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太陽の簒奪者 の商品レビュー

4.1

69件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2017/06/15

野尻抱介の本を最初に見かけたのは子ども部屋で「ピアピア動画」という題名と表紙絵で引いてしまっていた。 しかし「沈黙のフライバイ」が好みにハマったので手にしたのがこれ…面白いじゃないか!( ゚Д゚) クレギオンってシリーズも読んでみたい。

Posted byブクログ

2016/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

西暦2006年、太陽面を通過する水星から謎の細長い物体が突き出ているのが観測される。それは、未知の知性体(?)が水星上に構築したマスドライバーから吹き上げる巨大な噴泉だった。水星を原材料に宇宙空間に吹き上げられた物質はやがて太陽の周囲を取り囲む巨大なリングを形成し、地球は日照量が激減したために文明崩壊の危機に陥る。 2006年の水星太陽面通過を正に観測していた天文学好きの女子高生・白石亜紀は、リング研究の第一人者として成長し、国連宇宙防衛軍が建造した宇宙船のクルーの一員としてリング破壊計画に参加することになる。しかし、亜紀が真に望んでいるのは、リングを建造した未知の存在とのコンタクトだった。地球人類の存続と未知の存在への憧れとの狭間で揺れながら、様々な困難に直面する亜紀がリングで発見した真実とは?そして、リングを建造した存在の思惑とは? 直球ど真ん中、ファースト・コンタクトをテーマとしたハードSF。いかにもハードSF的な理系の描写も多く見られますが、ロジカルなところが多少わからなくても読み進めるには問題ありません。スピーディでサスペンスフルなストーリー展開にぐいぐい引っ張られて、あっという間にラストまで引き込まれます。 【以下、ネタバレ注意!】 タイトルから推し量って、太陽を取り巻くリングを破壊することがこの物語の最終目的なのかな、と思って読み進めたんですが、それは通過点に過ぎませんでした。 メインのストーリーはその後、リングの目的が「太陽系に向かってレーザー航法で飛んでくる異星人の大型宇宙船を減速させるための装置」であることが判明してから、異星人とどう対峙するかを巡って混乱紛糾する地球を舞台に繰り広げられます。リング破壊の立役者としてノーベル平和賞を受賞しすっかり大物となっている亜紀は、かねてからの夢であった異星人とのコンタクトを実現させるために「リングを日照を遮らない角度で再建して異星人を友好的に迎え入れる」という提案をしますが、異星人の接近に恐怖を抱く多数派に遮られ、次第に追いつめられて行きます。そんな中、ついに異星人の船と思われる飛行体が観測されます。 このとき、異星人の船がレーザー航法ではなく、核パルス推進航法を採っていることが判明します。その意味するところがわかったとき、鴨は鳥肌が立ちました。このサスペンスフルな感動は、ハードSFならではですね! ハードSFならではの、理論に根ざしたスケールの大きいビジュアルも見所の一つ。太陽を取り巻くほどの大きさでありながら、光の圧力によって太陽の重力と均衡するほど薄く柔軟なリングの圧倒的な描写。実利に徹底化して建造されたため無骨な外観でありながら、不思議と魅力的な宇宙船「ファランクス」。映像化したら最高にカッコいいだろうなと思わせる、「絵になる」描写がてんこもりです。 ・・・と、ハードSFの側面から語ってみましたが、鴨が本作品で一番魅力的に感じたのは、主人公・亜紀の人物描写。 確かに、他の文芸ジャンルに比べたら人物の描き方はあっさりしています。内面の感情を直接に描写することはほとんどありませんし、亜紀自身がそういう性格のキャラクターです。 しかし、そんな淡白な筆致の行間からでも十分ににじみ出る、「地球人類の一員としての自分」と「異星人と友好関係を築きたい自分」との間で引き裂かれそうになり苦悶する亜紀の、魂の相克。彼女の願いは、結局叶わずに終わります。それでも前を向こうと決意する亜紀の姿と、更にその先を静かに描くラストシーン。この作品は、白石亜紀という一人の科学者の一代記でもあります。「人間味が感じられない」と評されることの多いハードSFというジャンルにあって、なかなか異色な作品ではないでしょうか。

Posted byブクログ

2016/05/15

「時間封鎖」に似た設定でまず引き込まれ、後はファーストコンタクトまで一気。スピーディーな展開で非常に読みやすかった。

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2016/02/07

地球外生命体というのはやっぱロマンあるわけで、かつてはETからインディペンデンスデイまでやべーやつから可愛いものまで想像膨らませまくりなわけで。そんなこんなでここでも宇宙人とコンタクトするのにすったもんだあったりなかったりで、大変な事になってるんだけど、微妙にSFちっくな哲学的な...

地球外生命体というのはやっぱロマンあるわけで、かつてはETからインディペンデンスデイまでやべーやつから可愛いものまで想像膨らませまくりなわけで。そんなこんなでここでも宇宙人とコンタクトするのにすったもんだあったりなかったりで、大変な事になってるんだけど、微妙にSFちっくな哲学的な話を盛り込みつつも、妙にダイナミックでスピード感があって読んでるのが楽しい。SFってロマンあるけど、時々一般人にはついていけない方向に熱くなって訳わからんてなるんだけども、この本くらい控えめならありがたい。

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2016/02/05

西暦2006年、水星から太陽に向けて放出される謎の物質が観測された。その物質は太陽を覆うようにリングを形成し始め、人類は太陽の光を奪われていく。地球外文明に魅せられた若き研究者・白石亜紀は、そのリングを破壊するミッションに参加するが……という話。 米子で開催されたSF大会米魂に...

西暦2006年、水星から太陽に向けて放出される謎の物質が観測された。その物質は太陽を覆うようにリングを形成し始め、人類は太陽の光を奪われていく。地球外文明に魅せられた若き研究者・白石亜紀は、そのリングを破壊するミッションに参加するが……という話。 米子で開催されたSF大会米魂に参加したのだが、その予習も兼ねて読んだ。SF長篇を読むのは久々だったのだが、とても面白かった。内容はハードSFで、理解が難しいところもところどころあったが、しかし作者の文章力がとても高く、ぐんぐん読ませられた。 内容は地球外文明とのファーストコンタクトものであると同時に、白石亜紀というひとりの女性の一代記でもある。望遠鏡越しに、水星に建造された謎の構造を初めて観測した高校生の白石亜紀。亜紀は、その後取り憑かれるようにリング研究にのめり込んでいく。あのリングは誰が、何のために、どんな技術を使って建設したのか。刻々と失われていく太陽の光に人類が恐怖するなか、彼女の心には地球外文明に対する揺るぎない憧れが灯っていた。 地球外文明との対話を最後まで望んでいた彼女にとってあのラストはどんな気持ちだっただろう。高校生だった亜紀は、作中で歳を取り、最後には老齢の女性となる。様々な後悔や自責の念、そして救世主としての責任を胸に、彼女の人生はこれからも続いていく。 硬派な文章、ハードSFではあるが、一方でこの物語で描かれているのは人間賛歌の物語でもあるのだと思う。 人間は不完全で危うく、とても無駄が多い存在だ。過ちも犯すし、さまざな感情に囚われる。けれど不完全であるからこそ、人類はこれまで進歩してきたし、これからも歩いていけるのだろう。亜紀がそうであったように。

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2016/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

水星に突如現れた建造物。そこから始まる物語は内容も思想もとてもスケールが大きく、こんな作品が国内で生まれていたとを知らずにいたなんて、とても勿体無いことをしてきたように思います。 言語、常識、容姿、生物的構造。すべてが異なる異性人とのファーストコンタクト。コミュニケーションを円滑に取り合うことはとても困難が伴うことでしょう。 果たして、相手を信じて友好関係を築けるでしょうか? こちらが友好を示そうとしたコミュニケーションに対して攻撃的な応対をされたら、やっぱり信じることはできない気がします。 そんな難しい命題を分かり易く考えさせてくれる作品でした。

Posted byブクログ

2015/09/14

日本のSF作家として名の知れた、野尻抱介の長編小説。元は短編作品で、それを長編化したものです。テーマは異星人とのファーストコンタクト。 あらすじ。西暦2006年。太陽は、突如現れた巨大なリングによって取り囲まれた。日照量の激減により、滅亡の危機に瀕する人類。誰が、何の目的で太陽...

日本のSF作家として名の知れた、野尻抱介の長編小説。元は短編作品で、それを長編化したものです。テーマは異星人とのファーストコンタクト。 あらすじ。西暦2006年。太陽は、突如現れた巨大なリングによって取り囲まれた。日照量の激減により、滅亡の危機に瀕する人類。誰が、何の目的で太陽を簒奪したのか……? 科学者・亜紀は、宇宙戦艦に乗り込みリングの破壊ミッションに参加するが……、というのが、序盤~中盤の内容。リングが現れた時から事件の終焉に至る数十年を、主人公・亜紀の視点から描くリアリティあふれるSF小説です。 異星人とのファーストコンタクトって、結構いろいろな小説や映画で描かれてきたテーマですけど、「何のためのリングか?」→「リングを破壊しないと人類死亡フラグ」→「壊しちゃったけど、そのあとどうなるの!?」→「異星人がやってくるよ!」→「コンタクト」の一連のシチュエーションが、主人公の葛藤とともにドラマチックに描かれていて、しかもリアリティがあるから、読んでいて飽きない。行きつく結論も納得の一言。 専門用語と分かりづらい状況描写で、イメージ喚起がされづらいという欠点はあるものの、それはSFに慣れていない自分だからこそのマイナス点であるのかも。物語本筋自体はとても分かり易く、しかも文句なくおもしろい。 ぜひ一度読んでみてください!

Posted byブクログ

2014/11/15

第28回奈良県立図書情報館ビブリオバトル テーマ「夜」で紹介した本です。 http://eventinformation.blog116.fc2.com/blog-entry-952.html

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2014/11/02

尻P。一貫しているところ=異星人との出会い、異星人の性格、主人公が女性、ナノテク好き、地球文明に関する諦観。すこし違うと思ったところ=科学考証が十分でない、描写が物語的、底なしの明るさが無い。科学考証については、惑星間航行、宇宙戦闘などストーリーのハードルが高いのもあるだろう。 ...

尻P。一貫しているところ=異星人との出会い、異星人の性格、主人公が女性、ナノテク好き、地球文明に関する諦観。すこし違うと思ったところ=科学考証が十分でない、描写が物語的、底なしの明るさが無い。科学考証については、惑星間航行、宇宙戦闘などストーリーのハードルが高いのもあるだろう。 私の好みでは、ピアピア=>ロケット・ガール>ふわふわ>太陽。

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2014/10/03

地球外に生物、さらには知的生命体が存在するか、存在するとして彼等とのコンタクトが可能かというのは、SFの好きなテーマの一つである。地球上の全ての生物はおそらくたった一つの生命体もしくはたまたま同じ構造を持つに至った生命体群から発展してきたと考えられる。 地球上の生物はセントラルド...

地球外に生物、さらには知的生命体が存在するか、存在するとして彼等とのコンタクトが可能かというのは、SFの好きなテーマの一つである。地球上の全ての生物はおそらくたった一つの生命体もしくはたまたま同じ構造を持つに至った生命体群から発展してきたと考えられる。 地球上の生物はセントラルドグマと呼ばれるコンセプトないしはそのバリエーションといえるシステムで生きているのである。 地球外に知的生命体の存在を示唆する活動が発見され、その生命体の所在する恒星系が解り、人類はコンタクトを取ろうするが、相手はどんな問い掛けにも答えない。こういったシチュエーションに陥ったとき人類はどうするの、というのが本書の描いている所である。 地球外知的生命体との交信は、素数の表の類の物理、数学にもとずく情報を発信して見るのが、まずは常套手段であるようだ。物理法則は普く宇宙全体に及んでいるし、所在の痕跡を示せる生物であれば、当然に物理法則は理解していると想像出来るのである しかしながら、コミュニケーションはなんらかの共通点基盤を持たないと成立しない。幾らこちらから呼びかけても反応しない、しかし明らかに地球文明より高次のテクノロジーを持っていると推測される生命体が地球に迫ってきたら一体地球人はどう対処するのか。 スペオペものでない宇宙ものSFは時間と空間の概念が尋常でないので面白いのだが、さらに生命とはなんなのかと言う事も考えさせてくれる作品である。

Posted byブクログ