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アンネの日記 増補新訂版 の商品レビュー

4.1

187件のお客様レビュー

  1. 5つ

    65

  2. 4つ

    57

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    2

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2018/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦争という背景はあるけれど、それよりも1人の少女の日記帳。中学生でよくある。生活ノートを思い出せば、わかるかもしれない。違うのは彼女が閉じ込めれていること、家族以外の人と暮らさなければならないこと、赤の他人のおじさんとおなじ部屋で寝起きしなければならないこと、自分が所属する民族が迫害されていること。 日記の中のアンネは前半特に著しく、笑ったり怒ったり泣いたり飛び跳ねたり忙しい。コマ回しに送る少女に、四季色のワンピースをかぶせて見たらアンネになるかもしれない。男の子にモテすぎたり、アイスおごらせたり、後ろの席の子が面白くて授業中に笑ったりする。 日記を読んでいくとだんだん、アンネと一体化していくように感じられます。または、アンネが私たちに語りかけてくれているような。私たちはアンネにとってのキティーであるか分かりませんが、彼女の精神 魂が永久に生き続けてくれているのであれば、ページを手繰るたびに恥ずかしいようななんとも言えないような顔で目の前のテーブルに頬杖をつきつつ見つめているのではないでしょうか。私たちにはまだ見えない彼女ですが。 ただ、彼女を 私たちは小学校や中学校で同級生の女の子たちの体や言葉遣い、表情からきっと感じていたはずですし、私自身の性別が女なので、私の中のアンネフランクとおなじ色をした血が流れていたことを覚えています。 隠れ家の中で、アンネは人と衝突し、蔑まれ、罵られ、孤立します(本人談だから、どこまでかわからないけど……。でも、誰だって少女期特有のこの、超被害者的意識はあると思う)そんなつらい生活の中でも、彼女は本を読みます。外国語を学びます。歴史を学びます。嫌だ嫌だと言いつつ、手伝いもこなし、母親に悪態をついたり、姉を軽蔑したりしながら、彼女の完全体としての地肉を培っていたのでしょう。 なんなら、隠れ家自体が大きな一つの繭でできていて、彼女は飛び立つ時を待っていたのかもしれない。 彼女だけでなく、その隠れ家にいた人全て大人も子供もみんな、繭に守られ 繭に育てられ、ドロドロと変質しながら戦前までの自らを脱ぎ捨て、新しい自分に変わろうとしていた。 2人のアンネ、という記述は何か不思議さと切なさが同居します。私たちが仮にアンネだとしたら、私たちは私たち自身の生と死とを、静かに見守り見送る役目を仰せつかったことになる。 でも、それが生きている人の役目です。この世に生きている限り、私たちは送り出さなければならない。つらくても。自分がいつか送り出される日まで。 私たちの分身のアンネが、目の前で車に乗せられ、遠い収容所へ運ばれていく様を目に浮かべるのはあまりに悲しい。自分自身が切り取られる痛みを、この本を読む上では覚悟しなければならない。本を読むアンネが知識をつけ、思慮を重ね新しいアンネになったように、この日記を読む私たちもアンネのことを知り、アンネに思いを馳せ、薄い肉の上にアンネの肉をはり合わせる。 とてもつらく悲しい本ですが、彼女が収容所へ送られない限り、この本もこの世に出なかったのではないかと思うのです。 戦争の悲劇というよりも、少女の心の痛みや葛藤、世界に対する絶望感と、希望をこの本から分かち合ってほしい。どの世界の子供たちもどの時代の子供たちも同じことを、考えていたとするなら、おなじアンネとおなじ痛みを抱えていたとするなら、本当にこの世は平和になることができると思うんです。

Posted byブクログ

2018/06/06

小学生低学年の頃、祖母からもらって読んだ。当時の私には理解できないことも多く、辞書で言葉を調べたり、親に聞いたりしながらじっくりと読んだ。 わからないながらにも、明確な違和感が心の中にたまった記憶がある。なぜ同じ人間同士なのに、人種が異なるだけで隠れて暮らさなければならないのか?...

小学生低学年の頃、祖母からもらって読んだ。当時の私には理解できないことも多く、辞書で言葉を調べたり、親に聞いたりしながらじっくりと読んだ。 わからないながらにも、明確な違和感が心の中にたまった記憶がある。なぜ同じ人間同士なのに、人種が異なるだけで隠れて暮らさなければならないのか?今では当たり前のように認められている「自由に生きる権利」が、なぜ認められないのか?なぜ同じ人間同士で憎み合い、殺し合うのか?幼少期ながらにふつふつと疑問と怒りにも近いものが沸きながら読んだ。今では、紛争や理不尽な争いに巻き込まれる人々の報道を見ても、幼少期ほどの違和感が得られない。なにか他人事で遠いことに感じてしまっていることに気づき、ゾッとした。慣れてはいけないし、あの悲惨な出来事は繰り返されるべきではない。この本は後世にも長く、より多くの人に読んでもらうべきだと感じる。重く暗く、目を背けそうになるけど、知らないといけない事実だと思う。

Posted byブクログ

2018/04/12

中国旅行のお供にもってきた一冊。 これだけ知名度の高い本なので、一度読んでみたのだが・・・ 本当に普通の15歳の女の子だったんだなーというのが感想。省略されていない完全版だからかもしれないが。 この年頃の女の子の心にはいろいろな嵐が吹き荒れているのである。 そして、たまに出てくる...

中国旅行のお供にもってきた一冊。 これだけ知名度の高い本なので、一度読んでみたのだが・・・ 本当に普通の15歳の女の子だったんだなーというのが感想。省略されていない完全版だからかもしれないが。 この年頃の女の子の心にはいろいろな嵐が吹き荒れているのである。 そして、たまに出てくる戦争の記述。それでも明るくたくましく生きようとするアンネ。 最後がなんとも寂しい。 その後は、wikipediaで詳細を読んでみて欲しい。 全裸でガリガリに痩せて、丸坊主でまるで目だけになってしまったアンネ。 映画も挑戦してみようかな。

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2017/08/08

初めて最初から最後まで、全部読みました。 読み終わってから数日経ちますが、消化しきれていません。 読むきっかけは、池上彰さんの著書の中で、 『世界に影響を与えた10冊のうちの一冊。イスラエルという国が国際的に容認されたのは、この本があってこそだ。』というように書かれていたことです...

初めて最初から最後まで、全部読みました。 読み終わってから数日経ちますが、消化しきれていません。 読むきっかけは、池上彰さんの著書の中で、 『世界に影響を与えた10冊のうちの一冊。イスラエルという国が国際的に容認されたのは、この本があってこそだ。』というように書かれていたことです。 果たして、この本が世界にどれだけ影響を与えたのかというのは、勉強不足ゆえか、正直分かりません。 やり切れなさ。 食べ物も衣類・日用品十分になく、ずっと同じところに閉じ込められた生活。戦争という現実と決して明るく無い未来が待っているかもしれない不安との闘い。 同居人、両親・家族との不和... アンネの前向きな姿勢を鑑みる度に、 結末を知っているからこそ、やり切れなさを感じる。 もし、生き残れていたら、と考えてしまう。 生き残れて欲しかった、と思う。 父オットー・フランクが、早くアメリカやスイスに亡命していれば、と思う。 「もし」というのは無いけれども、もし、もし、もし... あと、思春期真っ只中のアンネの日記を見ると、 「自分もこんな感じだったかもな〜」といった点がちらほら。どちらかといえば、アンネと同じ文学少女だったしなぁ...抑えきれない感受性、言葉にしたい、文字にしたいという衝動。そのまま突き進んでいたら、私も文字を書く仕事についていたのだろうか。 10代でこの本を読んだら、また違う感情が芽生えたのかも知れない。自分だけじゃ無い、孤独で無いと思えたのかも知れない。今だったら、こういう時期はあって然るべきだと分かるけれども。 娘には是非10代で読んでもらいたいと思う。

Posted byブクログ

2017/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

亡くなったおばが好きだった本。自分にとっても、小さい頃からずっと大切な本です。大量虐殺など、人が人をゴミのように殺したという歴史に衝撃を受けるとともに、その中でも強く生きるアンネには憧れを抱きました。

Posted byブクログ

2017/06/29

私が今回この本を読んで感じたのは、アンネの強さです。 戦争中、ユダヤ人が悲惨な差別を受け、身を隠さなければならなくなっても、笑いあったり、喧嘩したり、悲しんだり…そんなふうに過ごせるアンネは、本当に強い女性だと思いました。 1番印象に残っているのは、泥棒が隠れ家に入り込み、警察に...

私が今回この本を読んで感じたのは、アンネの強さです。 戦争中、ユダヤ人が悲惨な差別を受け、身を隠さなければならなくなっても、笑いあったり、喧嘩したり、悲しんだり…そんなふうに過ごせるアンネは、本当に強い女性だと思いました。 1番印象に残っているのは、泥棒が隠れ家に入り込み、警察に隠れ家が見つかりそうになったシーン。 その時の緊張感や、アンネの心境が細かく書いてあって、読んでいる私までとてもドキドキしました。 この本は、隠れ家で生活を送るユダヤ人のアンネが書いた日記なので、誰かに読んでもらうために書いたものではないと思います。でも、この本を読むことで、戦争の悲惨さ、当時のユダヤ人の心境、時代背景など、様々なことを学べます。 唯一の被爆国である日本に生まれたのだから、もっと戦争に対して真剣に考え、アンネのように後世に伝えていくべきだと思いました。

Posted byブクログ

2017/05/21

アンネの伝記を読み、その日記の存在は知っていたけれど、「アンネの日記」そのものは、読んだことがなかった。 本屋さんで何度も目にしていたが、今回はなぜか「今読もう」と思い立って購入。 でも、読了までは1ヶ月ちょっとかかった。休み休み読んでいたため、途中、別の本を3冊読み終えるほど...

アンネの伝記を読み、その日記の存在は知っていたけれど、「アンネの日記」そのものは、読んだことがなかった。 本屋さんで何度も目にしていたが、今回はなぜか「今読もう」と思い立って購入。 でも、読了までは1ヶ月ちょっとかかった。休み休み読んでいたため、途中、別の本を3冊読み終えるほど。(笑) そこには多感な少女の本音が書かれていた。 思春期にありがちな悩みや大人たちへの不満。恋や性についても、親友への手紙形式で赤裸々に告白している。 それは、想像していたものと全く違っていた。 アンネは決して特別でも天才でもなく、普通の女の子だったんだ。だからこそ、この日記は貴重なのだと思う。 アンネも、私たちの思春期の頃とそれほど変わらないことを考えて生きていたのかなと思う。ただ生きる条件があまりにも違いすぎるけれど。隠れ家での生活は私たちがどんなに想像をしようとしても、やはりそれはアンネたちが過ごした現実とは全く違うものなのではないだろうか。 日記を読み進めるうちに、アンネがずつ成長していく様子が覗える。 アンネは自分自身と向き合い、戦い、希望を失わず前向きに一生懸命に生きた。 私も中学生の頃、日記ではないが詩を書いていた。大人になったある日、それを見つけて読み返してみたが、恥ずかしさのあまり数ページ読んで閉じ、処分してしまった。 今になってみれば、捨てずにとっておけばよかったなと思うところもある。今なら読み返すこともできるかもしれない。心を強くもって(笑) アンネがもし生きていたならば、この日記を世界中の人たちが読むことはなかったのかもしれない。 アンネが残した日記から何を読み取るのかは現在を生きる人それぞれだ。この日記を書いたアンネが生きた世界の状況を知ることもそのひとつかと思う。 人間はなぜ争うのか。人間はなぜ差別をするのか。人間はなぜ宗教を理由に殺し合うのか。人間はなぜ・・・。 読み終えた時、自分の直感がなぜ「今読もう。」と示したのか、分かった気がした。

Posted byブクログ

2017/03/10

まずこの本が沢山の人に読まれ、 色々な解釈色々な意見があることは置いといての感想になります。 うまい! まぁ和訳してるから訳者とかが読みやすくしてくれてるんだろうけどそれでも読みやすい! 話の書き方も 10代の女の子らしく散漫であり それでも強く考えているんだという意思が感じら...

まずこの本が沢山の人に読まれ、 色々な解釈色々な意見があることは置いといての感想になります。 うまい! まぁ和訳してるから訳者とかが読みやすくしてくれてるんだろうけどそれでも読みやすい! 話の書き方も 10代の女の子らしく散漫であり それでも強く考えているんだという意思が感じられるし この子は本当に頭のいい人だったのだなぁ・・と 思いました。 自分の昔、いや今現在ですら感じるような、 思うような悩みを持っていて時代など関係なかったのだなと、どこでも家族での悩みや孤独というものは存在し同じような考えを持つ人がいるのだと思いました。 戦争中自分はこんなに強く生きれるのだろうか? 多分むりだろうなと。 この日記の感想を少し調べてみたら 他の人に対する愚痴が多かったとの意見が多かったような気がしたのですが 私自身の感想としたらそうだろうか? 自分自身日記を書いているので、自分に対して(アンネの場合はキティーという人物に宛てた手紙形式でしたが)どうして嘘をつく必要があるのか嫌なことがあったならば嫌なことがあったと書くことが必要だったのではないのかな?と思います。 それにアンネはここまでにしましょうとか こんなことばかり言ってうんざりでしょうねとか なんであの時こんなこと書いたのかなとか 自分を省みてる描写が見られるので自分を抑えていて日記ぐらいもっと書いてもいいじゃないかとこっちが我慢しなくていいのよ? と言いたくなるほどな感想をうけました。 食べ物や人間関係、隠密生活どれも想像を絶するものだったと思います。 自分の生活と照らし合わせてどちらが不幸だとかそういうことを言いたいとかではなく 辛いものは誰であっても、程度など関係なく辛いものなのだと。 とてもいいことを書くなぁと思います。 ところどころ書きぬきたい文書がありました。 女の子らしく恋愛してみたり 寂しいからと恋と寂しさを勘違いしてみたり とても人間らしく なんともこれが実際にあったことだと 信じたくないです。 物語を読むみたいに読めたので もう本当に物語だったならよかったのにと何度思ったことか。 もっとこの時代を深く知りたいと思いました。

Posted byブクログ

2017/03/03

ドイツのナチスが行なったユダヤ人差別を物語る作品。この日記自体は実際にアンネが書いたもの。正直全部読むのは疲れた。楽しみ方にもよるが、最初の方は子供のわがままが愚痴たっぷりに書かれている気がする。それも良さという考えもできるが、、。 内容としては当時の隠れ家での生活は興味深かった...

ドイツのナチスが行なったユダヤ人差別を物語る作品。この日記自体は実際にアンネが書いたもの。正直全部読むのは疲れた。楽しみ方にもよるが、最初の方は子供のわがままが愚痴たっぷりに書かれている気がする。それも良さという考えもできるが、、。 内容としては当時の隠れ家での生活は興味深かった。差別はだめですね。 作品全体を通して、15歳らしい青春や様々な葛藤が生々しく書かれた作品だなと感じた。

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2017/01/30

『愛する人が愛した本』 異国の地でこの本をわざわざ取り寄せたのには訳がある。私の愛した女性がこの本に導かれて小説家になったのだ。 アンネフランクは天才ではなかった。 彼女の周りが判断したように、あの時期によくある多感でおませな普通の女の子だった。特別でないことがとても特別だ...

『愛する人が愛した本』 異国の地でこの本をわざわざ取り寄せたのには訳がある。私の愛した女性がこの本に導かれて小説家になったのだ。 アンネフランクは天才ではなかった。 彼女の周りが判断したように、あの時期によくある多感でおませな普通の女の子だった。特別でないことがとても特別だった。 もしも仮に彼女が生きていたらこの本は外には出さなかっただろう。彼女は不器用だけど賢い子だった。自身を高める意義を知っていた。 アンネフランクは二人はいない。人が生きるということは、こういうことなのだと思う。お疲れさま、アンネ。

Posted byブクログ