潜水服は蝶の夢を見る の商品レビュー
映画を観ていて、杉本亜未さんの「ファンタジウム」でも取り上げられていて、原作読もう、と思ってたのがようやく実現。フランス人でもともと編集者だからか、どことなく詩的な印象。 「潜水服」は、頭と意識(心)だけがしっかりしている自分。「蝶」はそんな身体であっても、思考は自由に飛んでい...
映画を観ていて、杉本亜未さんの「ファンタジウム」でも取り上げられていて、原作読もう、と思ってたのがようやく実現。フランス人でもともと編集者だからか、どことなく詩的な印象。 「潜水服」は、頭と意識(心)だけがしっかりしている自分。「蝶」はそんな身体であっても、思考は自由に飛んでいける暗喩。活字を自由に扱ってた人がそれを取り上げられた時の絶望、言語聴覚士と出会って、また言葉を取り戻せたときの喜びはどんなだったんだろう。
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難病で自由がきかなくなった自分の体を「潜水服」に、それでも自由にはばたく自分の意志や想像力を「蝶」にたとえる。 なんと魅力的、どこまで洒脱なのだろう、この人は。
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・まぶた以外の全てが動かなくなった人がまばたきだけで書いた本 実話 ・映画化もされている ・HJさんのおすすめ http://nozaki.blog15.fc2.com/blog-entry-1362.html
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自分にはこの病気を乗り越える自信がない 著者の生命力・想像力・ユーモアには脱帽だ 父の日のくだりには参った 眠っている息子の頭を撫でる この身体に感謝
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基本3~4ページからなる、著者がみる日常の描写が書かれている。ただ、その捕らえ方が美しく、強く、ちょっとした皮肉もおしゃれ。まさに洒落たシャレ。どれだけの経験と議論と読書を重ねればココにゆけるのだろう?むしともって生まれた物?奇異をてらったわけでもなく、突飛な発想があるわけでもな...
基本3~4ページからなる、著者がみる日常の描写が書かれている。ただ、その捕らえ方が美しく、強く、ちょっとした皮肉もおしゃれ。まさに洒落たシャレ。どれだけの経験と議論と読書を重ねればココにゆけるのだろう?むしともって生まれた物?奇異をてらったわけでもなく、突飛な発想があるわけでもない。でも深い知識と教養があれば、世界がこれだけ色鮮やかに見えるのだろう、という印象を受けるほど色鮮やかだった。その分、作者の状況を思えば、心苦しくもなる。マリア像との対話の話が好き。
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ロックトインシンドローム。ELLEの編集長の彼が脳出血により陥った障害。 想像できるだろうか。感情や意識はそのままで、左のまぶたを動かす以外のすべての自由が奪われてしまうという悪夢のような状況を。 どれほどの苦痛がそれに伴うのか、本当の苦しみは私たちには決して理解できないだろう。...
ロックトインシンドローム。ELLEの編集長の彼が脳出血により陥った障害。 想像できるだろうか。感情や意識はそのままで、左のまぶたを動かす以外のすべての自由が奪われてしまうという悪夢のような状況を。 どれほどの苦痛がそれに伴うのか、本当の苦しみは私たちには決して理解できないだろう。 そんな彼が、気の遠くなるような(協力者が示したアルファベットに、YesかNoかをまばたきで一つずつ答えるという)作業を通して描き上げたエッセイが本書。 想像を絶するような苦しみの中にある人物とは思えないほど、ウィットに富み、描写は美しく、ちょっとした皮肉も忘れず、まさに蝶のようにかろやかに書きつづられている。 「カーテン」という章では、別れた妻と子供たちが会いに来て一緒に海岸へ遊びに行く様子が描かれているのだが、その情景の美しさと、そして彼の置かれている冷たい現実と、子供たちを見つめるその姿に、どうしようもなく胸が締め付けられ、涙が出た。つらく、切ない。 私にはめったにないことだが、原作を読んで、是非映画を観てみたくなった。 (2011.1.15映画も観た。結構原作に忠実に作られていたなあ)
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ELLEの編集長である筆者は脳出血で倒れて 左目しか動かせないロックトインシンドロームに陥ってしまった。 身体が全く動かせず潜水服を着ているような状態でも 思考だけは蝶のように自由に飛びまわることができる。 アルファベットを読み上げてもらいながら 左目だけで綴った作品。 装丁:渋...
ELLEの編集長である筆者は脳出血で倒れて 左目しか動かせないロックトインシンドロームに陥ってしまった。 身体が全く動かせず潜水服を着ているような状態でも 思考だけは蝶のように自由に飛びまわることができる。 アルファベットを読み上げてもらいながら 左目だけで綴った作品。 装丁:渋川育由 映画を先に見たのだけれど女の人の区別がつかなくて(笑) 原作で確認しようと思って読んだのですが エッセイ集というかストーリー仕立てになってないんですね。 疑問は解消されなかったけれど美しい文章です。 自分の置かれた状況を皮肉ったり、悲しんだり、愛しんだり。 旅の思い出を反芻したり、空想の中で食事や入浴を楽しんだり。 電車で読んだので涙を堪えるのに苦労しました。 自分の体験を元として考えた舞台についての一説。 「最後のシーンも、もう決めてある。 ほの暗い舞台の上、中央のベッドだけが、後光が射しているかのようにうっすら明るい。夜。すべてが眠りについている。そこで突然、幕が上がって以来ずっとぐったりしていたL氏が、シーツも毛布もはねのけて、ベッドの下に飛び下り、奇妙に明るい光の中をぐるりとひとまわりする。そして、再び闇。観客は、また陰の声で、L氏の心の内の最後のモノローグを聞くのだ。 ――ちきしょう、夢だったのか。」
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フランスのファッション雑誌ELLEの編集長だった、ジャン=ドミニックが20万回の瞬きで綴った本。 仕事も私生活も順調だった40代の彼が、ある日突然難病に倒れ、全身麻痺の闘病生活を余儀なくされます。 苦悩の日々の中にあってもなお、希望を持って生きようとするジャン=ドミニックの詩的で...
フランスのファッション雑誌ELLEの編集長だった、ジャン=ドミニックが20万回の瞬きで綴った本。 仕事も私生活も順調だった40代の彼が、ある日突然難病に倒れ、全身麻痺の闘病生活を余儀なくされます。 苦悩の日々の中にあってもなお、希望を持って生きようとするジャン=ドミニックの詩的でエスプリに溢れた文章、過ぎ去った日々、愛する人たちへの思いが読むものの心を揺さぶります。 映画化もされました。
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こにような症状があると知って、恐ろしく感じた。何も伝えられずにいる人も居ると言う事ですよね。 それを職業柄、明るく表現されている。
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明るい語り口ですが、切ない本でした。どうしようもない絶望が伝わってくるとき、まるで自分が潜水服の中にいるような気になり、わかりもしないのに、苦しみと痛みを想像します。それでもこの本に惹かれる理由は、筆者の心が豊かで率直で愛情にあふれ、自分の弱さをありのままに受け入れる強さがある...
明るい語り口ですが、切ない本でした。どうしようもない絶望が伝わってくるとき、まるで自分が潜水服の中にいるような気になり、わかりもしないのに、苦しみと痛みを想像します。それでもこの本に惹かれる理由は、筆者の心が豊かで率直で愛情にあふれ、自分の弱さをありのままに受け入れる強さがあるからだと考えます。 沈黙を守る体の向こう側に、最愛の人が変わらずそこに存在するとわかったら・・・やっぱり切ない。そしてその人が、まばたきだけでこれだけの思いを伝えようとしたなら、それはやっぱり感動的な本になると思います。読んでよかったです。
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