。最初読んだ時にこの山の話はなんだ?と思ったけど読み進めていくうちにジョニーウォーカー、空から魚が降るなど繋がりがあって面白い。 カフカと大島さんの話はいつも難しすぎる。大島さんはなんであんなにカフカに良くしてくれるのだろう、なんで15歳の時の佐伯さんが現れたんだろう、ナカタさんは一体何者なんだろう たくさん疑問があるのでそれが下巻で解っていくのが楽しみだ。
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15歳の少年の変化の物語。 成長と言ってしまうのは少し違うと思う。少年は、呪いを克服できたのか、それともその場しのぎに過ぎないのか。 登場人物の行動が交錯して、それぞれが黙々と仕事をこなしていく感じは結構好き。
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村上春樹ワールド満載。 キャラクター性、世界観、セリフ、表現方法などの一つ一つが芸術品のようで、海辺のカフカという題名から美しい。 本を通してただただその世界にどっぷり浸らせてくれることがこの著者の凄いところだと思う。 主人公と大島さんとのやり取り、猫やナカタさんの話などを通して...
村上春樹ワールド満載。 キャラクター性、世界観、セリフ、表現方法などの一つ一つが芸術品のようで、海辺のカフカという題名から美しい。 本を通してただただその世界にどっぷり浸らせてくれることがこの著者の凄いところだと思う。 主人公と大島さんとのやり取り、猫やナカタさんの話などを通してこの世のあり様を考えさせられながら、ぐいぐいとその世界観に引き込まれてあっという間に読み終えた。 下巻も楽しみ。
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村上春樹を初めて読みました。海辺のカフカは2つの物語が交互に書かれていて読み込むにつれて深い底へ向かい沈んでいきました。 タナカさんのキャラクターが唯一無二でたくさん勉強になりました。 最高な本に出逢えて読了後は歓喜しました。
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初めは全く異なる物語が章ごとに綴られていると思ったら、どんどん節々のキーワードが繋がってきて、もしかしたら…と思っていたらそれが接続するみたいな素晴らしい構成。 人生に疲れてちょっと逃避行している主人公の心情や、普通だとありえないけどありえる世界線みたいなのが本当にリアルで夜寝ず...
初めは全く異なる物語が章ごとに綴られていると思ったら、どんどん節々のキーワードが繋がってきて、もしかしたら…と思っていたらそれが接続するみたいな素晴らしい構成。 人生に疲れてちょっと逃避行している主人公の心情や、普通だとありえないけどありえる世界線みたいなのが本当にリアルで夜寝ずに読み切ってしまいました。下巻でこの伏線の予想が当たるか楽しみ。わくわく。
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※このレビューにはネタバレを含みます
海辺のカフカを読み終えた時、カフカと同様に我々読者も大きな冒険を終えたかのような重厚的な感覚を得る。それは、本作が肉体的な冒険とは別に精神的な冒険を伴っていることと関連している。カフカや佐伯、ホシノと同様に我々も様々なことを考えるのである。 私が最初に印象を持ったセリフは以下である。 「頭がよくても悪くても、字が書けても書けなくても、影がちゃんとあってもなくても、みんなそのときが参りますれば、順々に死にます。」(1) 本作の大きなテーマの一つは過去と未来、すなわち時間である。我々は得てして、時間は必然的に流れていると考えがちである。しかし、それは時間が流れていることを意識しているからそう感じるだけであって、猫たちのように時間の流れを感じない者にとっては時間は不存在のものなのである。つまり、時間はそれほど大事な問題ではない。 そして、そんな猫たちと会話できる存在としてナカタが登場する。そんな彼もまた、一貫して時間という概念を持たない。時間がないから未来もない。未来がないから死を恐れる必要もない。彼の上記のセリフにはそういう背景がある。 時間の概念を持ち合わせないナカタは他の多くの概念についても持ち合わせない。例えば「飽き」(2)と「記憶」(3)である。「ナカタには思い出というものはありません。ですから、サエキさんがおっしゃる『苦しい』という気持ちは、ナカタにはうまく理解できないものであります。」(3)先述した、死を恐れないという事とも関連するが、我々は往々にして過去を後悔し、未来を恐れている。勿論その逆もあろうが、トータルで過去と未来にポジティブな感情を抱いている人がどれほどいるだろうか。本作はナカタの言動を通して、時間から解放されることの喜びと、時間がもたらす苦しみを我々に訴えている。 この命題は村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」にも登場する。 「時々僕は自分が一時間ごとに齢を取っていくような気さえする。そして恐しい事に、それは真実なのだ。」(4) 「風の歌を聴け」を読んだ私はこの命題に対して自分なりの答えを出した。それは、結局のところ死んだらそれで終わりなのだから、不確実な未来に怯えて過ごすよりも、今をどう楽しむかに全力になった方が楽しいというものである。これは、実にナカタの思考に近い。事実として、未来は不安をもたらす。だから上記のような生き方は望ましいと思える。しかし、これでは不十分である。不十分で不親切でもある。何故なら、我々が人間である以上、過去と未来を我々の中から完全に消し去ることはできないからである。本作は、この問題に対して結論を出している。その一つは、「いいかい、それはもうすでに起こってしまったことなんだ」(19)というマインドである。つまり、過去をそれそのもとして受け入れろということである。また、「言いかえれば、君は彼女をゆるさなくちゃいけない。それはもちろん簡単なことじゃない。でもそうしなくちゃいけない。それが君にとっての唯一の救いになる。」(19)つまり、未来に対して希望を抱けということも語っている。過去を受け入れ、そこから未来への希望を抱け。それはなんと荒唐無稽で平凡で肩透かしを喰らうような結論だろう。だが、私にとっては「風の歌を聴け」から「海辺のカフカ」を通してこのような結論に至ったことは救い以外の何者でもないし、大きな意味を持つのである。
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