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坂の上の雲 新装版(八) の商品レビュー

4.5

232件のお客様レビュー

  1. 5つ

    129

  2. 4つ

    48

  3. 3つ

    26

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

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2015/07/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

要するに、ロシアはみずからに敗けたところが多く、日本はそのすぐれた計画性と敵軍のそのような事情のためにきわどい勝利をひろいつづけたというのが日露戦争であろう。 戦後の日本は、この冷厳な相対関係を国民に教えようとせず、国民もそれを知ろうとはしなかった。むしろ勝利を絶対化し、日本軍の神秘的強さを信仰するようになり、その部分において民族的に痴呆化した。日露戦争を境として日本人の国民的理性が大きく後退して狂躁の昭和期に入る。やがて国家と国民が狂いだして太平洋戦争をやってのけて敗北するのは、日露戦争後わずか四十年のちの事である。敗戦が国民に理性をあたえ、勝利が国民を狂気にするとすれば、長い民族の歴史からみれば、戦争の勝敗などというものはまことに不思議なものである。 小説とは要するに、人間と人生につき、印刷するに足るだけの何事かを書くというだけのもので、それ以外の文学理論は私にはない。以前から私はそういう簡単明瞭な考え方だけを頼りにしてやってきた。いまひとついえば自分が最初の読者になるというだけを考え、自分以外の読者を考えないようにしていままでやってきた(むろん自分に似た人が世の中には何人かいて、きっと読んでくれるという期待感はあるが)。私以外の読者の存在というのは、実感としているのは家内だけだったし、いまもまあそういうものだろうと思ってこの作品を書いてきた。

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2015/06/11

やっと読み終わった。司馬さんは作品をかくたびに2トントラックいっぱいの資料を読み込んだって話は本当?すごいなあ。よく勝てたなあ。そしてその後は…的な。今の日本も戦後復興をかなえて、坂の上の雲状態なのか。だから変な空気になってるのか。わけわかんない空気ばっかりで怖いな。

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2015/05/17

ついに日本海海戦に突入し、その様子が描かれていた。とても面白かった。日露戦争はロシア側が負けるべくして負けてしまったという印象を受けた。 その後の真之や好古の描写にとてもしんみりとしてしまった。戦場に魂を置いてきてしまったのだろうか。 さて、全ての巻を読み終えることができて安心...

ついに日本海海戦に突入し、その様子が描かれていた。とても面白かった。日露戦争はロシア側が負けるべくして負けてしまったという印象を受けた。 その後の真之や好古の描写にとてもしんみりとしてしまった。戦場に魂を置いてきてしまったのだろうか。 さて、全ての巻を読み終えることができて安心した。 「坂の上の雲」は、明治の頃の日本国民のオプティミスティックな心境を表した言葉であった。その言葉が冠されたこの小説を読むと、その国民性や心境の特異性に非常な面白みを覚える。司馬さんのあけすけな書き味に思わず声を出して笑ってしまうこともあった。とにかく読みやすくて面白かった。

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2015/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

数年前にNHKのドラマでやっていたのをきっかけにして読みたい読みたいと思っていた作品です。ついに読みきることができました。 また、中学の時、日露戦争は過去の戦争の中で、唯一アジアの国が西洋の国に勝った戦いであったということで、世界史の中において非常に稀な戦争なんだと覚えていました。(歴史の資料集の中の旅順、203高地、乃木希典、東郷平八郎、とい言葉だけが頭の中に残っていました。) ストーリーは秋山好古、秋山真之、正岡子規を中心人物に据えながら、かれらの人生と日露戦争で日本が戦勝国になるまでを日本、ロシア軍を大本営、陸軍、海軍など多方面から膨大な資料の調査を基にしてかかれた大作です。 100年以上の前のことであり、最初は全く親近感なんて感じられなかったです。しかし読み終わってみて、日露戦争が、開戦から講和締結まで綱渡り的な戦争運営であったと知りました。もしもあの時あーだったら、こーだったら全く違く歴史、ロシアが勝って、対馬や北海道を租借地として中国のように植民地化した歴史になっていたんじゃないかと思いました。 明治の帝国主義が進む列強各国の中で、国の防衛という意味で初めて戦ったという点と、江戸時代の武士の精神が残る軍人が指揮を執った最後の戦いという意味で、今まであまり知らなかった太平洋戦争以前の明治の日本軍の姿が見えました。

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2015/04/25

あとがきを読むと「坂の上の雲」の意味がわかる。この文章がとても良かった。 …楽天家(登場人物)たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながらあるく。のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。 資...

あとがきを読むと「坂の上の雲」の意味がわかる。この文章がとても良かった。 …楽天家(登場人物)たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながらあるく。のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。 資本主義大国たちに揉まれ、新しい時代の機運に後押しされ、なんとか国家としてあろうとした日本。 時代の特異さと、その中をなんとか生き抜いた先人たちの強さにただ驚嘆する。 今で考えれば、あり得ない重圧だったろうが、当事者たちは無我夢中であり、重圧であることすら気付かなかったんだろう。 ビジネスマンに愛読者が多い名著である。私は本書に精神論的な教訓は求めない。ただ、「凄い時代があったもんだ」との驚きと感動のみがある。 作者が製作にトータル10年もの歳月を費やした書であり、文献としても一読の価値があると思う。

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2015/04/19

維新後間もない小さな島国が、ロシアという超大国に挑みかかる。負ければ滅亡は必至という絶望的な戦い。それが、他国の様々な思惑が絡み合う中で、奇しくも世界の版図を塗り替える戦いとなる。 手に汗握る展開で、エンターテイメントの要素が満載である。ただし、戦に焦点を当てるだけでなく、庶民...

維新後間もない小さな島国が、ロシアという超大国に挑みかかる。負ければ滅亡は必至という絶望的な戦い。それが、他国の様々な思惑が絡み合う中で、奇しくも世界の版図を塗り替える戦いとなる。 手に汗握る展開で、エンターテイメントの要素が満載である。ただし、戦に焦点を当てるだけでなく、庶民一人一人の生活風景も描いており、その意味で正岡子規を主人公の1人として取り上げている意味は非常に大きいと感じる。 日本人としての誇りを感じさせられる、まさに傑作小説と言える作品。

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2015/02/18

1-8巻を約1ヶ月かけて読破。奉天会戦のあたりはちょっとダレたけど、最後まで楽しめた。 3巻の後半からはひたすら日露戦争の話。ひりひりするような緊張感の中で、日本の命運をかけた戦いの歴史が語られる。本当によく調べたなあと言わざるを得ない圧倒的な情報量に加え、それが持つ意味すなわ...

1-8巻を約1ヶ月かけて読破。奉天会戦のあたりはちょっとダレたけど、最後まで楽しめた。 3巻の後半からはひたすら日露戦争の話。ひりひりするような緊張感の中で、日本の命運をかけた戦いの歴史が語られる。本当によく調べたなあと言わざるを得ない圧倒的な情報量に加え、それが持つ意味すなわち「なぜ物量に劣る日本が勝てたのか?」が解きほぐされていく。 日本の勝利の裏には、国家のためには命も捨てるのが当然という当時の日本人の献身があったことは事実だが、本作で彼らに与えられた個性といえばほぼ「戦って死ぬ」ことのみ。「坂の上の雲」は徹頭徹尾、指揮官たちの物語だ。だからこそリーダー論として、ビジネス書としても読まれるんだろう。 東郷平八郎の振る舞いにあこがれる人は多いと思うが、その上っ面だけ真似てもしょうがない。「自分は口出しせずに、部下に全部まかせりゃいいんだろ?」なんて簡単なことではないはず。作中でも触れられていたとおり、才覚よりも我執を捨てることのできる人格こそがリーダーには必要だ。 困ったことに、自分の人格ほど見えにくいものはない。そのくせ、周りの人間からはすぐに見透かされてしまうものだ。むしろ、オレの人格は伊地知幸介やロジェストウェンスキーのそれに過ぎないのでは?という疑いを持ってこそ、この名作からの教訓を得ることができるのではないだろうか。

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2015/02/01

終わっちゃった、という感じ。 登場人物や戦術など、こんがらがってしまって理解していないところはたくさんあるが、やっぱり戦争はダメだなあと思った。 『坂の上の雲』というタイトルの意味がわかって、今更だけど納得した。 再読したくなった(*^_^*)

Posted byブクログ

2015/01/25

日本海海戦の巻 いかに現実を認識するか、これがいちばん重要。戦術家の仕事は敵が予想どおりに来るという瞬間に完成する。仕事でも全くこの通りですね。

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2015/01/09

一番知りたい日本海海戦。「勝ちに不思議な勝ち有り、負けに不思議な負け無し」とは、楽天での野村監督の台詞。史上初の本格艦隊決戦も、これに当てはまる様な気がしました。

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