レキシントンの幽霊 の商品レビュー
『めくらやなぎと、眠る女』を除くと、教科書にでもありそうな昔の本のような雰囲気もあり、かと言って確実に村上春樹らしさもある短編集のように思える、何となくですけど。 だから村上春樹の作品と知らずに読むと誰が書いたのか分からないんではないかな? そういう意味では最後にまさにそのもの的...
『めくらやなぎと、眠る女』を除くと、教科書にでもありそうな昔の本のような雰囲気もあり、かと言って確実に村上春樹らしさもある短編集のように思える、何となくですけど。 だから村上春樹の作品と知らずに読むと誰が書いたのか分からないんではないかな? そういう意味では最後にまさにそのもの的作品が置かれている構成はなかなか興味深いかも。加えて個人的感想ですが、段々面白くなっていく(逆を言うと最初の表題作が一番面白くなかった)というのもgoodであります。
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『TVピープル』にはなじめなかったけれど、こちらはすんなり受け入れられた。 自分でも不思議だけれど。 たぶん、怖い話なんだけれども、語りが抑制的だからなのかもしれない。 特に、「めくらやなぎと、眠る女」は好き。 これは、大切なものを失って、しかもその時には気づかず失った痛みを描...
『TVピープル』にはなじめなかったけれど、こちらはすんなり受け入れられた。 自分でも不思議だけれど。 たぶん、怖い話なんだけれども、語りが抑制的だからなのかもしれない。 特に、「めくらやなぎと、眠る女」は好き。 これは、大切なものを失って、しかもその時には気づかず失った痛みを描いた物語だと理解した。 もう若くはない世代である私には痛切だ。
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同時期に書かれた短編ではないから、まとまった感想はないけれども、純文学小説としてとても楽しめた。過去現実に焦点をあてた話が多かった印象。
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村上春樹初読了。 不思議な話ばかりで理解できないこともあったけど、レビューみて、「あ、なるほどこう捉えればいいのか。」と思いました。まだまだ修行が足りません。 緑色の獣は個人的に胸糞な話だったけど一番印象に残っている。緑色の獣の長編を読んでみたい。もちろんホラーで。 なによりも...
村上春樹初読了。 不思議な話ばかりで理解できないこともあったけど、レビューみて、「あ、なるほどこう捉えればいいのか。」と思いました。まだまだ修行が足りません。 緑色の獣は個人的に胸糞な話だったけど一番印象に残っている。緑色の獣の長編を読んでみたい。もちろんホラーで。 なによりも怖いのは、その恐怖に背中を向けて、目を閉じてしまうことです。そうすることによって、私たちは自分の中にあるいちばん重要なものを、何かに譲り渡してしまうことになります。
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1980~1990年代に書かれた短編集。 “孤独”や“心の奥底にある恐怖”が テーマになっているように思えた。 村上春樹作品は長編が2~3作と短編集が他に1作くらいしか読んでないけど、もしかしたら短編のほうが好きかもしれない。 淡々と、静かに、美しい日本語で、目には見えない恐怖に...
1980~1990年代に書かれた短編集。 “孤独”や“心の奥底にある恐怖”が テーマになっているように思えた。 村上春樹作品は長編が2~3作と短編集が他に1作くらいしか読んでないけど、もしかしたら短編のほうが好きかもしれない。 淡々と、静かに、美しい日本語で、目には見えない恐怖に引きずり込まれるような感じ。 「トニー滝谷」は前に映画を観たけれど、映画もまさに、静かで美しくて哀しかった。その雰囲気は、小説も同じだった。 目に見える恐怖よりも、目に見えない恐怖(罪の意識だとか、過去の思い込みだとか)のほうがずっと恐ろしい。 「沈黙」が一番印象に残った。 一見善良そうに見えて実はとんでもなく腹黒い人間って実際いる。 頭も良ければ自分を善く見せる術を知っているから更に恐ろしい。そうして周りをコントロールしていく。 そんな黒い人間の裏側に勘づいてしまった語り手の不幸な出来事とその後。 結局最後に勝つのは、自分は正しいと強く信じられる心なのだと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
春樹ファンのオススメ第二弾。この短編集は「孤独」がテーマのように思う。春樹小説にはいろいろと極端な人物が多く出てくるなぁ。ネタバレで備忘録、行きます。 「レキシントンの幽霊」 建築家ケイシーの家に、主人公が留守番で何日か住んだ話。幽霊がパーティーなんて、ホーンテッド・マンションのよう。ジャズの膨大なコレクションが…がこの人らしい。ケイシーの父は、奥さんを亡くした時に三週間昏々と眠り続け、ケイシーも父が亡くなった時に二週間眠り続けた。そして…「僕が今ここで死んでも、世界中の誰も、僕のためにそんなに深く眠ってはくれない」孤独。 「緑色の獣」 これは理解に苦しむ話。突然庭の木の根元から這い出てきた緑色の獣の話。それにしてもこれだけ残酷な仕打ちを思いつける主人公の女、怖い。 「沈黙」 主人公の青木も、その周りの人物も、確かにいるよね。とおm思わせる作品。青木みたいな人間は、人間としての深みを増すこともなく、うわべだけは成功して、本人もそう思い込んで、薄っぺらな人間であることには気づかずに、薄っぺらな一生を終えるのだろう。いるいる。「僕が本当に怖いと思うのは、青木のよう人間の言い分の無批判に受け入れて、そのまま信じてしまう連中です。 「氷男」 不思議な話。でも氷男と結婚して南極に行って…孤独。 「トニー滝谷」 日本人なのにこの名前。イラストレーターとして成功し、最愛の妻である洋服中毒の女性を事故で亡くし、部屋いっぱいのサイズ7の高級衣料を片付け、父が死んだのちはダンボールいっぱいのジャズのレコードを処分し、「トニー滝谷は今度こそ本当にひとりぼっちになった。」 「七番目の男」 過去のトラウマにとらわれていた男の話。これはいったい何の会なのだろう。台風の日に親友と海岸に行き、目の前で親友を高波にさらわれてしまい、それがトラウマに。「なによりも怖いのは、その恐怖に背を向け、目を閉じてしまうことです」 「めくらやなぎと、眠る女」 蠅がめくらやなぎの花粉を女の耳に運んで眠らせ…女の肉を食べるとか…うぅ、これは苦手。話のメインは耳の悪い年下のいとこと、主人公の話なんだけどさ。広告代理店てどいういう仕事をするところなんだろう。
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でも僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の言い分を無批判に受け入れて、そのまま、信じてしまう連中です。自分が誰かを無意味に、決定的に傷つけているかもしれないなんていうことに思い当たりもしないような連中です。 Kは痩せて色白で、まるで女の子のような綺麗な顔立ちをした子供でし...
でも僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の言い分を無批判に受け入れて、そのまま、信じてしまう連中です。自分が誰かを無意味に、決定的に傷つけているかもしれないなんていうことに思い当たりもしないような連中です。 Kは痩せて色白で、まるで女の子のような綺麗な顔立ちをした子供でした。しかし、言葉に障害があってうまく口をきくことができませんでした。私がKと一緒にいるのを好んだのは、彼が優しい美しい心を持っていたからです。学校の成績はあまり芳しくなかったですが、絵が滅法うまく、鉛筆と絵の具を持たせると先生も舌を巻くような見事な絵を書きました。 真実怖いのは恐怖そのものではありません。恐怖に背中を向け、目を閉じてしまうことです。
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90年代に書かれた村上春樹の短編集 全体として「恐怖」がテーマとなっているような印象でした。 (ホラーとかではなく、内面的な「恐れ」に近いです)
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不気味な六短編。 何となく各編の主人公達は何か大事なものを失くしているのかなと...? 個人的には【沈黙】【トニー滝谷】【七番目の男】がおすすめです。
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文庫で再読。やっぱり『トニー滝谷』が1番好き。切なくてきゅぅっとする。表題作は苦手だったけど今回は面白く読めた。今回読んで印象に残ったのは『氷男』。主人公の女は南極に行くことで決定的な何かを失ってしまったのだろう。全体的にほのかに不気味な短編集。2012/395
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