百鬼夜行 陰 の商品レビュー
講談社ノベルス 1999年7月15日初版 ISBN406182080X 【ストーリー】 精神に翳りを持つ登場人物たちの、妖怪譚を絡めた思う様陰鬱なショートストーリー集。京極堂シリーズの裏話でもあるが単体でも楽しめる。 収録内容は、<魍魎の匣>の可菜子の隣人が目撃した「小袖の手」、...
講談社ノベルス 1999年7月15日初版 ISBN406182080X 【ストーリー】 精神に翳りを持つ登場人物たちの、妖怪譚を絡めた思う様陰鬱なショートストーリー集。京極堂シリーズの裏話でもあるが単体でも楽しめる。 収録内容は、<魍魎の匣>の可菜子の隣人が目撃した「小袖の手」、<姑獲鳥の夏>の涼子が胸裏を語る「文車妖妃」、<絡新婦の理>の視線を厭う平野の話「目目連」、<魍魎の匣>の隙間を生める男と擦れ違ったビルマ帰りの鈴木の「鬼一口」、火事場に佇む祐介の「煙々羅」、<絡新婦の理>の女教師が悩む「倩兮女」、<塗仏の宴>の神童に教示された警官の「火間虫入道」、<鉄鼠の檻>の禅師の「襟立衣」、青木の同僚で売春婦を厭う男の「毛倡妓」、<姑獲鳥の夏>直前の関口の一人称で語る胡乱な「川赤子」。 【感想】 今、人に貸したり大分前に読んで記憶が不確かなので上の登場人物の原典は間違っているかもしれませんが・・・。 6年ぶりに読み返しました。細部は忘れていたけれど読み出すと思い出すような、かなり印象的な話の詰まった作品集。濁った読後感の残る作品の集まりですが、それぞれ面白いので気に入っています。
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本編京極堂シリーズのサブストーリー集。 本編を読んだ人ならきっと気にいるでしょう。裏ストーリーから本編の謎が明らかに!
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京極堂シリーズ外伝。「妖怪」とは人間の思考、感情の中から生まれて来るというテーマは、本編と変わらない。
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主幹のシリーズの『裏地』を綴っている1冊。人物が名前だけで思い出せずに主幹を開いてしまう仕組みになっているとみた。榎木津暴走録とは逆に更に漠とした不安に襲われることしばしば。
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本編のインターミッションと言うか。「妖怪」という概念のおもしろさはこれが一番感じた。毛娼妓が色んな意味で好きです。はは。
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シリーズ(京極堂)の登場人物短編サイドストーリー。 小袖の手・文車妖妃・目目連・鬼一口・煙々羅・倩兮女・火間虫入道・襟立衣・毛倡妓・川赤子 短編集で個々独立し完結してるので、この本だけ読んでも楽しめるが、シリーズを制覇してから読むほうが面白味は格段に違うかと。 川赤子は姑獲鳥...
シリーズ(京極堂)の登場人物短編サイドストーリー。 小袖の手・文車妖妃・目目連・鬼一口・煙々羅・倩兮女・火間虫入道・襟立衣・毛倡妓・川赤子 短編集で個々独立し完結してるので、この本だけ読んでも楽しめるが、シリーズを制覇してから読むほうが面白味は格段に違うかと。 川赤子は姑獲鳥の前にあたる短編ですしね。 特にこれが!というのは無いのだが、目目連は好きな感じかな。
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これまでの京極堂のシリーズの脇役的な登場人物が多く登場して、サイドストーリーのオムニバスのような形になっている。一作一作が短い分、推理が中心ではなく、妖怪そのものにより主眼が置かれている。 このシリーズは、登場人物が重複して色々な話しに現れすぎだという気がする。人物の性格設定や...
これまでの京極堂のシリーズの脇役的な登場人物が多く登場して、サイドストーリーのオムニバスのような形になっている。一作一作が短い分、推理が中心ではなく、妖怪そのものにより主眼が置かれている。 このシリーズは、登場人物が重複して色々な話しに現れすぎだという気がする。人物の性格設定や説明をする手間は省けるのだろうけれども、何人かの主要人物が繰り返しどの作品にも登場するのは、どうも不自然な感じがしてしまう。 視ないと云うのは能動である。 眼を閉じるのは、己の意思だ。 だが視るとなると、これは怪しい。自分の意思で決定できるのは視る方向ぐらいのものである。選択の余地がないのならば、眼は単に世界を受け入れているだけだ。寧ろ見えると呼ぶが正しかろう。(p.86) 「鬼と云うのは、人間が実行可能なのに中中出来ないことをするんですよ。それが出来る状態を鬼と呼ぶんですか。だから幽霊でも、ただ怨めしや、と云うだけの奴はただの幽霊で、それ以上のことをすると鬼になる。」(p.135) 「ただ闇雲に修行するだけでは、矢張り駄目なのでございます。熱心に修行を積み重ねれば、それは立派な人間にはなれるかもしれませぬが、それは己を救うだけのこと。他人を救うことは出来ませぬからな。一人二人は救えても大勢は救えませぬ。大勢を救うためには修行だけではなく」 方便が要るのですと拓道は云った。(p.293) 教主は死んだ。 何の価値もない生と、何の価値もない死。 生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥し。 そんなにく暗いのが恐いのか。 ならば早く朽ち果て、消えてなくなるが良い。(p.298)
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